・放射能汚染モニタリング数値の裏

金町浄水場=東京都葛飾区 <毎日新聞>これまでに水道水から国の指標を超える放射性物質の「放射性ヨウ素131」が検出されたのは、福島、茨城、千葉、埼玉、それに東京の5つの都県のあわせて16か所です。

最も高い数値が検出されたのは福島県飯舘村の飯舘簡易水道で、20日に、国の指標となる1リットル当たり300ベクレルの3.2倍に当たる965ベクレルが検出され、21日の検査でも3か所で400ベクレル台の値が検出されています。

東京では、葛飾区の金町浄水場で22日採取した水から乳児の指標を上回る210ベクレルが、23日190ベクレル前後がそれぞれ検出されましたが、24日は79ベクレルと指標を下回っています。


土壌からも高濃度の放射能が検出されている飯館村で水道水が汚染されるのは予想されたことですが、金町浄水場から指標値を超える放射能汚染が発表されたことには驚きました。

金町浄水場の浄水技術は日本でも超一流です。

東京のまずいを「おいしい水」に変えるほどの高度処理を行っているからです。


私事ですが、東京にいたころは水の研究に従事していました。

関東一円の水を調べて、おいしくない水をおいしくすることに取り組んでいました。

ちょうどその頃、厚生省(当時)が発足させた「おいしい水研究会」に「日本一まずい水道水」と評されていた金町浄水場は、オゾンと活性炭吸着を組み合わせた高度浄水処理を導入しました。

そして、高度浄水処理された水道水は、残留塩素を除去し、ボトルウォーター『東京水』として、東京都庁舎をはじめ東京都の施設等で市販されるまでになっています。


高度処理された水が指標値を超えたということは、原水の汚染がかなりの高濃度であることが予想されるのです。

石原・東京都知事が憔悴しきった表情で記者会見した裏には、このような状況が隠されているのです。


東京の水道水の汚染濃度は、24日は79ベクレルと指標を下回っています。

これは汚染が治まったからではなく、高度処理を「超高度処理」にレベルアップしたからです。

浄水過程の最初の「沈砂池」に入れる活性炭粉末の量を増やし、通常は水1トンに5グラムの割合を、21日深夜から3倍、23日午後2時からは4倍としました。


テレビでは、放射線の専門家とされる方々が、「たまたま濃度の高い水が浄水場に流れ込んだから特別高くなっただけで、半減期の影響もあって濃度の低い水が流れ込んだから下がりました。」と、見当違いの見解を述べていました。

汚染が改善されたのではなく、技術力によって安全性を確保しているのです。

専門家とされる方は狭い専門分野の権威であって、総合的な危険因子への知識が不足している場合があるのを知っておくことが大事です。