・パワコン容量とモジュール容量

太陽光発電は、モジュール(いわゆるパネル)で直流発電して、パワコンで交流に変換しています。
そこで、モジュールの発電能力に対してパワコンをどの程度の容量にするか。

発電能力は常時100%発揮できるわけではありません。
モジュールの汚れ、温度上昇による効率低下、性能劣化、送電ロスなどにより10〜20%減る。

パワコンの選択方法には、大きく分けて二種類あります。
性能で選ぶか、自己満足を満たすか。

前者は発電効率を考慮して最適なパワコン容量を選ぶ場合。
後者は発電量が最大になった一瞬も逃さずに変換することに喜びを見出す場合。

どちらを選択するかは個人の志向ですが、経済的には前者の選択になります。

最近は家庭用でも大容量になってきたので7kWを例に経済性を試算します。
国産で最も優秀なパワコンは三菱製だから、これを基準にすると二通りの組み合わせが考えられる。

1)7kwモジュール+5.5kWパワコン
2)7kWモジュール+4kWパワコン+3kWパワコン

10年間の経済性で比較してみる。
1)の場合、年間でパワコン容量を超える発電を記録する頻度は1.5%程度(※1)
ピークカットされるのは、このうちの約20%(※2)だから年間発電量の0.3%に相当する。
年間発電量10,000kWh、売電額38円/kWhと仮定すると、パワコンで失った売電額は10年で11,400円。

両者のパワコン購入価格を比較すると1)が50万円(税抜き)で、2)が35+28.5=63.5万円だから差額は13.5万円。
仮に半額で仕入れたとしても損失した売電額の6倍、額にして5万円以上です。

故障した時の交換費用でもこの差額が生じます。
自己満足のために出費する方はご自由にですが、経済性を考えたらパワコンの仕様上限までモジュールを設置したほうがお得です。

太陽光発電を業務にしている方でも、パワコンの容量をモジュールと同一または以下に抑えることを良しとする考え方を見かけます。
こうした業者は設置はできるがシステム設計の能力がないとみなせます。
業者選択の一つの目安にできます。



おまけの情報ですが、モジュールをパワコンの仕様上限まで接続するとパワコンの変換効率が向上します。
ピークカットの損失を相殺してしまう可能性もあります。


※1:三洋電機技報 2004年12月(Vol.36 No2)「エネルギー特集: 5.5kW太陽光発電システム用パワーコンディショナ」
※2:5.5kW/7kW=78.6%≒80%がパワコンで変換され、残りの20%が熱として損失する。