前略。スターリン(旧ソ猫を噛む)

好きなドキュメンタリーと音楽と旅を楽しむ前提で原発の今

サルサとチャンプルー

日曜に渋谷アップリンクXで上映中のサルサとチャンプルー』を観て来た。
公式サイト http://cuba-okinawa.com/index.html
キューバ沿海に浮かぶ島/イスラ・デ・ピノスに昭和初期に移住した日系人たち家族と、過去と今の沖縄も往復して交錯するドキュメンタリー。キューバと沖縄それぞれの音楽も交錯して使われる。



峠の文化史―キューバの日本人 倉部きよたか著 89年PMC出版】 
明治末からのアメリカ大陸向け海外移民の実態、事業者の悪徳ぶりが当時の資料から丹念に詳細に書かれている。高待遇の広報で全国から希望者を募り、乗船するまでに契約書にも無い不当な金を請求されて、上陸先でも働き先でも搾取される実情。鉄道建設・炭鉱夫・プランテーションの労働者。生活の自衛の為に移民たちが産業組合を作ってもいる。最初にキューバへ労働者として向かったのは、米国入国を望んでいたメキシコ出稼ぎ組だった。映画『サルサとチャンプルー』で証言者が語る内容と呼応する章としては、イスラ・デ・ピノス 日米開戦余波 プレシディオ・モデロ(模範監獄)。
島のパノプティコン・円形監獄と施設は米国占領時に作られ、第二次大戦直後からキューバ全土に住んでいた日独伊の青年男子が逮捕され島に集められ、終戦まで監禁された。
戦後は釈放されたものの土地も財産も盗られていた。平和もつかの間、キューバ革命前には当時の警察に革命派と疑われ逮捕拷問を受けた日系人の境遇も書かれている。



ゲバラの国の日本人―キューバに生きた、赴いた日本人100年史

ゲバラの国の日本人―キューバに生きた、赴いた日本人100年史

ゲバラの国の日本人―キューバに生きた、赴いた日本人100年史

キューバ本島と日本の文化交流を紹介する内容。漁民から野球選手まで文化人の記述が多い。日系移民の『峠の文化史』の増補として読むと、キューバ在住の内藤五郎氏の経歴もあり、12章で紹介されている戦時中の収容所で綴られたトマス・ホンマ氏の日記の断片も生々しい。その一方、映画でインタビューに応じていた最後の日系1世老人が『日本人同士〜楽しく暮した』という面の収容所生活もうかがわせる。
書籍の性格上なのか日系二世のキューバ革命闘士のエピソードも少しあり。