記者は見た!(1)

王座決定戦まで一週間。
出場者たちは一体、どんな日々を送っているのか。
記者がその日常を追った。

kivikick from ゲロマザファッカーズの菊池明明は、西巣鴨にいた。
彼女が参加していたのは、アメリカ出身の伝説の白湯イスト、
サユ・ブライトマンが主宰する「おいしい白湯作りのワークショップ」だ。
アメリカの声楽学校で学んだエクササイズに、
ブライトマン独自の手法がの織り込まれたワークショップだという。

会場から出てきた菊池さんを直撃すると、
「いやあ、やっぱりアメリカに惹かれますね〜」と、海の向こうに思いを馳せていた。
「王座を穫って、賞金でニューヨークに行きたいです」

そう、kivikick from ゲロマザファッカーズの二人が王座に挑む目的は、
海外旅行に出かけるための賞金稼ぎなのである。

すっかり旅行気分の菊池さんの手には、食べ残しの菓子パンが。

このわずかな量を残すということは、決戦に向け食事制限を課しているに違いない。
もしかしたら、小食なだけかもしれないが……。

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西巣鴨をあとにした記者は、王者であるコツブ桃山城の稽古場へと向かった。
島田桃依さんはダンベルとバランスボールでトレーニングを行っていた。

「愛用のダンベルやバランスボールです。
 握った感触と、お尻の沈み具合やフィット感を大切にしています」

記者の前で実践しようとした島田さんだったが、
15キロのダンベルは一向に持ち上がらない。

「こういう日もありますよ……」
そう語ると、彼女は1.5キロのダンベルでトレーニングを再開した。

「そうそう、これがいつも愛飲しているプロテインたちです。
 飲みやすくておいしいですよ」

隣にいた高山玲子さんが記者に耳打ちする。
「島田さんは形から入るタイプのレスラーなんです。
 だから、トレーニングの事は基本おまかせしてます」

そう語る高山さんは、記者にあるメールを見せてくれた。
送り主は、レフェリーである危口統之氏である。

「宣伝を織り込んでくれたら、贔屓する」
メールには、そう書かれていた。

「確認したら、私だけじゃなくて皆に届いてるみたいですよ。
 噂に違わぬ、悪魔のレフェリーぶりですね。こういう汚い真似は嫌いです」

*          *          *

真相を確かめるべく、記者は危口氏の稽古場を尋ねた。
中へ入ろうとする記者を、危口氏は「またぐな!」と一喝した。

危口氏は、二枚の紙を記者に渡すと、無言のまま扉を閉めてしまった。
一枚の紙には、走り書きでメモが書かれていた。

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・公演前の多忙な時期に無茶な依頼をされ非常に迷惑している
・悪魔のしるし次回公演の宣伝をコント内に盛り込んでくれたチームは
 出来不出来にかかわらず贔屓する
・人前で醜態を晒すことに悦びを感じる俳優などという恥ずべき職業は、
 百年後の演劇ではもう不要とされているに違いない。はやく滅びてしまえ。

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もう一枚の紙は、よく見るとブックカバーのようであった。

記者はAmazonで検索してみたが、このような書籍は存在しなかった。
一体、悪魔のしるしの「桜の園」とは何なのか?
トーキョーワンダーサイト渋谷に出かけるほかに、それを知る手だてはなさそうである……。

悪魔のしるし 次回公演
[SAKURmA NO SONOhirushi]

 
【日程】
2012年
1/6(金) 19:00
1/7(土) 14:00 / 19:00
1/8(日) 13:00 / 17:00 全5回上演
(上演予定時間:90分程度)

【会場】
トーキョーワンダーサイト渋谷
http://www.tokyo-ws.org/shibuya/index.html

【詳細】
http://www.akumanoshirushi.com/