NHK交響楽団 第1889回 定期公演 Cプログラム


2018年6月16日(土) 開場 2:00pm 開演 3:00pm
NHKホール

演奏曲順 変更のお知らせ
本公演の演奏曲順を指揮者の意向により、下記の通り変更させていただきます。 何卒ご了承いただきますよようお願い申し上げます。

メンデルスゾーン/ヴァイオリンとピアノのための協奏曲 ニ短調
 (休憩)
ヤナーチェク/タラス・ブーリバ
コダーイ組曲「ハーリ・ヤーノシュ」

指揮:ウラディーミル・アシュケナージ
ヴァイオリン:庄司紗矢香
ピアノ:ヴィキンガー・オラフソン
http://www.nhkso.or.jp/concert/concert_detail.php?id=728

季節外れの寒気の中、久しぶりのN響定期。開演30分前に会場に到着すると、舞台上で練習中の「N響のマツコ」こと矢内陽子氏*1コントラバスを操りながら隣の奏者と楽しくおしゃべりしている様子を目撃、こちらも楽しい気分で演奏に臨む。
3曲ともメインを張れる「花」のある作品なるも、天下のN響定期の曲順が直前に(しかも「指揮者の意向」により)変更されるという前代未聞のハプニング。演奏者も聴衆もスタッフも面食らったであろうが、個人的には変更後の曲順のほうが盛り上がることは容易に予想がつく。結果的には大正解だった。
庄司紗矢香はこの世のものとも思えぬ美しい音色で魅了。これまで聴いてきたバイオリンは何だったのか*2。アンコールのパラディース「シシリアーナ」も素晴らしかった。「タラス・ブーリバ」の冒頭、こちらは「N響のマドンナ」またの名を"イケショー"こと、池田昭子氏のコール・アングレ*3のソロを堪能。「タラス」と「ハーリ・ヤーノシュ」は福川伸陽氏率いるホルン隊が大活躍。名人芸のソロ、4人がぴったり揃ったハーモニーを存分に聴かせてくれた。特筆すべきは生頼まゆみ氏の異国情緒と哀愁たっぷりのツィンバロン*4。指揮のアシュケナージ氏は小柄な体を駆使し緻密な指揮でつわもの揃いのオケを完全に掌握・統率していた。演奏後、うつむき加減にちょこちょこと捌けていく様は大御所らしからぬ可愛い所作で、聴衆の微笑を誘った。
以上、聴きどころ、見どころの多いコンサートであった。

*1:コントラバスを選んだのはなぜですか。──正直に言っていいんですか? 演奏しながらしゃべれる楽器だからなんです。(吹奏楽の中では)打楽器とコントラバスだけは、管楽器と違って口がふさがらないのでおしゃべりできるのがいいなと思って。楽員インタビュー 矢内陽子https://www.nhkso.or.jp/library/interview/9831/

*2:先日聴いた無料のコンサートがあまりにもアレだったので、よけいに「落差」を感じた次第。青葉の森公園芸術文化ホール プロムナードコンサートVol.29 愛のあいさつ(エルガー)ほかhttps://www.aobageibun.com/lib/img/event/1001/%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%A029%E3%83%81%E3%83%A9%E3%82%B7.JPG

*3:またの名をイングリッシュホルン、またの名をコルノ・イングレーゼ、またの名をアルトオーボエhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B0%E3%83%AC

*4:またの名をツインバロム、またの名をチンバロンhttps://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%84%E3%82%A3%E3%83%B3%E3%83%90%E3%83%AD%E3%83%A0