同人誌とは何か。

 同人誌とは何か? そう聞かれて即答出来る人はどのくらいいるでしょうか。
 岩田次夫氏は「同人誌バカ一代」P186〜P187で、以下の様に書いています。

 同人誌というものは、「創作→編集→出版→流通→販売」というラインを全て自分の「管理下」で行う出版物ではないかな。権利関係で言えば、著作権→出版権→販売権(広義)、というラインになる。もちろん、媒体がソフトウェアなら同人ソフトということになる。
 この「管理下」という部分が難しいが、基本的にはいつでも自分の意思でそれを決定できるということだと思う。

 この定義は非常に優秀で、辞書的な説明である「個人(又は同好の士)による出版物」「同人誌即売会や同人ショップで流通する自費出版書籍」という書かれた方よりも、より踏み込んだ物となっています。
 「同人誌」と銘打たれた企業発行の本や、同人ショップでの流通が主となっている「同人誌」について、その呼称に違和感を覚える人は、上記のラインから外れている事を感じ取っている人なのでしょう。
 一方でこの定義は、同人誌書店委託について否定的であった岩田氏らしい意見とも言えます。同人誌の書店委託についてはまた別途、記述したいと思いますが、「同人誌バカ一代」のP180〜の文章で簡潔に問題点が挙げられています。同書は同人を考察していく上で、基本中の基本とも言える教科書なので、勉強したい人は必ず読んでください。最低でもP175〜P189は読んでいないと話になりません、断言します。

同人誌バカ一代―イワえもんが残したもの

同人誌バカ一代―イワえもんが残したもの

「同人誌バカ一代」補足

 前の記事で書いた、「同人誌バカ一代」の必読箇所について簡単に解説をしておきます。
・P175「パロディ考察序論」
 パロディとは何か。内在する問題を3つの側面「創造的な行為」「習作」「商品」に分類しての説明がなされている。
・P180「同人誌書店販売について」
 同人誌の書店販売の問題点を挙げている。それぞれの視点から見たメリット、デメリットから警告を発する文章。
・P186「読み手と描き手の境界線」
 「限定本」と呼ばれる同人誌の是非。描き手側が持つ権利、読み手側が持つ権利。商業誌と同人誌の差異がどこにあるか。