When The Tigers Broke Free

Words & Music by Roger Waters.
(1983年発表)



(原題直訳 「虎どもが解き放たれたとき」)*1



From The Pink Floyd album, "The Final Cut".
名作アルバム度 ☆

「ファイナル・カット」 (ピンク・フロイド





歌詞は、次のURLから
http://www.oldielyrics.com/lyrics/pink_floyd/when_the_tigers_broke_free.html




邦題 「ホエン・ザ・タイガーズ・ブローク・フリー」 (ピンク・フロイド







It was just before dawn
それは夜明けまぢかのことだった
One miserable morning in black 'forty four.
暗黒の1944年のある悲惨な朝
When the forward commander
前線の司令官は
Was told to sit tight
When he asked that his men be withdrawn.
配下の兵士たちの退却を申請するも
死守すべく命じられた
And the Generals gave thanks
そして将軍たちは感謝したのだ
As the other ranks held back
The enemy tanks for a while.
敵の戦車隊から
その間、他の部隊の温存を
And the Anzio bridgehead
そしてアンツィオの橋頭堡*2
Was held for the price
Of a few hundred ordinary lives.
数百人の凡人の生命を代価として
確保されたのだ




And old King George
そして国王ジョージは
Sent Mother a note
母親に書状を送った
When he heard that father was gone.
父親の戦死の報に触れてのものだった
It was, I recall,
それは、ぼくが思い出すのは
In the form of a scroll,
巻物状になっていて
With gold leaf and all.
黄金の葉などが描かれていた
And I found it one day
ある日、ぼくはそれを見つけた
In a drawer of old photographs, hidden away.
古い写真の入った抽斗の中に隠すようにしまわれていた
And my eyes still grow damp
そして
ぼくの瞳はいまでも熱くなってくる
To remember His Majesty signed
With his own rubber stamp.
国王本人のゴム印のついたあの署名を思い出すと




It was dark all around.
あたりは暗かった
There was frost in the ground
地面には霜が下りていた
When the tigers broke free.
そのとき虎どもが野に解き放たれのだ
And no one survived
From the Royal Fusiliers Company C.
そして
王立歩兵C連隊の生存者はひとりもなかった
They were all left behind,
彼らは総員が見捨てられ
Most of them dead,
ほとんどの者が死に
The rest of them dying.
残りも死に瀕した
And that's how the High Command
そう、その大いなる命令によって
こんなふうに
Took my daddy from me.
ぼくのパパは
ぼくのもとから奪われていったのだ





Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞

*1:「虎」とは第二次大戦中のドイツ軍の戦車の通称「タイガー」のこと。http://www5a.biglobe.ne.jp/~minorinn/-air/tank-tiger_early/tiger.html 「ザ・ウォール」の映画版である「ピンク・フロイド ザ・ウォール」のために書き下ろされた曲で、映画の中では2度にわたって使われ、主人公ピンクの父親の戦死の模様が述べられている。

*2:連合軍のローマ侵攻のとばぐちとなったイタリアの地。映画「アンツィオ大作戦」参照 http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/B000666RE6/249-5663413-5181147

Your Possible Pasts

Words & Music by Roger Waters.
(1983年発表)



(原題直訳 「きみのありえただろう過去」)



From The Pink Floyd album, "The Final Cut".
名作アルバム度 ☆

「ファイナル・カット」 (ピンク・フロイド





歌詞は、次のURLから
http://www.oldielyrics.com/lyrics/pink_floyd/your_possible_pasts.html




邦題 「ユア・ポッシブル・パスツ」 (ピンク・フロイド







They flutter behind you
人々は
きみのいないところであれこれ言う
Your possible pasts
きみのありえただろう過去について
Some bright eyed and crazy
嬉しそうな目をした上機嫌なものや
Some frightened and lost
気が引けるほど惨憺たるものだったり
A warning to anyone still in command
万人への警句はいまも力を持っている
Of their possible future to take care
心すべきありうべき将来に対しては。
In derrick sidings the poppies entwine
ポピーの花が群生する起重機用の待避線の中で
With cattle trucks lying in wait for the next time
次回を待つ家畜用のトラックがとまっている




Do you remember me? *1
きみはぼくを覚えているかい?
How we used to be?
ぼくらがどんなふだったかを?
Do you think we should be closer?
きみは
ぼくらがもっと親しくなるべきだと思うかい?




She stood in the doorway the ghost of a smile
彼女は玄関のところに微笑みの残像を浮かべて立っていた
Haunting her face like a cheap hotel sign
それは安ホテルの看板のように
彼女の顔に取り憑いてしまったもの
Her cold eyes imploring the men in their macs
その冷たい瞳がコート姿の男たちに懇願する
For the gold in their bags or the knives in their backs
鞄の中の黄金を、じゃなければ背中に隠したナイフをだ
Stepping up boldly one put out his hand
大胆に歩み寄ると相手が手を差し出した
He said, "I was just a child then now I'm only a man"
彼は言った
「あの頃はほんの子供だったけれど、ぼくもいまはただの男さ」




Do you remember me?
きみはぼくを覚えているかい?
How we used to be?
ぼくらがどんなふだったかを?
Do you think we should be closer?
きみは、ぼくらが
もっと親しくなるべきだと思ってくれるかい?




By the cold and religious we were taken in hand
無知と宗教心のせいで、ぼくらは手を取り合った
Shown how to feel good and told to feel bad
善きものを感じるやり方を説き、悪を感じることを語った
Tongue tied and terrified we learned how to pray
舌がもつれて怖気づき、ぼくらは祈るということを学んだ
Now our feelings run deep and cold as the clay
いまでは、ぼくらの気持ちは心の奥深くへと消えて
粘土のように冷めきっている
And strung out behind us the banners and flags
Of our possible pasts lie in tatters and rags
そして、ぼくらの背後には、ボロ布に埋もれた
ぼくらのありえただろう過去の幟や旗が勢揃いしている




Do you remember me?
きみはぼくを覚えているかい?
How we used to be?
ぼくらがどんなふうだったかを?
Do you think we should be closer?
きみは、ぼくらが
もっと親しくなるべきだと思ってくれるかい?






Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞

*1:映画版では、このリフレインの部分だけが(少年時代の主人公が隣家の年上の少女の着替えを覗くシーンで)使われている。

One Of The Few

Words & Music by Roger Waters.
(1983年発表)



(原題直訳 「少数者のひとり」) *1





From The Pink Floyd album, "The Final Cut".
名作アルバム度 ☆

「ファイナル・カット」 (ピンク・フロイド




歌詞は、次のURLから
http://www.oldielyrics.com/lyrics/pink_floyd/on_of_the_few.html





邦題 「ワン・オブ・ザ・フュー」 (ピンク・フロイド








When you're one of the few
きみがごく少数者のひとりなら
To land on your feet
ひどい目に遭わされないように
What do you do to make ends meet?
どうやってきみは帳尻を合わせるかい?




Teach
教えよう
Make them mad,
やつらを怒らせてしまうんだ
Make them sad,
やつらを悲しませるんだ
Make them add two and two
やつらに2と2を加算させろ
Make them me,
やつらをおれにするんだ
make them you,
やつらをおまえにしてしまえ
Make them do what you want them to
自分がさせたいいことをやつらにやらせろ
Make them laugh,
やつらを笑わせろ
Make them cry,
やつらを泣かせろ
Make them lie down and die
やつらをよこたわらせ
そして、死なせてしまえ





Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞

*1:アルバム「ザ・ウォール」の1曲としてレコーディングされながら、収録時間の都合上カットされ、のちにアルバム「ファイナル・カット」に収録されて初めて発表された。

The Final Cut

Words & Music by Roger Waters.
(1983年発表)



(原題直訳 「最期のカット」)




From The Pink Floyd album, "The Final Cut".
名作アルバム度 ☆

「ファイナル・カット」 (ピンク・フロイド) *1




歌詞は、次のURLから
http://www.oldielyrics.com/lyrics/pink_floyd/the_final_cut.html




邦題 「ファイナル・カット」 (ピンク・フロイド*2








Through the fish eyed lens of tear stained eyes
魚眼レンズをとおして、涙の滲んだ目で
I can barely define the shape of this moment in time
ぼくは時の中におけるこの瞬間のかたちを
かろうじてはっきりさせてみることができる
And far from flying high in clear blue skies
そして
高々と飛翔した澄みわたる青き大空にから遠く離れて
I'm spiralling down to the hole in the ground where I hide
ぼくは錐揉み状に自分が姿を隠す大地の穴の奥へと降下していく



If you negotiate the minefield in the drive
もし、きみが進路の地雷原を抜けて
And beat the dogs and cheat the cold electronic eyes
犬どもを打ちのめし、冷徹な電子の監視の目を欺いて
And if you make it past the shotgun in the hall
そして、廊下のショットガンをうまくかわせたなら
Dial the combination. open the priesthole
組み合わせ番号をダイアルして
隠し通路への入口を開くとよい
And if I'm in I'll tell you what's behind the wall
そして、もし、ぼくが中にいたら
きみに壁の中にあるものを話してあげよう
There's a kid who had a big hallucination
そこにはすごい幻覚を見ているガキがいるんだ
Making love to girls in magazines
雑誌に載ってる女の子たちと寝たりしては
He wonders if you're sleeping with your new found faith
そいつは、きみが新たに見つけた自分の信じられる男と
寝てるのかどうかを知りたがる
Could anybody love him?
こんなやつを人は好きになるだろうか?
Or is it just a crazy dream?
それとも
これはただの気違いじみた夢なのだろうか?




And if I show you my dark side
そして
もし、ぼくが自分の暗い面をきみに見せたら
Will you still hold me tonight
それでも、きみは
今夜、ぼくを抱いてくれるかい?
And if I open my heart to you
それで、もし、ぼくが
きみに心を開いて
And show you my weak side
ぼくの弱い面を明らかにしてみせたら
What would you do?
きみはどうする?
Would you sell your story to Rolling Stone?
その話を「ローリング・ストーン」誌にでも売り込むかい?
Would you take the children away?
子供たちを連れて出て行くかい?
And leave me alone?
ぼくはひとりおいてくかい?
And smile in reassurance
そしてほっとしたような笑顔
As you whisper down the phone
きみは電話口で囁く
Would you send me packing?
ぼくに荷物を送ってくれるかい?
Or would you take me home?
それとも
ぼくを家に連れて行ってくれるかい?




Thought I oughta bare my naked feelings
ぼくは自分の裸の感情を剥き出しにすべきだと思ったんだ
Thought I oughta tear the curtain down
カーテンを引きちぎるべきだと思ったんだ
I held the blade in trembling hands
震える手でぼくは剃刀の刃をつかんだ
Prepared to make it but just then the phone rang
やり遂げる用意はできたのだが、ちょうどそのとき電話が鳴った
I never had the nerve to make the final cut
ぼくにはどうしても
最後のカットを入れる度胸がなかったのだ






Translated into Japanese tonight by komasafarina.訳詞






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※アルバム「ザ・ウォール」収録除外曲


・「What Shall We Do Now?」
  http://d.hatena.ne.jp/komasafarina/20050817
   (映画版とライヴ・アルバムに収録)
・「The Last Few Bricks」 
   (インストゥルメンタル、ライヴ・アルバムに収録)
・「When The Tigers Broke Free」
   (上記参照、映画版に使用、シングル盤として発表後、「ファイナル・カット」に収録)
・「Your Possible Pasts」
   (上記参照、映画版に部分使用、「ファイナル・カット」に収録)
・「One Of The Few」
    (上記参照、「ファイナル・カット」に収録)
・「The Final Cut」
    (上記参照、「ファイナル・カット」に収録)

*1:創成期から抬頭期のフロントマンであったシド・バレットの在籍時代をオリジナルの第1期ピンク・フロイドとするなら、神経衰弱でバレットが脱退し、ときおり彼の代役でステージを務めていたデイヴ・ギルモアが正規メンバーとして加入したこの時点でのランナップが第2期ピンク・フロイドとなるわけだが、このアルバム・タイトル「ザ・ファイナル・カット」は、その意味で(第2期)ピンク・フロイドの最期の楽曲発表ということでの「ザ・ファイナル・カット」というタイトルになっているが、ロジャー・ウォーターズにとっては(1期も2期もなく(ましてや3期などあってはならない))ピンク・フロイドの最終アルバムのつもりだったのだろう。ピンク・フロイドは、その後、ロジャー・ウォーターズ抜きでコンサート・ツアーやアルバムの発表をはじめることにあるが、その際もロジャー・ウォーターズは「ピンク・フロイド」の名称使用を差し止めるべく訴訟まで起こしたが、結局は敗訴し、その後もピンク・フロイドは新作の発表を再開している。わたし個人としては、原告ロジャー・ウォータズ側の証人として出廷していもいいと思う側の人間だが、名作「狂気」以降のピンク・フロイドの路線を(全然)ピンク・フロイドらしいとは思わない気持ち(さながらそれは「えッ、ピンク・フロイドって(こんな)真っ当なロックをやるグループだったわけ!? という)の持ち主としては(そう、「狂気」から「ザ・ウォール」にかけてのあの時期を第3期(という最盛期)としてもいいのだろうが)、ギルモア=ライト=メイスンの3人を核にした新生「ピンク・フロイド」を否定しようという気持ちはない。第一、全然、聴いてないしなあ。

*2:アルバム・タイトルとは違って、この曲のタイトルの「ファイナル・カット」は、リスト・カットによる自殺のことだ。映画版の「ザ・ウォール」の中で主人公ピンクは(一度は)豪邸のプールに身を浮かべながら、そして(もう一度は)引きこもったホテルの部屋で、剃刀を手に自殺を試みている。この曲もまえの曲「」同様、「ザ・ウォール」に収録すべくレコーディングされていたが、収録時間の都合上、アルバムからは割愛され、のちにアルバム「ファイナル・カット」に収録されて発表された。