フロイトの弟子と旅する長椅子 ダイ・シージエ

フロイトの弟子と旅する長椅子 (BOOK PLANET)

フロイトの弟子と旅する長椅子 (BOOK PLANET)

莫のやろうとしていることは、まったく身勝手でとんでもないことではあるのだが、原題でもある「狄判事コンプレックス」のバカバカしさと、それでいて中国人にありがちなリアリティーが、莫に利用されつつたくましく生きる女たちのバイタリティーが、喜劇を喜劇として、悲惨な実態をからりと描いている。食べ物の描写が実によく、特に内臓料理などは、『ユリシーズ』のブルーム氏を思い出した。