高生研は“教師の学校”

川原茂雄

○竹内教育学と高生研との出会い
 わたしにとっての高生研は“教師の学校”です。教師になって2年目くらいの頃、同僚の先輩教師から読む事を薦められたのが竹内常一先生の『教育への構図』(高文研刊)でした。一読しただけではとても難しく、すぐには理解することはできませんでしたが、2度3度と読み返していくうちに、現代の高校教育と高校生をめぐる状況への鋭い分析と理論的な論考に、ぐいぐいと引き付けられていきました。それが、わたしが「竹内教育学」と「高生研」とに出会う最初のきっかけとなったのです。この先生のお話を直接聞いてみたい、そう思ったわたしは翌年の夏、高文研が主催した沖縄での竹内先生の教育講演会に参加しました。その時、東京以北ではただ一人参加したというわたしが珍しかったのか、高文研の梅田さん・金子さんが声をかけてくれました。そして、北海道には高生研の川上先生・金倉先生・田村先生というすごい先生たちがいるので、帰ったら是非会ってみて下さいと言われたのでした。そして翌年1月、誰かから誘われたわけでもなく、たった一人で弟子屈で開かれた道生研大会に参加したのが、わたしが高生研と関わるようになったはじめだったのです。
 それ以来、わたしにとって高生研は“教師の学校”となりました。“教育学”や“教師の仕事”について、大学の教職課程では、あまり真面目に勉強しないまま“教師”になってしまったわたしにとって、高生研で見ること聞くことのすべてが、あらたな“教育学”や“教師の仕事”についての“学び直し”でした。もし、竹内常一先生と高生研に出会わなければ、教師としてあらためて“教育とは何か”“教師の仕事とは何か”というようなことを考えたり、学んだりすることはなかったかもしれません。
○北海道での高生研全国大会
 高生研と関わるようになって数年後、北海道で高生研の大会を開催しようという話がもちあがり、そのための実行委員会準備会のような集まりがもたれました。その頃はまだ一会員だったわたしは、どのような話し合いの会議かもよくわからないまま参加していました。当時事務局長だった金倉先生から、高生研の全国大会とはどのようなもので、その開催ための現地実行委員会としてどのような取り組みが必要なのかの説明がありましたが、それを聞いていたわたしは、これは大変なことになったなというのが正直な感想でした。実行委員会の一員として大会運営の裏方で働くより、むしろ一参加者として大会に参加したほうがよほど学べるんじゃないのかなということも頭をよぎりました。その時、当時代表だった川上信夫先生が、最後にいまなぜ北海道で高生研全国大会を引き受けなければならないのか、この大会を引き受けることがわたしたちにとってどのような意味があるのかを、力強くそして熱く、その場の参加者に向かって語ってくれました。その時わたしは、高生研全国大会という大きな集会を企画し準備し運営すること、そのことに取り組むこと自体が、それに関わる者にとって、なによりも最大の“学び”となるだろうということ、全国大会の運営そのものが“教師にとっての学校”であるということを了解したのでした。
 あれから26年、再び北海道で高生研全国大会が開かれます。この大会もまた多くの先生方にとっての“教師の学校”となることを確信しています。