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古書ほうろうの日々録 このページをアンテナに追加 RSSフィード

4月5日をもちまして、日々録は、http://horo.bzへ移行いたしました。

これまでご覧いただきありがとうございました。新日々録もひきつづきよろしくお願いいたします!

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2008年01月31日

鬼頭哲ブラスバンド

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 突然ですが、高校の同級生、鬼頭くんのライブのお知らせです。詳細はこちらをご覧いただきたいのですが、2月11日(月・祝)、ザムザ阿佐ヶ谷での昼夜2回公演。実のところ、このバンドでの演奏は聴いたことがないのですが「管楽器打楽器のみによる完全アコースティックな吹奏楽団です。ポップで愉快で耳馴染みのよいメロディと力強い音圧が自慢です」とのこと。参加メンバーのなかには、大阪のクレズマー・バンド「フレイレフ・ジャンボリー」の瀬戸信行の名前もあります。会場も木に包まれたとても雰囲気のあるところですし、これはきっと楽しいですよ。

 鬼頭くんとは、中学・高校を同じ学校で過ごしたのですが、とくに親しい友人というわけではありません。あの頃のぼくはいま思うとガチガチの体育会系でしたし、鬼頭くんはブラバンの人でしたから。たださすがに6年も同じところにいると、同じクラスになることもあるし、共通の友人もいたりするので、お互い顔ぐらいはわかる、とまあ、そんな間柄でした。

 実際卒業してからも会ったのは一度きり。もう7、8年前になるかと思いますが、やはりいまぐらいの寒い時期に、今回と同じザムザ阿佐ヶ谷で、久しぶりにその演奏に接したあと、ちょっとだけ立ち話をしたのでした。そのときは、東京中低域というバリトンサックスばかりが10数人集まっているバンドの一員としてだったのですが、ともかく「音ってのは振動だ」ということを体感するのにこれくらいふさわしい編成もなく、相変わらずセンスの良い意欲的な活動をしていることを、とてもうれしく思ったものでした。

 高校時代、彼は「マジョルカ」という、ブラバンのメンバーを中心としたバンドをやっていて、ぼくはそのバンドのファンでした。松岡直也の、たしか「ディサフィオ」がテーマ曲で、おそらくはバンド名もそこから来ていたと記憶しているのですが、当時ぼくも松岡さんが大好きだったので、それを自分たちでカバーして達者に演奏している彼らはとても眩しかったです。あと「イズント・シー・ラヴリー」。言わずと知れたスティーヴィー・ワンダーの大名曲ですが、彼らが演っていたのはソニー・ロリンズ・ヴァージョンのカバーで、♪チャッ、チャチャチャチャチャチャチャチャチャ、チャッ、チャ、というリフが入るんですが、これがかっこ良くて。たぶんぼくはこれでスティーヴィー・ワンダーを知ったんじゃないかな。それに高3の秋の文化祭でのライブ、これも忘れられません。受験勉強のためほとんどのメンバーが抜け、ふたりだけになった「マジョルカ」。鬼頭くんのサックスと、高島東伸のギターとボーカル。なかでも「オール・オブ・ミー」は絶品で、いまでも何かの折にこの曲を聴くと、ステージ上のふたりの姿が甦ってきます。

 というわけで、ネットで偶然このライブのことを知って以来、あの頃のことをぼんやりと想い出しているのですが、みなさまも、もし興味を持たれましたら、2月11日は阿佐ヶ谷へお出かけください。また、鬼頭くんはこのバンド以外にも、前述の東京中低域のほか、今をときめく渋さ知らズのメンバーなどとしてもあちこちで演奏しています。機会があったら、ぜひ一度お聴きになってみてください(昨日紹介した「ぐるり」によると、3月28日に下北沢440東京中低域があるようです)。

 あと、そうだ、これも今回知ったのですが、鬼頭くんもはてなブログがあります。タイトルはうさぎのえさ

(宮地)

2008年01月30日

美容室 Peace 沖縄玉城

定休日。

保険の更新をしたり、安田邸で谷根千仰木さんと待合せ一箱古本市の下見をしたり、水族館劇場桃山さんが来てくださってある楽しい企みの相談をしたり、合間を縫ってバタバタと品出しをして、夜は沖縄で美容室をやっているIrieさんと奥さまのなつはさんと宮地と私の4人で、西日暮里の大栄へ。

カムジャタンの食べ頃を待つ間しばし4人で鍋を覗き込みながら、獣医をしているなつはさんの講義で椎間板ヘルニアのお勉強。フムフム。職場仲間と焼き鳥屋に行くとクシから外して、例えばハツをとったら「右心室!」「ハズレ!」「当たり!」とかするそう。楽しそうだな。

4人して多いに飲み、喰いながら、今の暮しのと、これからのことなどいろいろな積もり話に花が咲く。いろいろ刺激を受ける。ふたりとも大栄を気に入ってくれたようでよかった!

今年1月にはIrieさんのお店「peace」のHPも完成しています!http://www.peace-style.com/

写真を見ていると4年程前の旅を思い出します。

ゴールデンウィーク開け、沖縄の梅雨入り前がおすすめとのことです。お出かけの際は、HPで営業日などを確認してくださいね。

(ミカコ)

ぐるり 2008/2月号 <特集>友部正人

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 おととい、編集長の五十嵐さんが最新号を持ってきてくださりました。毎号恒例の田川律による巻頭インタビュー、今回は友部正人さんです。

 旧知の間柄のふたりによる、のんびりとした会話が13ページ分。マラソンから、おじいちゃんになった感慨まで、話は脱線しながらあちこちに及ぶのですが、一番面白かったのは、うたの歌詞についてのくだり。「発音して意味が他の言葉と間違えられやすいものとかは避ける」という話題の最後の方を、ちょっとだけ引用します。


友部 熟語とかを多用するのは歌向きではないよね。でも、はっぴいえんどとか結構難しい熟語とか使っていたよね。

田川 ああ、そうだね。

友部 耳で聞いたら何のことか分からない。

田川 うん。ただ、それは別々だから。松本隆はうたわないじゃない。

友部 うたわないの、あの人?

田川 うん、全然うたわないよ。さすがに誰もあの人の歌は聴いたことないんじゃないの。

友部 なるほどね。自分でうたわないからか。

歯車とスモークドサーモン

 友部さんのこういうところって、とてもチャーミングですよね。ほかにも会話の端々までその人柄が伺える、楽しく読みでのあるインタビューです。3月に出る新しいアルバムについて、ほとんど触れられていないところもまた、そこに流れるゆったりとした雰囲気に一役買っているのかもしれません。

 ほかにも、渋谷毅のインタビューや南陀楼綾繁さんの連載、そしてもちろんこの雑誌の骨幹である中央線沿線を中心としたライブのスケジュールなども載って、300円ぽっきり、と大変お買い得です。ぜひご一読を。

 

 あと、五十嵐さんには、先月、東小金井の「ザ・チャンプルー海風」でおこなわれた、山口洋さんとリクオのライブの話を伺いました。小川美潮がゲストというのがとても意外で(ジョニ・ミッチェルの「コヨーテ」を共演したそう)、どういうつながりなんですかね、と訊くと、「昔レコード会社が同じで、洋さん、デビューしたばかりの頃、美潮さんにいろいろお世話になったらしいよ」とのことでした。そっかあ。確かにおふたりともエピックだ。

 1991年、ぼくがもっともよく聴いたアルバムは小川美潮の『4 to 3』だったのですが、洋さんはその前年に『柱』でメジャー・デビューを果たし、その年には2枚目の『凡骨の歌』が出てます。ぼくがHEATWAVEに出会うまでには、もうしばらくの時間が必要だったのですけどね。ちょっと前にも書きましたが、最近、洋さんの阿蘇でのライブ盤をよく聴きます。ここ最近の自分と絶妙にシンクロしているのか、ともかく歌詞がすうっと入ってくるのです。もちろん、選曲や弾き語りであることによる影響もあるのでしょうが、こんなことはこれまでありませんでした。

(宮地)

2008年01月29日 百瀬さん

 古書現世さんの店番日記で、百瀬博教さんが亡くなったことを知る。心臓が大きく一回ドクっとなった。

 かなり古くからのお客様であった。年に数回、ふらりと夜の古本屋へ、芸人さんと連れ立って現れた。私はいつでも緊張していたが、好きなお客様のひとりでもあった。

 大きな躯に大きな声。トレードマークの黒いキャップ。惚れ惚れする豪快な買いっぷり。


 これまで食指の動かなかったヤクザ映画に、なぜか今年はスイッチが入り『仁義なき戦い』シリーズを立て続けに5本観た。

 完結篇を観た帰り、そういえば百瀬さんは飯干晃一の『仁義なき戦い』の元になった手記を書いた美能幸三の本を探していらしたよねと宮地と話していたのはつい先週末のことだ。ヤクザ映画を観たあと誰でもそうなるように、私も肩で風を切りながら、ちょっと百瀬さんに近づいたような気になったばかりだったのに。


 あれは3年くらい前だったろうか、店のマンションの改修工事で外壁一面に足場が組まれていたある晩のこと。 「店、辞めちゃったのかと思ったよ。今日は寄るつもりはなかったんだけどさ、車で前通ったらこんなんなってるから、びっくりして見に来たんだよ。」と、百瀬さんが勢いよく飛び込んでいらしたことがあった。無事を確かめると、その日はすぐに店を後にされた。百瀬さんが気に懸けてくださっているということが、私にはポケットに忍ばせる大切な石のひとつになった。


 またある日は、宮地がパソコンを開けていたら、ホームページ作ったからとちょっと嬉しそうに声をかけてきてくださった。云われるままにページにとぶと、百瀬さんの顔写真のトップが出てきたのだが、黒を基調としていたためパソコンの画面に付着していた塵の方が際立ってしまった。その時は確か百瀬さんは、ちょっと汚いな、拭いてくれよ、と仰ったのだった。http://hiromichi-momose.jp/


 今日は百瀬さんの大きな声が一日中耳の奥の方で聞こえ、今まで忘れていたようなことをいろいろと思い出した。古本屋にならなければ、私なんぞは身近に接することのなかった方だなぁとつくづく思う。

ほうろうにお運びくださりありがとうございました。

でもなんだかまたふらりと夜の古本屋に現れそうな気もします。

(ミカコ)

スノードームに魅せられて

http://www.kawade.co.jp/np/isbn/4309906974

2008年01月28日

「亀ノ本棚」あと1週間です

 大好評のはと展覧会も、残すところあと1週間。まだの方はお見逃しなく。今日はちょっとだけ展示の様子をご覧にいれます。


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絵は店内のあちこちに。思わぬところにも飾られています。


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店の奥のスペースは「はと商店」。マッチ、バッチ、ポストカードにマグネットなど盛りだくさん。Tシャツもあります。


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ディランも見守ってくれてます。(宮地)

文庫の思想書たくさん出しました

 平凡社ライブラリーとか、ちくま学芸文庫とか、講談社学術文庫とか、まあその手の文庫本を50冊ほど出しました。一番多いのは柄谷行人で16冊。ほかにもサイードバフチンデリダ木田元多木浩二など、いろいろ。また、同じような系統のハードカバーもあれこれと。こっちは、内田樹東浩紀大澤真幸野矢茂樹といったようなラインナップ。何冊かは本日の品出しにもアップしました。状態はどれも並程度で、ヨレやちょっとした汚れがあったりするものもありますが、そのぶん値段は安めにしました。

(宮地)

2008年01月27日

歯には歯を

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 今日はほかにもっと良い装幀の本も出しているのですが、作品への思い入れから、これを。クレジットもありませんし、帯なんか随分ヒドいものですが、時代の空気はムンムン伝わってきます。ちなみに裏表紙はこんな感じで、カバーを外すとこうなります

 ぼくにとって大藪春彦は重要な作家で、10代の頃は本当によく読みました。出会いはご多分に洩れず「野獣死すべし」で、たぶん中学1年くらい。父の本棚にあったのを何となく抜いたらたちまち惹き込まれたという、これまたありそうな話なのですが、それが数多ある『野獣死すべし』のどのヴァージョンだったか、ということで言えば、わりと少数派なのではと思います、少なくともぼくらの世代では。版元などは全然憶えていませんが、新書判で、表紙では日本の洋画家が描いたと思しき女性がけだるい表情を浮かべていました。

 その本のことを今でもよく憶えているのは、もちろん「野獣死すべし」に受けた大きな衝撃ゆえなのでしょうが、そのおかげで作品の内容以外の細かいところも結構記憶に残っています。全体がヴァラエティ・ブックのようなつくりで、たしか数ページ読み切りのコラムがいくつか収録されていました。あと拳銃事典のようなページもあったんじゃないかなあ。

 でももっとも印象に残っているのは「野獣死すべし(渡米篇)」。何じゃこりゃ、てな感じで、ずっこけました。まあ、マイク・ハマーにしろ、リュー・アーチャーにしろ、フィリップ・マーロウにしろ、ともかく誰であれ、当時のぼくに私立探偵の友だちはまだひとりもいなかったのだから仕方ないんですけどね。残念ながらこれがきっかけでお知り合いになるということもなく、彼らとあらためて出会うのはもうしばらく後のことになるのですが、でもその訳の分からなさゆえ、彼らの名前だけはこのとき脳裏に刻まれたのでした。

 で、長い前置きになりましたが、今日出したこの『歯には歯を』にはその「渡米篇」が収録されている、というわけです。1960年初版とありますから、たぶんこれが最初に本になった版でしょう。初出は「ヒッチコックマガジン」のはずで、あとがきにも「なお、この渡米篇は、中原弓彦氏の協力を仰いだ」とあります。それこそ四半世紀ぶりくらいに読むともなく眺めていたら、なんとペリーメイスンまで登場していたんですね。これは憶えてませんでした。もし記憶の片隅にでも残っていたら、彼との関係もまた違ったものになっていたのかもしれません。それこそ父の本棚には、あのシリーズがすべて揃っていたのですから。

(宮地)

Who is Kazetaro Yamada ?

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 忍法帖ものの第1作目。少なくともこの頃までは、「かぜたろう」と読ませたい、という気持ちをお持ちだったよう。でも「ふうたろう」でブームに火がついちゃって「まあいいか」となった、といったところでしょうか。想像ですけど。お値段等はこちらで。表紙はこんなです。とくに好みの装幀ではありませんが、カバーの状態がとても良いのでそれなりに付けました。本自体はやや傷んでいます。

(宮地)

2008年01月25日

図書館あちこち

FUTON (講談社文庫)

 あちこちの図書館から「予約資料が届きました」あるいは「すみやかにお返しください」といったメールが届いたので、今日はそれらをまとめて片付けることに。

 まず、自宅から一番近い北区昭和町図書館。予約していたバーバラ・ヘンドリックスの『スペイン歌曲集』の受け取り。あるきっかけがあって(近いうちに書く予定)、ここ1週間ほどスペインアルゼンチン作曲家による歌曲を聴き込んでいるのですが、これもその流れ。Arte Verumというヘンドリックス自らが設立したレーベルから出ていて、前にどっかのレコード屋で見たときは見送っていたのですが、なんと北区にありました。これはラッキー。

 次は荒川区尾久図書館。ここは昔ながらの懐かしいつくりの図書館で、低い天井と壁に開けられたたくさんの通路に囲まれているととても落ち着きます。前にアルバイトをしていたことがあるので気心も知れているし、わが家に帰ってきたような気にさえなります。ここでは、年末年始に読んだ中島隆の『廓の与右衛門控え帳』、堀江敏幸『めぐらし屋』、乾くるみ『イニシエーション・ラブ』などを返して、川又千秋の『幻詩狩り』、中島京子の『FUTON』、あとミシェル・ルグランの『ヌーヴェル・ヴァーグ作品集』を借りました。

FUTON』は、昨日紹介した「イワト」のなかで水牛八巻美恵さんが取り上げてらしたもの。解説は斎藤美奈子、そしてカバー装画は「わめぞ」の絵師としてもお馴染みの武藤良子さん。『幻詩狩り』は南陀楼綾繁さんにすすめられて。ルグランのは、去年だったかに出た4枚組の映画音楽集成から漏れた音源が中心。『ローラ』や『5時から9時までのクレオ』からの手元にない音源が収録されているので、本当は買わなきゃいけないんですけどね。

 しばし店に寄った後、文京区本郷図書館。今度の一箱古本市鴎外記念室の中庭を使わせていただけたらと思っていて、相談にのっていただけるかどうかを伺いに行ったのですが、到着してふと館内案内を見たら「祝日休館」とありました。お願いしようと思っていたのは5月3日だから、これはアウト。引っ越して以来、メインの図書館荒川区にシフトしていたため、文京区は祝日休館というのをすっかり忘れてました。ああ、大ちょんぼ(と思ったのですが、これはぼくの早とちりで、あらためてお訊きしたら、鴎外記念室の方は祝日も開館しているそうです。ただ、次年度となる4月以降の開館予定まだ決まっていない、とのこと。やはりちょっと難しいかもしれません)。

 そういったわけで、ほんとは何も借りる予定はなかったのですが、新入荷棚にユンディ・リの弾くプロコフィエフピアノ協奏曲第2番がありました。ぼくの大のお気に入りのこの曲を、ベルリン・フィルへのデビューにあたり自ら選んだというインタビューを読んで、このピアニストへの興味が俄然膨らみました(これまではこの人気者をちょっと色眼鏡で見ていて、ちゃんと聴いたことがなかったので)。カップリングのラヴェルト長調)もかつて大変入れ込んだ曲だし、これはうれしい1枚。早く聴きたい。

 気を取り直して、台東区谷中コミュニティセンター図書室へ。「Mac People」12月号を返却。よみせ通りののだやさんでホットワイン用の赤を1本買い、本日の最終目的地、文京区本駒込図書館へ。届いていたのはロス・アンヘレスの『スペイン民謡集』とホセ・クーラの『アネーロ』。あと棚から、ラローチャさんがファリャとモンサルバーチェを弾いた盤と、たまたま目についた太田幸雄とハミングバース『夜を盗む男たち』も。

 本駒込図書館からの帰りは駒込経由が定番。おせんべいやさん本舗で「黒胡椒せん」、その斜め向かいの有機栽培の八百屋大根小松菜をそれぞれ買い、家に戻りました。駒込駅東口から本郷通りに抜ける道沿いのこの一角には、他にも水族館劇場の浅野くん大推薦のケーキ屋トロンコーニなどもあり、たまに通ると心が躍ります。

(宮地)

ラヴェル:ピアノ協奏曲

ミシェル・ルグラン ヌーヴェル・ヴァーグ作品集

スペイン民謡集

2008年01月24日

加藤千晶と寒空はだか

俺様と私

 先週に引き続き、シネマヴェーラ渋谷で『仁義なき戦い』を2本観てから下北沢へ。神泉の駅をたぶん10数年ぶりに使い(ビルになってた!)、下北沢南口の変貌ぶりに驚く(ドトール消滅!)。シネマアートンに寄って、不忍ブックストリートMAPを置かせていただいてから、leteへ。「加藤千晶の二人三脚」、今日のゲストは寒空はだかさん。

 はだかさんはすごい人でした。どうすごいって「実演を観てください」としか言いようがないんだけど、それだけじゃぼくが今日まで観る機会がなかったのと同じでなかなかその気になれないでしょうし、「おかしくて笑いが止まらないけどそれでいてスマートなんだよ、腹を抱えると同時に灰色の脳細胞も刺激されてるっていうのかなあ」なんて言っても余計わからなくなるだけだし、でもだからといって「ギターの弾きマネをしながら唄うんだよ」というんじゃ却って敬遠されちゃいそう。これがなかなか難しい。

 でもほんと楽しかったです。扉のすぐそばの寒そうな席だったので用心してコートを着たまま観ていたら、笑い過ぎで体がぽっぽしていっぱい汗かいちゃったほど。亡くなった琉球かぶれでイカ釣り名人だったお兄さんの話や、「都営一族」と「営団改めメトロ一族」との地下世界での抗争の話とか、忘れられないです。豊富な知識と鋭い観察力もさることながら、そっからいろいろと取り出してくるセンスが抜群。演芸や音楽に対する造詣も半端でなく、RCの「トランジスタラジオ」を元歌に、さまざまな芸人の物真似をするパートなど、ほんと圧巻でした。

 ただ、これが今回はじめて知りましたというのだったら単にうれしい出会いということで済むのですが、実ははだかさんとはこれまでも面識があったのです。ご近所さんだし、うちの店でのふちがみとふなとのライブにも来てくださっていたし、本を売ってくださったこともあります。自分次第でもっと早くこのステージに触れられたんだよな、と思うと、ちょっと悔しいですね。ですから、もしこれを読んで「好みかも」と感じた方は、ぜひご覧になってください。一番近いところでは、今度の日曜日(27日)、六本木スーパーデラックスでライブがあります(ゲストもスゴい。柳家三三高田漣)。また、すでにチケットは完売していますが、2月には細野晴臣!と立川志の輔を迎えての本多劇場、というのもあるようです。ほうろうでもいずれ、できたらいいな。

 後半は千晶さんのソロ。弾き語りを聴くのは今日がはじめて。やっぱり複数の人間で合奏する方が千晶さんの曲は映えるなあ、と思いつつも、耳になじんだあの曲この曲がいつもと違って聞こえてくるのは新鮮な体験でした。前半最後の「東京タワーの歌」(♪たわー、たわー、東京タワーにのぼったわー。)と、アンコールでの「カヤバコーヒー」「ぼくは特急機関士で」(by 三木鶏郎)ではふたりによる共演も聴けたのですが、これがまた最高の演し物。はだかさんはとても良い声をお持ちなのですが、千晶さんとの相性がこれまたバッチリ。ハモっているところは、ほんと耳に心地よかったです。

(宮地)

日程発表

 ライブが終わった後、やはりお見えになっていたNEGIさんとミカコの3人ですぐ隣の焼き鳥屋へ。大宮アルディージャの話からはじまって本のことなどあれこれ。NEGIさんの最近のおすすめは佐々木譲の『警官の血』。谷中が舞台の3代にわたる物語とのこと。

 前回11月のライブ後に飲んだときは「明日が残留できるかの大一番です」なんて話をNEGIさんにしていたのですが(実際それは大宮の歴史に残るゲームとなりました)、それからちょうど2ヶ月経って、はやくも今日は今年のJリーグの日程発表日。家に帰ってまっ先にパソコンを開いて確認してみたのですが・・・。

 どよーん。

 そこには想像し得るもっとも最悪のパターンが。「2日開催となった一箱古本市のどっちかは行けないかもな、でもゴールデンウィークは過密日程だからうまくすれば両方アウェーの可能性もあるぞ」なんて調子良く考えていたのですが、両日とも思いっきりぶつかってました。ああ。他にも仕事がらみですでにダメな日があったり、妙に日曜開催が多かったりで、前半戦はかなり壊滅的。無理してでも行くだろう3月9日開幕戦の次は下手すると5月10日になっちゃういそう。まあ三浦監督との再会となるこの札幌戦に行けそうなのが唯一の救いといえばそうなのですけど。

(宮地)

「イワト」創刊号

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 神楽坂の小劇場シアターイワトから、新しい雑誌が創刊されました。その名も「イワト」。小ぶりなサイズ、しゃれた表紙、紙の質感。そんなすべてが絶妙で、思わず手に取ってしまうかわいらしいヤツです。

 全部で40ページちょっとのなかに収められた15篇。役者に噺家、映画配給会社員に知的障害者支援員、はたまた解体屋まで、さまざまな職種の方々のどれも興味深い文章です。それらを読んで感じるのは、この世の中にはいろんな人がいてそれぞれが誠実に毎日を送っているんだよなあ、という至極当たり前のことなのですが、でもだからこそ大事なそんなことを再確認できて、とてもうれしくなりました。

 また、詩あり、日記あり、写真あり、レシピありとヴァラエティに富んだそれらの文章を、あるものは2段組み、またあるものは3段組み、場合によっては横書きにと、それぞれ適切に配置していく平野甲賀さんの技の冴えも見逃せません(あの独特の字体も満載)。ぼくたちの大好きな往年の晶文社の本をコンパクトにしたようなその造本も、この雑誌の大きな魅力のひとつです。

 定価も320円とお手頃。ご来店の際は、ぜひご覧ください。

 あと、シアターイワトでは、本日24日より「うたのイワト」なる4日間連続のライブが組まれています。明日25日のKILLING TIMEや、27日の二階堂和美など、何とも素晴らしいラインナップです。チケットは完売しているかもしれませんが、とりあえずお知らせまで。

(宮地)

2008年01月23日

「海」のバックナンバー

ヤスケンの海

 毎週水曜日は定休日=店内整理日。よい天気だと、どうしてもシャッター閉めてるのがもったいないような気になるのですが、今日のように雪が降った日には心置きなく仕事に勤しめます。先週、先々週とあった不忍ブックストリートの会合もなく、夜までみっちり品出しに励むことができました。値の張るものは本日の品出しに記しましたが、それ以外にもあれこれ放出してます。

 たとえば、文芸雑誌「海」のバックナンバーを25冊。全部1冊100円です。状態は相当悪いですが(背ヤケ汚れ、小口ヤケ、しみ、傷みなど)、うち23冊は1978年から1982年までと、この雑誌がもっとも充実していた時期のものですから読み応えはあります(編集部に安原顕村松友視がいた頃)。

 まず連載では、吉田秀和の「芸術散歩」と塩野七生の「海の都の物語」が目を惹きます。そして1982年には、後に『モダン都市東京』としてまとめられることになる海野弘の大傑作がはじまっています。

 巻末にはたいてい外国文学の特集が組まれ、ドナルド・バーセルミ、ミシェル・トゥルニエジョン・バース、オスカル・パニッツァといった作家たちが取り上げられています。マンディアルグの特別講演「エロティスムと文学」なんてのも。

 そしてそれらに混じって毎号いくつかの短編が載っているわけですが、目についただけでも、田中小実昌色川武大小林信彦中野美代子小沼丹上林暁、といった名前を挙げることができます。安原顕が流出させた村上春樹の生原稿もこの時期のものなんじゃないですかね。

 村上春樹と言えば、1頁ぽっきりの「ピンボール後日譚」というエッセイも載ってました。すぐ次の頁は塩野さんの「宿敵トルコ」で、この雑誌ならではのそんな意外な展開も楽しいです。ボロい本が気にならない方は、ぜひお求めください(店内の100円均一棚にあります)。

(宮地)

徒然王子

 日曜日から朝日新聞の朝刊で島田雅彦徒然王子』の連載がはじまりました。すでにご存知の方も多いと思いますが、挿絵は内澤旬子さん。ほぼ毎日内澤さんの新作を目にすることができるという贅沢な一年がはじまった、というわけです。新聞小説を読む習慣がないので、早くも一日あたりの話の進み具合に欲求不満を感じていますが、まあそのうち慣れてくるのでしょう。きっとほとんどの挿絵は本には載らないので、みなさまぜひお見逃しなく。図書館で一週間分まとめて読む、という手もあります。

(宮地)

2008年01月21日

「亀ノ本棚」3日目

 12時過ぎ、店の前を通りがかったアメリカ人と思しき若い女性が「エクスキューズ・ミー」と入ってきて、早口の英語でいろいろ訊いてくる。どうもショーウインドウに飾ってあるはとちゃんの絵『ミケとツバキ』を買いたいご様子。ただ「この絵は売り物なの?」「おいくらかしら?」ぐらいまではなんとかわかったものの、そっから先があやしくなる。最終的に「これからバンコクに10日間ほど行くのだけど、2月1日に日本人の友だちと一緒にまた来るからよろしく」ということは理解したけど、売約済みにするべきなのかどうかという肝心要のところが確認できずじまい。

 こういうとき、たとえば旅先でなら、身振りで何とかなったり、案外日本語が通じたり(コトバが通じるのではなく話す表情などから真意が伝わるといったような)するのだけど、こういう場ではどうにもなりません。まあ、普段は日本語の話せない外国人はおみえにならないので問題ないのですけど、はとちゃんに申し訳ないことをしました。でも、2月1日が俄然楽しみに(もし売れたら「稲垣書店がやってきた」のとき以来の高額取引かな)。


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 それからしばらくして、はとちゃん来店。店頭に貼ってある「亀ノ本棚ご案内図」の縮小彩色バージョンをたくさん印刷して持ってきてくれました。これで「せっかく見に行ったのに気付かなかった」「そんな絵あったっけ?」というような心配はなくなりました。でも「うわ、こんなところに」という驚きもこの展示の見所のひとつなので、個人的にはいったんひと回りしてからこの案内図を手にされることをお薦めします。また、裏面は「紙版はとごや」2008年1月号となっており、楽しいイラスト満載。おみやげにもぜひどうぞ。

 しかし、はとちゃんのフットワークの軽さには毎日脱帽させられっぱなしです。金曜の夜、搬入と飾り付けの際に「案内図のようなものがあるといいかもね」なんて話をしてたら、翌日の初日にはもう案内図が貼られていたし、「これを小さくコピーしたのにパンチで穴空けて手に取れるようにできたらいいね」と言ったのはほんの昨日のこと。しかもできあがってくるのは、当然だけどちゃちなものではなく、はと印の刻印された魅力的なもの。この件に限らず、ともかくアイディアをかたちにする技量とスピードにはしびれます。

 はとちゃんも「いつも会期の終わり頃にようやく展示が完成する」というようなことを話していたし、残りの2週間もこんな感じで少しずつ変わっていくんじゃないかと思います。先週末にお出でいただいたみなさんも、ぜひもう一度お運びください。「しでかす節分祭」もお忘れなく。

(宮地)

2008年01月20日

「亀ノ本棚」はじまりました!

 はとちゃんの展覧会「亀の本棚」が、昨日とうとう始まりました。ほうろうの店内を使った写真や絵の展示はこれまでも谷中芸工展の期間などにおこなってきましたが、「たのしい」ということならば間違いなくほうろう史上空前です。お買い物や散歩の途中、そして通勤通学の帰りがけに、ぜひお立ち寄りください。

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 写真は会期中、少しずつアップしていこうと思っています。谷根千85号に使われた「スカイ・ザ・バスハウス」の原画もありますよ(これがまた良いんですよ!)。

(宮地)

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2008年01月18日

早稲田松竹でペドロ・アルモドバル

 

 都電荒川線面影橋へ出て、古書現世に寄ってから早稲田松竹へ。去年の春引っ越したときは「これからはこんな感じの休日が増えるだろうな」なんて思ってたけど、実際は今日がはじめて。引越っていうのはその前後だけでなく、結構生活の長い期間を支配しますね。

 さて、アルモドバル。『ボルベール<帰郷>』『バッド・エデュケーション』の2本立てだったのですが、感想をひと言でいえば「一度に観るのはもったいない」。この人にハマって欠かさず観ていたのはもう15年ほど前のことで、今ではあまり熱心なファンとは言えないのですが、相変わらず素晴らしい監督でした。

ボルベール<帰郷> コレクターズ・エディション [DVD]

 特に『ボルベール』!いかにもスペインにありそうな悲劇を、ああいうユーモアさえ感じさせる作品に仕上げ、それでいて話のスケールはでかいまま。主人公がカンテを歌うシーン(本番ではなく、最初にちょっと口をつくところ)とか、忘れないだろうなあ。

 あと『バッド・エデュケーション』では、神父の礼服姿のゴールキーパーが、横っ飛びしてシュートをセーブするスローモーションの映像が印象的。映画の本筋とはまったく関係ないけど、あれはちょっと不思議な絵でした。

(宮地)

2008年01月17日

シネマヴェーラ渋谷で『仁義なき戦い』

「一度観たかった」というミカコにつき合い、お久しぶりの『仁義なき戦い』。たぶん20年ぶりくらい。細かい話の筋はほとんど忘れていたけど場面場面は結構覚えているもので、ラストの葬儀場のような、いかにもなところだけでなく、犬肉を食べるシーンでの文太さんのトボケた表情なんかが、自分にとってはツボだったようです。来週も『代理戦争』と『頂上作戦』に行くつもり。

Hotwax 日本の映画とロックと歌謡曲 vol.2

 ミカコは『広島死闘篇』の梶芽衣子が気に入ったようで「きれいな人だよね」と感心しきり。なので、そう言えば自分も最近どっかのスクリーンで彼女を観て「やっぱりこの人のこと好きなんだよなあ」と思った、という話をしたのだけど、そのときはそれが何だったかさっぱり思い出せずじまい。家に帰ってフィルモグラフィーを眺めているうち、ようやく「ヤクザ同士の抗争で地主の娘だったな」「そうそう、小林旭を慕う役で、ジョーさんも出てた」というふうに記憶が蘇ってきて、それが『縄張はもらった』だったということが判明しました。この時期の梶芽衣子(というか太田雅子)は正直少女っぽさが抜けきってなくて、まだ日活アクションのヒロインの系譜に連なっている状態ですが、でも時折見せる目つきに片鱗が伺えたように記憶してます。

(宮地)

2008年01月16日

しでかす節分祭

 いよいよ今週の土曜日(19日)から、はとちゃんの展覧会「亀ノ本棚」がはじまります。地元に住む、大好きな絵描きさんの、待ちに待ったほうろうでの個展なので、ほんと今からワクワクしています。で、今日はこれに合わせて行われるイベント「しでかす節分祭」のお知らせ。

しでかす節分

  • 日にち 2月2日(土)
  • 時間  お昼の部15時〜 夕方の部18時〜
  • 場所  古書ほうろう
  • 参加費 無料(「しでかす豆まきセット」の販売あり)

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 はとちゃんが美術部としてチラシのイラストなどを描いている、きぐるみアイドルユニット「しでかすおともだち」のみなさんが、一日店長としてほうろうに来店。踊りながら豆をまき、福を呼び寄せる、という古本屋史上初の壮挙です。ぜひぜひお見逃しなく。


 でも「しでかすおともだち」ってなに?という方は、こちらを。

 ぼくは去年の夏、新宿プーク人形劇場ではじめて観たのですが、ともかく圧倒的な存在感。その大胆にして繊細なパッチワーク使いと、バイオレンスかつ愛らしいダンスは、子供たちだけでなく、居合わせたおとなたちのハートもしっかり鷲掴みに。昨秋の谷中芸工展マクハ屋敷での公演も大好評でしたし、プロモーション・フィルムの撮影を団子坂上で敢行したことなどから、この界隈での評判もうなぎ上りです。すでに虜になった方もまだ未体験の方も、みなさんお誘い合わせのうえお越しください。(宮地)

2008年01月14日

中古CD大量放出!

 本日の品出しにはアップしませんでしたが、久しぶりに中古CDをたくさん出しました(たぶん100枚以上はあったんじゃないかと)。以下、主だったものをアーティスト名のみ列記します(出した順)。

セルジオ・メンデス・トリオ、アート・ペッパー、ブレッド、山下達郎南佳孝松任谷正隆マッコイ・タイナー東京ブラススタイル、The Frames、ヤッシャ・ハイフェッツフィリップ・グラスニコラウス・アーノンクール、ルドルフ・ケンペ、リッチー・バイラーク、F.S.ブルム、キティ・ウィンター・ジプシー・ノーヴァ、ヒリヤード・アンサンブル、ラファウ・ブレハッチ五嶋みどりパット・メセニー、ドン・フリードマンアル・グリーンカーティス・メイフィールド、ザ・ジャム、ザ・フークラムボン澤野工房パブロ・カザルス、スティーナ・ノルデンスタム、湯川潮音、ステファン・グラッペリ、トマ・フェルセン

 最後のトマ・フェルセンというフランス人、今回はじめて知ったのですがとてもよいです。味のあるしわがれ声で、どのアルバムにも、いわゆる古き良きフランスの雰囲気が横溢しています。歌詞はまったくわかりませんが、アルバム・ジャケットのセンスを見る限り、そちらも一筋縄では行かないんだろうな。

(宮地)

Ronds De Carottes

Piece Montee Des Grands Jours

Le Jour Du Poisson

2008年01月13日

絶望の書

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 値段等はこちらを。今回は写真のみです。

特急草津号

 尾久駅の手前、しばし休憩をしている通勤型車両や『カシオペア』号の向こうに、一仕事終えた『北斗星』号が赤いディーゼル機関車に引かれて戻ってくるのが見える。今日は少し遅刻気味なのでいつもと違うものが見えるなあ、やっぱり動いているブルートレインはいいなあ、などと思いながらゆっくりと自転車をこいでいると、駅を通過していよいよスピードを上げはじめた特急型の編成があっという間にすれ違っていく。テールマークを確認すると『草津』号だ。ああ寒い、あれに乗って今すぐ草津に行きたい、でもお客さんの少ないこと、あの車両の塗装ほんとヒドいなあ、JR東日本ってほんと鉄道に愛がないよなあ、などといったあれこれが一瞬のうち頭のなかに浮かんでは消え、そしてそのなかでひとつだけ、草津温泉のことが残る。

 草津に行ったのは2004年の秋のこと。当時のほうろうでは「いつでも好きなときに休暇をとってOK」ルールがまだ健在で、いつもだったらぼくもミカコもまず海外へ行くことを考えるのだけど、ちょうどその年はぼくのアトピーが進行していたことなどもあって、「湯治だ!湯治だ!」ということになった。まあ1週間ばかり滞在したからといって病状が良くなるわけでないことは重々承知していたのだけど、湯治客の滞在する民宿で(山口荘こたつに入りながらのんびり本を読む日々は(モーパッサン三昧)よい気休めとなり疲れもとれた。湯畑の畔にある共同浴場まで道のり、ミカコが通った町営プール(確か同じ建物にザスパ草津の事務所があった)、土産物屋で買ったガーゼのバスタオル、そんなあれこれがみんな懐かしい。

 気力充実して東京に帰ってくると、店のはす向かいでブックオフがオープンすることが決まっていた。知らずに出かけられたのは幸運だったけれど、でもこれ以後ほうろうは否応なく新しい段階に突入することになる。結果現れたもっともよい面は不忍ブックストリート一箱古本市。気の置けない仲間が増え、地域とのつながりもこれまで以上に強まった。悪い面は言うまでもなく財政状況の逼迫。結局、あれ以来長い休暇は取れておらず、そういう意味でも草津での湯治は印象深いのだろうな。

(宮地)


書き出しに支配されて、使い慣れない文体になってしまいました(笑)

2008年01月11日

タクシデルミアのち談春

永遠のハバナ [DVD]

 10時半、起床。朝食はおにぎり。前夜、逗子中原さん宅での楽しい宴のなごりが体のそこここに。騙し騙しの一日となる予感あり。

 12時、デザイナー板谷さんの仕事場へ。4月に出す、新しい「不忍ブックストリートMAP」のデザインの打ち合わせ。最終候補に残っている2つの案(現在の版を踏襲したものとやや奇抜なもの)のどちらも予算的には変わりなく、実用的にも問題がないことを確認。板谷さんとは「鉄道」という共通の趣味があるので、お会いするのはいつも楽しみ。今日はほかに草思社民事再生法申請の話題なども。

 13時、いったん店へ。アクションさんから委託でお預かりしているDVD『永遠のハバナ』が一昨日完売したので、その精算の準備など。ここ2日ほどいったん品切れとなりましたが、今日また入荷する予定です。キューバラテンアメリカに対して興味津々、というほどでない方も買ってくださっている印象。実際、ハバナという街を肌で知るのにこれほどふさわしい作品もそうはないはずで、すべての人に先入観なしに観ていただきたい映画です。

 昼食に出ようとすると、船戸博史さんが来店。近所に泊まられていたそうですが、こうしてうちにも顔を出してくださるのはホントうれしい。今晩は入谷なってるハウスでライブとのこと。ほうろうでも今年またぜひ、とお願いする。ところで、ここのところ「ひこにゃん」を見る機会が何かと多いのですが、そのたびに船戸さんのことを思い出し、楽しい気持ちになります(詳しくはこちらを)。

 稲毛屋さんでおいしい照り焼き丼を食べた後、花歩さんでコーヒー不忍ブックストリートMAPの広告継続の件や今度の一箱古本市のことなどについて、あれこれお話する。なかなか伺えないのですが、いつお邪魔しても落ち着くお店です(詳しくはこちらを。さっきから人の褌ばかりで恐縮です)。自分がデザインした広告をショップカードに転用していただいているのを発見し、ミカコご満悦。

 ここからはひとりで京橋へ。映画美学校映写室で、15時半より『タクシデルミア』。あちこちで耳にした噂から、きっと自分向きではない、気分悪くなるかも、と覚悟していたのですが、想像以上に面白かったです。実験とか前衛といった言葉とは無縁の、きちんとつくられた上質の娯楽映画。映像処理のセンスも素晴らしく、見惚れました。ただ、ぼくの二日酔いのピークがこの作品の上映中に訪れたのも事実。それが偶然かどうかは微妙なところで、要は趣味が合うかどうか(間口はまあ狭いでしょうね)。

 配給元エスパースサロウの斉藤さんがいらしたので、ほうろうでチケットを取り扱っている『いのちの食べかた』の上映期間についても確認。渋谷イメージフォーラムについては2月上旬まで(延長の可能性あり)、またチケットは2月2日から15日までのポレポレ東中野での上映にも使えるそうです。とういことで、未見の方は、この機会にぜひご覧ください。こちらの間口は限りなく広いです。

 終映後、あれこれのシーンを反芻しながら徒歩でアップル・ストア銀座へ。今日は暖かい。昨秋故障したibookを修理に出すのが目的。ところが。「その機種の修理の受付は去年の11月で終了しました」「もう部品がありません」ですって。でも、9月に一度修理の相談に伺ったときにはそんなこと一言もおっしゃってないんですよ(その時点ではすでに判明していたのに)。なので、それについて質すと、「そのときにそういう説明ができればよかったとは思いますが、そうしなければならないという規則はない(われわれに落ち度はない)」とのこと。法律で定められている修理部品の保持期間もきちんと守っているそうです。はいはい。

 マックを使うようになってもう10年以上になりますが、こういう目に合うのはもちろん初めてではありません。それどころか、いつもこう、と言っても良いくらい。一貫してお客さんに対する愛がない。というか、愛は金で買え、と。そしてもちろん、スマイル0円。そういう会社なんだし何も期待してはいけないんでしょうけど、でも一度、タイガー魔法瓶の爪の垢を『タクシデルミア』の登場人物のように喰らってほしい(タイガーさんの大阪流?アフターケアについてはこちらを)。しかしそれでもマックを使い続けるわけで(ミカコ曰く「悪い男から離れられない女みたい」)、まあ因果な話です。マック・ユーザーたちの無償で絶大な愛に、ビバ!

立川談春/来年3月15日

 18時半頃、怒りをクールダウンする間もなく、ミカコと再合流し、新富町銀座ブロッサムへ。本日のメインイベント、立川談春独演会であります。今宵の演目は『子別れ』を通しで。例によって微妙な枕からはじまり、少しづつ場があったまってきたところで中入り、そして下からの後半は怒濤。なかでも亀が素晴らしく(鰻を食べる場面といったら!)、いつものように涙ぼろぼろ流しながら笑い続けるうち幕となりました。

(宮地)

2008年01月08日 リヤン王の明察

江戸川乱歩と13の宝石 (光文社文庫) 晩ご飯を食べに「深圳」に行くのに、何か手頃な読み物はないかなあ、と思案していると、さっき入ってきた買い取りの束が目に入り、ああそうだ、読んだことのない小沼丹の短編があったんだよな、と紐をほどき、光文社文庫の『江戸川乱歩と13の宝石』を持って行く。そして、今日の日替わり「茄子と鶏肉」をおいしくいただく間に、ちょうど読み終わったのだけど、「リヤン王の明察」というこの短編、とてもよかったです。

 紀元前3世紀の東洋のとある国が舞台、ということになっているのだけど、まあ細かいところはどうでもよい作りになっていて、昔むかしの中国の宮廷のお話として、さらっと読めます。探偵役のリヤン王は「(唐代の名宰相)ディ・レンジエには及ばぬものの、棕櫚の葉を敷いたと云われるくらいの資格はあるかもしれない」という設定で、ちゃんと謎解きもあるのですが、まあともかくシャレた小説。

 昔の中国を舞台にした小説、というのは、ぼくのツボのひとつで、良さそうなのを見つけたら読むようにしているのですが(一生懸命チェックしたりはしてません)、これは最近では森福都と並ぶヒットでした。これ1作しかないのは残念ですが、小沼丹がこういうものをひとつでも残してくれた、ああよかった、と考えるのが正解なのでしょう。ああ、よかった。

 あと余談ですが、「深圳」では昨日CDを売りにきてくださったお客さんと偶然お隣になりました。この方にはいつもクラシックのことをあれこれ教わるのですが(うちで扱っている『ロシアピアニズム』をきっかけにお話するようになりました)、昨日はデッカの初期盤CD(ハノーヴァー盤と呼ばれているそう)の見分けかた、について伺いました。まあうちではそういうところまでは査定に影響しないのですが(ぼくの好みの方が重要)、後学として。

 で、今日も帰り際ほんのちょっとだけお話ししたのですが、例の『カラマーゾフの兄弟』の新訳のことが話題に出ました。これについては昨日の谷根千の新年会でも話が出て、そっちは訳者の亀山さんが美男子で嫉妬を買っているという、内容とは関係ないゴシップだったのですが、何はともあれ2日続けて名前が出るというのは、やっぱりそれだけ評判になっているのですね。

 あのシリーズについては、昨晩守ちゃんが「『カラマーゾフ』と『幼年期の終わり』が同じ装幀で並んでいるのがいい」というようなことを楽しそうな顔で言ってたのも覚えてるのだけど、これはたぶん、前にちくま文庫の日本文学全集が出たとき、色川武大で一巻になっているのを知ったときと同じような気分に違いなく、この先またああいうものが出るとして(出ないでしょうけど)、小沼丹で一巻になっていたらさぞかしうれしいだろうなあ、などと夢想しつつ今日はおしまいとさせていただきます。

(宮地)

2008年01月06日

金井久美子の灰皿

f:id:koshohoro:20080106192852j:image:left あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いいたします。

 ぼくとミカコは今日が仕事始め、たまっている買い取りの計算や、買いっぱなしの本の品出しなどをしているうち、古本屋のリズムが自分のなかに戻ってきて、なんだかとても良い気分でした。調子に乗ってるうちに、先月始めた「本日の装幀大賞」みたいの、の第2回をお送りいたします。

 著者が半村良で、タイトルが『うわさ帖』、そんでもってカバーがこれっていうのはちょっとハマりすぎで面白みがない、という方もなかにはいらっしゃるかもしれませんが、ぼくはこういうのが好き。昭和57年初版の講談社文庫で特に珍しい本とも思えないのですが、うちで出すのは初めでです(滝田ゆう装画の単行本の方がよく目にします)。

 ごらんの通り、金井久美子の描く灰皿と背景の水色がとても良い雰囲気をかもし出しているのですが、彼女が妹さん(金井美恵子)以外の本を手がけてる、というのがちょっと意外でした。まあ、ぼくが知らないだけなのかもしれませんが。金井姉妹と言えば、かつては新宿あたりの文壇バーで鳴らしていたようですし(by 野坂昭如)、半村良も元バーテンダー。年もそんなには離れていないし、知り合いであること自体は特に不思議はないのですけどね。


 さて、半村良。大好きな作家なのですが、この本は読んでませんでした。と言うか、エッセイはほとんど読んでいない、ということにいま気付きました。なんでかなあ。ただ、全作品を読破してこの人のすべてを知りたい、というタイプではないのかも。思い入れのわりには、読んでいないものも少なからずあるようです。

読書会

 そんな不肖のファンではありますが、せっかくなのでこれだけは紹介させて、というのが『岬一郎の抵抗』です。よく「人情噺的世界とSF的想像力が融合した傑作」というような説明のされかたをするのですが、そんなこと言われたって「何のことやら」って感じですし、「まあともかく読んでみてください」と言うしかありません。自腹を切って本を薦めることなどまずないこのぼくが、一度ならず人に贈呈しているめずらしい作品なので、信用してもらってもいいと思いますよ(いくつかある版のどれも、装幀はイマイチですが)。また、「お前に言われても」という向きには、去年出た、恩田陸山田正紀との対談本のなかで、おふたりが熱く語っていた、ということも付記しておきます。あれはうれしかったなあ。ほかにも、山東京伝に会うやつとか、天保六花撰のメンバーが総出演するのとか、タイトルはすぐに思い出せないものの忘れがたい作品は多いのですが、それはまた別の機会に。

 値段は525円です。多くのお客さんの眼に触れてほしいので通販はしません(まあ、注文はないとは思いますが、念のため)。

(宮地)

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