燃費(電費)を決める要因 1.走行抵抗 (3)空気抵抗


燃費に関するノウハウで「空気抵抗は速度の二乗に比例する」というものを目にすることがあります。
日産リーフの時速40キロの空気抵抗は1.2kWhですが、時速100キロだと6倍以上の7.4kWhまで増加します。(※1)

しかし空気抵抗が消費電力全体に占める割合は速度によって変わるので、実際の変化はそれほど劇的ではありません。
40km/hと100km/hを比較すると消費電力は1.9倍の増加に止まります。
高速道路を100km/hで走っていると全消費電力の57%を空気抵抗が占めますが、一般道を40km/hで走ると空気抵抗の割合は17%まで下がるからです。

平坦で渋滞の無い道路ならこの程度ですが、起伏があり信号が多い渋滞路では空気抵抗が占める割合はさらに下がります。
東京→小田原を例に空気抵抗が消費電力に占める割合を試算すると
高速道路を時速100キロ 56%
一般道を時速40キロ 7%
市街地の一般道路では空気抵抗以外の諸条件による消費電力が増え、結果として空気抵抗の影響が無視できるほどまで小さくなってしまいます。

空気抵抗には気温も影響します。
気温が下がると空気が重くなるので空気抵抗が増えます。
気温が30℃から0℃に下がると、空気抵抗は12%も増加します。

窓を開けても空気抵抗が増します。
全開にすると約3割大きくなるという例があります。(※2)
時速40キロだと走行抵抗は5%の増加にとどまりますが、時速100キロだと16%も増加します。

気圧の変化も空気抵抗に影響します。
台風の低気圧(960Pa)と強い高気圧(1060Pa)では、空気抵抗に10%の差があります。
高気圧の方が空気抵抗が大きいので、一概に「天気が良いと電費が良くなる」というわけではないようです。

湿度の違いも空気抵抗に若干の影響が生じますが、乾燥状態(湿度20%)と雨天(湿度100%)でも1%の差です。


《まとめ》

【空気抵抗】
 車体表面の空気との摩擦により発生する抵抗で、車速の二乗に比例する。時速70キロを超えるころから顕著に影響が出る。
 Ra = λSV^2
 Ra : 空気抵抗(kg)
 λ : 空気抵抗係数(kg・sec2/m4)
 S : 車両前面投影面積(m2)
 V : 車両走行速度(km/h)


《注記》
記載内容、試算数値は随時変更します。
※1:走行条件は、メーター読み速度、気温20℃、一名乗車、乾燥した平坦路、純正タイヤ、車内機器電力7w/km
※2:http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1343333458

資料画像:「低燃費タイヤ等普及促進協議会」(経済産業省
http://www.meti.go.jp/committee/materials2/data/g90126bj.html
「資料3 タイヤが自動車燃費に与える影響について」を加工して作成。
経済産業省の利用許諾済