元K-1ファイタの須藤元気が、雑誌Number(761号)の特集「アスリートの本棚」に出ていた。須藤元気は、格闘家に似つかわしくなく趣味が多彩である。その彼が勧めていた本が「4つの約束」である。
http://crnavi.jp/sudogenki/blog/2010/08/number.html
「4つの約束」は、「スローライフで行こう」や「タイムシフティング」のような、生き方に対する基本的な姿勢について述べた本である。もし、あなたが仕事の成果を上げることだけでなく、人間の魅力とは何だろう?や豊かな人生とは何だろう?と考えているのであれば、その答えが見つかるかもしれない。
この本は、古代メキシコのトルテックの知恵に基づいており、その教えを4つにまとめている。その教えはは、古代メキシコの知恵(経験則)に基づいているが、心理学などの他の様々な書物が述べていることとよく一致していることは興味深い。真理は不変ということかもしれない。私は、この本の内容について十分理解できていないところもあるが、書いてみたいと思う。
第1の約束(知恵)とは、「正しい言葉を使う」。ここで「正しい」とは何かが難しい。単にポジティブな言葉を使う以上の意味があるように思う。
本の前半で飼いならしのプロセスについて述べられている。他人から承認をもらうため、気に入ってもらおうと、他人の言葉に従っていく。こうして人は、他人の価値観を押し付けられ、押し付けられた価値観を疑わなくなっていく。だとすると、ポジティブ・ネガティブという判断さえ、(他人から押し付けられた)価値観に基づいて行われることになる。
このように考えると、「正しい言葉を使う」とは、「○○すべき」とか「○○しなければならない」といった価値観に基づく言葉全般を使わないということになる。良いとか悪いとか、優れているとか劣っているといった言葉も価値観に基づいている。価値観を伴わない言葉とは、事実のみを伝える言葉であり、価値主張を伴わない言葉と言えそうだ。
第2の約束は、「個人的なこととしてとらえない」。例えば、誰かに「おまえはバカだな」と言われても、自分をバカと考えるのではなく、こう言った人のことを機嫌が悪かったんだなっと思う、というもの。福沢諭吉が、人に褒められても喜ばず人にけなされてもくさらず、といったことを思い出す内容である。
第3の約束は「思い込みをしない」。これは至極当然ですね。
第4の約束は「ベストを尽くす」。これも当然ですね。
以上のように、本書の教えは4つにまとまっているが、実はその底流には共通の考え方がある。それは、 我々人間は成長の過程で、様々な信念を社会から植えつけられる。その信念自身が正しくないこともあれば、互いに矛盾した信念を植えつけられている場合もある。この矛盾した信念が人生に不幸をもたらすというものである*1。
私にとっては「『原因』と『結果』の法則」(ジェームズ・アレン)よりも、本書の方がずっとしっくりくる内容であった。
後記
本書を読んで、「正しい言葉」とは何だろう? 「個人的なこととしてとらえない」とはどういうことだろうと考えています。そうすると、生活の中で、あぁ今個人的なこととして捉えているなぁっと気づくことがあります。そうして気づきが増えていくと、この4つの約束の良さが腑に落ちてきました。
「 いやな気分よ、さようなら」を読むと、本書の内容がよく分かりました。こちらはアメリカ人が書いただけに具体的で分かりやすい。
関連エントリ
- 作者: ドン・ミゲルルイス,Don Miguel Ruiz,松永太郎
- 出版社/メーカー: コスモスライブラリー
- 発売日: 1999/04/01
- メディア: 単行本
- 購入: 6人 クリック: 34回
- この商品を含むブログ (8件) を見る