気まぐれ読書手帖

2017-02-21

地底アパートの迷惑な来客 (★★★★☆)

自称悪魔のメフィストフェレスが大家をつとめるアパート“馬鐘荘”の地下二階に住み始めた大学生、葛城一葉のもとに、高校生の妹二葉が訪ねてくることに。同フロアの住人薫の言葉にショックを受け、部屋を飛び出した二葉が迷い込んだのは、アパートの地下に広がる異次元世界。ふさがっていたはずの入り口を再び開けたのは誰なのか。迷惑な客とメフィストとの関係は? 地上も地下も大騒ぎ、ほのぼのコメディストーリー第二弾!
シリーズ2冊目。迎手に時々訪れる魔神はコバルトなんだろうなぁ。いつかこちらの作品にも登場してほしいです。なんだかんだいいつつお兄ちゃん大好きな二葉が可愛かったです。一葉はいい加減ゲームから離れようよ、全然反省してないじゃん。
そして新キャラのファウストが登場。塞がっていた異次元の入り口を開けた犯人であり、その理由が恐竜と写真が撮りたかったとか呆れるしかない。かなりぶっ飛んだキャラだった(笑)普段はあまり感情を取り乱さないメフィストファウストに対しては思いっきり怒っていて新鮮でした、良いコンビ。タマはいつか巣立っていくんですかね、加賀美がしょんぼりしそうだな。

2017-02-20

Bの戦場 さいたま新都心ブライダル課の攻防(★★★★☆)

物心ついた頃から“ブス"だったわたし。子供の頃に見た結婚式に憧れて、自分は無理でもせめてそれを演出する人になろうと、ウェディングプランナーになった。様々なお客様が人生の門出を祝おうとホテルを訪れる。そんなわたしが、やり手で絶世の美男子の久世課長に求婚された!?「香澄さん、ずっと探していました。あなたのような…絶世のブスを」「はぁ!?(怒)」
「ブス」という言葉がここまで連呼される小説も珍しい(笑)たとえ顔がブスでも自分の仕事に責任をもって取り組んでいる香澄は間違いなく尊敬に値する人間だと思います。だからこそ周囲の人達も香澄を慕っているんだろうし。個人的には武内さんでいいじゃんって思ったけど…。最初から最後まで良い人だっただけに残念です。
下河辺さん達はハッピーエンドで良かった。女性側が10歳程度年上となると確かに不安になっても仕方ないよね。最後の香澄のミスは私もしそうで恐いです。特に仕事中は人の話をきちんと聞かなきゃダメですね。こいつ大丈夫か?と思った課長も段々と香澄への恋心が芽生えていたようでひと安心。本人は無自覚だけど…。せっかくいい雰囲気になっても課長が見事にぶち壊してしまうので前途多難、もし続きがあるならもう少し女心を勉強した方がいいよ。

2017-02-19

86―エイティシックス―(★★★★☆)

サンマグノリア共和国。そこは日々、隣国である「帝国」の無人兵器“レギオン”による侵略を受けていた。しかしその攻撃に対して、共和国側も同型兵器の開発に成功し、辛うじて犠牲を出すことなく、その脅威を退けていたのだった。そう―表向きは。本当は誰も死んでいないわけではなかった。共和国全85区画の外。“存在しない“第86区””。そこでは「エイティシックス」の烙印を押された少年少女たちが日夜“有人無人機”として戦い続けていた―。死地へ向かう若者たちを率いる少年・シンと、遙か後方から、特殊通信で彼らの指揮を執る“指揮管制官”となった少女・レーナ。二人の激しくも悲しい戦いと、別れの物語が始まる―!第23回電撃小説大賞“大賞”の栄冠に輝いた傑作、堂々発進!
個人的な意見としては大賞にふさわしい作品だったのではないかと。殺伐とした世界観と容赦なくキャラが亡くなっていく展開に心が痛みましたが確かにラストの一文で救われました。シン達の背負っている運命がとにかく悲しくて、それをどうにかしようともがいているのに何も出来ない現状に嘆くレーナは本当に優しい子でした。徹底した人種差別とそれを当然と思っている共和国の人間こそがクズ豚なのに…。
実際には会っていないのに機械を通じて会話を交わす過程で段々とレーナとシンの絆が深まっていくのが微笑ましかったです。後に大佐まで登りつめ、「鮮血の女王」と呼ばれるようになるレーナの成長ストーリーでもあるような気がしました。だからこそ最後の展開には本当に感動しました…!心の底から「良かったね」と言ってあげたい。綺麗にまとまっていますが続きがあるようなので楽しみに待ってます。

2017-02-18

キャスター探偵 金曜23時20分の男(★★★★☆)

毎週金曜日23時20分に始まるニュース番組キャスター・愛優一郎は普通のキャスターではない。甘いマスクで女性の心を蕩けさせるだけではない。記者上がりの彼は、明晰な推理で社会の闇を斬る「キャスター探偵」なのだ・・・!
好奇心旺盛な大人キャスター・愛優一郎が持ち前の推理力で謎を解いていく報道ミステリー。普段は完璧な人間なのに心を許した人にはめんどくさい構ってちゃんになる愛のキャラにギャップ萌えしました。そんな愛になんだかんだいいつつ付き合ってる竹之内も良い奴、最後の「愛の期待以上の働きができるよう、頑張っていきたい」という決意に二人の間の信頼関係が感じられました。でもいくらおふざけとはいえ愛が帰ってきてそうそう「お風呂にする?ご飯にする?それともあたし?」なんてやってれば関係を疑われても仕方ないような…(笑)
猫屋敷の話はお婆さんは真実を知っててわざと惚けてたのかしら。無事に娘と出会えたようで良かったけど。占い詐欺の話は何事もほどほどに、ってことですかね。最後の盗聴の話は本当に気味が悪い、私は実家暮らしですが一人暮らしの場合は慎重に家を選ばなきゃな。
もし続きがあるようでしたら読みたいです。

2017-02-15

僕が恋したカフカな彼女(★★★★☆)

深海楓は架能風香に恋文を渡し、それは見事に振られた。「あなたの手紙には誤字が四十二、脱字が十四、文法的誤りが三十六、語の選択の誤りが七十八もあるわ」彼女は大変な読書家だった。食い下がる楓に、風香は一言。「なら―カフカにおなりなさい」彼女の敬愛するフランツ・カフカを目指し小説を書き始めた楓のもとに、級友から持ち込まれる不可解な謎。「彼女が突然消えてしまった」「姉が芋虫になった」そんな馬鹿な。しかし風香は冷静に鋭い観察眼でヒントをくれる。ヒントは常に、カフカにあり―?
最初はただの好奇心から風香にアタックしていたのに彼女に関わっていく内に段々と本気で好きになっていく楓の恋模様が素敵でした。カフカは読んだことないけど随分と奇天烈な作品が多いなと、テクストに織り込まれた意味を自分なりに解釈してストーリーを展開させているのはさすが。
しかし事件に関わっている大半は楓が過去に関係した女性なので自業自得な部分もあるような…。最後は風香が無事で本当に良かった、病気自体から解放された訳じゃないけど二人には平和な学校生活を送ってほしい。楓の小説もいつか賞をとってくれるといいな。