kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

STAP特許の取得手続きを継続 理研、複数の国で(朝日)

コメント欄で教えていただいたのだが。

http://www.asahi.com/articles/ASGBS5K8LGBSULBJ00T.html

STAP特許の取得手続きを継続 理研、複数の国で

 理化学研究所は、国際出願していたSTAP細胞作製法の特許について、複数の国で出願の継続手続きをとった、と24日明らかにした。論文は撤回されたが、STAP細胞の存在は完全に否定されてはいないとし、検証実験も続けていることから、特許取得の手続きを進めることにしたという。

 国際出願は条約加盟国すべてに特許の出願をした効果があるが、実際に特許を得るには各国でそれぞれ手続きをとる必要がある。24日は、国際出願から各国への手続きに移行できる期限だった。

 理研は、移行手続きをした国を明らかにしていない。今後、特許出願した内容が、各国で審査される。発明者には、理研発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子氏も含まれている。

朝日新聞デジタル 2014年10月25日04時17分)


昨夜ネット検索をかけた時には何も出てこなかったのだが、それもそのはず、今日(25日)未明になって記事が出始めたようだ。ざっと見て一番古いタイムスタンプがあるのは毎日新聞だ。あの「山崎行太郎の天敵」須田桃子記者が記事を書いている。

http://mainichi.jp/select/news/20141025k0000m040112000c.html

STAP特許:理研、手続き進める…「存在否定できぬ」

 理化学研究所などが国際出願していたSTAP細胞に関する特許について、理研が出願を取り下げず、特許取得に必要な「国内移行」という手続きを複数の国でしたことが24日、分かった。STAP細胞作製を報告した論文2本は既に撤回され、研究が白紙に戻ったにもかかわらず特許取得手続きを継続する理由について、理研は「(STAP細胞の真偽を確かめる)検証実験は継続中で、完全に否定されたとはとらえていない」と説明した。

 出願していたのは、論文の主要著者が所属していた理研東京女子医大、米ハーバード大関連病院の3機関。このうち東京女子医大は「得られる利益は少ないと判断した」として、国内移行手続きには加わらなかった。

 3機関は2012年4月24日、正式な出願前に審査の優先日を確保する「仮出願」を米国で実施し、その1年後の13年4月に国際出願をした。特許取得には仮出願から30カ月以内に当該国の特許庁へ「国内移行」の手続きをすることが必要で、24日がその期限だった。期限までに手続きをしなければ、出願取り下げと見なされる。

 理研は、どの国で移行手続きをしたかを明らかにしていないが、加賀屋悟広報室長は「実用化された場合に市場が期待できる複数の主要国」と説明した。特許の出願や移行手続きで理研がこれまでに負担した費用は数百万円という。特許は、論文撤回の影響は直接的には受けない。【須田桃子】

 ◇解説…乏しい裏付け、取得の望み薄

 STAP細胞に関する特許の出願書類には、捏造(ねつぞう)や改ざんなどがあるとして撤回された論文と重なるデータが多数記載されている。STAP細胞が再現できたという報告もまだなく、今後、各国で審査に進んでも「信ぴょう性がない」と判断され、特許は認められない可能性が高い。

 一方、論文の主要著者の小保方晴子・研究ユニットリーダーは11月末まで、丹羽仁史プロジェクトリーダーらは来年3月末まで検証実験に取り組む予定だ。また、将来、出願した特許の一部だけの審査を求めることも可能だ。こうしたことから、理研は今回、取り下げの判断を保留し、審査の道を残したとみられる。

毎日新聞 2014年10月25日 02時31分


さすがに毎日(須田記者)の記事は朝日よりだいぶ詳しいが、それでも記事が出るのはずいぶん遅かった。朝日はネットに記事を上げるタイミングは毎日よりもさらに遅かったが、朝刊には載っていて、経済面(7面)の一番下の一行ベタ記事だ。読売はついさっき、8時45分のタイムスタンプの記事を出した。毎日と読売は現物を見ていないので、朝刊に載っているかどうかは知らない。

http://www.yomiuri.co.jp/science/20141025-OYT1T50008.html

STAP特許、手続き継続…「存在否定されず」

 理化学研究所は24日、国際出願しているSTAP(スタップ)細胞の特許について「当面取り下げず、審査開始に向けて必要な手続きを継続する」と明らかにした。

 一方、共同で出願した東京女子医大は、この手続きに加わらない方針を示した。この日は日米など一部の国で、審査に必要な書類の提出期限だった。

 理研は2012年4月、東京女子医大、米ハーバード大の関連病院と共同で、STAP細胞の作製法に関する特許を米国で仮出願した。その上で13年4月に約150か国が加盟する「特許協力条約」に基づき、国際出願していた。

 ただし、特許を認めるかどうかは制度上、加盟国ごとの判断で、どこの国でも実質的な審査は始まっていない。

 特許の出願を取り下げないことについて、理研広報室は読売新聞の取材に対し、「STAP細胞の存在が否定されたわけではない。STAP細胞が実用化された場合に利益を生む主要国で、手続きを進める」と説明している。

(読売新聞 2014年10月25日 08時45分)


理研が「再現実験」とやらを進めている(らしい)以上、出願特許の国内移行を進めるのは、理屈の上ではそれをやるしかないわけだ。国内移行の期限自体を延長するのはきわめてハードルが高いが、国内移行手続き自体はごく普通に行われるものなので、別に理研が「高いハードルを超えた」わけでもなんでもない。ただ、本当に国内移行するとはね、とは思った。

国内移行の手続きを行った国を理研は明らかにしていないが、日本が含まれるのは当然である。となると、次は審査請求を行うかどうかが注目されるが、審査請求の期限は少し先で、出願日から3年以内だから、「検証実験の結果、『STAP細胞』はやっぱりありませんでした」という結論が出てから、審査請求を行わず、出願取下(または期限切れによるみなし取下)になるのだろう。つまり、理研が今回とった手続きは、体面を保つために多少の出費と手間をかけたものとみられる。

ところで、小保方晴子が本当に「再現実験」をやっているのかどうか、報じた新聞記事は今のところ目にしていない。

小渕優子は何も「『脱原発』を推進したから潰された」わけではない

本記事は、今週の初め頃に書き始めたものの、気が乗らなかったので放置していたが、完成させて公開することにした。

少し前、10月17日の毎日新聞記事。

http://mainichi.jp/select/news/20141018k0000m020066000c.html

小渕経産相:老朽原発廃炉早期決断を」…電事連に要請

 小渕優子経済産業相は17日、電気事業連合会八木誠会長(関西電力社長)と経産省で会談し、運転開始から40年を迎える老朽原発廃炉にするかどうかの判断を早急に示すよう要請した。老朽原発廃炉を促し、原発依存度を減らす姿勢を示すことで、九州電力川内原発(鹿児島県)などの再稼働に対する国民の理解を得たい考え。政府の要請を受け、老朽原発を抱える電力各社は年内にも廃炉について判断するとみられる。

 原発の運転期間は原則40年に限定され、原子力規制委員会が認めた場合は最大20年延長できる。2016年7月までに運転開始から40年を迎える原発で、運転を延長したい場合、15年7月までに原子力規制委に延長を申請する必要がある。該当するのは、全国の原発48基のうち、関電美浜原発1、2号機(福井県)▽関電高浜1、2号機(福井県)▽中国電力島根1号機(島根県)▽九州電力玄海1号機(佐賀県)▽日本原電敦賀1号機(福井県)の7基。

 小渕経産相は会談で「7基の取り扱いの考え方を早期に示してほしい」と事実上、廃炉の早期決断を要請。八木会長は会談後、記者団に「電事連として電力各社の判断を取りまとめたい。回答期限の指示はなかったが、できるだけ早く回答できるように検討したい」と述べた。

 老朽原発の運転延長は容易ではない。これまで電力各社は原発20基の再稼働を原子力規制委に申請したが、審査基準をクリアするための対策工事費は1基当たり1000億円規模。老朽原発を運転延長する場合の安全対策費はさらに増加するとみられ、運転延長をしてもコストを回収できず、損失となる可能性がある。

 このため、関電は美浜1、2号機の廃炉の検討に入り、中国電と九州電も「廃炉も選択肢」との姿勢を示してきた。しかし、廃炉を正式に決断することも簡単ではない。

 廃炉にした場合、原発の資産価値がなくなるため、多額の損失が発生する。仮に7基をすべて廃炉にすると、全部で2000億円規模の損失が一度に発生する可能性がある。原発停止で経営が悪化している電力各社にとって負担が重い。さらに16年の電力小売り全面自由化で電力会社は厳しい競争にさらされる。八木会長は17日の記者会見で「財務面のリスクをできるだけ合理的な範囲にしてほしい」と述べた。

 また、立地自治体への補助金減少や原発関連の雇用消失で地域経済にも影響を与える。小渕経産相はこうした課題について「政府として必要な対策を検討する」と述べ、廃炉を円滑に進めるための制度整備を図る考えを示した。

 経産省は、廃炉によって電力会社の財務が一気に悪化しないように、損失を複数年に分けて電気料金に上乗せできる会計制度を導入することを検討している。だが、料金に転嫁する形での廃炉支援には利用者の反発が予想され、政府は難しい判断を迫られる。【中井正裕、安藤大介、浜中慎哉】

 【キーワード】廃炉

 運転を終了した原発について、電力会社は原発を解体・撤去し、跡地を利用できる状態にするよう義務づけられており、この一連の作業を廃炉と呼ぶ。廃炉は、使用済み燃料の搬出や放射性物質の除去、解体・撤去を順次行い、終了まで20〜30年かかるとされる。

 現在は日本原子力発電東海発電所茨城県)や中部電力浜岡原発1、2号機(静岡県)が廃炉作業中。東京電力福島第1原発1〜6号機(福島県)も廃炉が決まっている。

 2012年の原子炉等規制法改正で、原発の運転期間は原則40年に限定され、1回に限り最長20年の延長が可能となった。運転開始から40年超となる老朽原発は運転を延長するか廃炉に踏み切るかを電力会社が判断する必要がある。

毎日新聞 2014年10月17日 20時58分(最終更新 10月18日 00時06分)


この記事についた「はてなブックマーク*1には呆れるほかないコメントがちらほら。

morimori_68 原子力発電 こういうことをすると金銭スキャンダルが掘り返される。闇。 2014/10/18

sekirei-9 政治 あっ(察し) 2014/10/18

dekigawarui なるほど、こういうことか。 2014/10/18

lyricalmikurunosuke 金の問題で潰される政治家、裏ではまともなことやってるじゃないか。 2014/10/19


違うよ。

今年の早い時期から、電力会社が老朽原発経産省は「老朽」と言わずに、「高経年化」なんて言ってた)の廃炉の検討に入ったと報じられていた。下記はNHK科学文化部(かぶん)のブログ記事。

http://www9.nhk.or.jp/kabun-blog/200/184150.html(2014年3月29日)

古い原発廃炉可能性を検討

原子力発電所を抱える電力各社は今後の電力供給計画を国に提出し、供給力について原発の運転再開が見通せないため3年連続で「未定」とするとともに、一部の古い原発について、廃炉にする可能性を検討し始めていることが分かりました。

原発を抱える電力会社9社は、毎年、年度末にまとめる今後10年間の電力供給計画を、28日までに経済産業省に提出しました。
このうち北陸電力を除く8社が、運転再開の前提となる安全審査を原子力規制委員会に申請していますが、審査終了のめどが立たず再開が見通せないため、9社全社が電力の供給力について3年連続で「未定」としました。
また国が、去年新たに原発の運転期間を原則40年としたうえで、例外的な延長には特別な点検が求められる制度を導入したなか、電力各社は古い原発についての対応を迫られています。
このうち中国電力苅田知英社長は、運転開始から40年の島根原発1号機について、「廃炉にするという選択肢もある」と述べ、延長に必要なコストなどを検討する考えを示しました。
また四国電力の千葉昭社長は、運転開始から36年の伊方原発1号機について、「あらゆる可能性を捨てずに検討していく」と話すなど、電力会社が古い原発について、40年を境に廃炉にする可能性を検討し始めていることが分かりました。


同じ頃の日経の記事。

「島根1号機廃炉も」 中国電社長、投資負担重く (写真=共同) :日本経済新聞

「島根1号機廃炉も」 中国電社長、投資負担重く

 中国電力苅田知英社長は27日の記者会見で、29日に運転開始から40年を迎える島根原子力発電所1号機(松江市)について「廃炉という選択肢もある」と述べた。国は法律で原発の運転期間を原則40年としており、延長には原子力規制委員会の認可が必要となる。東日本大震災後の規制基準厳格化で稼働延長には巨額投資が必要なため、廃炉も視野に検討を進めることにした。

 安倍晋三政権は原子力規制委が安全と認めた原発の再稼働を進める方針。一方、古い原発は厳格な規制基準を満たすのは難しい。全国48基の原発のなかで再稼働できる原発廃炉を迫られる原発の選別が進みそうだ。

 2014年度の経営計画を発表した席上で、記者の質問に答えた。苅田社長は「40年を過ぎて運転するためにいろいろな設備対応をするには投資がかかる」と発言した。今夏までに判断を下す見通し。

 島根原発1号機は国内で4番目に古い原子炉。1号機の出力は46万キロワット。規制委に再稼働に向けた安全審査を申請中の2号機(82万キロワット)や、ほぼ完成済みで最新鋭の3号機(137万キロワット)に比べ規模も小さい。

日本経済新聞 2014/3/28 0:41)


要するに東電原発事故後、老朽化原発の運転を延長するためには、余分なコストがかかるようになって、それが経営を圧迫するから、電力会社も廃炉を検討せざるを得なくなっている。

「お飾り大臣」だった前経産相・小渕の発言は、そういう流れに乗って、しかも川内などの原発を再稼働させることとセットで行われたものだ。最初の毎日新聞の記事にも

老朽原発廃炉を促し、原発依存度を減らす姿勢を示すことで、九州電力川内原発(鹿児島県)などの再稼働に対する国民の理解を得たい考え。

って書いてあるだろ。ちゃんと記事読めよ。

しかも、小渕がこの発言をした10月17日は、既に週刊新潮の記事が出たあとで小渕は既に「死に体」になっていた。最初に小渕の「政治と金」をめぐる共産党の調査が9月のことだ。小渕は、政治と金の問題が騒がれて「死に体」になったあと、廃炉を促す発言をしただけで、しかもそれは原発再稼働とセットになった意図を持つ発言だった。小渕は辞任直前まで紛れもない「原発推進派」だったということだ。

陰謀論めいたブクマコメントをつけた人たちが「脱原発派」かどうかは知らないが、陰謀論としてもレベルが低くつまらない。というよりはっきり言って不愉快千万だ。こんなこと言ってるから「脱原発派」がバカにされるんだよ。そのことをよく自覚してもらいたいものだ。

最初の毎日新聞記事についたブクマでは、下記のコメントが本質を突いている、というより至極まっとうだ。

questiontime 現段階で、この話と資金団体のスキャンダルを結びつけて考える人、陰謀論に片足突っ込んでるからご用心。 2014/10/18