さよなら仮説検定〜最近の統計学事情〜

たまに「統計学には仮説検定が必須である」という意見を述べる人がいる。不幸なことに誤解である。世間におけるこの種の誤解とは逆に、当の統計学者達は「なるべく仮説検定を用いない方が望ましい」という方向に動いている。

もちろん、仮説検定を完全に否定するのではない。ただ、「仮説検定は正しく使うことが難しいので、代替手段がある場合には代替手段を使いましょう」と提唱しているのである。そして、多くの場合、仮説検定を用いなくても代替手段で事足りるのである。

以下に紹介する論文はそういった統計学者の最近の方向性をまとめたサーベイ論文である。
"The Insignificance of Statistical Significance Testing":
https://digitalcommons.unl.edu/cgi/viewcontent.cgi?article=1225&context=usgsnpwrc
日本語抄訳を作ってくださった方もいる。
統計学的な有意性検定の意味のなさ」:
http://takenaka-akio.org/etc/stat_test/

僕が用いる代替手段は主として「赤池情報量規準(AIC)」である(たまに仮説検定を使うこともあるが必須だとは思わない)。AICは非常に簡明で有用な統計学のツールなのでそのうちにAICについても紹介したいと思う。

(補足)このエントリーの題名にはあまり深い意味はない。小松左京のSFに「さよならジュピター」というのがあることを思い出したのでつけてみた。