燃費(電費)を決める要因 2.車内機器

自動車が走るために必要なエネルギー効率を一般的には燃費、EVでは電費と称しますが、その仕組みについてEV電力消費シミュレーターの開発で得られた情報を自分なりにまとめようと思います。
第二回は、車内機器負荷の概要から。

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自動車を走行させるには、
・冷暖房、曇り止め
・制御機器
・照明装置
・充放電(回生ブレーキ含む)
などで電気エネルギーが消費され、電費に影響します。

第一回シリーズの「走行抵抗編」では、ガソリン車の燃費とEVの電費は共通していましたが、「車内機器編」では明確に違いがあります。
特に、暖房と充放電はEVならではのエネルギーの使い方となっています。

・冷房:家庭用のクーラーと同じ作用で空気を冷やして車内の温度を下げます。
・暖房:ヒートポンプエアコンを用いる方式とヒーターで加熱する方式、両方式の併用があります。温風を噴き出して車内の温度を上げます。
・曇り止め:主にフロント窓ガラスの室内側の曇りを取り除くために、乾いた暖かい空気を吹き付けて結露を防止します。相対湿度を下げるためにヒーターによる加熱、エアコンによる除湿でエネルギーを消費します。

・制御機器:電気自動車は動く電気製品なので、あらゆる動作を電子制御することにより電力を消費します。フロントパネル廻りだけでもメーター、ナビゲーションなど多様です。
・照明機器:夜間に路面を照らす前照灯や安全走行を助ける方向指示器、車の視認性を高めるポジションランプなどの各種の照明装置
・充放電:走行用バッテリーや制御機器用12Vバッテリーに蓄電する際に充電効率によってエネルギーロスが生まれます。蓄電された電力をモーターで利用する際にも変電や放電の過程でエネルギーが消費されます。

前回シリーズの走行抵抗とは事情が異なり、車内機器の消費エネルギー特性のほとんどがブラックボックス化されてユーザーは知る機会が与えられていません。
一方で車内機器のエネルギー消費量はEVの航続可能距離に大きく影響します。
ブラックボックス化されたエネルギーの使い方を実車の走行データーなどからどこまで解析できるか疑問ですが、シミュレーター開発の過程で気が付いたところを紹介していこうと思います。