『ミス・ドラキュラ』第1巻発売!

koikesan2006-04-24

復刊ドットコムでの投票が100票を超え、めでたく復刊の決まった藤子不二雄A先生の『ミス・ドラキュラ』は、かつて奇想天外社から「奇想天外コミックス」のレーベルで単行本化されていたが、出版社の倒産のため4巻が出たところで刊行停止、そのまま絶版となった。
『ミス・ドラキュラ』は、「週刊女性セブン」に5年以上にわたり連載され、252話まで回を重ねたが*1、奇想天外コミックス全4巻にはそのうちの148話が収録されたのみで、残りの104話はずっと単行本未収録のままだった。それが今回の復刊で全252話を完全収録することになり、単行本として全7巻まで刊行される運びとなったのだ。実に理想的な復刊といえよう。



 その復刊版『ミス・ドラキュラ』第1巻ブッキング発行)が、先週末か本日くらいに発売された。今回収録されたエピソードは、奇想天外コミックス第1巻とまったく同じ、第1話から37話までだが、装丁が新しくなっているので新鮮味がある。裏表紙は、虎木さんの横顔シルエットに夜の高層ビル群が映ったデザインで、なかなかしゃれている。「全252話完全収録!!」と大々的に記したオビも目を引く。このオビが、透ける材質なのもちょっとカッコいい。タイトルロゴも新デザインだ。
 装丁だけでなく、真新しい単行本で『ミス・ドラキュラ』を読めるのも嬉しい。OLやサラリーマンの、会社内外での悲喜こもごもや俗っぽい生態が、軽妙なショートショート形式で描かれ、くすっと笑えたり、少しほろりとしたり、うっすらとペーソスを感じたり、肩の力を抜きつつ人生の機微を味わえる。軽いお色気も魅力か。この作品を初めて読んだのは小学校高学年か中学生くらいだったので、オトナの世界をちらりと覗き見るようなゾクゾク感をおぼえたものだ。


 
 主人公のミス・ドラキュラは、会社では地味で無愛想なOL・虎木さんを装っているが、実は大金持ちで美人で才気あふれるスーパー・レディー。社内で虎木さんを疎ましがる同僚や上司にルサンチマンを抱くこともなく、むしろそんな人たちにいっときの夢を与えてあげたりもする。ミス・ドラキュラにとって、虎木さんに変装して会社勤めをすることは、もう一つの人生、もう一つの人格を体験するための、ぜいたくな道楽なのだろう。


『ミス・ドラキュラ』第2巻は、6月下旬発売
http://www.fukkan.com/sell/index.php3?mode=detail&i_no=57363582


※写真:左が昭和55年発行の奇想天外社版、右が今回発売された復刊版



藤子不二雄A作品情報】
25日(金)発売の「週刊漫画サンデー」ゴールデン・ウィーク特大合併号(実業之日本社)に、『踊ルせぇるすまん』最新作掲載!! 全15ページ(内、3ページが4色カラー)

*1:週刊女性セブン」1975年6月11日号〜1980年10月23日号連載