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粗忽者草子

2018-02-12

上流階級 富久丸百貨店外商部

高柴です


高殿円さんの「上流階級 富久百貨店外商部」を読みました。

上流階級 富久丸(ふくまる)百貨店外商部

上流階級 富久丸(ふくまる)百貨店外商部

百貨店の年商の約3割を担うのは、数少ない金持ち相手の外商だ。歴史ある富久百貨店の外商部で働く鮫島静緒は、芦屋川店外商部の紅一点。専門学校を出て地元でずっとお菓子を売っていたが、その「売り出す能力」を見込まれて富久百貨店に引き抜かれ、さまざまなプロジェクトを成功させて外商部へ異動となった。独特の世界に戸惑いながらも、静緒はバイヤーとしての実績を活かしながら外商に新しい風を吹き込んでいく……。



みたいな話。

外商という(残念ながら)馴染のない世界が楽しく、文章も先日読んだ「トッカン」に比べると格段に読みやすくなっていたと思います。

静緒の経歴も面白く、静緒と外商の組み合わせでより話に奥行きが出て読みごたえがありました。


ただ、なんというか「アレ?」と思うことも多かったですね。

第一章では桝家の実家は奈良資産家だったはずなのに、第二章からは実家は京都になってる……のはもう別にいいです。京都に住んでる奈良資産家だっているだろうし、養子に入った家と実家が京都奈良なのかもしれないし。紛らわしいから統一しておいてほしいけど、一章と二章はページ数も離れてるから、うっかり説明しそこなったのかな?と納得できる。

一章の一番最初、「倉橋家には毎月の一日、決まった時間に訪問する」とあって、この一日は月初めの「ついたち」と読むのか、日は決まっていなくて月のうちの「いちにち」なのかと悩みました。でもすぐに、「倉橋家の嫁たちはなぜか一日には遠く離れたこの本家に顔を出す」とあったので、ああ、ついたちでいいんだなと納得。つまり、今は月の初めなわけね、と思っていたら、倉橋家から職場に静緒が戻ると今は月末ってことになってる。

え?違うの?ついたちじゃなかったの?

もう一度最初に戻って何度も読み返す→結局わからない。

もしかしたら倉橋家の嫁たちはものすごい能力があって、外商がいつくるか嗅ぎつけて毎月現れるのかもしれませんが読む方からするとちょっと不親切。

第三章で静緒が清家屋敷に訪問。奥様が「飾り付けた庭の写真を送ったら、娘と孫たちが来週泊まりにくるんですって」と発言した次のページで、長女&その娘、次女、三女(大学生)が勢ぞろい。

……来週泊まりに来る娘と孫って四女??三女まだ大学生なのに??

何十ページも離れていたら、作者の勘違いかなとか忘れてたのかなと思うんですが、次のページで前ページと矛盾する展開があるとちょっと居心地が悪いようなそんな気持ちになります。

しかしこれは担当した編集者も悪いでしょう。作者の意図がちゃんと読者に伝わるように気を配るべきです。こういうよくわからない、わかりにくいところはちゃんと指摘して引っ掛かりをなくす努力をするのが編集者の仕事だと思っていました。実際、他の本でこんなにどうでもいいことで引っ掛かりを感じたことはありません。ちょっと多すぎるように思います。

2018-02-09

トッカン 特別国税徴収官

高柴です


高殿円さんの「トッカン 特別国税徴収官」を読みました。

トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA)

トッカン―特別国税徴収官― (ハヤカワ文庫JA)

東京税務署で勤務する深樹は、鏡特別国税徴収官付き徴収官でまだまだ半人前。厳しいエリートの鏡に振り回されながら、税金を滞納している人々が持つさまざまな事情に巻き込まれていく。深樹は失敗を重ねながら、出会う人々と自分の人生を見つめ直していくが……。


みたいな感じ。

感想は、うーん、どうなんだろコレ。

まず文章がいちいち野暮ったくて読みにくい。

深樹の心理描写にページ数使うわりにあんまり共感できない。

というか、登場人物誰にも共感できない。みんな極端すぎ。

鏡とか、とりあえず凄そうなインパクトだけ与えてくるけどイマイチ素敵さが伝わってこない。

あと、どうしてもわからなかったのが天敵の女は鏡の前で深樹の実家の秘密を洗いざらい全部ぶちまけたはずなのに、同じページで深樹が自分の過去をばらされずにすんだって言ってるところ。

え?他にすごい秘密があるってこと?でも文脈的におかしくない??

って何度そのページを読み直したかわからない。最後まで読んだ今でも意味がわからない。

そんな調子だから、鏡がやたら「憮然」とした表情をするのにもひっかかる。これって誤用の方の憮然を使ってるんじゃないかと疑ってしまう。

けっこう有名な誤用だと思うけど、憮然の誤用と足元をすくうは他の作者の本や漫画でもしつこく出てきますね。足元をすくうって想像したらおかしいと思うんだけどな。私はいつもここ掘れワンワンのイメージが出てきます。


話の本筋は面白いと思うので、もう少し丁寧に書かれた高窓作品を読んでみたいですね。これはあまりにも雑すぎる。唐突に入り込むラブコメ展開とかキュンどころかゾッとしたし。

2018-01-13

13・67

高柴です


陳浩基さんの「13・67」を読みました。

13・67

13・67

久しぶりに凄い小説を読みました。もうコレ今年一番なんじゃないかなー。まだ1月ですが、あと11か月でこれ以上の本に巡り合えると思えない。

それくらい面白かったです。


舞台は香港で、主人公は警察官のクワン。香港警察きっての切れ者で同僚たちからは名探偵と尊敬される男。そのクワンの警察人生を2013年から1967年へさかのぼりながら描く短編集、いや中編集かな?わりとボリュームがあります。めちゃくちゃ面白いけど、一気に読むのは難しいと思います。


ミステリってトリックをひねりすぎるとなんかトリックだけ浮いて興ざめするし、人物描写に凝りすぎるとあくびが出ます。なかなか自然にトリックと人間を描いて心地よく結末へ導いてくれるミステリに出会うことはないのですが、この「13・67」はそのあたりも素晴らしい。二転三転するハラハラドキドキの展開なのに、登場人物たちもさりげなく魅力的に作り込まれていて読んでいてストレスがまったくない。

「こんな凄い話を書く人がいるなんて、世界って広いな」と感動しました。

ミステリ好きは絶対読んで損はないです。

2018-01-05

パーマネント神喜劇

高柴です


万城目学さんの「パーマネント神喜劇」を読みました。

パーマネント神喜劇

パーマネント神喜劇

面白かったです。

とある神社でお勤めに励む縁結びの神様が、いろんな人間たちの願いに向き合って奮闘する……みたいな話?

神様がめちゃくちゃ俗っぽくて好きです。

神様の力を借りる人間たちの話がそれぞれ短編集になっていて、ゆるく繋がっているので読みやすいです。

全部で4つのお話が入っていて、最初の「はじめの一歩」は、最初の一歩を踏み出すのが苦手な超慎重人間の青年と、彼の恋人のお話。正直に言うと、これが一番退屈でした。途中で読むのをやめようかなと思いつつ、神様の勢いに押されて結局最後まで読んでよかったなと。

とにかく勢いがあります。

二つ目の「当たり屋」は、ズルズルと楽な方へ楽な方へと流された結果、当たり屋をして日銭を稼ぐまでに落ちぶれた男の話。突然降ってわいた神様の気まぐれが、男に信じられない幸運をもたらすが……。これは一番好きかもしれない。神様の振り回されっぷりも見事で、読んでいてスカッとしました。

三つめの「トシ&シュン」は、縁結びを離れて二人の男女の「芸能」の成就を見守ることになった神様のお話。最後のオチまで話の流れに爽快感があって好きです。

最後は表題の「パーマネント神喜劇」で、地震がテーマになっています。神喜劇が示す通り、全編通じて緩い雰囲気の喜劇なので、ここであえて地震をもってこなくても……とも思いますし、「神様」が主役だからこそテーマにしたのかな?とも思います。


あまり深く考えず、神様と一緒にドタバタした喜劇を楽しみたい人にオススメ。

2017-11-14

犯人のいない殺人の夜

高柴です


東野圭吾さんの「犯人のいない殺人の夜」を読みました。

犯人のいない殺人の夜 (光文社文庫)

犯人のいない殺人の夜 (光文社文庫)

さらっと読めるミステリ短編集。

全部で7編ありますが、さすが東野作品というべきかどれも話のひねり方がいい感じにラストに効いてきて最後まで面白く読めました。

軽いものが読みたいときにオススメです。

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