気まぐれ読書手帖

2018-05-24

六人の赤ずきんは今夜食べられる(★★★★☆)

名声のために罪を犯した過去を恥じ、今は猟師として各地を旅する「私」。ある日、訪れた村で奇妙な警告を受ける。「森には秘薬を作れる『赤ずきん』が棲んでいる。赤い月の夜、彼女たちはオオカミの化け物に喰い殺されるが、決して救おうとしてはならない」。少女らと対面した「私」は、警告を無視して護り抜こうと決意する。だが、そのとき「私」は知らなかった。その化け物が、想像を遙かに超えた恐ろしい生き物だということを。そして、少女たちの中に裏切者がいることも―。第12回小学館ライトノベル大賞・優秀賞受賞作。

童話×パニックホラー×ミステリー。過去に名声のために行った己の罪を償う為にオオカミに食い殺される赤ずきん達を助けることにした「私」。猟師が赤ずきんの能力を駆使してオオカミになんとか抵抗しようとする場面はドキドキの連続。また赤ずきん達の中に裏切り者がいることも発覚し、事態はますます緊迫していく。なかなか隙をみせない裏切り者のおかげで最後までハラハラしながら読めました。
殺戮の裏にあるのは秘薬の魅力に支配されてしまった魔女の悲しい恋物語傲慢な魔女に相応しい結末でした。個人的には猟師になついていた紅茶ずきんが好きです。この著者の作品はまた読んでみたいです。

2018-05-23

今夜、君に殺されたとしても(★★★☆☆)

ついに四人目が殺された。連続殺人の現場には謎の紐と鏡。逃亡中の容疑者は、女子高生・乙黒アザミ。僕の双子の妹だ。僕は匿っているアザミがなにより大切で、怖い。常識では測れない彼女を理解するため、僕は他の異常犯罪を調べ始める。だが、保健室の変人犯罪学者もお手上げの、安全な吸血事件の真相は予想もしないもので―。「ねぇ本当に殺したの」僕はまだ訊けずにいる。

全体的にほの暗い。出てくる登場人物にまともな人間がほぼいない、なので共感できる場面があまりなかったのは残念。双子の妹であるアザミを確かに愛しているのに彼女の異常性を理解することができなくて苦悩する主人公の終。最後にいきなり「門」の存在が明かされてちょっとホラーっぽくなったような。でもアザミも自分の内に潜む殺人衝動に抵抗しているのが切ない。
アザミ殺人事件の犯人なのか。終の視点でストーリーが進んでいますが、疑いたくないけど疑ってしまうというジレンマを抱えてしまう終が憐れ。これからこの二人はどうやって生きていくのか、案外なにも変わらずに生きていくのかな。

2018-05-22

ゲーマーズ!10 天道花憐と不意打ちアップデート(★★★★☆)

真音とのボスバトルをクリアし、自分に足りない恋愛観を自覚した雨野に訪れるバレンタイン。ぼっちには本来縁遠いイベントのはずだが、女子の知り合いが出来た今年は事情が違う。「去年とはチョコ『ゼロ』の重みが段違いすぎる!」びびるぼっち。そして頭を抱えているのは彼だけではなく…「私にはもう分かりません。自分の能力も…チョコの定義も」勝手に追い詰められて心が折れかけているポンコツ天道花憐。そんな相変わらずの足踏みを続ける二人を尻目に、一人密かな意識改革を進行させていく人物。彼女の決意と行動が今、勘違いに彩られた恋愛模様を大きく『上書き』する―!

シリーズ10冊目。前回から引きずっている真音との勝負はやっぱりね…という結果。雨野は見事に舎弟になっていますが、そうやって真音と関わっていく内に彼女が抱える寂しさや分かりにくい優しさに触れて少し見直していく。真音は雨野のこと気に入ってるみたいだし。
そして遂にバレンタイン当日、天道の料理スキル底辺なのには笑えた。雨野の気持ちはやっぱり天道に向いてるわけで、そんな中で自分の気持ちを打ち明けたコノハが可愛らしい。千秋も最後に頑張っているし、星ノ守姉妹が攻めたなぁという印象が強かったです。また気になるところで終わっているので、続きを待ちたいと思います。

2018-05-20

《このラブコメがすごい!!》堂々の三位! (★★★★☆)

ライトノベルまとめサイトラノベのラ猫」を運営する高校生・姫宮新。彼はとある記事作りをきっかけに、最近行われたネット小説で三位に輝いた作品の著者が意中の少女・京月陽文であると知る。彼女の投稿作品はラブコメではなかったが、ネット民の悪ふざけで炎上気味に盛り上がり三位をとった。そして、新こそがその悪ふざけを煽った張本人。だが、それを知った陽文は怒るワケでもなく、こう言った。「わたしにラブコメの書き方を教えてほしいの」まとめサイト管理人と作家志望の少女が紡ぐ青春サクセスラブコメ!

ガガガ賞受賞作品。ラノベマーケティングについて徹底的に研究されていて、そういう意味でも楽しめた。まとめサイトってそんなに稼げるんだ…、学校ではぼっちでもこれだけの武器があれば十分凄いと思うが。妹の麻里や幼馴染の三郎も魅力的なヒロインで、新が気付いてないだけでお前最初からラノベの主人公キャラじゃね?三郎が泣いてるのが切ない。
新が惚れてしまうのもわかるほど陽文も優しくて可愛らしいヒロインでした。最後の小説は陽文から新へのラブレターなわけで、最初はラノベの蘊蓄中心だったのでこの糖分投下は良い塩梅だと思います。個人的には妹エンドも捨てがたいけど。面白かったです。

2018-05-19

処刑タロット2 (★★★☆☆)

謎多きデスゲーム「処刑タロット」に囚われたクラスメイト・伊刈梨々花を助け出し『塔』『悪魔』のゲームを制した鳴海たち。しかし、処刑タロットが生み出す莫大な利益と、その鍵を握る梨々花を狙って生徒会が動き出す!鳴海たちは、前回のゲーム敗北の責任を取らされ制裁を受ける山岸美玖を救うため、生徒会の用意したARバトルへの参加を決意するが…。仮想と現実が交錯する危険な“制裁バトル”。そこで鳴海たちを待ち受ける因縁の人物とは?さらに次なる処刑タロットの招待状も届き―!?試される極限状態での判断力!ノンストップゲーム小説、最新作!!

シリーズ2冊目。今回の敵は生徒会メンバー・範田湊、前回のゲームの敗北者である山岸を生徒会の制裁から救うためにゲームに挑むことになる。ネタが小出しなせいで、メインステージである「発狂する月」の印象が薄い。それでもこんなにえげつないゲーム設定を考えるのはさすが。最後の範田の顔が醜すぎて余計に拍車がかかっている。
恋愛ゲームのステージも仮想キャラなのに女の子達の感情変化がリアル、割りきれる人はいいけど感情移入しちゃう人は駄目なパターン。でも鳴海が女の子を切り捨てるのも、そもそも危険なゲームに参加するのも梨々花を助けるため。それなのに梨々花が女の子を切り捨てる鳴海を責めるのには違和感。強欲女神と須野原の最後の会話はクスッと笑えた。