そこがミソ。-ドラマや特撮感想などを気ままに

ブログ、感想は見た日の分にアップしたいので過去ログがいきなり埋まってることもあるってよ。

search サーチ

http://www.search-movie.jp/
監督:アニーシュ・チャガンティ 脚本:アニーシュ・チャガンティ、セブ・オハニアン 原作:

 

物語がすべてパソコンの画面上を捉えた映像で進行していくサスペンススリラー。
16歳の女子高生マーゴットが突然姿を消し、行方不明事件として捜査が開始されるが、家出なのか誘拐なのかが判明しないまま37時間が経過する。娘の無事を信じたい父親のデビッドは、マーゴットのPCにログインして、InstagramFacebookTwitterといった娘が登録しているSNSにアクセスを試みる。だがそこには、いつも明るくて活発だったはずの娘とは別人の、デビッドの知らないマーゴットの姿が映し出されていた。
スター・トレック」シリーズのスールー役で知られるジョン・チョウが、娘を捜す父親デビッド役を演じた。製作に「ウォンテッド」のティムール・ベクマンベトフGoogleグラスだけで撮影したYouTube動画で注目を集めた27歳のインド系アメリカ人、アニーシュ・チャガンティが監督を務めた。(「映画.com」より)

 
※ネタバレ部分は隠すので安心してお読みくださいw(これ絶対何も知らないで見た方がいいよ) 
 
カメ止めと同じく話の内容よりも見せ方のアイデアと演出が7割な映画。てかこの監督まだ27歳なのか…!すげー。
ストーリー自体の構成と内容はわりとオーソドックスなサスペンス。このストーリー自体も二転三転するどんでん返しがあって、たぶん普通でもそれなり楽しめる話だとは思う。ただ余程でないと今こういうサスペンスをやっても話題にはならないだろうとは思うかなあ。しかも新人監督って。
その「余程のこと」がとてもイマドキな、その人の個人情報やSNSを通じて社会とどう関わっているか、また家族であっても(家族だからこそ)知らない面があって、それを明らかにしていく物語的なカタルシスと他人の個人情報の塊であるパソコンを開くという罪悪感かなと。
しかもこの映画の場合、それをすべてPC画面の中で見せるという究極の選択を選び、上手いことやってのけたというアイデアの勝利で、そのアイデアそのものが行方不明になった娘のSNSを探って手がかりを探すという内容とマッチしてるから一瞬も気が抜けない、二重三重にサスペンスを感じさせるというのがとても上手い。そういうところがカメ止めに似てるなあと思った次第。
本当にあらゆる意味でSNS怖い。サスペンスだからどんでん返しはあるけど感想は何もいえない!
基本的にはお父さんと娘がお互い気持ちのすれ違いで分かり合えてないとか親子愛をえぐってくることもあり、そういう意味ではもちろんハラハラさせられる。
考えさせられるのはそんなに親しくないけど距離感は近い(ニュース取材にはとてもそれっぽいコメントをしたり)イマドキの友人関係や、親がリアルな友人関係を把握できてないこと、SNSごとに違う自分を表現して交流してるけどそれ大丈夫?みたいなやつとか、とてもキャッチーなネタだし、そういう意味で大SNS時代の今の現実としてとても興味深かった。
以下、もう少し突っ込んだ感想。
 
 
最初、家族の歴史をパソコンの画面内で何が起こっているのか見せていくところがすごく秀逸で。普通ならナレーションで説明するところをパソコン内の操作(カーソルの動きやどんなアプリを使ってるかも含めて)で見せていくのは気が利いた演出だと思った。
すべてがPCの画面内で起こるといっても、動画配信はともかくビデオ通話とか盗聴映像とかは結構強引かもと思ったところはあるし、そもそものお父さんのPCスキルがスゴすぎる。あれ画面内で何が起こってるかわからない人多いんでないかなあw(ザッピング感とその解決が早すぎる)←マシンスペックも気になるところw
あと個人的に気になったのは、最初のパソコン画面がWindowsのダサい画面で、これずっとなの?耐えられん!て思ってたらいつの間にかMacになってて、普通にiMessageとかFaceTimeでのやり取りになってたのに地味に笑ったw(たぶん日本ならLINEかな)
まあスマホiPhoneだし会社のPCはまた違うOSだったけど(Windows?)その辺も時代の流れとか表してるよな(ずっとWindows使いの人はどう思うか知らんけど)
あと主演のお父さん、見たことあると思ってたらリブート版「スター・トレック」のスールー役の人だった!あれ、もうそんな何年も経ってた…のか…
主人公一家が韓国系なのはたぶんそんなに重要ではないと思うけど、お父さんのPCスキルを見るに技術職なのかなあ。韓国系のインテリ層が多いってことだろか。娘も頭いいし生活レベルがわかるという意味で白人やヒスパニック系はないってことかなと。(黒人は大抵クズか超インテリだし)
ともかく娘のMacBookからSNSにアクセスするのにパスワードが保存されてなくていちいち入れなきゃいけないとか(キーチェーン使ってないのか?)そんな焦ってるときのパスワード再発行のための認証のためのメーラーのパスワード再発行とか見てて胃がキリキリするよう…
ここからは折りたたみます。うっかりこの記事に直接アクセスした人は気をつけて。
 
 
この映画のトリックである全てがパソコンの中で進行する…というのは、正直かなり無茶だなと思うところもある。
実際画面的には「PCの画面」だけど、家の共有パソコンのデスクトップ(WindowsMac)や娘のMacBook(ノーパソ)、本当ならスマホ?のやり取りだったりするし、お父さんが映ってる時はFaceTimeのカメラ立ち上げっぱなしかよって思うし、盗撮の監視モニター映像はともかく留置所の尋問シーンの監視映像はかなり強引かと。動画配信サイトやニュース映像もすべてパソコンで見てるのか?みたいなツッコミが脳内で気になって(笑)
欠点かなと思ったのは、だから逆に全てがそこで語られることになるわけで、事件の真相とか何が起こったのか、あと本当の真犯人への伏線が若干弱いかなと感じた事くらいかなあ。
ニュースの空撮で崖が映ってるのはわかってたし、彼女が(一応バレ自粛)陣頭指揮をとってあえてそのエリアを外したこと、それ以前に証言を確認しにいった時の演出としての不自然さがパソコン画面外のこととして扱われたことでちょっと引っかかったし、あえてそのタイミングで嵐ってのがまさかの伏線でしかもそのタイミングで?みたいなのとか展開早すぎて何が起こってるのかと(苦笑)
あと彼女の息子のことも言われてみれば…とはいえ、オレはわかる過程を楽しみたいので映画の時間内であえて犯人探しをするタイプでもないので(わかってしまった時は別だけど)まあ普通にどんでん返しに次ぐどんでん返しと楽しみました。ただあの手法だと全てが並列に見えちゃうんだよね。
あとこれは本当は言っちゃいけない最大限のネタバレだろうけど、最後本当に、本当〜にホッとしました(笑)弟の件もそこそこホッとした(というかあのシーンはもうほんとにお父さん早く電話に出てー!だったんでw)
本筋のサスペンスのネタの選び方とか加減って大事だよね。(パンフ読んだらベタでオーソドックスなとこを狙ったってあったんで余計に)そういう意味ではフィンチャー監督の「ゴーン・ガール」なんかにも通じるとこがあるかなあ?(個人的印象)
ただ途中の“彼”については、何でそうなったのかがやっぱりいまいち把握できなくて「え、知り合いだったの!?」ってなったんで、そこらへんはまあこの手法の限界なのか、それともどこかに伏線がちゃんとあったのか…とは思ってる。
でもまあすごいよね、もうこの先普通のサスペンスを成り立たせるのはますます難しくなりそう。