ゼミ「白樺キノコ(チャーガ)入門」(第6回)

チャーガには毒性が無いことが証明されています」


このように、チャーガカバノアナタケ)はすでに数十年間前に公式医学で認められています。1955年から、ソ連邦保健省薬理学委員会はチャーガ製剤の使用を許可しました。その最初の薬剤が、塩化コバルトまたは硫酸コバルトを含んだ白樺キノコの濃縮エキス「ベフンギン」です。


現在では、錠剤や筋肉内注射用など、さまざまな調合形態のほかのチャーガ製剤も製造されていますが、他方、チャーガの科学的研究は地道に続けられてきています。


20世紀の70年代に、レニングラードの学者たちは、チャーガは組織の酸化還元プロセスを高め、中枢神経系に全般的強壮・賦活作用を及ぼし、緊張を緩和し、胃と十二指腸の酸・酵素生成機能を正常化させることを発見しました。


民間療法家は昔から認めていたことですが、専門家の研究は、乾癬の複合治療におけるこのキノコの使用が好結果を生むことを証明しています。ほかの薬剤や内科治療を一切行わずに、チャーガ製剤を使用しただけで、さまざまな、しかも非常に重篤な疾患が全快した諸症例が知られています。


とは言うものの、チャーガの数々の有効な特徴にもかかわらず、その特性は完全には解明されていないことを忘れてはなりません。チャーガカバノアナタケ)には毒性が無いことが証明されていますが、チャーガに対するアレルギーも有り得ます。正にそれ故に、服用量、生活様式食養生のすべての条件を守って、医師の監督下でのみ治療を始める必要があると、ロシアの専門家は勧めています。

ゼミ「白樺キノコ(チャーガ)入門」(第5回)

チャーガは50年前からロシアでは正式にがんの治療に使われています」


1862年には、サンクト=ペテルブルグ市の医師A.フルーフトが、すでに顎下腺までがんが進行していた下唇がんの患者の治療症例の報告をしました。この際、チャーガ(カバノアナアケ)の濃い煎汁の内服と湿布を、一日3回、数ヶ月続けました。臨床日誌から判断すると、がん腫瘍とがん性潰瘍が完全に消失して治療が完了しています。


19世紀末には、ピャチゴールスク市の医師S.A.スミルノフが手術不能のがん患者に対するチャーガ煎汁の鎮痛作用を記録しています。それと同時に、著者は煎汁には患者の腸の活動を正常化させる能力があることを確認しています。


20世紀の中ごろには、チャーガは再びロシア(当時の「ソ連邦」)の学者たちの注目の的になりました。白樺キノコの使用に関する民間療法の知識を利用して、ソ連邦科学アカデミー付属V.L.コマロフ記念植物研究所で、その特性が研究されました。


それらの研究の過程で、チャーガ薬剤の調合形態を得る方法が発見され、チャーガで治療されている患者の臨床観察と臨床生理学研究が行われました。多方面にわたる臨床的、化学的研究の後、チャーガは、1955年に、ソ連邦保健省薬理学委員会により使用が正式に承認されました。

ゼミ「白樺キノコ(チャーガ)入門」(第4回)

「ロシアではチャーガは千年も前から知られていました」


ロシアの民間療法では、チャーガカバノアナタケ)は大昔から内臓腫瘍の薬として知られていました。年代記は、キエフ大公のヴラジーミル・モノマフがチャーガによって唇の腫瘍を治療したことが認められています。歴史辞典によれば、モノマフは11世紀中頃から12世紀前半の人ですから(1053年〜1125年、在位は1113〜25年)、実に、今から880年ほど前のことです。


ロシアの薬用植物に関する書物や薬草による民間療法の手引書には、チャーガによる治療に関しても記載されています。多くの地方で、チャーガの煎汁とチンキは、高価な紅茶に替わる飲み物として使用されていました。そして、それらの地方では、ほかの地域と比べて、胃腸管の病気やがんに苦しむ人々が、極めて少なかったことが指摘されています。チャーガのおかげで、彼らは健康な身体と良好な体調を高齢まで保つことができたのです。


がん患者に対するチャーガの治療効果を解明する試みが医学文献で初めて記述されたのは19世紀になってからでした。1857年から1858年にかけて、F.I.イノゼムツェフがこの民間薬を使ってモスクワ医科大学付属病院に入院していた患者たちに臨床試験をしました。


1858年、ロシアの医師E.フローベンが白樺の”サルノコシカケ”の煎汁を用いて耳下腺がんの重症患者の治療症例を報告していますが、おそらく、それは正にチャーガだったと思われます。1862年には、サンクト=ペテルブルグの医師A.フルーフトが、すでに顎下腺までがんが進行していた下唇がんの患者の治療症例の報告をしました。この際、キノコの濃い煎汁を内服と湿布を、一日3回、数ヶ月間にわたって続けました。臨床記録から判断すると、がん腫瘍とがん性潰瘍が完全消失して治療を終了しています。

ゼミ「白樺キノコ(チャーガ)入門」(第3回)

「白樺の木にできるコブだけが薬効を持っています」


白樺キノコの学術名は“Inonotus Obliquus”(「斜めになったサルノコシカケ」の意)といいます。植物学的には、タバコウロコタケ科に属しますが、ロシアの庶民は、この白樺のコブに”チャーガ”という美しい詩的な名前を付けました。


チャーガは不規則なコブ状の形をしていて、その表面は黒く、たくさんの小さな穴があいていて縦横にひびがはいっています。キノコの内部は暗褐色で非常に固くなっていますが、木の幹の方向に向かうと、キノコの内部は明るい色になり、それほど固くはなくなって、細く黄色っぽい筋が現れてきます。


キノコは、裂けた節や木の幹のほかの損傷した場所に自分の棲家を選びます。中には、長さ50cm、直径40cm以上で重さが2〜5kgもあるような非常に大きなサイズのコブができることがあります。


チャーガは生きた白樺の古木に生えますが、まれには、ハンノキ、ニレ、ブナ、ナナカマドなど、ほかの木の幹にも見かけます。ただし、白樺以外の木にできるチャーガには薬効はありません。


チャーガには毒性が無いことが科学的に証明され、その有効性がすでに何世代にもわたってテストされ確認されていますが、チャーガの煎汁やチンキを使用する場合には、ご自分の担当医に相談することをロシアでは勧めています。

ゼミ「白樺キノコ(チャーガ)入門」(第2回)

チャーガには間違いなく薬効があります」


チャーガカバノアナタケ)は、中枢神経系に全般的な強壮作用と賦活作用を及ぼして身体の防御反応を高めます。


チャーガの製剤は、脳組織の新陳代謝を活発にし、血糖値を下げます。その中に含有されている生物的活性物質のおかげで、チャーガは血圧と脈拍を正常化する能力も持っています。また、チャーガは胃炎と胃潰瘍の治療に使用されます。


チャーガには、このようにさまざま病気に対する効果が認められていますが、一番知られているのは、抗ガン作用でしょう。チャーガを使用すると、悪性腫瘍の生成予防の効果があることが証明されています。(チャーガの煎薬を常用すると、ガンの罹患率が著しく低下することが確認されています)。


すでに何世紀も前に、チャーガはある種の腫瘍の成長を阻止することが認められていました。ロシアの年代記には、内臓腫瘍に対する薬としてチャーガがすでに12世紀初めに使用されていたことが、記されています。


19世紀には、この奇跡のキノコのうわさが西ヨーロッパにまで達し、当時の有名な薬学者であったドラゲンドルフ教授がチャーガを研究しました。しかしながら、チャーガの中に当時知られていた薬効成分を発見することができなかった彼は、チャーガは医学的観点からは無益であると発表したのです。


ところが、そんなことにはおかまいなしで、ロシアの田舎の人たちは、相変わらずチャーガのお茶を飲んでいました。そのおかげで、ヨーロッパの人々と比べ、ロシア人はガンにかかることが少なく、また、胃腸管の病気を患うことも全くありませんでした。


現在でも、ロシアと諸外国の学者たちはチャーガの特性の研究を続けていて、全く新しい使用分野を発見しています。薬局や健康食品店の棚には、伝統的なお茶だけでなく、エキスや錠剤や軟膏など、いろいろな形のチャーガ製品が出てきています。


非伝承医学は、すでにだいぶ前からチャーガカバノアナタケ)には薬効があり、人間の健康にとって不可欠である、という結論を出しているのです。

ゼミ「白樺キノコ(チャーガ)入門」(第1回)

「醜いコブにかくされた無限の生命力」


自然て本当に不思議なものです。


美しい白樺の木にできる醜いコブの下に思いもよらない奇跡的な力が隠されていると、誰が思いつくでしょうか。


ロシアでは、全国いたるところに白樺林がありますが、林の中を散歩していると、しばしば、木の幹に黒い大きなカタマリを見つけることがあります。コブはとても醜くていやらしい形をしていますから、気味悪がって、この”病気の木”に近づかないようにする人たちもいます。それらのコブが人間にとっていかに貴重なものであるかを考える人は少ないからです。


自然界に存在するすべてのものは、1本1本の草木に至るまで、それぞれに価値と目的があって、それぞれが意味を持っているのです。人類は、太古の昔から、自然界のさまざまな植物を、病気の予防や治療に役立てる知恵をはぐくんできました。


ロシア人にとってこころのやすらぎそのものである白樺は、健康のシンボルでもあります。その強い生命力は、人々に生きる勇気を与えてくれます。


チャーガカバノアナタケ)は白樺の木に寄生し、白樺が豊かな大地から吸い上げる養分を横取りしながら成長して、ついには木そのものを枯らしてしまうほどの驚異的な力を発揮します。


春、白樺が芽がふくらませるころになると、白樺の木は、大地からどんどん雪解け水を吸い上げます。白樺ジュースは、昔から滋養強壮のために飲み続けられてきましたが、チャーガは、まさに、この栄養満点の白樺ジュースのエキスを吸い取って成長するのです。


ロシアの人たちは、白樺の木が地中から吸い上げる雪解け水に含まれる豊富な養分を、白樺ジュースや、そのジュースのエキスをさらに吸い尽くして成長するチャーガから取り入れる知恵を持っているのです。


チャーガは、本当に醜い形をしていますが、それはまさに、大地の活力の源を凝縮した姿なのです。
 

通信講座「白樺キノコ(チャーガ)入門」開講にあたって

 5年ほど前、北海道を基点に始まった白樺に寄生してできるキノコチャーガ」(カバノアナタケのお茶は、今や全国的に広まってきました。


 ほんの3年ほど前までは、インターネットで検索しても300〜400件しかヒットしなかったのが、今日では、ヤフー検索で見ると、「チャーガ」(538,000件)、「カバノアナタケ」(418,000件)、と飛躍的に増えてきました。


 それらほとんどの健康食品販売会社のHPには、チャーガは「2万本に1本の白樺の木にしか見つからない!」とか、「抗酸化力はアガリクスの23倍!」とか、「β−グルカンはアガリクスの3倍!」などなど、センセーショナルな宣伝文句が並んでいます。


 そのような宣伝文がどのような資料にもとづくものか知りませんが、高価な商品を売るために、いたずらにチャーガの希少価値を強調しているように思われます。


 筆者は、数年前に安保徹教授「免疫革命」という本を読んで、大変に感銘を受けましたが、それと前後してチャーガカバノアナタケの存在を知り、大自然と生命の不思議さに眼を開かれました。


 大学時代にロシア語をかじったので、ここ数年、ロシアの研究論文などの文献をコツコツと読んできましたが、興味深い内容がたくさんあります。


 日本ではこのよう資料は知られていないようですので、チャーガに興味をお持ちの皆さまに、本場ロシアの情報をご紹介したいと考えて、「白樺キノコ(チャーガ)入門」講座を開講することにしました。


 私は、医者でも植物学・薬学などの専門家でもありませんが、ロシアのチャーガ情報を正確にお伝えすることはできると思います。ご質問にもできる限りお答えして行きたいと思いますので、ご遠慮なくコメントして下さい。


 皆さまが、より正しくチャーガカバノアナタケの持っている可能性を理解し、それを健康維持に役立てていただければ、幸いです。