君と星の話をしよう 降織天文館とオリオン座の少年(★★★★☆)

顔の傷が原因で周囲と馴染めず、高校を中退した直哉は、不思議な青年と出会う。 「君の顔にはオリオンがいるんですね」 傷をそんな言葉で褒めた青年・蒼史は、小学生の妹・桜月と天文館を営んでいた。 成り行きで天文館に通ううちに、親とのわだかまりや将来の不安がほどけていく。 が、蒼史の友人だという「コガネ」の存在が、蒼史の過去に深く関わっていると知って…。
星が好きな蒼史とそんな蒼史に心を許していく内に自分の将来を見据えていく直哉の成長過程が丁寧に描かれていました。顔に傷があるからといって直哉の人格を勝手に否定するような言動をとる周囲の人間がクズ。だからこそただ純粋に自分が好きな星を知ってもらおうとする蒼史に直哉は惹かれていったんだろうなと。両親とはきちんと和解できたようで良かった。
しっかり者だけどお兄ちゃん大好きな桜月が可愛かった。大人が勝手に誤解して二人が離ればなれになった時はぶん殴ってやりたくなりましたとも。精神的に不安定になる蒼史をしっかりと支えている直哉は弟子として立派。コガネの正体にはなんか切なくなった、でもコガネも蒼史も二人とも幸せになってほしい。ラストは直哉に心から「おめでとう!」と言いたい。