藤子不二雄ファンはここにいる/koikesanの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2006-02-15 「旧ドラ」鑑賞記 このエントリーを含むブックマーク

 今月5日に藤子不二雄ファンサークル「ネオ・ユートピア」主催の藤子アニメ上映会が開催されたことはこのブログでも触れたとおりだが、このイベント最大の目玉は、なんと言っても日本テレビ版『ドラえもん』(通称「旧ドラ」)の上映であった。このアニメの制作に携わったかたのご厚意により、「旧ドラ」全52話(26回)のうち2話を鑑賞することができたのである。


「旧ドラ」は、昭和48年4月1日から9月30日まで日本テレビで放送されたテレビアニメだが、ソフト化されることもなく、近年のテレビで動く画像が紹介されることもなく、1980年代以降は再放送もなく、藤子ファン・ドラえもんファン・アニメファンのあいだでは幻の作品として語られ続けてきた。昭和54年にスタートしたテレビ朝日版『ドラえもん』が人気を博し長寿番組化する流れのなかで、この「旧ドラ」は、爛▲縫瓮疋蕕┐發鵑黒歴史瓩箸いΠ靴い気┐覆気譴討たのだった。「作品の出来が悪く人気が出なかっため打ち切られた」などとマイナスの噂が独り歩きする半面、「死ぬまでに一度は観たい」と憧れを語るファンも多く、存在が謎めいている分、毀誉褒貶にさらされてきたとの印象が強い。


 私自身は、放送当時に観た記憶がなく、現在得られる限られた情報を咀嚼しながら、「旧ドラ」のイメージを頭のなかで勝手につくりあげるくらいしかできずにきたが、そうやってイメージを勝手につくればつくるほど、「ああ、実際の旧ドラはどんなものだったのか、この目で確かめてみたい」という気持ちが募っていった。そんな気持ちを抱きつつ、いつか「旧ドラ」を観られるときがくる、と根拠もなく信じてきたのだけれど、爐修里箸瓩思った以上に早く訪れたのだから幸せである。


 上映された作品は、「男は力で勝負するの巻 」と「潜水艦で海へ行こうの巻 」だった。OPとEDも観ることができた。

真佐美ジュンさんのサイトおおはたさんのサイトによると、「男は力で勝負するの巻 」は昭和48年6月17日、「潜水艦で海へ行こうの巻」は同年8月5日に放送されたエピソードのようだ。「旧ドラ」ではドラえもん役の声優が途中で富田耕生さんから野沢雅子さんに交代しているのだが、今回上映された2作品を鑑賞すれば両者の声を聴くことができるという、粋なはからいがなされていた。


「男は力で勝負するの巻」は、「ソノウソホント」を原作にしつつ、その原作を大きくアレンジした内容だった。何よりも衝撃的だったのは、ドラえもんの声である。富田耕生さん演ずるドラえもんの声は、まさに下町のオヤジそのもので、現在われわれが抱くドラえもんのイメージから掛け離れていて違和感ありまくりだった。ドラえもんがしゃべるたびに、会場内は戸惑いの空気と爆笑の渦に包まれた。この声を聴けただけも大満足である。

 ストーリー的には、のび太とスネ夫ジャイアンが、自分の父親の腕力を競いあうというもの。まずスネ夫が自分のパパに板を割ってもらおうとするが、パパは、そんな無茶なことはできない、と消極的。そこにスネ夫のママが介入してきたと思ったら、そのママが奇矯な雄たけびを上げて素手で板を割ってしまうという凄いシーンが繰り広げられた。スネ夫のママは空手3段という設定らしい。

 のび太は、ソノウソホントを使ってパパに石を割らせる。そしてクライマックスは、ジャイアンの父ちゃんの場面である。

 ジャイアンの父ちゃんは、空き地に置かれた土管を割ろうと何度も素手で土管を叩くが、まったく割れる気配がない。それでも父ちゃんはめげることなく、かわいい息子の名誉のため、繰り返し繰り返し土管を叩き続け、痛々しいまでに手が腫れ上がってしまうのだった。私は、その光景を観ているうちに、この話はドタバタギャグのなかに横丁人情物のテイストも入っていて、笑いあり涙ありの娯楽作品なんだなあと感じ入った。ジャイアンの父ちゃんの姿はジャイアンに似ているが、ジャイアンよりかなり小さくて、体格だけ見ると子どもみたいだ。

 何はともあれ、ドラえもんのオヤジ声が最大のインパクトを残したのは間違いない。


「潜水艦で海へ行こうの巻 」は、「せん水艦で海へ行こう」を原作にしているが、こちらも大幅にアレンジされていた。

 しずかちゃんの家に居候中のガチャ子が登場したのが、まずは大きな見どころだった。ガチャ子のちゃっかり者なところがよく出ていたと思う。野沢雅子さんが演じるドラえもんは、富田さんの衝撃的な声を聴いたあとだったので、実に無難に聴こえた。

 スネ夫のママが、オープンカーにみんなを乗っけて海までドライブ。それをドラえもんとのび太が潜水艦を使って別ルートで追いかけ、海に着いてから全員であれこれドタバタが演じられる。水上スキーのシーンなど動きがダイナミックで見応えがあった。


 今回「旧ドラ」を観た限りでは、ジャイアンよりスネ夫のほうが積極的に意地悪をするタイプで、ジャイアンは少しおっとりとした印象。これは連載が始まった当初の原作に近い性格設定だ。

 スネ夫のママが、空手の有段者で板を割ったり、皆を引き連れて海へドライブに行ったりと、強烈に目立っていたのがまことに印象的。



「旧ドラ」に関しては、失敗作だった駄作だったとの不名誉な噂がささやかれているが、実際に観てみれば、現在の『ドラえもん』のイメージとは違うものの、原作初期のスラップ・スティックなノリとキャラクターの性格を活かしつつ、独自のアレンジと解釈を施すことで、おもしろい娯楽作品に仕上がっていると感じた。少なくとも、失敗作などというイメージからは程遠いものだった。

「男は力で勝負するの巻」で感じたような、横丁人情物の味わいもよかった。この話で垣間見えたジャイアンと父ちゃんの関係については、「男は力で勝負する」の前に「ガキ大将をやっつけろ」を観ておくと、より深みを感じられるとのことで、いずれ「ガキ大将をやっつけろ」を観られる日がくるといいなあと切に思う。


 放送された時代が近いことや、のび太の声が太田淑子さん、ジャイアンの声が肝付兼太さんだったことなどあって、アニメ『新オバケのQ太郎』のムードを感じさせる部分もあった。『新オバケのQ太郎』は、昭和46年9月1日から47年12月27日まで放送され、正ちゃんの声を太田淑子さんが、ゴジラの声を肝付兼太さんが演じていた。



 2月5日は、いつか観ることができるだろうと信じながらも、一生観ることがかなわないかもしれないと悲観することもあった幻のアニメ「旧ドラ」を、ついに、本当に、確かに観ることができた記念日として、鮮烈に記憶に刻み込まれることになるだろう。

シンドリャーシンドリャー 2006/02/17 00:01 噂の「旧ドラ」が見られたのですか。凄い貴重な経験ですね。
かといって、自分は見たいかというと、微妙なところではありますが。ジャイアンの母ちゃんが亡き者になっている時点で、僕個人としては、アウトなので・・・。

ねずねずおねずねずお 2006/02/17 00:36 貴重な体験でしたね。
おっさん声で「のび太ぁ!!」
とか喋られるだけで感動してしまいましたw

ひろべえひろべえ 2006/02/17 15:13 僕も以前OPの動画は発見した事がありましたが、
まさか放送一回分を見る事が出来たとは正直感服しました!
これは僕も一度見たかっただけに読んでてドキドキしました!
それにしてもドラえもんがおっさん声とはまたすごい!
ドラえもんの雰囲気というとやっぱり「大山のぶ代」さんか
今の「水野わさび」さんのイメージが強いので余計にビックリします!

横丁人情物のテイストを含んだドラえもん・・、全話見てみたい・・^^

名和広名和広 2006/02/17 18:23 もはや、フィルムすらも現存していないという都市伝説すら流れていたあの「旧ドラ」を目の当たりにした瞬間は、まさに、会える筈のない歴史上(暗黒史)の人物に遭遇した時と同様の戦慄を禁じ得ませんでした。
富田耕生氏の演じるドラは、あたかも平成天才バカボンのパパか「あっぱれさんま大先生」のワシャカエルに見えてしまう程違和感がありましたが(笑)、作品のノリが、同時期の東京ムービー系のギャグアニメの系譜で、非常にテンポが良く、全体的に楽しめました。背景も色彩が濃いシンエイ版なんかよりも全然素晴らしく、下町情緒に溢れていて(のび太の通っている学校が、下町小学校というのも、まんま「ど根性ガエル」か「元祖天才バカボン」ですものね)、まるで、小林七郎氏が描かれたみたいでした。観賞後、仲間内で、原作の世界観をいじり過ぎだという意見も聞かれましたが、スネ夫のママが空手の有段者だったり、ジャイアンの父ちゃんが背が低かったり、やたら浪花節を強調したりのアレンジ?は、大らかな(東京ムービー全盛)時代のギャグアニメならではの微笑ましさがあり、僕的には全然OKだったりもしました。ギャグ的にも異常なパワーを感じさせるのも素晴らしかったですね。ただ、富田版ドラに比べ野沢雅子さんのドラは、割りと違和感なく感じましたが、あの時代の声優さんでは、山本圭子さんか高橋和枝さんの方が、イメージとしては合っていたかなぁなんて思ったりもしました。といっても、これは別に不満ではありませんが(笑)。
とにかく、今回、「旧ドラ」を上映して下さったネオ・ユースタッフ、この件で多大な貢献をされてきたおおはたさん、そして、「旧ドラ」という文化遺産を我々に観賞させて頂ける機会を作って下さった真佐美ジュンさんには、この場をお借りして、お礼申し上げます。 本当にありがとうございました。

koikesankoikesan 2006/02/17 22:36 >シンドリャーさん
たいへん貴重な体験をさせてもらいました。
ジャイアンの母ちゃんの死は、「ガキ大将をやっつけろ」のなかで示されるようですね。

>ねずねずおさん
たしかにドラえもんがおっさん声でのび太を名を呼ぶところは、最高に感動的で衝撃的で脱力的でしたね(笑)

>ひろべえさん
旧ドラを観られるなんて、ホント、奇跡に遭遇しているような気分でした。
シンエイ版初期の大山のぶ代さんの声も、女性にしては結構ながらっぱちイメージでしたが、それでもやはり女性特有の愛らしさが感じられました。しかし、旧ドラの富田さんの場合、本格的におっさん臭い声なので、たいへんなカルチャーショックでした。

>名和広さん
旧ドラの映像が始まった瞬間の、犖犬竜譽疋蕕実在した!瓩澆燭い粉恭个亘困譴たいですね。
基本的にはスラップ・スティックなんですが、そのなかに浪花節的な世界も垣間見えましたよね。主題歌の曲調も、どことなく演歌っぽいし、狄余隲瓩箸いΔ發里違和感なく作中に溶け込んでいる印象でした。

ドリードリー 2006/09/18 18:02 ちょっとマヌケでいい男♪な旧ドラ僕はZ見ないで
見てました。。
オバQシリーズだと思ってました。

koikesankoikesan 2006/09/18 21:21
>ドリーさん
ドリーさんは、旧ドラをご覧になっていたんですね!その体験が羨ましいです。
富田さんの声のドラは、たしかに“男”っぽかったですよね。おっさん臭いと言ったほうがよいかもしれませんが(笑)
アニメ「新オバQ」とどこかしら雰囲気が似ているので、オバQシリーズだと思ってしまったドリーさんのお気持ち理解できます。

ドリードリー 2006/10/02 01:05 僕が小学校2年のときですね旧ドラは。マジンガーZに思い入れの
ない冷めた少年だった事がよくも悪くもドラえもんを観ていた
最大の要因ですね。。
その後、朝学校に行くぎりぎりの時間にもやってましたよ!
おはようこどもショーとかカリュキュラマシーンの
あとだか前だか忘れましたが。。

koikesankoikesan 2006/10/02 19:07 私は裏で旧ドラがやってることを意識もせず、当然のようにマジンガーZを観てました。いま思えば、旧ドラを観ておけばよかったなあ、と思いますが、あのころの意識ではどうしようもなかったです。
再放送もあったかもしれませんが、それも観た記憶がないんです。