Hatena::ブログ(Diary)

kotaの日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-06-28

「ビッグデータと人工知能」を読んで、攻殻機動隊は無理でもターミネータはありかもと思う。

 AI(人工知能)がbuzz word(流行り言葉)になり、政府・企業・アカデミア・コンサルなど様々な立場でAIに関する情報が発信されている。

 こういう状況になるとネットで情報を漁るのは無理である。ネットバブル、自分の関心のある情報しか手に入らない状態、のため全体像がなかなか掴めない。頼りになるのは書籍、しかもなるべく様々な立場の作者のものを読むのが良い。

 

 「ビッグデータと人工知能」(西垣通)は、AIに対して冷めた立場をとっている。

 著者は日立製作所でエンジニアをした後大学教員となった人物。AIの技術者は、AIに対して冷めた態度をとる者が多い。西垣も同様だ。

 AIに対してその進化を肯定するキーワードに”シンギュラリティ”がある。wikipedia:レイ・カーツワイルが有名にした言葉で、一言で言えば「人間を超えるコンピュータの出現」ということだ。ちなみにカーツワイルはAIの技術者ではない。

 西垣は、シンギュラリティを否定する。

 カーツワイルがシンギュラリティ予言を行ったのは2005年だが、当初はそれほど周囲の注目をひかなかった。

 これは当然のことと言える。何しろ、収穫加速の法則(LOAR)からすべてを導き出し、「父子」まで導き出す論法はあまりに粗雑すぎる。荒唐無稽といってもいいい。ムーアの法則の拡大解釈といっても、度が過ぎている。カーツワイルはコンピュータ工学だけでなく、遺伝子工学、ナノテクノロジー、ロボティクスの発展も考慮にいれているが、それらはまだ実用化されていない未来技術がほとんどだ。だから、相変わらずのトランス・ヒューマニストのたわごととして、マスコミには相手にされなかったのである。

 だが、2010年代に入って、シンギュラリティ問題はにわかに脚光を浴び始めた。これは、前章で述べた深層学習の成功がきっかけと言ってまちがいない。

 深層学習(Deep Newral Network)のモデルが脳をに似ているため、深層学習を推し進めていけば脳に到達できると社会は思った、と著者はいう。

 さらに、AIには目標設定ができないゆえに、人間を超えることはできないと著者は言う。

 基本的に人工知能には、問題解決はできても目標設定は無理、ということである。なぜなら目標というのは、生命活動と直結して「(特定の状況で)何が大切か」という価値観に沿って設定されるからである。

 

 そして、プライバシーに関する問題は、次のような定義から出発してシンギュラリティを否定する。いわゆるプロファイリングからのレコメンデーションにより主体的に判断する権利が歪められるという。 

 プライバシーとは「他人に知られたくない私的な事柄を秘密にすること」だと考える人は、生活の細部を知られるだけで不愉快になる。だが、ことはもっと大きい。より広く、プライバシーとは「自分の生活を、干渉されることなく主体的につくっていく権利」だと考えることもできる。

感想

 シンギュラリティ(人間を超えるコンピュータの出現)とは何だろう?

 例えてみれば、攻殻機動隊の世界と言えよう。電脳によって意識を持つ人々が生活する世界。電脳とAIの差は、ゴーストの有無として描かれている。ゴーストとは価値観に基づき目標を設定する能力と言えそうだ。

 では、ゴーストを持たないAIとは何か?

 例えるならば、ターミネータの世界と言えよう(スカイネットは脇に置いておく)。主人公を狙うターミネータは、その与えられた目標(サラ・コナーの抹殺)に向かって、最善の行動を取る。もし、ターミネータが目標を達成したならば、それは目標を失い動きを止めるように思う。

 著者の西垣の主張は、攻殻機動隊は無理だがターミネータはOKというところだ。

攻殻機動隊 PERFECT BOOK 1995→2017

攻殻機動隊 PERFECT BOOK 1995→2017

2017-06-16

「失敗学実践講義」に見る、事故・不正はやった方ではなくやらせた方に原因がある

 失敗からどこまで多くを学ぶか、それが失敗学の神髄である。 

 その失敗学の畑村教授の本「失敗学実践講義」では、JR福知山線の脱線事故など、9つの事故・事件がなぜ起きたのか「失敗学」として分析している。

 

 本書の中で一番気になった部分を引用する。これは、wikipedia:東海村JCO臨界事故

原因を作った発注元と受注先の力関係

 事故の背景をもう少し掘り下げてみましょう。たとえば、こうした”無謀な”事故の遠因によく上げられるのが、発注元との力関係です。このケースでも、発注元の意向が間違いなくいびつな判断原因の一つになっています。

 核燃料の発注元は動燃(当時、動力炉・核燃料開発事業団)ですが、彼らの希望は、要求しているレベルのものを期限内に注文量だけ安価で手に入れることです。ところが、この要求が実際は実現が難しいものであったならば、受注先は大変なプレッシャーを受けることになります。

 前述したように、事故当時JCOは、たとえ無理な注文でも発注元の要求には応えなければならない状況に置かれていました。定められた量の七倍の溶液を入れる異常な作業が常態化していたのも、こうした状況と無関係ではありません。

(中略)

 こうした場合、現実にトラブルが発生すると、発注者は「そんなことをやれと言ったわけではないので私のせいではない」と知らん顔をします。一方で、受注者で事故を起こした方の人は、「言われたからやっていたのに」と泣き言を言います。

(中略)

 こうした主従関係に端を発する問題は、最近では企業の生産部門と設備保守部門との間にも起こっています。トラブルの原因は、人件費を抑制するために企業が設備保守部門を別会社・子会社として切り離す最近の風潮にあります。合理化の名のもとにこのようなことが進められると、生産を行っているメインの部門(親会社)の主張ばかりが強くなり、設備保守部門(子会社)の声は小さくなります。その毛kkあ、設備保守部門が無理を強いられるようになり、そのことが原因でトラブルが発生するようになるのです。

 

 この事故を簡単に説明する。

 動燃(現在の日本原子力研究開発機構)が核燃料の製造をJCOという会社に請け負わせていた。JCOは作業を効率化するために大量の放射性物質を一度に扱い臨界事故を起こした。

 著者の主張は、動燃がJCOに無理なスケジュールを押し付けた結果、通常の作業手順ではそのスケジュールを守ることができず、そのためJCOが不適切な効率化された手順で作業を行い、臨界事故となった。

 つまり、事故の真因は、動燃(現在の日本原子力研究開発機構)にあると著者は主張している。

 この主張は直感的には受け入れがたい。しかし、日本原子力研究開発機構がまた被ばく事故を最近起こしたことを鑑みると、事故の原因は日本原子力開発機構にあると考えざるを得ない。

【HUFFPOST】「ビニール破裂は想定外」国内最悪の内部被曝事故、またもずさん管理

他の事例として、三菱自動車の燃費偽装事件を挙げることができる。

燃費試験の不正事件

2016年(平成28年)4月20日17時、日産自動車との合弁会社であるNMKVで開発した軽自動車の燃費試験について、燃費を実際よりも良く見せるため、国土交通省に虚偽のデータを提出していたことを明らかにした。該当の車両は、三菱ブランドでは「eKワゴン」「eKスペース」、日産ブランドでは「デイズ」「デイズルークス」であった。協業先に当たる日産自動車が、前記該当車の燃費を実際に測定したところ、届出値との乖離がみられ、不正が発覚した。実際よりも5〜15%程度良い燃費を算出しており、軽自動車の業界基準であるJC08モードで30km/1L以上という水準に見せかけていた。該当車種は即日販売及び出荷停止となった。 相川哲郎社長は、4月26日に石井啓一国土交通大臣への報告後の記者会見で改めて謝罪し、三菱自動車工業について「会社の存続に関わる程の大きな事案」と述べた。低排出ガス車認定制度(エコカー減税)について、総務大臣高市早苗は「燃費が変わった場合は、その差額(自動車重量税や自動車取得税)を納めて頂く」と述べている。

さらに、軽自動車に限らず1991年(平成3年)以降に発売した多くの車種において、違法な方法で燃費試験をしていたことも明らかになった。さらに後日、1991年(平成3年)から25年間に渡り、10・15モード燃費で計測した燃費データの偽装をしていたことが発覚した。詳しい車種及び台数は現時点で調査中とするものの、今後さらに増える可能性がある。

不正の概要

軽自動車においては、以下の違法行為が明らかになっている。

・道路運送車両法で認められていない「高速惰行法」と呼ばれる、違法な測定方法による走行抵抗の測定[

・試験結果の中から「恣意的に低い値だけ」を抽出し、燃費値に有利な走行抵抗値を捏造

・社内会議により決めた目標に沿うように燃費測定に用いるデータの改ざん

1991年(平成3年)以降に三菱が製造したすべての車両において、以下の何れか又は複数の違法行為が行われていた。なお当該車両については、開発段階において正規の走行試験を行っていなかったものの、事件発覚後に行った惰行法による燃費測定の結果、差異が3%以内に留まったことから、三菱自工は販売停止等の処置は行わないとしていた。しかしその3 %の差を重くみた国交省が独自に測定を行った結果、9車種中8車種において最大9 %の差が生じており、再測定においても不正が行われたことが発覚した。これを受け三菱自工は販売停止等の処置をとることとなった。

・軽自動車同様「高速惰行法」と呼ばれる、違法な測定方法による走行抵抗の測定

・試験結果の中から「恣意的に低い値だけ」を抽出し、燃費値に有利な走行抵抗値を捏造

・成績表に記載すべき日付や天候の捏造

・走行試験により求めなければならないデータの机上計算による算出

・異なる車両の測定結果を恣意的に組み合わせたデータの算出

wikipedia:三菱自動車工業より)

燃費偽装の原因は、三菱自動車(親会社)が三菱自動車エンジニアリング(子会社)に不当な圧力をかけていたためだ。

軽自動車の不正では、三菱自動車は燃費目標達成業務を、子会社の三菱自動車エンジニアリング(MAE)に丸投げしていたほか、子会社が実施した試験方法が「高速惰行法」であったこと、さらに、試験結果が意図的に低い値を抽出した捏造であることを知りながら、その内容を承認していた。この件について、益子会長は力のない子会社に、レベルの高い車の開発を丸投げしたことが、事件の背景にあると述べている。

wikipedia:三菱自動車工業より)

 さらに別の事例として、東芝の不正会計問題を挙げることもできる。

【iza】東芝・歴代社長の「圧力語録」 社内では隠語も飛び交う

逆にいい事例として、ヤマト運輸を挙げることができる。

 【HUFFPOST】ヤマト運輸、Amazonの当日配達撤退へ ドライバーの負担軽減で

アマゾンの荷物を運んでいるヤマト運輸が、アマゾンに「ノー」を言ったのだ。アマゾンはその発注量の多さから運輸会社を支配している。それに「ノー」を言ったヤマト運輸の決断を、「失敗学実践講義」のコンテキストで考えると、その素晴らしさがと必要性が浮き上がってくる。

まとめ

 「失敗学実践講義」は、失敗の本質をえぐりだす。

 発注元・受注者のようにノーと言えない関係において、発注元が無理な要求をすれば受注者は安全を犠牲にしてその要求に応えようとし、事故が起こる。

、この類似事例は、様々なところで見ることができる。親会社・子会社、上司・部下など ノーと言えない関係において圧力をかけると、事故・不正が生じている。

 このように例が多ければ、不正・事故をやった方が悪いのではなく、やらせた方が悪いとするのが妥当だろう。

追記

 トヨタは傘下の部品会社に厳しいコストダウンを強いることで有名。ただし、トヨタは、部品会社がコストダウンの額を言うだけでは納得せず、なぜそのコストダウンが可能なのか根拠を求める。これって、真っ当に実行可能なプランなのかチェックする機能を果たしているのだと、感じる。

失敗学実践講義 文庫増補版 (講談社文庫)

失敗学実践講義 文庫増補版 (講談社文庫)

2017-06-07

統計数字を疑う、数字にどう騙されるかを知る

 「統計数字を疑う」は、統計リテラシーの本であると同時に経済指標の教科書である。

 

 数字は分かりやすいが騙されやすい。そんなことはみんな知っている。どう騙されやすいのかが問題だ。本書は、統計のクセやパターンに主眼を置いている。

 すでに統計に関する解説書はたくさん出ていて、読者は書店でどの解説書を選べばいいか迷うほどだが、本書は、これまであまり顧みられることのなかった各種の統計がもつクセやパターンに主眼を置いているという点で、類書と一線を画する。

 本書には統計に騙される例がたくさん載っている。この例を覚えておくと宴会の話のネタにも使える。

 例の一つを紹介する。

 年末商戦をご存じだろうか?12月の消費のことだ。一年の中で12月の消費が最も盛り上がる筈だが、近年年末商戦の結果は右肩下がりに下がっている。このため「今年は不況だ」などとニュースで報道される。しかし、本当にそうだろうか?実は、高齢化によりサラリーマン世帯が減り、12月のボーナスを受け取る世帯が減ったことが原因である。

 この他にも、「経済効果」がどのように計算されているか、そしてそれをどう解釈すべきかなど、統計リテラシーを鍛える例が多数紹介されている。

 また、景気判断の指標、GDP、消費者態度指数、鉱工業生産指数、第3次産業活動指数などの景気動向指数の説明をしている点も本書の魅力だ。難しそうに思えるって? そこを分かりやすく説明している点が本書の素晴らしい所だ。例えば、GDPとGNPの違いについて次のように説明している。なんて分かりやすいんだろう。

 GDPとGNPの違いは、GDPが日本人であろうが外国人であろうが、とにかく日本国内での経済活動の結果、生み出されたものを集計するのに対して、GNPは国内であろうが国外であろうが、とにかく純粋に日本人の経済活動の結果、生み出されたものを集計するという点だ。

f:id:kota2009:20170607204410p:image:w640

まとめ

 本書は、統計リテラシーの本であると同時に経済指標の教科書である。数字には騙されやすい、そんなことはみんな知っていること。大事なのは、騙されるパターンを知っておくこと。本書には、統計に騙される例がたくさん載っており、勉強になるだけでなく宴会の話のネタにも使える。

 

2017-06-06

県庁おもてなし課、そのチームメイキングと成長力を見る

「県庁おもてなし課」は、慣れない仕事にもがく成長物語である。

 仕事をしていて成長する人間と成長しない人間がいる。

 主人公の掛水は、県庁の職員として高知県の観光振興に取り組む中で、大きく成長した。成長した理由はたった一つ。仕事のやり方を変えたことである。

 掛水は、県庁の仕事のやり方、いわゆるお役所仕事に慣れていた。事なかれ主義、公平主義、手続き重視である。しかし、彼はそのやり方を変えた。民間意識とお客様視点を導入したのだ。

 民間意識を導入するため掛水はコンサルタント清遠を雇った。清遠は策士である。彼は、県庁おもてなし課との最初の顔合わせで相手側12名全員の名前を覚えるという離れ業を見せ、職員から「やり手」と思わせる。実は全員の名前など覚えておらず、名刺交換で一部の者の名前だけ覚えておき会議の場で効果的に使い、あたかも全員の名前を覚えているように見せかけたのだ。

 清遠は観光振興策を検討するに当たって、掛水に答えを教えない。現場を回って、ヒトに合わせて、掛水に考えさせるのだ。つまり、OJT(On the Job Training)である。

 さらにお客様視点を導入するため20歳台の女性 明神多紀を派遣として掛水は雇う。観光に厳しい視点を持つ若い女性であり、さらにお役所の都合を忖度しないよう役所で働いた経験のない人間が必要だったのだ。

 お客様は神様である。そのお客様の視点を知る多紀の意見を掛水は100%肯定する。県庁の人には県庁の驕りがあると思います。(中略)それ、かなり感じ悪いです。」、「観光地で大事にすべきはまずトイレです」など、多紀の意見を掛水は尊重する。

 

 こうして掛水は高知県の観光振興を進めた。そして、仕事を成功させ、自身も成長し、多紀の好意を得る。ハッピーエンドだ。

 

 この話で3つの点に注目できる。

 一つ目は、仕事の場で成長するためには、仕事のやり方を変えていかなければいけないということだ。そして、仕事のやり方を変える上でチームメンバーを変えることが重要だ。掛水は、外部のコンサルタント清遠や派遣の若い女性多紀を雇うことで、これまでにない新しい価値観、新しい情報収集法、新しい交渉方法などを身に付けていく。

 二つ目は、チームメンバーの選択が大変重要だということだ。清遠、多紀の活躍がなければ、この物語は成立しない。掛水の最大の功労は、チームメンバーの目利きにある。

 三つ目は、女性にもてるためには彼女の意見を100%肯定することが大切ということだ。掛水から学ぶべき点は、多紀を100%肯定される役割にチームの中でアサインしたことだ。仕事としての役割ならそういった態度を取ることも容易だ。多紀の側からすれば、たとえ仕事であっても肯定的態度を取る掛水に好意を持つのは必然だ。

好きな箇所

 お気に入りのフレーズ・会話をみつけるのも小説を読む楽しみである。

 いくつか私のお気に入りの箇所を紹介する。

 

 掛水と多紀が吉門を佐和のところに連れていく、動揺した佐和は掛水に平手をくらわしどこかへ駆け出した。その佐和を掛水が追いかけ、残された多紀と吉門の会話。

「ごめんな、彼が佐和を追いかけてくれちゃって」

こちらこそ、と多紀は答えた。

「掛水さんが佐和さんを追いかけてしまってすみません」

迎えに行けなくなっちゃいましたね、と続けると吉門が小さく吹き出した。

一本取られた、と呟いた声は楽しそうに低かった。

(3節より)

 これは、佐和を追いかけたいのは吉門だったのだとさらりと読者に示した部分である。そして、吉門と佐和の関係が深いことの伏線になっている。また、吉門の呟いた声がなぜ楽しそうだったのか? 佐和と会ったこと・これから佐和と暮らすことが吉門にとって楽しみなのだろう。

 

 

 掛水は仕事のできる清遠と吉門にあこがれていく。吉門の言葉一つ一つに反応する様子を多紀にからかわれて事故を起こしそうになった。その時の会話。

「なぁ、いつか多紀ちゃんって呼んでいい?」

「いつかって、いつですか?」

「・・・・・もうちょっと俺がカッコよくなったら」

せめてもう少しあがいてから。

俺が憧れるあの人たちに、もっと恥ずかしくないようになってから。

「待ってますから、急いでください」

(4節より)

 多紀を明神さんと名字で掛水は呼んでいた。「いつか多紀ちゃんって呼んでいい?」と聞くのは掛水からの予告である。その予告に「待ってますから、急いでください」と答える多紀。この急いでいない感じが好ましい。

まとめ

 「県庁おもてなし課」は、慣れない仕事にもがく成長物語である。

 そして、掛水と多紀、吉門と佐和の恋物語がサイドストーリーとして展開し、物語を彩る。

県庁おもてなし課 (角川文庫)

県庁おもてなし課 (角川文庫)

2017-06-05

レインツリーの国、その未熟さが「痛い」

 「レインツリーの国」は、登場人物の未熟さに身悶えする小説だ。

 

 有川浩が「図書館内乱(図書館戦争シリーズ2)」で描いた小牧と毬江のエピソードのスピンオフ。映画にもなったようです。

 

 自分のつらさを分かって欲しいという甘えと、他人は自分のことを理解などできないという屈折、そして彼女のことを分かりたいという傲慢。これらがない交ぜになってなり、発せられる未熟な言動がイタい。

 とにかく、好きな人にこんなに信用されていないことを突きつけられて、ものすごくへこみました。

なんて傲慢なセリフなんだろうか。痛い。

レインツリーの国 (角川文庫)

レインツリーの国 (角川文庫)