世界測地系の地図上の日本測地系3次メッシュポリゴンを作る(5)

QGISシェープファイルの表示設定

QGIShttp://qgis.org/index.php)は今日(6/19),新バージョンの1.7.0をリリースしたそうです。でもこのエントリは1.6.0を使って書いています。
前回(http://d.hatena.ne.jp/kooi/20110618)は国土地理院基盤地図情報をダウンロードし,シェープファイルに変換しました。今回はそれをQGISで表示,印刷します。
QGISを起動し,新しい地図プロジェクトに「ベクタレイヤの追加」で基盤地図情報シェープファイルを追加します(複数同時選択可)。都道府県の広さやパソコンの性能にもよりますが,AdmArea(行政区域[面]),AdmBdry(行政界[線]),AdmPt(市町村名[点]),RailCL(鉄道),RdEdge(道路),WL(水涯線),Cntr(等高線),Cstline(海岸線),BldA(建物[面]),ElevPt(標高点)の10個のシェープファイルを一気に読み込むことができます。

読み込んだら,表示の重なりを考えながらレイヤの順番を修正します。左側にあるレイヤのボックス内でレイヤを選択してドラッグすれば順番を変えることができます。また,それぞれのレイヤで右クリックしてプロパティを表示し,シンボル(色・線の太さなど)を設定します。

AdmPtではシンボルを非表示(シンボルの大きさを0とする)にして,ラベルを表示します。プロパティのラベルを選択して,ラベルを表示するにチェックを入れるとラベルとして表示する属性をプルダウンで選択できるようになります。AdmPtでは「名称」を,ElevPtでは「標高」を選びます。フォントサイズや色も指定します。

csv(デリミテッドファイル)の読み込み

続いて,前回ダウンロードした位置参照情報のcsvファイルを読み込みます。メニューの「プラグイン」→「デリミティッドテキスト」→「デリミティッドテキストレイヤの追加」とすると以下のような画面になります。デリミティッドテキストファイルの横のボタンをクリックしてcsvファイルを選択します。

ファイルを選択すると,csvファイルの内容が表示されます。1行目にカラムのタイトルが入っています。その中からXに経度,Yに緯度を選択します(順番に注意)。

レイヤを追加すると点が表示されます。他のPtレイヤと同様にシンボルを非表示にしてラベルに大字町丁目名を表示させます。
なお,デリミティッドテキストレイヤも右クリックで「名前を付けて保存」からシェープファイルに変換して保存できるはずですが,今回の例に使っているcsvファイルは1行目のカラムのタイトルが日本語文字で6文字以上になっているためエラーになります。シェープファイルに変換したい場合は,csvファイルの1行目に入っているカラムのタイトルを全て英数字で10文字以内にしておきます。(シェープファイルを構成するdbfの制約)

投影座標系への表示の切り替え

緯度経度表示にしていると,地図の南北方向と東西方向で縮尺が異なってしまうので,「設定」→「プロジェクトのプロパティ」で「'オンザフライ'CRS変換を有効にする」にチェックを入れ,座標系を平面直角座標系(画面の例では佐賀県なのでII系)にします。表示が消えますが適当なレイヤを選んで右クリック→「レイヤの領域にズーム」とすれば再度表示されます。

なお,デリミティッドテキストファイルを読み込む際,XとYを経度緯度で指定しますが,「'オンザフライ'CRS変換を有効にする」がチェックしてあればプロジェクトのプロパティが平面直角座標系であってもちゃんとした場所に点が表示されます。ですから,最初にQGISを起動してレイヤの追加をする前にプロジェクトのプロパティで座標系を選択しても問題ありません。
平面直角座標系については,以下を参照して,各都道府県に適した座標系を選択してください。
http://vldb.gsi.go.jp/sokuchi/patchjgd/download/Help/jpc/jpc.htm

プリントコンポーザーの設定,印刷

QGISで地図を印刷するにはプリントコンポーザーを設定する必要があります。まず,「新コンポーザマネージャ」をクリックすると以下のような画面になります。

まず地図を配置します。コンポーザマネージャの「新規地図を追加」で適当にドラッグすると長方形のフレーム(アイテム)が配置され中に地図が表示されます。配置されたフレームを選択して,右側の「アイテム」タブの中で地図フレームの大きさや縮尺を設定します。
地図の表示範囲は,「アイテムの中のコンテンツを移動」(地球を手でつかんでいるようなアイコン)で地図をドラッグすると動かすことができます。

また,スケールやノースマーク,凡例などを表示することもできます。スケールバーは「新規スケールバーを追加」でアイテムを追加し,アイテムタブの中で設定します。

ノースマークは,「イメージを追加」(カメラのアイコン)で追加するアイテムとして設定することができます。

印刷する地図のイメージが設定できれば,プリンタに印刷することができます。また,pdfやsvgへの出力も可能です。ただし,DistillerやPDFMakerが入っているなら,「印刷」でpdfファイルを作る方がきれいにできるように思います。

これで日本測地系3次メッシュをつかった自然環境調査のための地図を印刷する話は一区切りとします。ここで印刷した地図を使えば,パソコンやGPSが得意でないおじさまやおばさまでも,サンプリング位置を記録してもらえると思います。
次は野外調査データをQGISで整理する話へいきたいと思います。GPSを使う場合と使わない場合を考えています。記事タイトルがだいぶずれてきましたので,次回からタイトルを改めます。(その前に,間奏エントリをあげるかもしれません。)