川本卓史京都活動日記 このページをアンテナに追加 RSSフィード

2016-12-04

「ニューヨーカー」誌に語る「トランプ自伝」の真の著者

| 08:01 |

1.我善坊さん、「太った豚より痩せたソクラテス」は1964年大河内東大学長卒業式言葉、かつ原文はJ.S.ミルの「満足した豚より・・・不満を抱いたソクラテスの方がよい」との情報、有難うございました。

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最近ネットで何でも調べられるようになり、本当に便利になりましたね。

それにしても第67回駒場祭統一テーマ「めしあがれ!」は頂けません。まさか「肥った(満足した)豚になれ」と言っているのではないでしょうが・・・

ところでその前11月21日のarz2beeさんのコメントへのお礼が遅れて失礼しました。

「選ばれた以上は、立派な大統領になってほしいと願いますが、しかし、人間の「品性と礼節」は変わるものでしょうか?」で終えたブログに「人間品性と礼節は30過ぎては変わりません。極めて希な例外はあるかも知れませんが、トランプ氏がもし変わったように見えてもそれは計算と思います」と書いてくださいました。


2専門のお医者さんの言葉ですから、まことに納得しました。

本質的には変わらないだろう」トランプ氏の品性とはどんなものか?

彼の伝記のゴーストライターが30年ぶりに沈黙を破って「ニューヨーカー」の記者に「伝記」執筆の裏話を語った記事を、同誌7月25号からご報告します。

(どこまで信用できるかという問いはあるでしょう。しかし雑誌そのものは後述するように質の高さで知られており、かつ取材執筆者は数々の受賞歴のある著名なジャーナリストのようです)。


この記事を知ったのは11月14日東京新聞社会時評」での吉見俊哉東大教授の紹介です。個人的に懐かしい雑誌なので、早速、東大駒場図書館で読みました。

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その前に、吉見さんの文章が分かりやすいので、以下に引用します。

「『トランプ自伝』のゴーストライターをしていた人物は、1年半もの間、彼と行動を共にする中から見えてきたトランプ実像を今年7月の「ニューヨーカー」誌で生々しく告白している。

それによれば、トランプの最大の特徴は、「集中力というものがない」ことだ。彼は、「教室でじっとしていられない幼稚園児」のような存在で、自己顕示欲がすべてである。

彼はまた本を読み通したことがないという。だから情報源は全部テレビ

そして何よりも、「口を開けば嘘をつく」。彼の嘘は「口から出まかせではなく、計算ずく。人をだますことに何の良心の呵責も感じていない」。そもそも彼は「事実かどうかということをまったく気にしない」のだという。

これが、米国民が次期大統領に選んだ人物である。平気で嘘をつき続ける人物が、世界運命を決める核のボタンを握る」


2. ちょっと横道ですが、「ニューヨーカー」(The New Yorker)は1925年創刊の、まこと洒落雑誌です。

(1) NY市の出来事、とくに音楽会展覧会などの催しやその批評に加えて

(2) エッセイ評論小説過去にはトルーマン・カポーテやJ.D.サリンジャーなど著名な作家短編を載せ、村上春樹英訳も載りました。

(3) さらに、冒頭の写真創刊号の表紙ですが、独特の表紙絵と挿絵が人気です。NY市を面白く描いた絵は額入りのポスターになって画廊で売っています。

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(4) “sophisticated”(洗練された、教養ある、インテリ向きの)という英語がありますが、この雑誌を評するのによく使われます。「スノビッシュ(気取った)」と悪口を言う人もいます。

それだけに読者層はごく限定されるでしょう。

トランプ自伝』のゴーストライター(トニー・シュワルツ)のインタビューがこの雑誌に載ると聞かされたトランプシュワルツ電話してきたことも記事は触れています。

―――シュウォルツの携帯電話が鳴った。(トランプからだった)「おれに投票しないつもりらしいな。いま『ニューヨーカー』って雑誌のインタヴューを受けたが、あんゴミ雑誌、誰も読まんだろう。ところで、ずいぶんおれを批判しているそうじゃないか」―――

確かに、少なくともトランプ投票した人は「誰も読まんだろう」と思います。

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3. 最後に、「トランプの伝記作者はトランプ指導者として不適格であると語る」で始まる本記事に関して、以下補足情報です。

(1) 邦訳は『トランプ自伝不動産王にビジネスを学ぶ』(トランプ&トニー・シュワルツ著、ちくま文庫)で、2008年に出て、今年11月に5刷、渋谷本屋で見たら、週間ベストセラー文庫新書)の第2位でした。

原著は「The Art of the Deal(取引技法)」、やはり2人の共著になっており、1987年刊行で100万部以上売れたベスト・セラーだった由。 

(2) しかし、実は殆ど全てゴーストライターシュワルツが書いたもので、彼は前金50万ドル印税の半分という破格の条件に眼が眩んで、「当時金に困っていたので引き受けた」。しかしその後ずっと後悔し、反省していると言います。


(3) 後悔の理由は、執筆のため1年半彼とべったり付き合い、取材したが、そこから見たトランプの素顔がひどいこと、にも拘らずシュワルツは著書の中で実物以上にトランプを魅力的な人物に仕立て上げてしまったということにあります。


結果として、本著について「ノン・フィクションらしく書かれたフィクション(non-fiction work of fiction)」と評する批評家もいると記事は伝えます。

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(4) シュワルツが語るトランプ性格について、吉見さんの引用に付け加えると、

・異常なほど自己中心的衝動的。

・金が欲しい、称賛されたい、有名になりたいという尽きることのない欲望に取りつかれ、

自分利益になること、損得勘定でしか物事を考えない・・・というようなことです。

シュワルツは、「トランプ大統領という指導者にまったく向いていない」と断言しますが、その理由は、「彼の主義主張からではなく〈そもそも彼には主義主張なんかない、と言います〉、彼の人格にある」。


(5) まあ、こんな風に、ゴーストライターシュワルツ氏は反省の弁とともに次期大統領酷評します。

7月号の記事ですから記事はまだ選挙前、おそらく共和党候補になったばかり。

大統領当選したからといって意見を変えることはないでしょうがアメリカ最大の権力者になったトランプ氏が、彼に何か報復でもするのかどうか。それとも全く無視するか・・・。まあ、カナダにでも移住した方がよいかもしれません。

少なくとも、彼は、せめてものお詫びと後悔のしるしに、「2016年以降の本書の印税は、全額、慈善団体寄付する」と記事の中で語っています。

2016-11-27

東大第67回駒場祭と銀杏並木のキャンパス

| 08:15 |

1, 東大教養学部(駒場)は我が家から歩いて裏門まで10分ほど、キャンパス内は恰好の散歩道になります。

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家人はもっぱら朝7時前には一人で歩きに出かけますが、私はついでに図書館にも寄りたいのでもっと遅くになります。

いまは銀杏並木が見事です。

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今年は25日(金)〜27日(日)の三日間が学祭駒場祭)です。前日の雪がやんで青空になり、初日から覗きに行きましたが、けっこう人が出ていました。

最近大学祭は、硬いイベント殆どなく、平和な催しです。並木の両側も裏に回っても、テント屋台が目につくだけ。牛串だの焼きそばだのおしるこだのクラムチャウダーだの、部単位クラス単位で同じような店を張ってお客を呼びこんでいます。

たまに変わっていると言えば、似顔絵を描く漫画クラブ新聞や学芸誌を売っている店ぐらい。

東大美女図鑑」と銘打ったテントがあって、何だろうと思ったら、美女が何人もいて、美女たちの写真集販売しているのには驚きました。おまけに、販売担当東大生美女たちを撮影するのは、「駒場祭委員会の要許可」と書いてあり、爺さんの好奇心撮影など許可してもらえそうもないだろうと思って諦めました。

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教室内外のイベント落語だの、音楽など・・・・硬いテーマの催しはごく少数で、あっても、講演会パスカルパンセ》を読む」だの、シンポジウム生物多様性学の最前線」など、何れも教養あふれるテーマで、かってのような闘争的なものは1つもありません。

今の若者は、現状にたいへん満足し、怒っていない・・・・ように見えます。


2.てなことを考えながら、正門に回って正面を見たら、「今年の駒場祭テーマは“めしあがれ”だ」という看板がありました。

なるほど、だから屋台が例年より多いのだと気付きましたが、何とも天下泰平なテーマですね。

これでは肥るだけ。

たしか昔、入学式の式辞で「肥った豚になるより、不満足なソクラテスの方がよい」と述べた学長がいましたが。


因みに昨年のテーマは「祭りは旅」、だった由。

大昔、筆者入学1958年は「民主教育権力支配から守り学園の自治確立しよう」。その前年の57年は「平和民主主義を守ろう」・・・・

ああ、日本はこの時代から遠く・遠く、もはや老人の居る場所は消えていくようです。

テーマの変遷を見ると面白いのですが、徐々に変わっていったとはいえ、1980年代の後半あたりからいまのような「基調」になったようです。


3.屋台暖かいココア(150円)をもらい、「週刊東京大学新聞」(100円)の駒場祭特集も買いました。

紙面を拡げて驚いたのは、ミスミスター、栄冠は誰の手に? 10人の候補者を徹底解剖」という1頁全面の記事で、こんなコンテストがあることです(驚く方が無知で、誰もがとっくに知ってるかも知ってるかもしれませんが)。

「今年も(いつからでしょう?)ミスミスター東大コンテストが開催される。駒場祭最終日の27日午後2時にいちょうステージで開演し、インターネット上と当日の投票によってグランプリ準グランプリが決まる・・・・」とあります。

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駒場教養学部の1,2年生が通い、3,4年生の殆ど本郷キャンパスに行きますが、10名の候補者には3年生、4年生もいて、全学的なイベントらしい。まさに「ミスミスター東大」なのでしょう。

ある女性候補者の紹介には、「念願のミスコン出場だ。・・これまで3年間は出場がかなわず最後のチャンスとなる今年の面接では出たい気持ちを猛アピール・・」とあります。

ここから推定できるのは、一定の人数の推薦者をつけて自分エントリーする、応募者が多いのでファイナル10名に選ばれるには面接を含む審査がある、というような仕組みです。

誰が審査委員になるのだろう?と余計なことを考えました。まさか学長審査委員長なんてことはないでしょうね。

時代は変われば変わるものです。

少しショックだったのは、新聞片手に歩いていたら、過去ミスミスターの氏名と写真の展示もあり、この中に、例の電通過労死女性いたことです。

彼女も「ミス東大」だったんだ!

きっと、東大時代は人気の有名人だったのでしょう。何とも気の毒です。


4.最後に話は変わりますが、この校内を家人は朝早く、散歩します。銀杏並木を通り抜ける手前にテニスコートがあって、彼女はここで左折して並木に行かずに、テニスコートの横を通る。

そうすると、朝早くからテニスボールコートフェンスの外の歩道になっている端にたくさん落ちているそうです。、

何せ、まだ昭和の頃、一高柔道部OB父親にしつけられた女性ですから、こういうのが我慢ならない。練習のあと外に出たボールまできちんと拾うのがマナーではないか。拾わないままに放置しておけば腐ってしまうのではないか


朝早く、まだ選手は誰も来ていない。翌日も翌々日も同じ状況。

そこで彼女は、ボールを幾つも拾って、コートの中に放り投げるのが日課になった。

ある朝、珍しく7時前からコートに来ている学生がいる。そこで彼女は彼に、「練習が終わったら、外に飛んたボールを拾っておくのが運動選手マナーではないか放置したままでは勿体ない、と言ったところ、「分かりました」と返事をして、その後、毎朝同じところを通るが、外に放置されたままのボールは無くなった。

何日か経って、また同じ眼鏡学生が早くから来ているので、「外のボール無くなったわね。ちゃんと拾うようになったのね。さすが東大生!」と褒めてあげた・・・・

散歩を終えて帰宅した家人がそんな報告をしてくれます。

「むしろ運動部の強い大学の方がこういう始末はきちんとしているかも。“さすが東大生”はないよ」とからかって会話は終わります。

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学生からは「口うるさい婆さんだ」と思われたかもしれませんが、明治生まれの両親から子供の時に受けたしつけのせいですから今更変えられません。

それにしても、今は豊かになって、フェンスの外に飛んでいったテニスボールなんか部員の誰も気にしない。婆さんに言われて、「はあ、そんなものか」とびっくりする・・・・そんな時代かもしれません。

そう言えば、コートフェンス外にはお手洗いがあり、時々利用させてもらいますが、ちゃんとシャワー・トイレです。

いろいろな意味で、時代は変わった。「散る銀杏 昭和は遠くなりにけり」です。

我善坊我善坊 2016/11/27 14:48 「太った豚より痩せたソクラテス」は、入学式ではなく、1964年の卒業式に大河内一男学長(当時)が式辞として述べたもの、ということになっています―と回りくどいのは、実はこれは原稿にあっただけで、実際は読まれなかったらしい。しかしいち早く広まって、当時4年生になろうとしていた我々からは直ぐに「ソクラテスは痩せてはいなかった、筋骨隆々であったはずだ」という横槍が入りました。
以上は当時の記憶ですが、折角なのでネットで調べたところ、これはJ.S.ミルの言葉だそうです。大河内学長は原稿にもミルの名前を出しています。ミルの原文は、
It is better to be a human being dissatisfied than a pig satisfied; better to be Socrates dissatisfied than a fool satisfied.
というものだそうで、大河内さんはかなり改変して自分の言葉にしてしまっている。その方が分かり易いが、ミルの原文の方が味わいがありますね。

2016-11-20

タイム誌9月5日号「素晴らしい子供たちの秘密(The Secret of Super Siblings)」

| 08:07 |

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1. 前回の「トランプ失望」のブログには、フェイスブックから珍しく多くの方からコメントを頂きました。有難とうございました。

教えて頂き、私の間違いも1つ分りました。十分調べずに、トランプペンシルニア大学ウォートン校という名門ビジネス・スクール卒と理解していましたが、実はペン大卒だが、ウォートン卒ではない、つまり「学士」であって「修士MBA)ではないようです。

最近アメリカ高学歴社会ですから、これはちょっと珍しいですね。クリントン夫妻もオバマ法科大学院卒、ブッシュ・ジュニアイェールビジネス・スクールMBAです。

何れにせよ、トランプブッシュ・ジュニアと同じく、「法律」ではなく、実利思考の「ビジネス」を学校で学んだ人物ではあるでしょう。


2. そのトランプさん、選挙が終わってもアメリカの主要メディアは、連日関連の記事満載です。タイム誌も英国エコノミスト誌も直ちに特集を組みました。

エコノミスト論説は「トランプ時代」と題して、内容は省略しますが、「彼の選出は、本誌を含めて全てのリベラルに対して「ノー(rebuff)」を突きつけたのだ」と嘆きます。

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ということは、日本はいまや大勢が「保守」のようですから、「ノー」と言われたと思っていない人が多いかもしれません。

その日本では早速首相がNYに会いに行き(異例の早さで)、他方でオバマ最後外国訪問メルケルに別れの挨拶をする・・・・同じ日の2つの行動は象徴的ですね。

”Japan’s Abe calls Trump ‘a leader I can trust’”

は、FT見出しです。


3. この話ばかりしているといささか気がめいるので、アメリカの少し明るい話題を紹介したいと思います。9月5日号の特集記事普通家族と飛びぬけた子供達の物語(Ordinary Families. Extraordinary Kids)」です。

記事普通アメリカ人9家族を取り上げ、その子供達がいかに素晴らしい成功を収めたかを紹介し、その共通点は何か?を探ります。

まず、取り上げる前提条件は以下の通りです。


(1)親が資産家の子供は除外する。普通の(時にはごく貧しい)両親であること。

(2) 子供達が全て違う職業についている事例に限り、かつ「全員」が成功していること。

(3) 「成功」の定義は、名声やお金よりも、リーダーシップや業績を重視する。

(4) DNA大事だが、むしろ、ダイナミックな育ち方や子供同士の関係に注目する。

以上です。

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4. そして多くの家族共通する特徴として、以下の6つを指摘します。

(1) 両親が移民であること。

――7家族がそうです。残り2家族黒人ユダヤ人移民には中国人も1家族含まれます。


(2) 親が教育者である事例が多い ――やはり7家族が該当します。

教育者といっても、大学教授から幼稚園小学校先生まで多様です。そして、例えば、

小学校先生をしていた・ある母親は「0歳から5歳までの育て方がいちばん大事」と語る。

(3) 何らかの形で、親が政治活動公民活動をしていた事例が多い

タイム誌は、例えば、60年代のシカゴで親が公民権運動に参加していた事例など幾つも紹介して、子供は小さい時から「世界は変えられる」という感覚を持ったことが大きいのではないか、と考えます。


(4) 小さい時から、戦うことを目にしたり・学んだりしたりする厳しい(場合によっては治安の悪い)環境に育った子供が多いこと。

・しかも自分自身、決して優等生少年少女ではなかった事例が多い(未成年飲酒マリファナや、万引き、10代の妊娠まで経験した事例がある)

・周りの環境が劣悪で、暴力が珍しくない環境で育った子供も多い。

子供同士の兄弟姉妹けんかも珍しくなかった・・・・


(5) 人の死(mortality)について子供の時から経験した事例が多い。

・例えば,13歳で死んだ末の妹の存在が大きな影響を与えた事例、あるいは、

・劣悪な環境で、自宅の真ん前で従妹の女性が射殺された事例など、

彼らのすべてが、若死(untimelyな死)を身近に経験している。

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(6) 最後に、全てに言えることとして、子供時代が実に自由だったこと。

モンスター・ペアレンツ(アメリカでは「ヘリコプター・ペアレンツ」と言います)はどこの家庭にもない。周りの友人の誰よりも、自由放任だったと口をそろえる。

・例えば、学校に行きたくなければ行かなくともよい。好きなことに時間を使えばよい

(ある男性は、そういう時、一人でよく詩を作ったそうです)。

・また、子供に小さい時から責任を持たせ、自主性を尊重する。

・例えば、ある家庭では、長女だった5歳の時に、親に言われて度々、自分一人で、4歳と生まれたての2人の妹の世話を任された由。

・また、小さな女の子たちが自分だけで自転車に乗って1マイル(1.6キロ)も離れた雑貨屋まで買い物に行く姿を見て、近所の人は目を向いた、という。

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5. ということで、本当は、こういう具体例をたくさん紹介すると面白いと思うのですが、紙数の制約もあり、事例は最小限にとどめ、一般論に整理する字数が多くなりました。

もちろん、アメリカとは、社会構造環境国民性人種構造もまるで違いますから、比較にも参考にもならない、と考える人が多いだろうと思います。

しかし

(1) こういう話題を「タイム」という、ドラッグ・ストアや空港の売店やどこにでも置いてある、ごく一般的週刊誌で取り上げるのは、結構真面目な編集方針だなと思います。

(2) それと、分断も格差治安差別も、日本よりはるか重症で、大きな問題を抱えている、「アメリカンドリーム」なんて死んでしまったと感じている人が増えているこの国で、何とか明るい話題提供したいという想いを感じるのですが、如何でしょうか?

2016-11-13

アメリカ次期大統領に、「反省」と「失望」と「品性」を考える

| 08:07 |

1. 晩秋信州自然にひたって満足して浮世に戻ると、トランプ次期大統領誕生です。大喜びしている人たちだけではなく、「ショックと驚き」、そして「反省失望」を感じた人たちも多かったのではないか

殆どアメリカの「予測」が、接戦とはいヒラリー有利を伝えていただけに、ショックと驚きは当然でしょう。

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ここでは、「反省」と「失望」とについて考えてみたいと思います。

(1)まず「反省」について言えば、「予測」を信頼しすぎたことへの反省です。

前回書いたように直前のNYTimesは、85%でヒラリー上院は54%で民主党勝利予測していた➡これは何だったのか?

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第一に言えることは、もはや「有識者」「大手メディア」「世論調査」が信じられない時代に入ったということで、この点はBREXITですでに実証されていました。

それなのに、終わったあとの、彼らのすべてが深い反省もなく、「何故こういう結果になったか?」の解説自己弁護に追われているように見えます。

ヒラリーが既成の秩序の象徴とみられた、それへの不満・怒り・飽きなのだ」といった、後講釈にもっぱら終始しています。

もちろんそれ自体間違いではない。しかしそんなことは事前に十分言われていたことで、その点を認識しつつもなお彼らは最後まで「ヒラリー優勢」を予測していた訳ですから、後講釈だけでは、弁解になりません。


自分たち存在意義そのものを真剣に考え直す必要があるでしょう。テレビワイドショウやお笑い番組を楽しむ人たちは、NY TIMESやTIMEなんか決して読まない。

そして後者は前者を理解できておらず、相変わらず昔ながらの啓蒙可能だ」という思考にしがみついている、そういう現実をよくよく考える必要があるのではないか


これがまさに「ポピュリズム」であって、「知性」や「啓蒙」という近代精神21世紀には死んだと言ってもいいのではないか

いささか悲観的ですが、そんな印象を持った選挙でした。

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(2)もう1つ、なぜ予測が誤ったか?を一般論として考えたときに、

私自身の反省を含めて、「希望的観測予測に大きく影響する」という人間心理があると痛感しました、

人間は得てして「こうあって欲しい」という願望がまずあって、そこから「予測」を立てようとする。トランプには勝ってほしくないという願いが「ヒラリー有利の予測」につながっていく・・・

例えば、英国エコノミスト誌は、直前11月5~11日号の論説で、「仮に投票出来るなら、ヒラリー投票すべき。彼女アメリカにとって”最良の希望”だからだ」と論説で強く主張しました。

これを読んだ人なら、「エコノミスト誌の言う通りだ」と納得する人が多いのではないか(もちろんトランプ支持派はこんな雑誌に見向きもしないでしょう)。


2 次に「失望」です。日本人の中で「驚き」と「予測が外れた」人は多かったでしょうが、「失望」した人はそれほど多くなかったかもしれない。

失望」した理由は、

(1) 私個人であれば、生きている間に(日本は無理にしても)せめてアメリカ240年

歴史で初めての女性大統領誕生を見たかった、という失望です。

自分が正しいと信じることのために、決して夢を捨てないで、と若い人たちに呼びかけた13分のヒラリー敗北演説まことに立派でした)

http://www.cbsnews.com/news/hillary-clinton-concession-speech-2016-donald-trump/

(2) もう1つは、アメリカ(人)に対する失望です。

50年も昔、初めてテキサス州ダラス暮らしときに、

NYカリフォルニアアメリカの一部に過ぎない。親切で善良だが、粗野で、世界を知らない田舎者で、アメリカ(の田舎)が世界で一番だと思っている、思い上がりのアメリカ人が多い」と感じたことを思いだし、こういう連中の(最後の)逆襲ではないかという「失望」です。

それは、「広島長崎原爆が正しかった」というアメリカ人と重なり、彼らが、徐々に減りつつあるもののまだ多数なのだという失望でもあります(若い私は、ダラス原爆正当化する彼らと何度か議論を戦い、英語の拙さもあって、何度も空しい気持を味わいました)。


(3) 最後に、人間の「品性」は大事ではないのかという「失望」です。

タイム誌は、直前の11月14日号に、「終わりは近い」という記事選挙戦を取りあげました。

記事では女性の中にも、(ヒラリーを「赤ん坊殺し(人工中絶を支持するから)」と呼ぶ保守的白人女性を初め)トランプ差別発言を気にしていない支持者もいると指摘。しかし、反対派の女性の「今回の選挙アメリカは、トランプに全く欠けている、”品性”が問われている」という声を紹介して終わります。

それなのに今回の結果は、「品性・礼節は、大統領資質には不要」と突きつけられた「失望」です。


3.トランプの、特に女性蔑視発言は、本当にひどいものです。

ところが、中には「男性なんて本音あんなもの」と思っているアメリカ人女性結構いるとタイム誌は伝え、ある女性は夫に「あなただってあんなことを言うの?」と訊いたところ、「他に誰も聞いてないと思ったら言うだろうよ」と返事されたそうです。

タイム誌は、こういう礼節を欠いた下品言動が「男らしい男なのだ」というイメージが、男女を問わず、今も一部のアメリカ人に刷り込まれているのではないかと言います。

女性蔑視発言なんか次期大統領投票するに当たって問題ないと思っている人が多くいたということ。

そういう人は、「失望」どころか、トランプ勝利を喜び、女なんかに政治が出来るか、「ざま見ろ」と思っているかもしれない。

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もっと言ってしまえば、こういう結果は、一部の日本の政治家を安心させ、慢心させるのではないか

差別発言女性蔑視もむしろ本音なんだし、むしろ正直じゃないかという気持を助長させるのではないか・・・・

4.さらには、日米の国民性にはちょっと似たところがあって、エリートは嫌いだが、セレブは好き(これが「ポピュリズム」)という嗜好があるのでないか・・・

トランプは「セレブ」で、その暴言は許せる、むしろ愛敬のうち。しかしエリートは、それが女性であれば猶更、謙虚・控えめでなければ許せない・・・

本音では、こんな風に感じている人が、日米ともに意外と多いかもしれない。

考えすぎかもしれませんが、こういう危惧が、私の「失望感」につながっていきます。


5.そして、日本はよく言えば弾力的、融通無碍、悪く言えば(白洲次郎が言ったように)「プリンシプル」がない国ですから、意外とトランプ大統領とうまく対応していくかもしれない。

(対して、プリンシプルに拘るドイツ人メルケルさんなんか苦労するかもしれない)

もっと言えば、トランプ自身が、「プリンプル」のない、融通無碍政策を変えていく人物かもしれない(銃規制移民対策オバマ医療への反対など、保守的思考は気になるが)。彼は成功したビジネスマンだそうですが、ビジネスの根っこには、こういう「原理原則に拘らない」実利優先の功利主義思想があるのではないか


選ばれた以上は、立派な大統領になってほしいと願いますが、しかし、人間の「品性と礼節」は変わるものでしょうか?

arz2beearz2bee 2016/11/21 18:08 一週遅れですが、人間の品性と礼節は三十過ぎては変わりません。極めて希な例外はあるかも知れませんが、トランプ氏がもし変わったように見えてもそれは計算と思います。

2016-11-06

晩秋の信州とアメリカ(大統領選・ワールドシリーズ)

| 07:57 |

1. 氤岳居士さん、遅くなりましたが神代植物公園の温室情報有難うございます。咲き

そろった睡蓮を見にいきたいものです。

もっと当方は、晩秋信州に週末を過ごしました。今年の最後滞在ですが、もみじ落葉松紅葉や雪でうっすら化粧した八ヶ岳を眺めたり、散歩しながら下手な素人写真を撮りまくっています.

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2. 幸いにインターネットのお陰で、情報田舎にいてもフォローできます。

2週間前(10月23日)のブログで「おそらくトランプの勝ち目はない。しかし40%の支持は、敗けても、この国にしこりと分断を残すのではないか」と書きました。

ところが、その直後、7月捜査終了を発表したFBIが新たなメールが見つかったとして捜査再開を発表。

マスコミは連日この問題を取り上げてFBI長官判断への是非に揺れています。

世論調査リアルクリア・ポリティックス」の直近の発表では、勝つには過半数270人の選挙人必要のところ「ヒラリー216対トランプ164接戦州158」で、FBI捜査再開直前が、ヒラリー272 対トランプ126接戦州140から、大きく差は縮まりました。


それでも、州別・総取りの選挙である以上、ヒラリー勝利は間違いないと、個人的には思いますが、どうでしょうか・・・・(BREXIT場合のように、何が起きてもおかしくない時代かもしれませんが)。


直近のニュヨークタイムズ(NYT)は、ヒラリー勝利を84%とし、トランプ勝利も「不可能ではない」〈16 %〉としています。

問題は前回も触れた大接戦の上院選挙で、NYTは、54%の確率民主党優勢と伝えています。仮に民主党過半数を取れば、前回2014年の雪辱を果たす訳で、大きな影響があります。


上院下院にはない権限をもち、その1つに、大統領指名した最高裁判事の「承認権限があります。

現在9名の判事のうち保守派だったスカリア判事が今年2月に死去してから、補充がされていません。

オバマ指名しそうなリベラル判事上院承認する可能性が低いためです。

現在、8名は保守4対リベラル4で、上院民主党過半数となればリベラル判事が多数を握れる。

これは「法の支配」が徹底し、(日本と違って)最高裁存在まことに大きく、憲法違反する法律かどうかを真剣に・頻繁に判断するアメリカではとても重要なことです。

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3. もう1つアメリカの話ですが、ワールドシリーズシカゴ・カブスカブは、獣の子新米などの意味)が、実に108年ぶりのシリーズ制覇を果たしました。

対戦相手のクリーブランド・インディアンズが勝っても68年ぶりだったそうですから広島カープの比ではありません。

7回戦の最後に延長10回でカブスが勝つという、まさに「ハラハラドキドキ」で、前回のブログで触れた「戦力均衡化」の経営方針の成果といえそうです。

両チームとも、前回ブログで紹介した「マネーボール戦略踏襲する、データ分析による経営戦略を重視するチームです。

もちろんシカゴは大騒ぎで、マスコミ電子版のニューヨーク・タイムズを開けると関連記事が満載です。

別に、いい悪いの話ではなく、ただ「違う」というだけですが、アメリかのメディアは、戦略面からの指摘が好きなようです。

対して、日本メディアは、選手活躍監督の采配や選手への目配りや・・・といった人間関係情緒的な面を取り上げることが多いような気がします。

例えば、ファイターズ栗山監督が如何に大谷選手をうまく使ったか、というような話。

あるいは、4日の日経スポーツ蘭のコラムには「ファンの声援、育ての親」という見出しで、ファンの存在が如何に優勝に貢献したか、という「ナニワブシ」的なコメントがありました。

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4. もちろんアメリかのメディアもこういう報道が無い訳ではありません。しかし必ず、なぜ勝利したかを戦略的分析しようとする志向も強いと思います。

データ重視の「マネーボール戦略にはもちろん批判もあります。

11月4日ニューヨーク・タイムズは早速、「本物のベースボールとは?」と題して、この問題を何と 論説で取り上げていますので最後簡単に紹介いたします。

(1) 今回のワールドシリーズは近頃でもっと楽しい試合を見せてくれた。

と同時に、データ重視のカブスインディアンズ両チームに対して、これを批判する「大事なのはデータなんかじゃない」という意見との違いをふまえて、「本物のベースボールとは何か?」を考える良い機会となった。

(2) データ批判立場に立てば、「本物のベースボールとはデータ分析ではない。その魅力とは、選手のプレーする運動能力なんだ。例えば ――

右翼手三塁手に向かって矢のような球を返して走者の進塁を阻止する姿、

盗塁する選手の懸命に走るスピードと活力、

ダブル・プレーを取ろうと振り向いて次の動作に移る二塁手の姿の美しさ・・・

ベースボールの魅力とは、そういうことなんだ、データなんかに意味はない!


(3)ニューヨーク・タイムズの論説の筆者は、自分プロではないからよく分らない、と白状します。そして、多分、両方ともそれぞれ言い分があるのだと思うと両者を立て、

ただ、自分が繰り返したいのは、「マネーボール戦略の両チームによる今年のシリーズは目茶目茶、楽しかったということだと言います。

そして、覚えておいていいと思うのは、反「マネーボール戦略を強烈に主張するのは例えば、アリゾナダイヤモンドバックスジェネラルマネージャーである。

そして・・・ダイヤモンドバックス今シーズンの成績は69勝93敗で、来年、彼もそして監督もチームには残っていないだろう・・・・。

(4)もちろん、論説の筆者は、ダイヤモンドバックスGMの主張と思いを、すべて否定している訳ではありませんが、「ハラハラドキドキ」の魅力を訴えてもいます。

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たかがプロ野球はいえ、こういう戦略論争の視点からとらえて、「ディベイト」に持っていこうとする思考に、日本にはないものを感じて面白かったです。

もちろん、プロ野球だけではなく、この国は大統領選議会選も「ハラハラドキドキ」ですが、

対して日本選挙どうでしょうか?