kojitakenの日記

古寺多見(kojitaken)の日記・はてなブログ版

ヤクルト、14年ぶりセ・リーグ優勝\(^○^)/

プロ野球セントラル・リーグで2日、ヤクルトスワローズ神宮球場で行われた対阪神タイガース終戦に延長11回、2対1でサヨナラ勝ちして、14年ぶり7度目のリーグ優勝を決めた。

手前味噌になるが、開幕の翌日に書いた ヤクルト、幸先良く白星発進 - kojitakenの日記(2015年3月28日)に、

一昨年と昨年の超弱気予想(しかもそれは現実のものとなり、ヤクルトは2年連続最下位だった)とは打って変わって超強気だ。ヤクルトは投手陣が弱いが、打線は強力なので、昨日はリリーフに勝ちを消されたライアン小川と3年前の開幕戦で読売相手にあわやノーヒットノーランの快投を演じた石川、それに千葉ロッテから移籍した成瀬に二桁勝ってもらって、さらに開幕二軍スタートとなった八木、村中、由規あたりに早い時期に出てきてもらって打線に白星をつけてもらえばある程度行けるのではないかと思う。もちろん捕らぬ狸の何とやらだが、強力打線という売り物をうまく活かせば、それなりの活路は必ずや見出せるはずだ。

願望込みで予想すると、ヤクルト、広島、阪神、読売、中日、DeNAの順番になる。

などとブチ上げた*1。実際には八木、村中、由規はわずかの期間の八木(2試合0勝2敗、防御率6.30)を除いて一軍登録すらされなかったし、成瀬もわずか3勝で夏以降は二軍暮らしだったが、2年ぶりに一軍登録されたかつてのエース・館山と、昨年途中までソフトバンクでくすぶっていた山中がそれぞれ6勝を挙げて、手薄だった投手陣を助けた。山中は一時勝ち星が小川に並び、尻に火が付いた小川が奮起した時期もあった。それよりも何よりも、秋吉、ロマン、オンドルセク、バーネットと続くリリーフ投手陣が揃って好成績を残したことが大きい。かつての阪神JFK(ウィリアムズ、藤川、久保田)や中日の浅尾、岩瀬にも匹敵するといえば、両チームのファンの方からお叱りを受けるだろうか。

打撃陣は、「今年は飛ばない」と噂される統一球の影響か、昨年のようなえげつないまでの破壊力は発揮できなかったが、それでもリーグ一の打率と得点を誇る。チーム防御率はリーグ4位だが(読売、広島、中日、ヤクルト、阪神DeNAの順)、山田、畠山、川端、雄平らを中心とする打撃陣がそれをカバーした。得失点差のプラス62はリーグ1位であり(読売+36、広島+31、中日−34、阪神−79、DeNA−88)、実は優勝して何の不思議もない成績であったといえる。この数字は実はファンから見ても意外だったりする。

対戦カード別では、阪神戦、読売戦、中日戦、それに交流戦の成績は昨年とほとんど変わらない。昨年の阪神戦と読売戦はともに最終戦で負け越しが決定した(ともに11勝13敗)。今年も阪神戦12勝13敗、読売戦12勝12敗(残1)である。昨年の中日戦は最終戦に引き分けて勝ち越しを決めたが(12勝11敗1引き分け)、今年も最終戦に勝ってやっとこさ勝ち越した(13勝11敗1引き分け)。また昨年10勝12敗2引き分けだった交流戦は、6試合少なくなった今年は8勝9敗1引き分けだった。

大きく違ったのは、昨年ともに8勝16敗と大きく負け越した広島戦とDeNA戦に勝ち越したことだ。今年の広島戦は13勝11敗(残1)だが、DeNA戦には17勝8敗と、昨年の借金を全部返して1つおまけもいただいた(今年は昨年と比べて同一リーグの対戦数がカード毎に各1試合ずつ増えている)。結局このDeNA戦の貯金が大きくものをいった。読売はDeNAに14勝10敗(残1)、阪神は14勝11敗、広島に至っては10勝15敗の負け越しだから、一昨年、昨年と苦戦してヤクルト2年連続最下位の原因となったDeNA戦の勝敗を逆転させたことが大きかった。

もっとも危機も2回あった。最初は、4月末に甲子園で阪神に3タテを食っておかしくなったあと、5月に9連敗を喫して最下位に落ちた頃だ。この9連敗には、4月に5勝1敗と勝ち越して苦手意識を克服したかに見えたDeNA戦の3連敗(横浜スタジアム)も含まれている。正直、ああ今年もダメかと思った。

その流れが変わったのは交流戦だった。ヤクルトは交流戦に1つ負け越したがセ・リーグの球団は阪神(2つ勝ち越し)と広島(五分)を除く4球団が負け越した。特に成績が悪かったのは交流戦前に首位だったDeNAで、交流戦の後半に10連敗を喫した(DeNA交流戦再開後最初の広島戦にも連敗し、合計12連敗となったあと、東京ドームの読売戦に勝ってようやく連敗を止めた)。DeNAに次いで成績が悪かったのは2位読売だった。一方ヤクルトは、最終的には交流戦に負け越したものの、途中で光明の見える試合もあった。私がスタンドで観戦した千葉ロッテとの試合(6月6日)がそれだ。序盤は両チームの先発(ヤクルト・石川、ロッテ・石川)がともに打たれて乱戦となったが、6回裏に打線がつながって一挙5点を挙げ、それを得意の継投で守り切った。これは今年のヤクルトの典型的な勝ちパターンの試合だが、その試合の前までヤクルトは打線が湿りがちで、下位に低迷する原因となっていた。観戦記

この試合をきっかけに、昨年の猛打を取り戻してくれれば良いのだが。

と書いたが、それは現実になった。翌日の同じカードでもヤクルトは前日とそっくりの勝ち方でロッテに連勝した。ロッテ戦観戦前にリーグ4位だったチーム打率は、最終的には昨年と同じリーグ1位になった。ともあれ、DeNAと読売をパ・リーグの球団が引きずり下ろしてくれた交流戦のおかげでセ・リーグは大混戦となった。もっともセ・リーグは、交流戦での各球団の借金が影響して、全球団が負け越しという恥ずかしい事態も引き起こした。ヤクルトが首位に返り咲いたのはそんな頃だった、というより最初にセ・リーグの全球団が借金を抱えた日の首位がヤクルトだった*2

その頃、首位争いから抜け出そうとしていたのは阪神だったが、ヤクルトは7月初めの神宮で、それまで2勝8敗と痛めつけられていた阪神を3タテして、阪神を混戦へと引きずり下ろして一時首位に立った。さらに高校野球開幕直前の甲子園でも阪神に2勝1敗と勝ち越して首位を奪回した。しかし、かつて「死のロード」とされた長期遠征で阪神が調子を上げて首位に立ち、阪神独走の気配も見え始めた。8月中旬に神宮で阪神に1勝2敗と負け越した時、ことにその3戦目で、今季ヤクルト戦未勝利だった岩崎優(いわざき・すぐる)投手に白星を献上した時には、これで本当に苦しくなったと思った。これが2度目の危機だった。しかし阪神は、「死のロード」の期間の同球団の定番ともいえる東京ドームでの読売戦3連敗によって、勢いを止められた。「肝心なところで読売に負ける」阪神の悪しき伝統は、例年なら腹立たしい限りだが、今年に限ってはヤクルトはそれに助けられた。ヤクルトは、阪神に3連勝して優勝争いに生き残った読売を神宮球場に迎えて、3タテを食らわせた。この3連戦が行われた8月下旬から、ヤクルトの進撃が再開された。読売戦3連勝の翌日に乗り込んだ甲子園では、初戦を藤浪に完璧に抑えられたものの、2戦目で苦手・メッセンジャーを終盤の8回にとらえて逆転勝ちすると、3戦目は神宮でやられた岩崎から投手の館山が3ランを放つなどして大勝し、2勝1敗で勝ち越した。続く読売との北陸シリーズ2連戦は富山の試合が雨で中止になったが金沢で快勝し、読売、阪神、読売と続いた8試合を6勝1敗1雨天中止で乗り切った。これによって、セ・リーグは再び上位球団の混戦となった。

本当に行けるかもしれないと思ったのは、5連休最初の日(9/20)に行われた読売との2連戦(神宮)の2戦目に勝った時だ。この2連戦は1勝1敗だったが、阪神DeNAに連敗したため、ヤクルトは読売と阪神に対してともに2ゲーム差をつけ、頭一つ両球団をリードした。翌日からの阪神との甲子園2連戦でも、やはり初戦に負けたものの2戦目に勝ち、阪神自力優勝を消した。気落ちした阪神は翌日からの読売戦(東京ドーム)に連敗し、優勝争いから脱落した。これで読売が残るばかりになり、9月26,27日の読売対ヤクルトの東京ドーム2連戦が最後の「天王山」となった。この2連戦でもヤクルトは初戦を逆転負けしたが、2戦目は5回表に先発・石川自身の適時打などで挙げた2点を、石川がその裏に1点を返されただけの5回1失点でしのぐと、勝ちパターンの継投で読売の反撃を許さず、2対1で逃げ切って読売の自力優勝を消し、マジック「3」を点灯させた。気落ちした読売は、翌日の阪神戦(甲子園)に敗れ、ヤクルトが中日に勝ったためにマジックは「1」となった。

ヤクルトは、クライマックスシリーズ進出の望みをつないでいる広島との最終戦(神宮)に敗れ、同じくクライマックスシリーズ進出を広島と争っている阪神との本拠地最終戦も、双方の打撃陣が固かったためか、1対1で延長戦にもつれた。「産みの苦しみ」を味わった形だったが、最後は雄平が阪神の能見投手からサヨナラ安打を放ち、14年ぶり7回目のリーグ優勝を決めた。

以上見たように、終盤戦のヤクルトは、首位攻防戦の初戦を落としても2戦目にしぶとく勝つパターンを続け、阪神にも読売にも追いつくことを許さなかった。これは結構強いチームの勝ち方といえる。一昨年、昨年と2年連続最下位のチームも、優勝争いを続ける過程で地力をつけてきたと見るのはひいき目に過ぎるだろうか。

とはいえ、クライマックスシリーズに勝つ展望までは正直持てない。読売、阪神、広島のいずれにも投手陣の柱がいる。ヤクルトとの相性からいえば、読売ではマイコラス(ヤクルト戦3勝0敗、防御率1.71)とポレダ(同1勝2敗、2.67)、阪神では藤浪(4勝0敗、2.88)、岩田(3勝1敗、2.52)、メッセンジャー(2勝2敗、2.86)、そして広島では前田(1勝1敗、1.64)、ジョンソン(3勝2敗、2.72)、黒田(2勝3敗、2.86)らが強敵とみられる。これに対して、ヤクルトは石川にせよ小川にせよ館山にせよ、ある程度の失点を覚悟しなければならない先発投手ばかりであり、打線が相手の強力な先発投手陣から得点を挙げて、継投で逃げ切るほか勝ち目はない。しかし短期決戦ではそれが難しく、頼れるエース級がいるチームの方が強いといわれる。ヤクルトには本拠地という地の利に加えて1勝のアドバンテージがあるが、昨年の読売は同様の有利な条件にありながら阪神に4連敗であっけなく敗れ去った(読売はこのシリーズでエース菅野の戦線離脱が響き、内海、澤村ら信頼度の低い先発投手陣が阪神打線に打ち込まれた)。上記セ・リーグ3球団の先発投手陣を見ると、相手がどこであっても簡単には勝てない、としか思えない。ましてや日本シリーズ制覇など、夢物語としか思えないのが正直なところだ。

だからクライマックスシリーズ(や日本シリーズ)は「勝負は時の運」と考えるほかあるまいと思っている。ファンとしては今はまだそんなことは考えず、リーグ優勝の余韻に浸りたい。よしんばクライマックスシリーズで負けても、リーグ優勝の実績は残るのだから、と気弱に喜ぶ今日この頃なのである。

*1:予想と比較すると読売が「健闘」したが、これは新加入のマイコラス、ポレダ両投手の活躍によるところが大きい。この2人がいなければ読売はBクラスだったに違いない。

*2:これは、私が普段は「読売リーグ」という蔑称で呼んでいるセ・リーグの読売依存(あるいは読売独裁)体質から必然的にもたらされる弱さだと考えている。ぶっちゃけた話、私は読売だの阪神だのといったセ・リーグのライバル球団の体質を全く好まないので、プロ野球は一リーグ制にすべきではないかと近年は考えるようになっている。