米国大統領選での事前予測意見について

米国大統領選でトランプ候補がヒラリー候補を破って勝利した。
ふだん、私自身が政治・経済・社会の分野でネット上(ブログ、SNS,ネット動画)で注目している論者が30名ほどいる。
その中で、米国大統領選について事前予測などの情報発信をしてきた論者は10名ほどいた。
以下、その10名の事前予測意見をまとめてみた。
●トランプ勝利を予測した論者 5名
A氏
・A氏は、政治アナリストで民間企業経営者であり私立大学研究員も兼ねる。
・今年の春の段階から、ネット上で最も深く大統領選予測を行い、異彩を放っていた。
・その分析は、今から考えればオーソドックスである。州別に予備選の結果、今までの大統領選の結果を整理しトランプ優位を予測した。
・テレビ討論を経ても、議論でヒラリーが勝ったということは認めつつ、討論でヒラリーが勝ったからこそ、トランプ優位と述べた。弁論大会ではないのだから討論自体の優劣は、結果には直接結びつかない。
B氏、C氏、D氏
・この3人は国際政治と国際経済の評論家ともいうべき人たちである。
・書籍やネットを通じて、トランプ勝利を自信をもって予測していた。
E氏
・E氏は最近注目されていて雑誌媒体で活躍し始めた政治評論家である。インテリジェンスに詳しい。アメリカ国内の政治状況に詳しく、A氏同様に深い分析を行っていた。
クリントン勝利を予測した論者 5名
F氏、G氏、H氏
・この3人は、エコノミストである。経済分析の予測力は高いが、今回は情報源が限られていたようで、特定の調査、とくに東海岸の大学情報などをベースにしていたようで正確な予測ができなかったようである。
I氏
・東アジア情勢に詳しネット上で詳細な分析を行う政治論者の一人。
J氏
親中派でユニークな活動を行うネット上の人気ブロガー。株式の値動きから予測を行っていた。
以上の10名である。
A氏とE氏を除く8名は、私がほぼ10年ほど著作やネットで注目してきた論者である。
結局、エコノミスト系ではなく国際政治系の論者の予測が正しかったようである。
なお、この10名は、いずれもトランプに勝ってほしい、ヒラリーに勝ってほしいという願望で意見を述べておらず。客観的な分析に基づいて予測を行っている。
私自身は結局、次のようなことを米国大統領選で感じた。
1)米国のテレビ・新聞情報は全くあてにならない。
2)世論調査は参考にはなるが、これもあてにならない。
3)米国大統領選独特の州単位での票読みが大事だ。
4)日本のマスメディアは、ほとんど米国メディアの受け売りで、あてにならなかった。
5)日本の論者の場合、政治でも経済でも正確な予測が行えるのはマスメディアに登場する学者やコメンテーターなどの有名人ではない。
6)論者の長年の情報発信の内容から、これはという信用のおける論者を見つけ出し、そうした複数の論者の意見を集約しながら、みずから判断をするのが一つの予測手法である。
とくに、米国政治など、一般の日本人は深いオリジナル情報を入手できないので、信用のおける専門家の意見に参考にしないといけない。
7)自らは保守系だから、リベラル系だからといって、あるいはトランプ支持だから、ヒラリー支持だからといって、自分に都合のよい耳障りの良い意見だけに注目するのではなく、ことなる意見の論者にも注目する。そのことによって、比較の中で正しい方向が見えてくる。
8)トランプ勝利を予測した5名は、その予測が当たるか外れるかは、当人の信用に大きく影響を与える。いずれも大学教員やシンクタンクなどの組織に属していないので、予測の真剣さが違う。自らの予測内容に強い自信があることが感じられた。
と、いったところ。
忘れないうちにメモとして記しておいた。