廃墟建築士

廃墟建築士   NHKスペシャル グーグル革命の衝撃


「廃墟建築士」   三崎亜記   集英社 ISBN:9784087712735 C0093

NHKスペシャル グーグル革命の衝撃」  NHK取材班 ISBN:9784140811924 C0036

三崎亜記の本を読むと、思考の糸がいつのまにか束ねられみごとに蝶々結びにされてしまって唖然となる。作品を生み出す毎にその「結び」は進化して、まるで結納飾りの水引のようなうつくしさが目の前に披露される。「本の虫」である自分的には勿論「図書館」が好みではあります。
「廃墟建築士」については現実に昔「廃墟好み」という西欧に文化的潮流があったとか聞いた事があるのでそういう関連かしらんと考えていたのですが、あれは「既に廃墟である形」を現出させるもののはず。
三崎さんのは「完成品を作って崩壊を促し」、その過程を味わうという考え方はどこか日本的「わび・さび」の世界にちかい様な気がします。いずれにせよ、発想の転換という意味でこちらの既成概念や感覚を微妙にずらしてくださる。喝采を送る。


「グーグル革命の衝撃」
出版が2007年。こういうIT関係の本は情報のイキの良さが命という面が大きいですが、基本に返りたいときは「情報の信頼性」を重視したいと思うとこういう本が安心ということで。そういえばGoogleについての本はまだ読んだ事がなかったような。先日のはアマゾンだったっけ。
2007年時点での推測が既に現実となっており(オフィスとか)、これは論理的必然という奴なのだろうとは思うがしかし恐ろしい。先日、マイノリテイ・レポートの映画を見た。半ばその素地は完成しつつある。
逃走するト・クルーズの網膜スキャンによって、店に入ればホログラムが名前を呼び商品を宣伝し、交通機関ほかほかすべての追跡が可能となっている。そういえば、ボーン・アルテイメイタム?での駅の監視カメラは現実らしいし。
こりゃあどこまでゆくのか、という感じである。いや既に「The Broken Window」に到達しているのだよなあ。
ここのところでせめて、「何を知られている可能性があるのか」を自覚しておく必要有り。何ができるかは別としても。