てんとう虫コミックス新装版『エスパー魔美』3巻発売

 3月28日(火)、てんとう虫コミックス新装版『エスパー魔美』3巻が発売されました。
 
 
 毎度のことながら『エスパー魔美』の一話一話のクオリティの高さ、確実な面白さにうならされます。アイデア、知識、構成、心理、人物描写などなど、本当にすばらしいです。


 冒頭に収録された「地底からの声」は、絶妙な“幽霊の正体見たり枯れ尾花”ストーリーです。作中で魔美の怖がり屋っぷりが炸裂!自分のおしっこを友達に中に転移するという、マジカルでマッドなワザを見せてくれます。初めて読んだときは、驚きながら・笑いながら、こんな超能力の使い道もあるんだ!と妙に感心してしまいました(笑)


 「天才少女・魔美」には、マンガ家・フニャ子フニャ雄先生が登場!“このマンガって誰のアイデアなのか?”問題を扱っている点も含め、『ドラえもん』の「あやうし! ライオン仮面」と合わせて読むとますますおもしろいです。


 「うそ×うそ=?」は、一種のUMAものです。ちょっとした嘘が噂となって流布し、いつしか世間的真実と化してしまうストーリー。その噂の流布に他の藤子F作品のレギュラーキャラである“彼”も一役買っていて、初読時には「こんなところでも自分の性格を発揮してる〜!」と強く反応してしまいました(笑)


 「スランプ」はかつての人気歌手・任紀高志が登場する回です。アニメ版の「スランプ」では、任紀高志が初期の映画ドラえもんの主題歌「心をゆらして」「だからみんなで」「海はぼくらと」を歌ってくれます。現実にこれらを歌ったのは、岩渕まことさんです。
 2010年のネオ・ユートピア藤子アニメ上映会で岩渕さんのミニコンサートが開催されたことを思い出します。そのオープニングで「こんばんは、任紀高志です」と岩渕さんが自己紹介された瞬間から心を鷲づかみにされました。あのコンサートは最初から最後まで本当に心に沁みました。


 「黒い手」は、サスペンスタッチで幕をあける重めのヒューマンドラマ。「虫のしらせ」ではコンポコの自尊心が…。そして、「弾丸よりもはやく」では魔美が待望の国際的大事件に挑み、「のぞかれた魔女」では“セイジュクキのハツモウってなあに?”という素朴な疑問が放たれて高畑さんがドギマギ(笑)



 ※中日新聞東京新聞)夕刊で斎藤宣彦さんが連載中の「マンガの探偵 ギャグマンガの歴史を追う」、本日(3/29)のテーマは「藤子・F・不二雄」です。