kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

勢力を増す小沢一郎支持の言説と、それを煽る山口二郎の妄言

何やってんだ、この人たち。そう思った。

http://togetter.com/li/80207 で参照できるが、小沢一郎の「岡田幹事長の要請に対するご回答」を民主党中村哲治参院議員がTwitterに掲載したところ、元日経新聞記者で、ブログでも有名な宮崎信行氏が、「もうやめろキチガイ!」と反応したのである。

宮崎氏はさらに、中村参院議員のプライベート面にも関わる問題投稿も行った。また、どういうわけか馬渡龍治・元自民党議員の元秘書・田中慧が中村議員と宮崎氏のバトルに乱入してきた。

90年代の政治改革をマンセーし、保守二大政党制を礼賛する宮崎氏と、政治改革、特に小選挙区制を否定し、保守二大政党制より多党制を志向する私は、意見が合わないので、政権交代前から彼のブログを批判的な目で見ていたが、それは別にしてもなんともひどい書き込みである。また、田中慧という人物は、このバトルに乗じて目立とうとでもしているのだろうか、何やってんだこいつ、としか思わない。自民党の元議員の元秘書ということで、そんな人間であれば売名行為をやっても何の不思議もない。

だが、中村哲治議員の下記Twitterにも疑問を感じる。

http://twitter.com/NakamuraTetsuji/status/15778919965794304

小沢さんの回答 http://bit.ly/f8dWVt について内容をマスコミが伝えない。また政倫審は本人が望まないのに開かれたケースがないこともマスコミは伝えない。政倫審規定では申立てには「行為規範等の規定に著しく違反していることを明らかにした文書を添え」る必要がある。

いや、マスコミはちゃんと伝えてるよ。

http://sankei.jp.msn.com/politics/situation/101217/stt1012171443005-n1.htm


上記産経新聞のサイトに載った記事は、12月17日の14時43分のタイムスタンプがある。中村議員のTwitterより9時間も前だ。産経は、東京本社では夕刊を発行していないが、18日の紙面には全文が掲載されたと思われる。大阪本社版で17日付夕刊に掲載されたかどうかはわからない。

asahi.comでは確認できなかった(たぶん掲載されていない)が、朝日新聞も18日付朝刊4面(東京本社版)に回答書の要旨が掲載された。17日の夕刊には載らなかったが、10年前とは違って、朝日新聞の夕刊はスカスカになっているので、政治家が出すこの種の文章は、別に小沢一郎に限らず、よほどのことがない限り、その日の夕刊に掲載されたりはしない。読売や毎日はとっていないのでわからないが、おそらく同様の記事が18日付朝刊の紙面に載ったのではないか。

要は、「マスコミが伝えない」というのは、民主党小沢一郎支持系議員の被害妄想だと私は言いたいわけである。

現実には、それどころか小沢支持系の言論は日に日に力を増しているように見える。同時に、共産党はもちろん、「小沢別働隊」と評されることもある社民党の主張が注目される頻度は日に日に減ってきている。これは、従来社民党などを支持してきたかなりの層が、小沢一郎支持に転じていることを意味する。「化石左翼」としばしば酷評される私にとっては、こちらの方がよほど重大な問題だ。

江川紹子池田香代子らの小沢一郎への傾斜は今に始まったことではないが、今朝、NHK日曜討論を見ていたら、山口二郎が鳩山政権と菅政権の断絶性をやたらと強調していた。山口二郎は、法人税率の引き下げや防衛大綱を例に挙げ、菅政権は鳩山政権と違って、民主党支持層が決して支持しないこれらの政策を行っていると批判していた。

しかし、今年の3月12日、当時の首相・鳩山由紀夫が「法人税は減税に導いていくのが筋だ」と国会で答弁したこと*1山口二郎は忘れたのだろうか。沖縄の米軍基地移転問題に関する「日米合意」は、誰が総理大臣の時になされたか、山口二郎は忘れたのだろうか。

防衛大綱の見直しも、鳩山由紀夫が推進したものだ。現在ではリンク切れになっている読売新聞の2月19日付記事が、Wikipediaに引用されているので、そこから孫引きする。

平成22年(2010年)2月18日、鳩山首相は自身が主催する「新たな時代の安全保障と防衛力に関する懇談会」の初会合において、平成22年度(2010年度)に策定される新防衛大綱の策定に関し「タブーのない議論をしてほしい」と要望した。北沢防衛相は懇談会において「装備産業の基盤整備をどう図るか議論してほしい」と武器輸出三原則の見直しを要望したことを明らかにした。武器輸出三原則の見直しは新防衛大綱に反映される。

菅直人は、むしろこの鳩山由紀夫の方針にわずかながら抵抗したといえるくらいだ。むろん、その微々たる抵抗さえも成功したとはいえない。

要するに、鳩山政権と菅政権には、断絶性などほとんどなく、連続性の方がよっぽど強いのだ。前者には小沢一郎が加わっていて、後者には加わっていないというだけの話である。そして、9月の民主党代表選で、小沢一郎菅直人との政策の違いを際立たせることはできなかった。

江川紹子池田香代子らは、まだ浅慮の一語で片付けられるが、山口二郎には上記の経緯などわかり切っているはずだ。それなのに、NHK日曜討論トンデモ発言を繰り返して、視聴者をミスリードする。

1990年代の政治改革も罪深かったが、山口二郎は誤りに誤りを重ね、恥の上塗りを行い、日本を地獄に突き落とそうとしているように私には見える。