川本卓史京都活動日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2017-02-19

遠藤周作「沈黙」とスコセッシ監督「沈黙」

| 08:12 |

1. 我善坊さん、コメント有難うございます。お気持ちはよく分かりますが、「議会から独立して」というのは立法権に対する例外措置憲法改正必要で、実現は難しいでしょうね。

国家権力が、自らの権力基盤を揺るがすような制度設計を率先してやるとは、残念ながら思えません。


2. 国家権力については、最近遠藤周作原作映画化した『沈黙』を見ながら、

宗教弾圧する、その怖さを思い知らされました。

江戸時代初期の「禁教令」による切支丹弾圧は実に厳しく徹底しており、「踏み絵」を武器改宗棄教を迫り、踏まない信者は、拷問を受けて最後殉教に追い込まれます。日本人もここまで残虐になれるのだと思い知らされます。

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もと職場の先輩のお宅で(出来の悪い写真ですが、都心にある眺めの良いところです)、

テーマをあらかじめ決めて小さなサロンが開かれます。夫婦連れで女性も参加します。

先週のサロンテーマは『沈黙』でした。

原作を再読し、映画家人と一緒に観て、参加。女性も含めて、沈黙どころか皆が喋って賑やかでした。


切支丹殉教をめぐり神の実在を問うた小説」とされる本書が書かれたのは1966年英訳1988年に読んだアカデミー賞受賞監督マーティン・スコセッシが以来ずっと構想を練り、原作の50年後の昨年映画が完成したと話題になっています。

江戸時代初期の長崎五島列島風景台湾ロケだそうですが、映像が印象的です。

2時間40分の深刻で重い映画ですが、結構観客が入っているのに驚きました。

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3. 以下、原作に沿って――主人公イエズス会ロドリゴ神父

恩師が信仰を捨てたという話しを確かめるため、弾圧されている貧しい隠れキリスタンの農民を救おうという意欲に燃え日本密入国するが、キチジローという信徒に裏切られ、囚われて、踏絵を踏めば、信徒は救われると迫られる。

信徒たちは拷問にあえいでいる。

それなのに神は沈黙している。

ロドリゴは苦悩する。

➡「迫害が起こって二十年、この日本の黒い土地に多くの信徒の呻(うめ)きがみち、司祭の赤い血が流れ、教会の塔が崩れていくのに、神は自分にささげられた余りにもむごい犠牲を前にして、なお黙っておられる・・・・」

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➡「なぜ、神は黙っておられるのか私にはわからなかった。」

➡「<万一、神がいなかったならば・・・・>

これは怖ろしい想像でした。神がいなかったならば、何という滑稽なことだ。杭にくくられ、波に洗われたモキチや〜の人生は何と滑稽な劇だったか。多くの海を渡り、三か年の歳月を要してこの国にたどりついた宣教師たちはなんという滑稽な幻影を見つづけたのか。

➡神は、一言でも何かを信徒たちのために語ればいいのに。」

・・・・というように、ロドリゴは、キリスト教を信じ、天国を夢みて殉教する貧しい日本人憐れみ、心から「奇跡」を待ち望んでいるのです。しかしそれはやってこない。


4. しかし最後に、彼自身も囚われ、棄教を迫られているその最中に、「神は沈黙していたのではなかった」と彼は確信します。

お前が「踏絵」を踏めば信徒の命は救われると言われ、彼らの拷問の苦しみを目にし、ロドリゴはついに神の声を聞き、「踏み絵」を踏みます。

➡「踏むがいい。お前の足は今、痛いだろう。・・・だが、その痛さだけでもう充分だ。私はお前たちのその痛さと苦しみをわかちあう。そのために私はいるのだから」。

「主よ。あなたがいつも沈黙していられるのを恨んでいました」

「私は沈黙していたのではない。一緒に苦しんでいたのに」

➡「その時、彼(ロドリゴ)は踏絵に血と埃とでよごれた足をおろした。五本の足指は

愛するものの顔の真上をおおった。この烈しい悦びと感情・・・・・」


5. 踏絵を踏み、棄教されたと幕府に認められたロドリゴは、「転びバテレン神父)」と呼ばれ、江戸に送られ、切支丹屋敷幽閉され、時々取調べをうけ、キリスト教禁制のための手伝いをさせられます。

岡田三右衛門という日本名と妻までもらい、30年あまり生き延びて、日本人とし

病死します。

しかし、遠藤周作は本書で、ロドリゴは内心では決して棄教していない、最後までカトリック信者として生きたという見解披露します。

イエズス会からは破門されもはやキリスト者とはみなされないにも拘らず、ロドリゴは自らをこう規定します

―――「私は転んだ。しかし主よ。私が棄教したのではないことを、あなたけがご存知です。

・・・私は聖職者教会で教えている神と私の主は別のものであることを知っている。」


6. このような見方はおそらく遠藤周作というか日本独特の理解ではないかと思われます。異端と言われても仕方ないのではないか

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ところが、サロンのメンバーの信者の皆さんはこういうキリスト教理解肯定的でした。

総勢9人のうち5人(2組の夫婦プラス1人)が洗礼をうけています。

日本クリスチャンは約百万人だそうですから100人に1人。とすればこのサロン割合は非常に高いです。

彼らだけではなく私の周りには比較的多くいます、理由は分かりません。たまたまかもしれませんし、昔の職場海外勤務が長く、キリスト教文化に親近感を持っている人が少なくないということもあるかもしれません。

いずれにせよ、「キリスト教ヨーロッパだけのものではない。洋服のではなく和服キリスト教があってもいい。西欧父性的な厳しい宗教意識に対する母性的な宗教意識があってもいい」というのが遠藤周作メッセージだったようで、それがサロンのメンバーであるキリスト者共感を呼んでいるところが興味深かったです。

というのも本書は出版当時、正統的なカトリック教会本部からは「禁書」として扱われたこともあったそうです。


7. 最後に、映画沈黙』に触れる余裕がなくなりましたが、ブルックリン治安の悪い街に労働者階級の家に生まれ、自ら熱心なカトリック信者であるイタリア系アメリカ人のスコセッシ監督原作に深く感銘し、映画の中でもロドリゴ共感をもって描いている点もまた興味深かったです。


必ずしも全能ではない、奇跡もおこせない神。

しかし「神は沈黙していない。いつも私たちの苦しみに寄り添い、ともに痛み苦しんでいる」

・・・そういう、弱いかもしれないが、慈愛に溢れ、ともに苦しんでくれる神が実在するのではないかという遠藤周作の想いが、アメリカ人のスコセッシに見事に伝わり、優れた映画作品になりました。

2017-02-12

タイム誌「カリフォルニア共和国の逆襲(The California republic comes roaring back)」

| 08:42 |

1. 寒い日が続きますが、朝の散歩道、駒場民藝館の紅梅白梅が早くも咲き始めました。東京では、春は徐々に近づいています。 

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前回のブログで「国境をまたいで猫はあくびする」という“平和俳句”を紹介し、昨年12月東京新聞掲載と書いたのですが、これは今年1月の間違いでした。指摘を受けて訂正します。

どうも私の場合、なぜかブログ文章活字に載せるのと違って、推敲をあまりやらないので時々ミスがそのままになります。

理由はよく分かりません。活字になる場合は、原稿を書きあげてから何度も読みかえします。


反省はしているのですが、私だけかもしれませんがネットにアップする場合は、なぜかそれほどの気を使いません。

ネット発信は文章の正確さや端正さよりもスピード大事にする「現代ツール」だ、という意識があるからでしょうか?


ひょっとして、トランプ大統領ツイッターというのも、同じような感覚で書いているのではないか心配になります。あまりにも頻度が高く、あまりにも思い付き発言が多いという印象を受けるのですが・・・


2. そのトランプですが、

8日(水)の午後、頼まれて世田谷経堂で90分ほど話をしました。小人数の、私と同世代の集まりですが、それだけに一方的にならずに話が出来てよかったです。

幹事さんが早速、会員用の「要約」を以下のようにまとめてくれました。

トランプ大統領については今や少し食傷気味のため、タイム誌の「今年の人」に直近7年間に掲載された人物も加えての話となりました。

 フェイスブック創始者マイクザッカーバーグ(2010年)は弱冠33才、今や全世界15億人のユーザーを持ち、新しい人間関係を構築する手段として世界に大きな影響を与えています。

 オバマ前大統領(2012年)は母親白人であるにもかかわらず、自ら黒人としてのアイデンティティを選んだことについて、人種国籍について考察されました。

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 フランシスコ教皇(2013年)は、カトリック総本山教皇庁伏魔殿のように肥大化した組織改革すべく、庶民の側に立って活躍しています。我が国ではキリスト教信者は100万人程度で、なぜ普及しなかったか、その迫害歴史も含め、日本特殊性を感じました。

 独首相メルケル(2015年)は、EUにあって孤軍奮闘していますが、他の政治家がためらうような要求国民に呼びかける勇気と、確固たるモラルリーダーシップを発信しています。」

 

3. その「食傷気味」のトランプについてです。

(1) 8日のお喋りでも触れたのですが、今回の選挙を総括すると、

・全米の総得票で、ヒラリー65.7百万票、トランプ62.9百万票で、2.8百万、ヒラリーが上回った。

・ところが選挙人の数では、州別、かつ小さな2州を除いて「勝者総取り」のため、ヒラリー232(21州)トランプ306(30州)と大差がついた。

・つまり週ごとに偏りがあったということで、特にニューヨーク州加州ヒラリーの対トランプ差が大きく、他方でトランプは僅差で勝った州が多い。しかし「勝者総取り」だからたとえ差が1票であっても勝った方が州の選挙人数全てを獲得する。

・例えば、ニューヨーク州ではヒラリーが1.6百万票の大差で勝って29人の選挙人を獲得。ところがフロリダ州選挙人の数は同じだが、この29人を12万票の差でトランプが獲得。ミシガンに至ってはわずか1万1千票差でトランプが16人全てを獲得した

(2) もちろん大統領選挙の仕組みが、州が基本で州別に意思を決めるというシステムである以上、やむを得ないのですが、当然に不満も出てくる。

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4. もっとも顕著なのがカリフォルニア州で、タイム2月13日号が「カリフォルニア共和国が吠え返す」と題する記事を載せています。

(1) 加州ではヒラリーへの投票トランプを4.3百万票上回り、総数の61.5%を得た。結果を知って「信じられない思い」が「怒り」と「悲しみ」に変わりつつある。

(2) 全米で最も人口の多い、アメリカ人の8人に1人が住む加州は、もっとリベラルな州としても知られる。アメリカの「例外」かもしれない。民主党州知事のみならず州議会の多数を占める5州の1つ。


(3) 州人口多様性がその理由の1つ ――2015年全米で白人は62%ヒスパニック18%に対して加州では白人38%ヒスパニック39%で後者の方が多い。

アジア系も13%、4分の1以上が外国生まれで、全米平均の倍以上。


(4)トランプ大統領就任4日後州議会ブラウン州知事は、「カリフォルニアは決して立場を変えない。今もそうだし、今後も永久にだ」と宣言した。

他方で4割弱がトランプ支持だった訳で1枚岩ではない、地方農村では、リベラル多数派に反発して、別の・51番目の州になろうとする動きさえある。

多数派は、むしろ「Yes California」というグループをつくって、加州そのものの独立運動を起こそうとしている・・・・・

加州人口は4千万人に近く、GDP(国際総生産)は世界6位でフランス英国ドイツを抜き、規模的には十分に国の資格があります。

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(5)独立保守派離脱による分裂も、とても現実的シナリオとは思えませんが、住民の苛立ちは理解できます。

また主流派には、好景気に沸く高学歴の優秀なIT産業経営者やそこに働く人たち、ハリウッド製作者・監督俳優などが含まれるいることも注目です。

今回のトランプイスラム7か国入国禁止大統領令に対して反対の声をあげた人たちでもあります。グーグル創業者ロシア生まれの富豪セルゲイプリンは、空港での抗議デモに参加、その理由を問われて「僕だって移民だったんだからだ」と答えたと言います。

(6) 以上、アメリカの「分断」を象徴する動きとしてご報告しました。

4, 最後に、経堂での「お喋り」で2015年の「今年の人」がなぜメルケルか?の理由タイム誌が「モラルリーダーシップ」をあげたことに触れました。

トランプ就任後の言動を見ながら、あらためてこの言葉を思い出します。

1国のトップリーダーには、政治統治能力だけではなく、「モラル」もまた必要ではないか

日本のような「象徴としてのモラルリーダー」が存在する場合首相品格はさして問題にならないかもしれない。

しかし、アメリカ場合、他に誰が居るのか?ドイツアメリかと同じく共和国だからこそ、メルケル首相の「モラルリーダー」としての存在感は大きいだろう。対してアメリかは不幸な状況だなと感じました。

我善坊我善坊 2017/02/12 10:05 アメリカの選挙制度は日本の鏡として考えたいものです。
州別に「勝者総取り」か否かは別として(一部にそうでない州もある)連邦制の大統領選挙という筋は通していますし、選挙制度を現政権に有利にすることは、民意と3権分立によって阻止される。しかし日本はどうでしょう?
選挙区割りによる定数の不公平さだけでなく、そもそも選挙制度そのものをどうするかは(小選挙区制か中選挙区制か?比例代表併用制か並立制か?)、議員の待遇(給与等)とともに、議会が決めるべきものではない。日本では最高裁か、あるいは議会から独立した機関で決定すべきことでしょう。そうなれば現在の議員の構成はたちどころに大きく変わるはずです。此処から手を付けなければ、日本の民主制は始まらない。

2017-02-05

京都冬の旅&かるた会&NPO「ミンナソラノシタ」

| 08:34 |

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1. その後も、小さな庭に神代植物公園産の冬薔薇(ふゆそうび)が満開です。寒さに耐えて健気です。

こちらは寒さに耐えて、先々週末、京都に2泊しました。

私事で恐縮ですが、いとこ達が集合して「新春かるた会」をやりました。単なるお遊びですが、結構楽しみました。

いとこだけだと目も手も記憶も衰える一方なので、次世代参加も呼びかけ今回は娘夫婦の2人だけでしたが、夫の方が前回に続いてチャンピオンでした。


私のおはこ(十八番)は選者・藤原定家卿の

「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩も身もこがれつつ」

ですが、今回も4回やって全て取れたので、その点だけは大満足でした。

前回は従妹の家でやったのですが、今回は和順会館の座敷を使い、夕食会も同じ場所でした。

浄土宗総本山知恩院経営する施設ですが、誰でも使えて、立派な割には高くなく、お勧めです。

知恩院三門はいつ見ても堂々たるものです。

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2. こんな集まりが続いているのは、京都出身の子孫たちで、母の兄弟が8人もいるのでいとこが多い、それに皆、酒が好き、遊びが好きということがあるからでしょう。

もちろん真面目に働くことを疎かにしている訳ではありませんが。


そして言うまでもなく「百人一首」は日本伝統定型詩歌

宮中歌会初め」なんていう畏れ多い儀式には縁もゆかりもありません。しかし庶民もこういう文化風習を守っていければよいなと思うのですが、孫の世代となるとなかなか難しい。昨年大学生になった孫はスマホゲームに夢中のようですし。

日本定型詩歌」といえば身内が、東京新聞の「平和俳句」という企画投稿して採用され、昨年12月の1面に掲載されました。

国境をまたいで猫はあくびする」という季語もない、人によっては川柳ではないかと言う人もいるでしょうが、選者は「いとうせいこう」という人で

「猫に国の境などない。まして国家など。・・・彼らに学ぶ平和とは」という選評が載っていました。

定家卿の雅な和歌とはまったく異なる世界ですが、「短い定型」に何かを込めるという日本人意思を感じました。

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3. かるた会を含めてもっぱら人に会い、お喋りをし、酒食を楽しんだ滞在でした。

時間ゆっくり過ぎていく気持になるところだな、京都で過ごすといつもそう思います。

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朝はもちろん「イノダ」で珈琲を頂き、入り口近くの丸テーブルで毎朝、出入りするお客を監視(?)して毎日続けているブログネタを探している「イノダの主」にもご挨拶をしました。

http://plaza.rakuten.co.jp/camphorac/

何せ、広辞苑ボロボロになるまで使いこなしている博識な人物です。

夕食は、これまた常連が集う、気楽な・江戸時代から続く割烹楽しい時間を過ごしました。

こういう方々はもちろん皆さん本業は忙しいのでしょうが、しかし何となく生き方に余裕を感じます。


4. 子育てに専念している専業主婦の人たちからも、同じような「余裕」を感じたのは、ミンナソラノシタというNPO訪問したときです。

http://minasora.org/

(1)このNPOについては前にブログで触れたことがありますが、

http://d.hatena.ne.jp/ksen/20140213/1392270839

3.11の東北大震災の直後に京都若い子育て中の女性たちが作った組織です。

――福島から京都への避難者との交流相談の場を設ける、と同時に、

まだ元の生活に戻れていない福島県で暮らす子どもたちを応援するための活動として、

福島幼稚園支援し“室内の砂遊び場”設置や、手洗いのための“ハンドソープ”を送る、定期的に幼稚園母子京都短期間招いて、福島ではまだ可能ではない、自然の中で思いっきり自由時間を過ごしてもらう

――――そんな活動を続けています。

私自身は何もしておらずただ気持で応援しているだけですが、

顧問をしている、京都検定1級の藤野さんに今回の京都行きを知らせたところ、ちょうど新年会があるから顔だけ出さないかというお誘いがあり、京都市の西の向日市まで出向きました。

この日は10人強が集まり、うち福島からの自主避難者が4人。

支援する京都在住の母親にはお子さんが4人あるいは3人という人も居ました。

今年の行動計画も話し合ったようで、皆明るく元気に活動しています。

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(2)感心したのは、主婦がこういう活動を続けるには夫の協力が不可欠だと思いますが、この点がとてもうまく行っている印象を持ちました。

夫は、活動の意義を充分理解して、率先して留守の間の育児家事をやってくれるという話しで、これは素晴らしいことですね。

若い夫婦でも、旦那がこんなに理解のある家庭はそれほど多くはないのではないか。人によっては妻が自分を置いて外出することに賛成でない、「古い日本男性」がいるのではないか

さすが京都男性は素敵だと、当日も大いに褒めあげました。


(3)付け加えれば、働く環境東京あたりより恵まれていることも影響しているかなと感じました。

全てがそうではないでしょうが、働くうえでもちょっと東京とは違って(電通とはまるで違って)「余裕」がある。だから夫の方も、妻のこういう活動を受け入れる物理的・精神的な「余裕」が出てくる・・・のではないか

それがまた妻にも伝わり、ミナソラの支援活動を生き生きと明るくやっている。

それまた好循環になって、福島からの避難者の心に火を灯す・・・

何となく、そんな印象を受けて気持ちよく、会を後にしました。全員集合の写真も撮ってもらいました。

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そう言えば会場というのも普通の家庭の主婦が自宅の一部を開放して、こういう集会に開放しているようで、こういうことも「余裕」があって出来ることでしょうね。

向日市は大昔、桓武天皇の御代に奈良から京都遷都する、その間に短期間ながら都があったところで、今はその跡が公園になっています。のんびりした郊外の趣きでした。

2017-01-29

京都から帰ったらトランプ大統領就任

| 08:21 |

1. 先週末、京都に2泊しました。時おり雪が舞う寒さでしたが、帰る日はよく晴れて新幹線から富士山がきれいに見えました。

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2. 帰京して、ブルーレイにとってあったトランプ大統領就任式の模様を見ました。

16分の演説で気づいたのは、

オバマシカゴでの退任演説で「今日は”民主主義”について語るのが目的」として

“democracy”が50分に25回使われたと前々回のブログで紹介しました。


対してトランプスピーチではこの言葉は1度も出ることはなかった。

記憶に残ったのは[people]と「We」の2つが多く使われた他に、

「our loyalty to our country(国家への忠誠)」

「patriotism(愛国心)」「solidarity(団結)」

「We all bleed the same red blood of patriots(我々にはみんな、愛国者という赤い血が流れている」、といった言説です。

同じ「country」でも、かってケネディ大統領の語った有名な、


「国があなたたちに何をしてくれるかを問う前に、あなたたちが国のために何が出来るかを問うてほしい(Ask not what your country can do for you, ask what you can do for your country)、とは対照的メッセージだなという印象を受けました。


市民の「参加」という発想はこの人にはないのではないか。

「我々の国の忘れられた男女は、もう忘れられることはない」という言葉は「私に任せろ」というニュアンスが強く、タイム誌の、「尊大演説だった」という評はこのあたりを指しているのでしょう。


3. 「トランプが語るアメリカヴィジョン」と題するタイム1月30日号は、就任演説についてこんな風に紹介します。


(1) 殆どが荒々しい、対決をあおる16分だった。

不動産王として)建設大成功した人物が、「破壊者」として登場した。


(2) アメリカの使命について、セオドア・ルーズベルト大統領以来の前任者からまったく遠ざかった見解を示した。「自由世界リーダー」としての役割放棄し、むしろアメリカが「犠牲者」であるとの認識を示した。

(3) そのレトリックの軸にあるのは

「我々(We)」と「彼ら(They)」の二項対立であり、

「怒り(resentment)」である。外国政府企業への、選挙で選ばれた指導者たちへの、エリート一般への、そしてアメリカの現状(荒廃した都市空っぽになった工場、機会を与えない教育犯罪麻薬ギャング)・・・への怒りである。

(4) しかし、そのレトリックアウトサイダーのそれであって、彼は今や大統領インサイダー中のインサイダーである。

言葉に、責任と結果とがともなう存在である。どんな「結果」をこの国にもたらすのか?世界が固唾をのんで見守っている・・・・

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4. ということで、タイム誌は世界がどういう影響を受けるか?について

トランプもっとも警戒する国々」という記事も載せています。

(1) まずは「トランプ誕生を歓迎する人たち」として、

トップロシアプーチン、以下、フィリピンのドゥテルテ、トルコのエルドガン、シリアアサド名前があがります。

(2) しかし多くの国は「不安と警戒をもつだろう」として

第1位にメキシコ、2番目に日本、以下、バルト三国(ラトヴィアエストニアリトアニア)、ドイツフランス名前があげられます。

(3) フランスについては、5月大統領選挙で、超右翼ルペンに利するのではないかと懸念されるとして、

トランプ公式彼女への支持を表明するのではないか、

ロシアサイバー攻撃をかけてルペン誘導世論操作をしたとしても、トランプは眼をつぶるのではないか・・・・

などが囁かれていると報道します。


(4) 日本については、

トランプ安倍首相とは利益共通する面もある。2人とも日本軍事力増強に前向きであり、プーチンとの友好関係を狙っている。

しかし、もしトランプ中国との対決姿勢を強めれば、日本は2大貿易相手国の間に挟まれる危険が出てくる。韓国との緊張した関係をも考慮に入れれば、日本孤立した存在になるのではないか?」、と分析しています。


(5) 2017年世界はどうなるでしょう。

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5. 雑談も少し。

(1) タイム誌の写真を見て、あらためて「就任式が議事堂前の野外でやるんだ」と認識しました。

そう言えば、アメリカ大学入学式卒業式普通は野外でやります。雨が降ったらテントを張ります。

いろんな人にきてもらう「オープンに」やるという姿勢でしょうか。アメリカ大学関係者からは昔、「年に数回しか使わない大講堂を作るのは無駄なこと」とも聞いたことがあります。


(2) ホワイトハウス大統領執務室の内装大統領自分の好みで変えるそうですが、

クリントン大統領は、ジョージ・ワシントンベンジャミン・フランクリン

ブッシュ・ジュニア大統領は、ウィンストン・チャーチルの胸像を

オバマは、マーティン・ルーサー・キングリンカーンの胸像を

それぞれ置いたそうです。

そしてトランプは、早速チャーチルを再び呼び戻したとか。

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6.最後に、京都での話は何れということで、1つだけ報告すると、もう半年も前に、「ひかり」に乗ってジパングの会員証を不携帯で、割引料金が適用されなかったという報告をブログに書きました。

実はそれ以来初めて乗る「ひかり」なのですが、行きも帰りも検札はありませんでした。

「いままではやっていなかったが、以後あらためてこれからは検札する」

と聞かされたのですが、要は「抜き打ちでやる」ということだったので(そういうニュアンスでは全くなかった)、「たまたま抜き打ちにあったお前が運が悪かったのだ」という姿勢なのでしょう。

そういうことなら、「これから抜き打ちで検札をやるから、今回は見逃すが、以後必ず携帯を忘れないように」と注意すれば済むことではなかったか・・・・と思う者です。

2017-01-19

オバマにとっての「レトリック」と「2016年タイム誌今年の人」

| 19:29 |

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1. 今週末は京都に行く予定なので早めにブログ・アップします。

前回紹介したオバマ退任演説について、もと職場の友人が「彼のスピーチには、ギリシャローマの修辞技法(レトリック)が実に効果的に使われている」と教えてくれました。格調の高さにはもちろん内容が第一ですが、加えてレトリック大事ということです。

友人によれば「ギリシャ人ローマ人演説を非常に重視し、それにはレトリックを駆使したようです。キケロ共和制ローマ哲学者政治家)の演説東大で教わりましたが、修辞技法たっぷり出てきます」とありました。

彼は篤学の士で、私とほぼ同年齢で、いまも東大に通ってラテン語を学んでいます。


2.「修辞技法」には実にたくさんの「技法」がありますが、ほんの少し例をあげると,

(1) 首位反復(ラテン語でAnaphora)

(2) 三つの法則(古代ギリシャのtricolon)

(3) 二詞一意(hendiadys)

(4) 矛盾語法(oxymoron)

例えば、「首位反復」は、文章最初語句首位)を繰り返すことで強調すること。

キング牧師の「私には夢がある〜」や「自由の鐘を鳴らそう〜」の「首位」が有名です。

彼は17分のスピーチで、前者は7回、後者は11回同じ「首位」のあとに異なる「〜」を「反復」しました。力強く迫力ある演説でした。

また例えば「三つの法則tricoln」は、同じ語数の単語語句を並べること。

カエサルが戦いの勝利ローマに書いて伝えた「来た・見た・勝った(Veni, vidi, vici、ウィニ、ウィディ、ウィキ発音するらしい)」が有名です。

これを説明する英文ウィキペディアを読んでみたら、

英訳すると、"I came; I saw; I conquered "だが、これはラテン語のように同じ字数リズムになっていないので正確には「tricolnではない」と解説していました

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ラテン語凄さを感じました。

ここで脱線ですが、何十年も昔、超下手なゴルフを少しやりましたが、伊豆川奈ゴルフ場は眺望の素晴らしいコースでした。

ホールにそれぞれ短い「名前」がついていて、その1つのパー3のショートホールに,

このラテン議の「Veni, vidi, vici 」という名がついていました。

高いところから伊豆の海を見晴らしながらグリーンに向かって打ちおろす、爽快なホールです。


3. オバマさんの場合学校ラテン語の授業を受けて「修辞学」を学び、基礎がしっかり出来ているのでしょう。

いまでも西欧で「学校教育でのラテン語大事だ」と主張する人がいるのは、こういう伝統を踏まえているのでしょう。

日本であれば、漢学を学ぶこと、古文を学ぶことがラテン語対応する筈、しかしいまの学校教育はどうなっているのでしょう。

品格をもって書く・語る」には内容と同時にそれを支える「技術」を学ぶことが大事だとつくづく思います。


他方でいよいよトランプ登場ですが、彼はどんな格調の高い就任演説をするでしょうか。彼がラテン語勉強したかどうかは知りませんが。


ニューヨーカーの一部にはオバマ大統領が去ることで「オバマ・ロス」が生じていると

NHKBS海外ニュースが伝えていました。

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例年タイム誌が選ぶ「今年の人(Person of the Year)」の2016年はむろんトランプさんですが(昨年ドイツのはメルケル首相)、すでに12月19日号で発表されています。

しかし私もいまいち気が乗らなくて、このところ、オバマさんのことばかり取り上げました。

遅くなりましたが、例年に倣って。簡単に報告致します。因みに「2016年今年の人」トランプ大統領に続いて、次点は敗れたヒラリー・クリントン、次々点は、最近話題の「ハッカータイム誌は、コンピュータ技術悪用して他人コンピュータ侵入破壊を行う者を指しています)」です。


3. (1)「今年の人」にトランプ氏を選んだ同誌はとうぜん彼の写真が表紙ですが、それには「President of the United States」ではなく「President of the Divided States of America」

とあります。

同誌として精一杯の皮肉懸念を示しているのでしょう。

自身と支持者との「分断・落差の大きさ」にも触れています。

トランプタワーの最上階66階から68階を占めるトランプ王宮のような豪華な邸宅と、そこに住むダイヤカフリンクスをつけたトランプ

そして彼が最大の感謝を捧げるべき支持者の多くは、豪華なトランプタワーの中に入っ

たこともない、「忘れられた人たち」と彼が呼ぶ労働者たち。

そしてトランプは言う「私は彼らを代表している。彼らは私を愛し、私も彼らを愛して

いる」と。(所得税もほとんど払っていない大富豪がよく言うよ・・・)。

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(2) 彼が選挙運動中にやったことは「統一された明るい未来」を語る今までの政治家正反対に、現在の分断されたアメリカを指摘し、新たなレベルの怒りをこの国に引き起こし、「変化」を約束したこと。その結果、この「デマゴーグ」が白人労働者だけではなく、2012年選挙共和党候補者より多くの票をラティーノ黒人白人女性からも獲得したのだ。

(3) 不動産王であり、カジノの所有者、転じてテレビの人気パーソナリティ扇動者品格に疑問なしとせず、政治経験はまったくない。

しかも彼の勝利英国からフィリッピンまで世界中に拡がるナショナリズムの潮流を反映している。

インターネット革命産物でもある。


(4)「タイム誌の今年の人」は2016年で90回目。「良くも悪くも、その年もっとも大きな影響力を持った人物」を選んできた。

今年(2016年)の人は果たして「良いのか?悪いのか?」

トランプの登場は、今回ほどアメリカ国内意見が深く割れたことがないという点にある。

2017年、支持者も批判者も、彼の発言のうちどれを、どの程度本当に信じていいのか、見出すことだろう。