知的生産の技術

知的生産の技術 (岩波新書)

知的生産の技術 (岩波新書)

1969年。岩波新書(青版)。著者は民俗学、比較文明学専攻。
「知的生産」は著者が造った言葉である。まさにその先駆けとなった本である。

山場は、「カードとその使い方」だろう。
カードは厚めの上質紙で、B6版、罫線入り。今でも「京大式カード」として販売されている。
この使い方には基本的なルールはある(一枚一項目、見出しをつける、日付を入れる、完全な文章で書くなど)。
けれども、これらを守れば、あとは何でも書きつけてよい。「研究の過程も、結果も、着想も、計画も、会合の記録も、講義や講演の草稿も(略)(P.59)」何でもよい。

カード化しておくと、ノートのように時系列にうもれてしまう心配もない。

さらには、随時組み換えができる。これがポイントである。「カードの操作のなかで、いちばん重要なことは、くみかえ操作である(P.58)」と述べられている。手書きでカードに書きつける。たまったら手作業でいろいろに組み替えてみて、思考の関連を見出す。新たな着想を得る。それをまたカードに書きつける。これらの作業は紙ベースならではの長所だろう。

ひょっとしたら自分の思考の歩幅に一番適しているのではないだろうかと、現在、「京大式カード」の購入をもくろんでいる。

竹中式マトリクス勉強法

竹中式マトリクス勉強法

竹中式マトリクス勉強法

慶應義塾大学竹中教授の著書。
本書を通読したのは3回目になります。

1回目は、目標の到達点があるかないかで、「天井のある勉強」と「天井のない勉強」に分ける考え方に大いに啓発されました。
天井のない勉強ばかりに取り組んでいると(私の場合は概ね読書になりますが)、自分が成長しているのか足踏みしているのか不安になることがあります。
けれども、「天井のある勉強」を片方で続けていると、点数の上昇や問題を解くスピードの向上などを通じて、前進を実感することができます。おかげさまで1年前に簿記3級を取得しました。

今回の読書で膝を打ったのは、「スケジュールは月間手帳で管理する(P.56)」ことです。
普段のスケジューリングは日曜日に週間手帳にスケジュールを書き込むことによって、”1週間単位”で計画を立てています。しかし、これを繰り返していると、目の前の業務に必死になりがちで、長期的な視野に立って取り組むべき課題がなかなか解決できません。

今週からは、基本的には月間単位でスケジュールを把握する方法に切り替えてみます。

使える経済書100冊 (『資本論』から『ブラック・スワン』まで)

使える経済書100冊 『資本論』から『ブラック・スワン』まで (生活人新書)

使える経済書100冊 『資本論』から『ブラック・スワン』まで (生活人新書)

本のカバーは読んでいる最中にカパカパと外れて、ストレスの原因となっている。難しい本であれば余計に気になる。書店では、購入時にさらにカバーをつけられることもあり、どうもこの方式はいただけないと思っていた。
この頃は、読む前にはカバーを外し、読んだ後にカバーをつけ直して、本棚に入れることが習慣となっていた。
けれども、本書で、池田信夫さんはカバーをほとんど捨てておられることを知った。

私は買った本はほとんど(古書店に売るもの以外は)カバーをはずして捨ててしまう。(P.24)

まだ本に対する神聖なイメージから後ろめたさがあったが、捨てるほうが手っ取り早く楽であることに今更ながらに気づいた。
ということで、本書で、現在のところ最も参考になったのは「第1章 本の選び方・買い方・読み方」である。
以下の章では経済書の書評が続いたが、やはり読了した本の書評に親近感がわいた。ちなみに、既に読んだ本は、積読中も含めて8冊だった。(少ない。)
読了後は、本棚について考えた。
ビジネス書や自己啓発書、ハウツー本が並ぶ本棚と、本書で紹介されている経済書が並ぶ本棚と、どちらがかっこいいだろう。子や孫にも見せられる本棚となるだろう。
決して、見栄のために読書をするわけではないし、ビジネス書などが悪いわけではないが(実際、好きだが)、口当たりの良い、離乳食を食べ続けてその時その場限りの満足をするのではなく、歯ごたえのある本を読んで頭を鍛えることにも今後取り組んでいきたいと気持ちを新たにした。
本書から影響を受けて、本日購入した本は次の2冊。

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)

競争と公平感―市場経済の本当のメリット (中公新書)