旅の絵本?(安野光雅著)


安野さんの旅の絵本シリーズの第4弾はアメリカ合衆国です。西海岸から東海岸に向かっているということだと思います。ロッキー山脈や、ゴールデンゲートブリッジ、ホワイトハウス、ニューヨークの摩天楼など、アメリカの農村部と都市が両方描かれていて、アメリカ人のくらしぶりが分かります。

旅の絵本シリーズはこの後も8巻まで続きます。

(1983年、福音館書店

島根のむかしばなし(島根県小・中学校国語教育研究会編)


島根県の国語の先生たちでつくる研究会が、郷土の昔話を子どもたちに伝えようということで、副読本としてつくったのでしょうね。いまではおじいちゃんやおばあちゃんから、いろりばたや掘りごたつで聞かされたということもなくなり、伝えることが難しくなった昔話を、伝承したいという思いもあったのかもしれません。

「しあわせ話」は、善行を行うことで幸せが得られる話し、「怖い話」はよくないことをすると報いを受けることなど、人として成長していく過程で正しい行いを自然と身に着けることが昔話には詰まっています。こういう語りが途絶えたことも、日本の社会の大きな変化の要因なのかなとも思います。

お話しは採取された場所の方言をたっぷり使ってあって、島根が、出雲、石見、隠岐の三つの地域からできていることをあらためて感じたのでした。

(日本標準、1976年)

渋江抽斎(森鷗外著)


弘前の医師でもあった、渋江抽斎(1805−58)の人生を描きながら、幕末の家族や一家の年代記にもなっていて、鷗外の歴史物の代表作の一つに挙げられています。

晩年の作品ですが、文体がみずみずしいという評価も多い作品です。森鷗外の小説家としての力が発揮された作品ですし、好きな作品の一つです。

(中公文庫、1988年)

旅の絵本4(安野光雅著)


断崖のある海岸、羊たちが草を食む牧場、ストーンヘンジ、村のまつり、そして、ロンドンの歴史ある町並み、安野光雅の旅の絵本シリーズの第3弾は、イギリス編です。

旅の絵本の1と2は、ヨーロッパを描いていますが、国別という感じがあまりないのですが、3当たりから各国シリーズになっていくのでしょうか。この第3弾は、表紙にイギリスの国旗がたなびいています。

イギリスというのは、大都会のようですが、周辺には手を入れた田園風景が広がっていて、都会もすごいけれど、田舎もすごくすてきです。日本の田園は、寂れていくばかりですが、国によっては農家を大切にして、景観も守られているのでしょうね。イギリスの田園と、島根の中山間地域を重ねてため息をついてしまいました。

(1981年、福音館書店

直政公と逸話(小林布善著)


直政公が大好きだという著者が、松江の観光ガイドなどを行って培った歴史の逸話を集めた本です。松江にはこういう自分で学習しながら、歴史を学ぶ人たちが多いように思います。

その要因の一つは、推薦の書を書いておられる藤岡大拙さんで、この方が県立図書館で続けられている古文書を読む会など、歴史を学ぶ機会がていきょうされていることが多いのではないでしょうか。

自費出版、1995年)