菅官房長官談話

 1.航空自衛隊の現用戦闘機の消耗を補充し、その近代化を図るための次期戦闘機については、2011年12月20日の安全保障会議において、12年度以降、F35A42機を取得すること、一部の完成機輸入を除き、国内企業が製造に参画すること等を決定し、同日の閣議において了解された。F35は、米国等の9カ国によって開発中の最新鋭の戦闘機であり、その計画的な取得はわが国の防衛上不可欠である。政府としては、この安全保障会議決定および閣議了解に基づき、13年度以降は、F35の機体および部品(以下「部品等」という)の製造(整備を含む。以下同じ)への国内企業の参画を行った上で、F35Aを取得することとしている。F35の部品等の製造への国内企業の参画は、戦闘機の運用・整備基盤を国内に維持する上で不可欠であり、また、わが国の防衛生産および技術基盤の維持・育成・高度化に資することから、わが国の防衛に大きく寄与するものである。さらに、部品等の世界的な供給の安定化は米国等に資するほか、国内に設置される整備基盤により米軍に対する支援も可能となるため、日米安全保障体制の効果的な運用にも寄与するものである。
 2.F35については、従来わが国が取得した戦闘機と異なり、全てのF35ユーザー国が世界規模で部品等を融通し合う国際的な後方支援システム(ALGS=Autonomic Logistics Global Sustainmentという新たな方式。以下「本システム」という)が採用されている。本システムに参加することにより、必要なときに速やかに部品等の供給を受け、迅速な整備が可能となることから、わが国としてもより適切なコストでF35Aの可動率を維持・向上するため、本システムへの参加が必要である。本システムに参加する場合には、国内企業が製造もしくは保管を行う部品等または国内企業が提供するF35にかかる役務がわが国からわが国以外のF35ユーザー国に提供されることが想定されるが、本システムでは、米国政府の一元的な管理の下、F35ユーザー国以外への移転が厳しく制限されている。
 3.政府は、これまで、武器等の輸出については武器輸出三原則等によって慎重に対処してきたところであるが、上記の通り、国内企業の参画はわが国の安全保障に大きく資することにかんがみ、本システムの下、国内企業が製造もしくは保管を行うF35の部品等または国内企業が提供するF35にかかる役務の提供については、米国政府の一元的な管理の下で、F35ユーザー国以外への移転を厳しく制限すること、および移転は国連憲章の目的と原則に従うF35ユーザー国に対するもののみに限定されること等により厳格な管理が行われることを前提として、武器輸出三原則等によらないこととする。
 なお、政府としては、国連憲章を順守するとの平和国家としての基本理念は維持していく考えである。

第百八十三回国会における安倍内閣総理大臣施政方針演説

一 はじめに
 「強い日本」。それを創るのは、他の誰でもありません。私たち自身です。
 「一身独立して一国独立する」
 私たち自身が、誰かに寄り掛かる心を捨て、それぞれの持ち場で、自ら運命を切り拓こうという意志を持たない限り、私たちの未来は開けません。
 日本は、今、いくつもの難しい課題を抱えています。しかし、くじけてはいけない。諦めてはいけません。
 私たち一人ひとりが、自ら立って前を向き、未来は明るいと信じて前進することが、私たちの次の、そのまた次の世代の日本人に、立派な国、強い国を残す唯一の道であります。
 「苦楽を与(とも)にするに若(し)かざるなり」
 一身の独立を唱えた福沢諭吉も、自立した個人を基礎としつつ、国民も、国家も、苦楽を共にすべきだと述べています。
 「共助」や「公助」の精神は、単に可哀想(かわいそう)な人を救うことではありません。
 懸命に生きる人同士が、苦楽を共にする仲間だからこそ、何かあれば助け合う。そのような精神であると考えます。
二 被災者の皆さんの強い自立心と復興の加速化
 「みんなで声を掛け合って、励まし合っている。」
 総理就任以来、私は、毎月、被災地を訪問し、避難生活を強いられている方々の声を直接伺ってまいりました。
 仮設住宅の厳しい環境の下でも、思いやりの心が、そこにはありました。自立して支え合おうとする気概を感じるのです。
 一方、個人の意志や努力だけではどうにもならない問題が、今なお立ちはだかっています。高台移転は、ようやく動き始めたものの、土地の買収や、様々な手続により、大幅な遅れが目立ちます。
 仮設住宅暮らしの長期化による、先の見えない不安。お年寄りの方からは、「時間がない」という悲痛なお話も伺いました。
 「どんなに小さくてもいいから、自分の家に住みたい」
 今を懸命に生きる人たちに、復興を加速することで、応えていかねばなりません。解決すべき課題は、地域ごとに異なりますが、復興庁が、現場主義を徹底し、課題を具体的に整理して、一つひとつ解決します。
 福島は、今も、原発事故による被害に苦しんでいます。子どもたちは、屋外で十分に遊ぶことすらできません。除染、風評被害の防止、早期帰還に、行政の縦割りを排し、全力を尽くすべきは当然です。しかし、私たちは、その先にある「希望」を創らねばなりません。
 若者たちが、「希望」に胸を膨らませることができる東北を、私たちは創り上げます。それこそが、真の復興です。
 既に、再生可能エネルギー産業や医療関連産業など、将来の成長産業が東北で芽吹きつつあります。復興を更に強力に進めるため、復興予算十九兆円枠を見直し、必要な財源を確保することとしました。
 今年も、間もなく三月十一日がやってきます。厳しく長い冬が続いた東北にも、もうすぐ春が訪れます。冬の寒さに耐えて、春に咲き誇る花のように、「新たな創造と可能性の地」としての東北を、皆さん、共に創り上げようではありませんか。
三 経済成長を成し遂げる意志と勇気
 さて、日本経済の将来に、今の若者たちは「希望」を持てるでしょうか。
 若者たちが、「未来は明るい」と信じることができる、力強い日本経済を立て直すことが、私たちの世代の責任であります。
 「三本の矢」を、力強く、射込みます。大胆な金融政策であり、機動的な財政政策。そして、民間投資を喚起する成長戦略です。
 今までと同じやり方では、激変している国際経済に、立ち向かうことはできません。
 日本の経済成長は、世界を覆う大競争の荒波に、ためらうことなく漕(こ)ぎ出していく、私たちの意志と、それから勇気にかかっています。
(世界のフロンティアへ羽ばたく)
 正にそうした勇気を示し、遠くアルジェリアの砂漠で働いていた方々が、犠牲となりました。
 彼らに非業の死を遂げさせたテロリストたちの卑劣と非道を、我が国は決して許しません。テロの犠牲を繰り返さないため、何を為さねばならないかを検証し、具体的な対策を進めます。
 私が恐れていることは、今回の事件によって、日本人が、世界に羽ばたく意志と勇気を失うことです。
 世界の成長センターは、アジアから、中南米、アフリカへと広がっています。今回犠牲となった方々の志を無にしないためにも、海外の成長を日本に取り込むべく、世界のどこへでも、フロンティアに果敢に飛び込んでいかねばなりません。
 そのカバンに詰め込むべき、魅力ある商品は、たくさんあります。
 健康的な日本食は、世界でブームを巻き起こしています。四季の移ろいの中で、きめ細やかに育てられた、日本の農産物。世界で豊かな人が増えれば増えるほど、人気が高まることは間違いありません。そのためにも、「攻めの農業政策」が必要です。日本は瑞穂の国です。息を飲むほど美しい棚田の風景、伝統ある文化。若者たちが、こうした美しい故郷(ふるさと)を守り、未来に「希望」を持てる「強い農業」を創ってまいります。
 健康は、誰もが求める、世界共通のテーマです。日本発の技術であるiPS細胞を利用した再生医療創薬など、最先端の医療技術を積極的に活用して、世界に先駆けて健康長寿社会を目指します。世界に誇る国民皆保険制度が育んだ、我が国の医療技術とサービスに、更に磨きをかけ、国際的な医療協力なども通じて、世界に積極的に展開してまいります。
 日本のコンテンツやファッション、文化・伝統の強みも、世界から注目されています。アニメなどのブームを一過性のものに終わらせることなく、世界の人たちを惹(ひ)きつける観光立国を推進することに加え、「クール・ジャパン」を世界に誇るビジネスにしていきましょう。
 それから環境技術です。資源制約を抱える世界で、その解決策を、日本は持っています。ここにも、商機があります。最先端の技術で、世界の温暖化対策に貢献し、低炭素社会を創出していくという我が国の基本方針は不変です。
 詰め込むカバンの中身が、技術、サービス、知的財産など多様化する現代では、活発でフェアな国際競争を確保するため、貿易や投資のルールを国際的に調和していかねばなりません。
 我が国は、受け身であってはなりません。グローバルなレベルでも、地域レベルや二国間レベルでも、日本は、ルールを「待つ」のではなく、「創る」国でありたいと考えます。
 アジア・太平洋地域、東アジア地域、欧州などとの経済連携を、戦略的に推進します。我が国の外交力を駆使して、守るべきものは守り、国益にかなう経済連携を進めます。
 TPPについては、「聖域なき関税撤廃」は、前提ではないことを、先般、オバマ大統領と直接会談し、確認いたしました。今後、政府の責任において、交渉参加について判断いたします。
 意欲のある全ての日本人が、世界の成長センターで、存分に活躍できる環境を整えます。
(日本が世界の成長センターになる)
 一方で、日本から世界へという流れだけでなく、世界から日本に、優れた企業や人を集め、日本をもう一度成長センターにしていく気概も必要です。
 優れた人たちは、今、日本で能力を発揮したいと考えるでしょうか。
 日本での研究環境に満足できない研究者たちが、海外にどんどん流出しています。
 「世界で最もイノベーションに適した国」を創り上げます。総合科学技術会議が、その司令塔です。大胆な規制改革を含め、世界中の研究者が日本に集まるような環境を整備します。
 その萌(ほう)芽とも呼ぶべき「希望」に、私は、沖縄で出会いました。
 「非常に素晴らしい研究機会が与えられると考えて、沖縄にやってきた。」
 アメリカから来たこの学生は、かつてハーバード大学やイェール大学で研究に携わってきました。その上で、昨年開学した沖縄科学技術大学院大学で研究する道を選びました。
 最新の研究設備に加え、沖縄の美(ちゅ)ら海に面した素晴らしい雰囲気の中で、世界中から卓越した教授陣と優秀な学生たちが集まりつつあります。沖縄の地に、世界一のイノベーション拠点を創り上げます。
 世界初の海洋メタンハイドレート産出試験、世界に冠たるロケット打ち上げ成功率、世界最先端の加速器技術への挑戦など、日本は、先端分野において、世界のイノベーションをけん引しています。
 将来の資源大国にもつながる海洋開発、安全保障や防災など幅広い活用が期待できる宇宙利用、テレワークや遠隔医療など社会に変革をもたらし得るIT活用。
 日本に「新たな可能性」をもたらすこれらのイノベーションを、省庁の縦割りを打破し、司令塔機能を強化して、力強く進めてまいります。
 世界の優れた企業は、日本に立地したいと考えるでしょうか。
 むしろ、我が国は、深刻な産業空洞化の課題に直面しています。
 長引くデフレからの早期脱却に加え、エネルギーの安定供給とエネルギーコストの低減に向けて、責任あるエネルギー政策を構築してまいります。
 東京電力福島第一原発事故の反省に立ち、原子力規制委員会の下で、妥協することなく安全性を高める新たな安全文化を創り上げます。その上で、安全が確認された原発は再稼働します。
 省エネルギー再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、できる限り原発依存度を低減させていきます。同時に、電力システムの抜本的な改革にも着手します。
 「世界で一番企業が活躍しやすい国」を目指します。
 「国際先端テスト」を導入し、聖域なき規制改革を進めます。企業活動を妨げる障害を、一つひとつ解消していきます。これが、新たな「規制改革会議」の使命です。
 行政や公務員制度の在り方も、これまでの改革の成果に加え、国際的な大競争時代への変化をとらえ、改革します。公務員には、誇りと責任を持って、世界との競争に打ち勝つ国づくりを、それぞれの持ち場で能動的に進めるよう期待します。
 魅力あふれる地域を創ります。その鍵(かぎ)は、地域ごとの創意工夫を活(い)かすための、地方分権改革です。大都市制度の改革を始め、地方に対する権限移譲や規制緩和を進めます。また、「地域の元気づくり」を応援します。
(世界一を目指す気概)
 小さな町工場から、フェラーリBMWに、果敢に挑戦している皆さんがいます。
 自動車ではありません。東京都大田区の中小企業を経営する細貝さんは、仲間と共に、ボブスレー競技用「そり」の国産化プロジェクトを立ち上げました。
 「世界最速のマシンをつくりたい」
 三十社を超える町工場が、これまで培ってきた、ものづくりの力を結集して、来年のソチ五輪を目指し、世界に挑んでいます。
 高い技術と意欲を持つ中小企業・小規模事業者の挑戦を応援します。試作品開発や販路開拓など、新しいチャレンジを応援する仕組みを用意します。
 ひたすらに世界一を目指す気概。こういう皆さんがいる限り、日本はまだまだ成長できると、私は、確信しています。
 今一度、申し上げます。皆さん、今こそ、世界一を目指していこうではありませんか。
(家計のための経済成長)
 なぜ、私たちは、世界一を目指し、経済を成長させなければならないのか。
 それは、働く意欲のある人たちに仕事を創り、頑張る人たちの手取りを増やすために他なりません。
 このため、私自身、可能な限り報酬の引上げを行ってほしいと、産業界に直接要請しました。政府も、税制で、利益を従業員に還元する企業を応援します。
 既に、この方針に御賛同いただき、従業員の報酬引上げを宣言する企業も現れています。うれしいことです。
 家計のやりくりは、大変な御苦労です。日々の暮らしを少しでも良くするために、私たちは、「強い経済」を取り戻します。
四 世界一安全・安心な国
 経済だけではありません。様々なリスクにさらされる国民の生命と財産を、断固として守る、「強靭(じん)な国づくり」も急務です。
 旅行で、仕事で、普段何気なく通るトンネルで、その事故は起きました。笹子トンネル事故です。
 私の育った時代、高速道路が次々と延びていく姿は、「成長する日本」の象徴でありました。しかし、あの頃できたインフラが、老いつつある。人の命まで奪った現実に、向き合わなければなりません。
 命を守るための「国土強靭(じん)化」が、焦眉(び)の急です。首都直下地震南海トラフ地震など、大規模な自然災害への備えも急がなければなりません。徹底した防災・減災対策、老朽化対策を進め、国民の安全を守ります。
 治安に対する信頼も欠かせません。ネット社会の脅威であるサイバー犯罪・サイバー攻撃や、平穏な暮らしを脅かす暴力団やテロリストなどへの対策・取締りを徹底します。
 悪質商法によるトラブルから、消費者を守らねばなりません。地方の相談窓口の充実や監視強化などによって、消費者の安全・安心を確保します。
 「世界一安心な国」、「世界一安全な国、日本」を創り上げます。
五 暮らしの不安に一つひとつ対応する政治
 さて、今、この演説を聞く国民一人ひとりが、悩みや不安を抱えておられます。
 家計のやりくり、教育、子育て、介護。こうした不安に目を向け、一つひとつ対応することも、政治の使命です。
 「車座ふるさとトーク」を始めました。皆さんの声を直接お伺いするため、閣僚が、地方に足を運びます。一人ひとりの思いを、直接、具体的な政策につなげていきます。
(子どもたちが主役の教育再生
 子どもを持つ親は、常に子どもの教育に頭を悩ませています。
 いじめや体罰を背景に、子どもの尊(とうと)い命が絶たれる事案が発生しています。「子どもの命は何としても守り抜く」との強い意志と責任感を、私たち大人が持って、直ちに行動に移さねばなりません。
六年前に改正した教育基本法を踏まえ、現場での具体的な改革を進めます。まずは、先般、「教育再生実行会議」が取りまとめた、道徳教育の充実を始めとする、いじめ対策の提言を実行します。
 教育現場で起きる問題に、的確で速やかな対応が行える体制を整えます。現行の教育委員会制度について、責任体制を明確にすることを始め、抜本的な改革に向けた検討を進めます。
 学力の向上も、公教育に求められる重要な役割です。世界トップレベルの学力を育むため、力ある教師を養成し、グローバル化に対応したカリキュラムなどを充実していきます。「大学力」は、国力そのものです。大学の強化なくして、我が国の発展はありません。世界トップレベルとなるよう、大学の在り方を見直します。
 私も、子どもの頃、野球選手や警察官などと、色々な「夢」を見ました。教育再生とは、子どもたちが、「夢」を実現する意志を持って、自分たちの道を歩んでいけるよう手助けするためのものに他なりません。
 その主役は、子どもたちです。
 六・三・三・四制の見直しによる「平成の学制大改革」を始め、教育再生に向けた具体的な課題について、今後検討を進めます。
(子育て・介護を支える社会)
 子育てに頑張るお父さんやお母さんが、育児を取るか仕事を取るかという二者択一を迫られている現実があります。
 待機児童の解消に向けて保育所の受入児童数を拡大します。多様な保育ニーズに応えるためには、休日・夜間保育なども拡充していかねばなりません。放課後児童クラブを増設し、地域による子育て支援も力を入れてまいります。
 仕事との両立支援と併せ、仕事への復帰を応援します。両立支援に取り組む事業者への助成、マザーズハローワークの拡充に取り組みます。
 年老いた親の介護と仕事の両立に御苦労される方も、増えつつあります。
 介護と仕事も、両立しやすい社会を創っていかねばなりません。まずは、その第一歩として、両立するための知識やノウハウを、働く方々や職場に周知して、様々な支援を受けられるようにします。地域のお年寄りの皆さんに、質が高く、必要な介護が行われる体制も整えます。
 全てを家庭に任せるのではなく、社会も共に子育てや介護を支えていきます。
(女性が輝く日本)
 他方、家庭に専念して、子育てや介護に尽くしている方々もいらっしゃいます。皆さんの御苦労は、経済指標だけでは測れない、かけがえのないものです。
 皆さんの社会での活躍が、日本の新たな活力を生み出すと信じます。皆さんが、いつでも仕事に復帰できるよう、トライアル雇用制度を活用するなど、再就職支援を実施します。
 仕事で活躍している女性も、家庭に専念している女性も、全ての女性が、その生き方に自信と誇りを持ち、輝けるような国づくりを進めます。皆さん、女性が輝く日本を、共に創り上げていこうではありませんか。
(誰もが再チャレンジできる社会)
 老いも若きも、障害や病気を抱える方も、意欲があるならば、世のため人のために活躍できる機会を創ります。その先に、活力あふれる日本が待っています。
 個々の事情に応じた就労支援を、きめ細かく行います。「若者・女性活躍推進フォーラム」の場を通じて、更なる課題を抽出し、具体策を検討していきます。
 一度の失敗で烙(らく)印が押され、「負け組」が固定化するような社会は、「頑張る人が報われる社会」とは言えません。何度でもチャレンジできる社会を創り上げてまいります。
(持続可能な社会保障制度の構築)
 しかし、どんなに意欲を持っていても、病気や加齢などにより、思い通りにならない方々がいらっしゃいます。
 こうした方々にも安心感を持っていただくため、持続可能な社会保障制度を創らねばなりません。少子高齢化が進む中、安定財源を確保し、受益と負担の均衡がとれた制度を構築します。
 自助・自立を第一に、共助と公助を組み合わせ、弱い立場の人には、しっかりと援助の手を差し伸べます。自由民主党公明党民主党による三党間での協議の進展も踏まえ、社会保障制度改革国民会議において御議論いただき、改革を具体化してまいります。
 国・地方のプライマリーバランスについて、二〇一五年度までに二〇一〇年度に比べ赤字の対GDP比の半減、二〇二〇年度までに黒字化、との財政健全化目標の実現を目指します。
六 原則に基づく外交・安全保障
 さて、外交・安全保障について、お話しいたします。
 私の外交には、原則があります。先般のアセアン諸国訪問の際には対アセアン外交の五原則を発表しましたが、私の外交は、「戦略的な外交」、「普遍的価値を重視する外交」、そして国益を守る「主張する外交」が基本です。傷ついた日本外交を立て直し、世界における確固とした立ち位置を明確にしていきます。
 その基軸となるのは、やはり日米同盟です。
 開かれた海の下、世界最大の海洋国家である米国と、アジア最大の海洋民主主義国家である日本とが、パートナーを成すのは理の当然であり、不断の強化が必要です。
 先日のオバマ大統領との会談により、緊密な日米同盟は完全に復活いたしました。政治、経済、安全保障だけではなく、アジア・太平洋地域、更には国際社会共通の課題に至るまで、同じ戦略意識を持ち、同じ目的を共有していることを確認したのであります。緊密な日米同盟の復活を内外に示し、世界の平和と安定のために、日米が手を携えて協力していくことを鮮明にすることができました。
 日米安保体制には、抑止力という大切な公共財があります。これを高めるために、我が国は更なる役割を果たしてまいります。同時に、在日米軍再編には、現行の日米合意に従って進め、抑止力を維持しつつ、沖縄の負担軽減に全力で取り組みます。特に、普天間飛行場の固定化はあってはなりません。沖縄の方々の声によく耳を傾け、信頼関係を構築しながら、普天間飛行場の移設及び嘉手納以南の土地の返還計画を早期に進めてまいります。
 北朝鮮が核実験を強行したことは、断じて容認できません。安保理決議にも明確に違反するものであり、厳重に抗議し、非難します。北朝鮮が平和と繁栄を求めるのであれば、このような挑発的な行動を取ることが何の利益にもならないことを理解させるべく、米国、韓国を始め、中国、ロシアといった関係国と連携して、断固たる対応を追求します。
 拉致問題については、全ての拉致被害者の御家族が御自身の手で肉親を抱きしめる日が訪れるまで、私の使命は終わりません。北朝鮮に「対話と圧力」の方針を貫き、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しの三点に向けて、全力を尽くします。
 拉致、核、ミサイルの諸懸案の包括的な解決に向けて具体的な行動を取るよう、北朝鮮に強く求めます。
 尖閣諸島が日本固有の領土であることは、歴史的にも国際法上も明白であり、そもそも解決すべき領有権の問題は存在しません。
 先般の我が国護衛艦に対する火器管制レーダー照射のような、事態をエスカレートさせる危険な行為は厳に慎むよう、強く自制を求めます。国際的なルールに従った行動が必要であります。
 同時に、日中関係は、最も重要な二国間関係の一つであり、個別の問題が関係全体に影響を及ぼさないようコントロールしていくとの「戦略的互恵関係」の原点に立ち戻るよう、求めてまいります。私の対話のドアは、常にオープンです。
 韓国は、自由や民主主義といった基本的価値と利益を共有する最も重要な隣国です。朴(パク)槿(ク)惠(ネ)新大統領の就任を心より歓迎いたします。日韓の間には、困難な問題もありますが、二十一世紀にふさわしい未来志向で重要なパートナーシップの構築を目指して協力していきます。
 もう一つの隣国であるロシアとの関係は、最も可能性に富んだ二国間関係の一つであります。本年に予定されているロシア訪問を、日露関係の発展に新たな弾みを与えるものとしたいと考えています。アジア・太平洋地域のパートナーとしてふさわしい関係を構築すべく、日露関係全体の発展を図りながら、最大の懸案である北方領土問題を解決して平和条約を締結すべく、腰を据えて取り組みます。
 緊密な日米関係を基軸として、豪州やインド、アセアン諸国などの海洋アジア諸国との連携を深めてまいります。G8、G20や我が国で開催する第五回アフリカ開発会議などの国際的枠組みを通じ、貧困や開発といった国際社会に共通する課題の解決に向け、我が国は、世界の大国にふさわしい責任を果たしていきます。
七 今、そこにある危機
 我が国の領土・領海・領空や主権に対する挑発が続いており、我が国を取り巻く安全保障環境は、一層厳しさを増しております。
 先般、沖縄を訪問し、最前線で任務に当たっている、海上保安庁や警察、自衛隊の諸君を激励する機会を得ました。その真剣なまなざしと、みなぎる緊張感を目の当たりにしました。彼らを送り出してくれた御家族にも、感謝の念で一杯です。
 私は、彼らの先頭に立って、国民の生命・財産、我が国の領土・領海・領空を断固として守り抜く決意であります。
 十一年ぶりに防衛関係費の増加を図ります。今後、防衛大綱を見直し、南西地域を含め、自衛隊の対応能力の向上に取り組んでまいります。
 我が国の外交・安全保障政策の司令塔となる「国家安全保障会議」の設置に向けた検討を本格化します。同時に、「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」において、二十一世紀の国際情勢にふさわしい我が国の立ち位置を追求してまいります。
 危機にあって、大切なことは、大局を見失わないことです。
 我が国の国益は、万古不易です。我が国の存立基盤である「海」を、徹底してオープンなものとし、自由で平和なものとすることであります。
 「全世界にとっての基本的に重要な原則、すなわち何よりも国際法が力の行使に勝たなくてはならないという原則を守ろうとしていた」
 フォークランド紛争を振り返って、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相は、こう語りました。
 「海における法の支配」。私は、現代において、「力の行使による現状変更」は、何も正当化しないということを、国際社会に対して訴えたいと思います。
 安全保障の危機は、「他人事」ではありません。「今、そこにある危機」なのです。
 今、この瞬間も、海上保安庁や警察、自衛隊の諸君は、強い意志と忍耐力で任務に当たっています。荒波を恐れず、乱気流を乗り越え、極度の緊張感に耐え、強い誇りを持って任務を果たしています。皆さん、与野党を超えて、今、この場から、彼らに対し、感謝の意を表そうではありませんか。
八 おわりに
 江戸時代の高名な学者である貝原(かいばら)益軒(えきけん)は、牡(ぼ)丹の花を大切に育てていました。ある日、外に出ていた間に、留守番の若者が、その花を折ってしまいました。怒られるのではないか、と心配する若者に対して、益軒(えきけん)は、こう述べて許したと言います。
 「自分が牡(ぼ)丹を植えたのは、楽しむためで、怒るためではない。」
 「何のため」に牡(ぼ)丹を植えたのか、という初心を常に忘れず、そこに立ち戻ることによって、寛大な心を持つことができた益軒(えきけん)。
 私は、この議場にいる全ての国会議員の皆さんに、呼び掛けたいと思います。
 我々は、「何のため」に、国会議員を志したのか。
 それは、「この国を良くしたい」、「国民のために力を尽くしたい」、との思いからであって、間違っても、政局に明け暮れたり、足の引っ張り合いをするためではなかったはずです。
 全ては国家、国民のため、互いに寛容の心を持って、建設的な議論を行い、結果を出していくことが、私たち国会議員に課せられた使命であります。
 議員定数の削減や、選挙制度の見直しについても、各党各会派で話し合い、しっかりと結論を出していこうではありませんか。
 憲法審査会の議論を促進し、憲法改正に向けた国民的な議論を深めようではありませんか。
 政権与党である自由民主党公明党が、政権運営に主たる責任を負っていることは言うまでもありません。その上で、私は、各党各会派の皆さんと丁寧な議論を積み重ね、合意を得る努力を進めてまいります。
 この議場にいらっしゃる皆さんには、是非とも国会議員となったときの熱い初心を思い出していただき、どうか建設的な議論を行っていただけますよう、最後にお願いして、私の施政方針演説といたします。

野党時代に、自分たちが与党だった時のことを忘れて国会の運営を阻止していたのは誰だったのでしょうか?

【非被災者向け】地震支援情報

2011年3月19日14時現在。情報は随時更新されます。必ず最新の情報をご確認ください。

  • 節電にご協力ください(東京電力は電力不足です。復興に伴い更に電力が不足することが懸念されます。)
  • 献血はごゆっくり(成分によっては長期保存できません。)

物資の発送は関係機関を通じて行ってください。混乱している状態で物資を送ると返って迷惑になる恐れがあります。

以下の行為は迷惑になります。

  • 不要不急の電話の使用
  • 一方的に支援物資を送ること(物資の内容や送り方によっては迷惑になります。必ず情報を確認してからお送りください。)
  • 準備をせずにボランティア入りすること(受け入れ体制が整うまで待ってください。交通・食料・宿泊などの面で迷惑になるほか、二次災害の恐れがあります。)
  • NHKUstreamニコニコ動画等のネットサービスの使用(停電でテレビが見られmないものの携帯端末でネットに接続できる人が居るようです)気象庁や避難場所に関する情報を掲載したサイトにも、不要な人はアクセスしないようにしてください。
  • Twitter等で不確かな情報が流れることがあるようです。RTを行うときには、情報の日時と真偽を確認して公式RTを行ってください。古い情報をRTすると迷惑になる場合があります。
  • チェーンメール

募金詐欺に注意してください。

被災者向けの情報はこちらがまとまっています。

家電やパソコンの周辺機器のメーカーは被災した製品を無償で修理することがあります。



はてな義援金窓口…誤操作で二重にトラックバックをしてしまいました orz

小惑星探査機「はやぶさ」大気圏再突入

2010年6月13日午後10時51分、小惑星イトカワ」で試料を採取した小惑星探査機「はやぶさ」が打ち上げから7年ぶりに大気圏に再突入しました。インターネットの動画中継の画像を見ると、空が緑色に明るく光っていました。はやぶさは、大気圏再突入に先立ち午後7時51分に試料が入っていると見られるカプセルを分離しており、パラシュートを開いてオーストラリアの砂漠に落下する予定です。ビーコンの反応は確認されているようです。
はやぶさにはずっと注目しており、当ブログでも何回も記事を書いてきました。個人的に非常に感慨深くあります。


11時45分のFNNニュース「まもなくはやぶさが地球に帰還します」(゜Д ゜)

H2Bロケット試験機/宇宙ステーション補給機(HTV)技術実証機打ち上げ

2009年9月11日午前2時1分46秒、種子島宇宙センターから日本最大の新型ロケット「H-IIBロケット」の試験機が打ち上げられました。H-IIAロケットの第一段エンジンであるLE-7Aを2基搭載し、静止トランスファ軌道への打ち上げ能力が8t(H2Aは構成により3.8〜5.8t)に向上しています。打ち上げ後、まもなく宇宙ステーション補給機(HTV)を分離し、打ち上げは成功しました。
宇宙ステーション補給機(HTV)は約1週間かけて国際宇宙ステーションISS)に接近し、物資の搬入と不要品の回収を行った上で、大気圏へ突入させて燃焼廃棄されます。宇宙ステーション補給機(HTV)には6tの物資を搭載することが可能です。2010年のスペースシャトル退役後の、主要な物資輸送手段として期待されています。

第45回衆議院議員総選挙で、民主党が大勝

2009年8月30日の午前7時から午後8時まで、第45回衆議院議員総選挙の投票が行われました。2005年9月11日に行われた所謂「郵政選挙」から4年ぶりの総選挙です。
前回の選挙で大躍進した連立与党の自民党公明党ですが、小泉純一郎首相の自由民主党総裁任期満了に伴う内閣総辞職を受けて発足した安倍内閣では、郵政選挙郵政民営化に反対して自民党を除籍された議員を復党させたのを皮切りに支持率が下落をはじめ、その後も公的年金の記録に大規模な不備が発覚したり閣僚の失言や不祥事が相次ぎ、不祥事の責任を負う形で現職閣僚が自殺するという前代未聞の事態に発展。「美しい国作り」、「戦後レジームからの脱却」を掲げ、教育基本法・教育三法の改正や防衛庁の設置、国民投票法の制定等などの成果をあげたものの、2007年7月29日の参議院選挙で大敗し少数与党へと転落しました。安倍晋三首相は総理大臣の座を辞するのが当然であると周りが考えるなか続投し内閣改造を発表。しかし参議院選挙後はじめてとなる第168回臨時国会が開かれた2日後の9月26日、所信表明演説を行った後であるにもかかわらず安倍晋三首相が病気を理由に突然の辞意表明を行い、会議を開くことなく自民党総裁選挙に突入するという異常事態に陥ります。2007年9月26日に福田内閣が発足。福田康夫首相が突然、参議院選挙で大きく議席を伸ばし事実上の敵対関係にあった民主党の小沢代表と、大連立構想について話し合うという事件もありましたが、合意に達せずうやむやに。以後、目立った成果も不祥事もなかったのですが、前の安倍首相に続いて突然の辞意表明を受け内閣解散。自民党総裁選を経て2008年9月24日に麻生内閣が発足しました。当初は、早期の衆議院解散を予定していた模様ですが支持率がふるわず、世界金融危機を受けて経済対策を優先する方針に転換。15兆円の補正予算を編成し、1人当たり12,000円(18歳以下及び65歳以上は20,000円)の定額給付金の給付、ETC搭載車限定で週末に高速道路を1000円で乗り放題、環境基準に対応した特定の家電を購入した時にポイントが給付されるエコポイント、環境基準を満たした車を購入したり古い車を処分したときに給付や減税が受けられる制度、国立メディア芸術総合センターの建設計画(但し展示物は未定)等、様々な経済対策を行いました。一方、マスメディアから誤読が多いと指摘されたり、閣僚が酔っぱらったと思われる状態で会見に出るなどの不祥事もありました。自民党内でも首相交代を求める声が表面化し、衆議院の任期満了を前に自民党総裁選挙を行おうという声もありましたが、逃げ切る形で衆議院選挙が行われました。自民党は「日本を守る、責任力」をキャッチコピーに衆院選を戦いました。
一方、自民党政権の支持率低下を横目に野党第一党民主党は、高速道路の無料化や配偶者・扶養者控除の廃止、子ども手当の実施や高校の無料化等、政策の周知を行い、国民からは現実的ではなく実行は難しいと指摘されつつも、自民党に失望した人から票を獲得する形で議席を伸ばしました。結果、自民公明の連立政権は議席を331から140に減らし、民主党は115から308に増やしました。結果、民主党が単独で過半数を獲得し、政権交代が確実になりました。民主党社民党国民新党と連立政権を組む意向です。新政権は2009年9月中旬に発足する見込みで、16年ぶりの政権交代となります。
戦後初めて自民党が野党に転落したのは1993年の細川内閣が初めてで、今回が2回目になります。細川内閣は新党ブームを受けて誕生した内閣で、日本社会党新生党公明党日本新党民社党新党さきがけ民主改革連合社会民主連合の連立政権でした。その後、自民党日本社会党新党さきがけと連立を組むことで政権復帰します。
NHKでは2009年8月30日午後7時55分から選挙特番を放送。続いて午後8時までに民放各社も「24時間テレビ」を放送していた日本テレビを除き選挙特番の放送を開始しました。NHKでは、投票が打ち切られる午後8時になる直前にアナウンサーが「この後、政権交代なるか、明らかになります。」と言うようなことを言って、8時になった直後「政権交代が確実になりました」というようなことを言っていました。