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読書80年:名和小太郎

2012-11-12

【回顧1】 1980年代前半の情報社会論

INSやら、OAやら、ニュー・メディアやらに関するフィーバーは、とどまるところをしらないかにみえる。それにともなって、情報社会論が賑わっている。情報社会論は、1970年代の初めに流行したが、ひとサイクルめぐったということかもしれない。
 1980年代の情報社会論は、ジャーナリストであるA.トフラーの『第三の波』(日本放送出版会、1980年)が口火をきった。そのせいか、新聞社が機動力と組織力にものをいわせて作成した連載物をまとめたものが多い。だがこれらは、いずれもトピックを追いすぎた感が強く、思想性のあるものは残念ながら見当たらない。
 ということで、ここでは、情報社会を経済の変化で考えさせるものを紹介しよう。
(1)舘龍一郎編 『ソフトノミックス:経済の新しい潮流』 日本経済新聞 (1983年)
本書は大蔵省が纏めた「経済の構造変化と政策の研究会」による報告書である。役所の報告書のつねとして、とおり一遍のところもなきにしもあらずだが、現代社会のソフト化の趨勢を簡潔に示している。
(2)M・ポラト(小松崎清介訳) 『情報経済入門』 コンピュータ・エージ社 (1982年)
本書は社会の情報化の状況を経済的視点から計量的に把握しようと試みたもの。この本は情報社会の先進国である米国について検討したものであるが、その後OECDは、この方法によって先進諸国の情報化の比較をしている。
(3)今井賢一 『日本の産業社会』 筑摩書房 (1983年)
この著者が政策構想フォーラムでデータ通信開放について新鮮な発言をされたことを記憶している人もあろう。この本は、情報社会が分散化、ネットワーク化していくことについて、納得のいく論拠を提供してくれる。
(4)J.レーダ(日本能率協会訳) 『マイクロ・エレクトロニクスの衝撃:社会と労働に
与える影響(ILO報告)』 日本能率協会 (1981年)
(5)OECD(日本労働協会訳) 『マイクロ・エレクトロニクス:生産性・雇用への影響』 日本労働協会 (1982年)
(6)G.フリードリヒス他(森口繁一訳) 『マイクロ電子技術と社会(ローマ・クラブ報告)』 ダイヤモンド社 (1983年)
国際機関がそれぞれの立場で纏めたもの。立場による違いはあるが、いずれも日本の類書ほどは楽観的ではない。
(7石井威望 『エレクトロニクス社会』 講談社 (1983年)
(8)加藤秀俊 『組織と情報の文明論』 PHP (1982年)
前者はシステム学者、後者は社会学者としてそれぞれ一家をなしている人が、一般人向きに書いた本。いずれも、平明な文章によって、卓抜なる発想を楽しむことができる。
(9)旭リサーチセンター編 『コンピューター・社会・情報政策』 日刊工業新聞社 (1983年)
情報社会を政策絡みでみたもの。は情報システムに焦点を当てている。

コンピュータ・レポート』 24巻1号 (1984年)