そこがミソ。-ドラマ特撮感想などを思ったままに このページをアンテナに追加 RSSフィード

2019-01-10

[] ドラマスペシャル「東野圭吾 手紙」

https://www.tv-tokyo.co.jp/tegami/

脚本:池田奈津子 演出深川栄洋

 

ドラマとしてはとても丁寧な作りで大変面白かったです。

これは一応亀梨主演だからと思って録っといたんだけど、10年前に映画化されてるのすら知らなかったですよ。その時の主人公は山田孝之でお兄さんが玉山鉄二か。原作はもちろん読んでないけど、キャスティングとしては断然こっちの亀梨和也佐藤隆太本田翼という組み合わせの方がハマってるし、好きかも。

亀ちゃんの演技はナイーブさと悲しさが漂っててなんとも言えない切ない儚さがあると思うんだけど(そういう意味では山田様も全然OKなんだけど)、ほぼ出てこない兄ちゃんが佐藤隆太ってのが見終わってみると意外とポイント高かったし、本田翼の微妙なはすっぱさもこういう役所ならとてもいい。

あとなんつか直貴の、歌がプロ並みに上手い設定とかデビューした高橋努に今はCDが売れない時代だからなあーっていうとこなんかはKAT-TUNだし…と思うとなかなかにうむむ…と思ったりしたけどw

いやあの見上げてごらんの歌にしても、亀ちゃんは歌手としてすごい上手いとは言えないけど(KAT-TUNの歌唱力…)、あの武島直貴というキャラクターがその心情であの曲をああ歌うという意味では十分以上に胸に迫るものがあったので、そういう演技的な意味で上手いと思ったのよね。

オレはこういう話って基本好きじゃないんだけど、でもぶっちゃけ緒方さん(田中哲二)の「もうこれでいいと思う。これで終わりにしよう」で泣いた。いや普通の人の泣くポイントはどこかわかんないけど、最後のコンサートもちゃんと泣けたから。いやあの拝んでる佐藤隆太を見ると泣かずにはいられないよ。

この話の肝として、最後のあの緒方さんの「これでいいと思う」(「終わりにしよう」であって「赦す」じゃないのがポイントか)に至るのが、延々と理不尽な扱いを受け続けた“強盗殺人犯の弟”である直貴の忍耐と苦難なのは確かなんだけど、彼にそれを強いてるお兄さん、剛志のあまりに能天気な手紙の内容というか悪びれなさに気の毒通り越して憤りを感じるし、後述するけど被害者遺族への手紙に弟のことまで書いてしまう兄ちゃんの無邪気さ、そこに作者の意図が透けて見えすぎるのがあざとくてあまり好きじゃないというか。あくまでも個人の好みの問題ですが。

これが「容疑者Xの献身」(映画も原作も読みましたが面白かったです)なら最後のオチとして湯川先生ヒドイな!で納得できるんだけど、こっちは何というかやるせなさからの感動がちょっと鼻に付くというか。

あ、でもあの哲二の抑えた演技は素晴らしかった。煙草の持ち方のなんというか手持ち無沙汰で持ってる感じと若干の苛立ちと腹立たしさを感じさせる佇まいとそれを受ける亀梨の演技も素晴らしかったです。

というか、こういうフィクションの話に突っ込んでも仕方ないことだけど、だって普通に考えてなんでお兄さんはやったことの反省しないで弟と被害者家族の緒方さんにあんな長文の手紙を毎月書き続けるの?って、思うよね?

事件、強盗殺人に至った状況を見てもあれが本当なら理由はどうあれ空き巣に入る時点でヤバいし、家の人間が帰宅したからって絞め殺すのがもうおかしいじゃん。なんでそんなにパニクってんだ?

しかも電気店の社長さんも言ってた通り、お兄さんは最初に犯罪をしようと思った時点で後に残された周囲の人間のこと考えてないよね。その想像力がないよね。(いいけどあの社長さんも若干無責任よね。小日向さんってのはナイスキャスティングだけど)弟が普通に頭良くて空気も読めて人一倍気がつく人なだけに、なんでお兄さんは“そう”なの?としか。

というかそんな兄の手紙にずっと嘘をつき続ける、理不尽な目にしかあってないのに兄を見捨てることができないのはあの兄弟の間に愛情があってたぶんいい思い出もあったからだと思うけど、結局最後は切るなら、もっと早く切っても良かったんじゃないかなあと、オレは残された人間の幸せを考えたいのでそうとしか思えないのですよ。いやそこまでのあの最後の手紙を投函するまでの彼の葛藤こそがこの物語の肝なんだってのはわかってるけど。

しかも兄ちゃん、自分がやったことに対して社会的にどう思われてるのか理解できず(だから弟に迷惑をかけてることもわからず弟の嘘である成功を信じきってる)被害者家族がどう思うかも考えずに手紙を出し続け、しかも謝罪や自分のことならまだしも弟が成功して幸せに暮らしてるという被害者からまったく知らんがなっていう余計なことまでも伝えるって、お兄さんはそうとう頭悪いし過剰にウスノロな人に設定されてるよね。そういうのが好きじゃないと言えば好きじゃないんだ。別の意味ではそういう人間に生まれついてしまったことの悲しみとも取れるけど。

だから彼が玉山じゃなく佐藤隆太ってとこが余計に、ああそういう人なら仕方がない…っていう説得力にもなってるんだけどさ。(にしてもあのちらっとだけしか出てこない彼の演技は大変胸に迫る感じで泣ける)

あと確かに直貴は兄ちゃんのせいであまりに人生の割食ったし辛い目にあったけど、そのかわりに由美子さんという人の痛みがわかる本当に素晴らしい人と出会えたってことは良かったと思うんだ。兄ちゃんなくしてはその出会いはなかったと思うし。最初の彼女はまあ残念だったけど、まあ普通に考えて彼女の家の方にはまったくメリットないどころかデメリットしかないんだから仕方がねえ。(本当に従兄弟の中村倫也と結婚したんだろか、気になる)

ああ、社宅の隣人の眞島さん、なんでああいう人が存在するんだろう。いかにもDVとかしそうだったし!クソだな!

ともあれあの最後の刑務所ライブは今まで自分の本当の意味での罪にまったく気がついてなかった兄ちゃんのこれからの人生、模範囚ならそろそろ出所かと思うけど、その人生と弟の心情を考えるとあまりにも遣る瀬無い気持ちになってしまうのでした。あの後あの兄弟はどうなったんだろう…そこはとても考えさせられる。みんな幸せになればいいと思うよ。

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