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読書80年:名和小太郎のブログ

2017-07-03

【ブラウジング:81】 大井玄「老年の愉しみ」『みすず』, v.59, n.6 (2017)

老年は「つらい」。なぜか。歳をとることは自立生活に必要な知力、体力を失うプロセスであるから。このつらさのなかに愉しみを見つけるためにはどうしたらよいのか。――この設問について著者は、エルンスト・マッハ、幽体離脱、唯識論、などに言及しつつ説く。
日々の半分を忘れもの探しに消費している読者にとっては痛切な読み物。

2017-06-30

【ブラウジング:80】 井田真人「「有意ではない」と「影響はない」の混同、そして繰り返される100ミリシーベルト問題」『科学』v.87, n.7 (2017)

ある仮説に対して、それを統計的に「有意である」と言い切るためには、多数のデータを収集しなければならない。疫学的な分野においては、そのデータ集積に数10年にわたる時間が必要となる。それまでは当の課題に対する結論は「有意なし」ということになる。
 著者はこれを噛んで含めるように語る。

2017-06-26

【読書80年:509】 吉沢英成『マルコニ事件:民主主義と金銭』筑摩書房 (1989)

1912年、無線通信システムの導入をめぐり英国政府首脳の一人に疑惑が生じた。それは、マルコニ社首脳とのあいだに不透明な関係があるのでは、ということを暗示していた。大英帝国はなやかな時代の話である。

2017-06-17

【ブラウジング:79】 井戸哲也「光技術を利用した時計で目指す秒の再定義」,『情報処理』, v.58, n.7, p.620-624 (2017)

現在、標準時は原子時計で作っている。その標準時計には誤差があり、その誤差は光格子時計によって週に1回の割合で較正されている。つまり、標準時計には不確定要素があり、さらにその較正のためにそれなりのデータ処理時間をかけている。
 したがって、標準時計による時間は、「いま、この瞬間」の時刻をそのまま示しているわけではなく、それは推測値ということになる。
 自然の摂理よりも人工物のほうが正しい、ということか。

2017-06-15

【ブラウジング:78】 北川善太郎「「法解釈システム」序説:法律家と判断する機械との役割分担について」,『法学論叢』v.132, n.1-3, p .1-20 (1992)

現在の法律家は多義的な言葉使いをしている。だから、法律家は一意的な「法解釈システム」をまず構築しよう、技術とのかかわりを考えるのはそのあと――これが著者の主張。
裏返せば、技術者は法律家のあとをついてくればよい、という説。技術者であった私は1970年代末に著者の知遇をえたが、ついに不肖の弟子のまま過ごした。