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Imaginable Reality

2011-12-15

テクノ手芸部と謎のフクロウ 〜瞳の中のARマーカ〜

テクノ手芸部さんと言えば,羊毛フェルトや導電糸で作られた温かみのある作品でおなじみですね.今年のAR忘年会でも「テクノAR手芸部」としてAR宴会芸を披露してくれたので,ご紹介したいと思います.

その前に,前回のおさらい

昨年のAR忘年会で彼らが披露した作品は「カメラで認識しようとすると嫌がって逃げるARマーカ」というものでした.いつもカメラを向けられ,拡張されることを過剰に期待されているARマーカの気持ちを代弁したらこうなった,という常人からはまず出てこない発想の作品で,iPhoneで撮影しようとすると,ARマーカが走って逃げていきます.最後は,マーカが逃げ込んだ物陰から大量のマーカが飛び出すという,誰も予想しなかった展開によって幕を閉じ,観客の度肝を抜いていました.

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逃げるARマーカを追うよしださん

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衝撃の瞬間

今年の作品は謎のフクロウ

去年がそんな感じだったので,開演前に「今回も楽しみにしてますよ」とお二人にご挨拶したら,「今回のも凄いですよ」とやる前からドヤ顔をキメてきたので,「コノヤロウw」と内心思いつつ,期待で胸が膨らみました.というわけで,今年の彼らの作品はこちら↓

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かすやさんとフクロウさん

一見すると「ああ,いつもの目が光るフワフワしたかわいいやつね」と思ってしまうところですが,そこは猛禽類.見た目とは裏腹に,とんでもない隠し武器を持っていました.それも瞳の奥に.

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このフクロウの光る目をカメラで撮影すると・・・

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なんと光の中にARマーカが浮かび上がってくるではありませんか.もちろん,このマーカを画像処理によって認識することもできます.

実際のステージデモでは,「某三兄弟に脅されて嫌々忘年会で宴会芸をやらされてるんですが…」と言いつつフクロウにカメラを向け,浮かび上がったARマーカの上に表示されたメッセージを読み上げると,「本当はだいすき!来年もよろしくね!」とツンデレぶりを披露していました.まさに「目を見れば嘘をついているかどうかわかる」というやつですね.

瞳の奥のARマーカ

これはBokodeと呼ばれる技術で,光学現象であるボケの性質を利用した光学タグです(Boke + codeでBokode).デバイスの内部は,超微細なパターンが印刷されたフィルム,LED,そしてレンズによって構成されており,ちょうどプロジェクタに似た構造になっています.肉眼で見るとただLEDが光っているようにしか見えませんが,その光に対して焦点が合うようカメラで撮影すると,パターンが見える仕掛けです.焦点が合う位置に手をかざしてみると,投影されたパターンを肉眼で見ることができます.

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本来の使い方ではありませんが,こんな感じで見えます

Bokodeは,MITのRamesh Raskar先生(AR関連では超有名な先生)が率いるCamera Culture Groupが開発し,2009年のSIGGRAPHで発表した技術です.Bokodeの公式ページはこちらです(論文もあります).engadgetの日本語記事にも丁寧な解説があります.

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Bokodeの公式動画

テクノロジのさりげなさ

この「人間には見えないけれど,機械には見える」という性質は,ロボットをはじめとする環境認識型の装置が,今後私たちの生活空間に浸透していく上で,重要な意味を持ちます.そのような先端技術を,かわいいフクロウの人形の中にさりげなく入れてしまうあたりがニクイですね.

また,Raskar先生にかけて,あらいぐまラスカルのテーマ曲を流しながらデモをするという,その筋の人にしかわからないネタを仕込むあたりも,彼ららしくて好きです.ほんと「コノヤロウw」だよ! 来年も楽しみにしてます.


テクノ手芸

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