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これは良い新書で、親になったら一度は読もう。/ 予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書)

予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書)

予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書)

404 Blog Not Found:読むワクチン - 書評 - 予防接種は「効く」のか? にて、紹介されていた本を図書館で借りて来て読みました。そして、もう返却してしまいましたが、ゆっくり読む人でも1-2時間前後で読める本だと思います。かなり良い新書です。

うちは、私が全力でしっかりしてないし、しっかりしてないし、病気がちだし、頭おかしいんだけど、素敵な妻がとてもしっかりしていて、予防接種スケジュールとか淡々と消化されていたのですが、こう世間の旦那様も是非ですね、日本の予防接種の歴史と現状についてはこの本あたりで押さえておいた方がよいと思います。口語体でカジュアルで読みやすい本ですし、病気とか予防接種の話は身近なので、イメージもしやすい本です。

この本ですが、予防接種やワクチンの話では、ものすごくはしょって解説すると、
「あんまりワクチンを毛嫌いするよりは、みんなで打つと集団として群れとしての耐性があがるし、ほとんどの人にとっては、打っても打たなくてもなにも起こらないんだから、そのときどきでいちばん良さそうなワクチンをみんなで使ったらいいんじゃないかな。」というように、私には、思われました。それから、「使うからには、予防接種で何かの事故が起こってしまった場合は、手厚く補償をする」「悪者とか犯人探しに終始しない、分析と対策を考えよう」って主張が横たわっています。

そういう意味では、ワクチン打つべきなの? 打たない方がいいの? 打たなくてもいいの? ということについて解答を求めて手に取ると少し肩すかしを食らうかもしれません。

それよりも、この本では、もうすこしメタな視点で、現象と問題と対処法と被害者/加害者の関係について、特に心にとどめておいた方がよいいくつかの歴史的なトピック、それから、ある物事について、当事者としては「絶対」に心がけないといけないことはある。
だけど、いつの時代にも通用する「絶対」正しいとか「絶対」間違ってるとか「絶対」あいつのせいw とか、そういう態度よりも、もうすこし大人の態度として、「違い」は「違い」のままで置いておくとか、曖昧なものを必ずしもはっきり決めない方がいいこともあるとか、そういうことも考えようという主張の方がどちらかというと印象に残っています。

私だけじゃなくて、妻もけっこう良い本だったと思うって言ってたので、たぶん良い本ですw

目次より...

◎ 目 次
はじめに
1章 ワクチンをめぐる、日本のお寒い現状
2章 ワクチンとは「あいまいな事象」である
3章 感染症とワクチンの日本史......戦後の突貫工事
4章 京都と島根のジフテリア事件......ワクチン禍を振り返る
5章 アメリカにおける「アメリカ的でない」予防接種制度に学ぶ
6章 1976年の豚インフルエンザ......アメリカの手痛い失敗
7章 ポリオ生ワクチン緊急輸入という英断......日本の成功例
8章 「副作用」とは何なのか?
9章 「インフルエンザワクチン」は効かないのか?
......前橋レポートを再読する
10章 ワクチン嫌いにつける薬
あとがき
-- 予防接種は「効く」のか? ワクチン嫌いを考える (光文社新書) より

親になって思い知るんですけど、1章のお寒い現状については、子どもがいるといろいろ実感します。
子どもに受けさせる予防接種って結構種類もあるし、任意接種とかだと結構有償だし、いろいろ大変なんですよね。悪い方の自己責任が登場するのって、医療制度とか、疫学的にはこうどうかと思いますが、このあたりは、現実と寄り添っていくしかありません。Hibとか肺炎球菌とか正直さ、恥ずかしながら自分の子どもが予防接種するってならなかったら知らないことでした。

それから、ワクチンって、効果があるかないかを計るのが難しいところがあって、「ほとんどの人にとっては、打っても打たなくてもなにも起こらない」けど、何かが起こると異常にセンセーショナルな取り上げられ方をしてしまうので、そこはもう少し原因の解析についても、補償についても、フェアにっていうのは、この国の報われないお医者さんのお話を聞いたことがあれば、いろいろ実感出来る話題です。

問題の対処法はその時々で異なるというのと、最善を尽くすというのはいつだって絶対に重要

IT関係やWeb関係の人って、実はもう少し医療に従事されてる人達ってもう少し仲良くすべきだよね。そうすべきだし。あと、取り扱う対象が正反対だけど、対象に良く似た特徴ががあるので、もう少し仲良く出来ると思うんです。

その時々で、いちばん良い方法を、よく考えながらも、手早く実行するっていうのは、とても大事なことです。さらに、そのための制度や準備が出来ていることはもちろん重要で、アメリカの予防接種の制度についてはかなり進んでいますし、整っています。こう、アメリカの医療の現状の問題とかはシッコ [DVD]が有名で、いけてない先入観があったんですけど、全然そんなことなかった。そんな、アメリカでも失敗したケースがあったことについては、ぜひ、本書を手に取ってご覧下さい。

それから、日本。日本では歴史の上でいろいろあって、今も制度的にも意識的にも問題がいろいろあるんですが、これについてはポリオワクチンについてがやはり私には印象的です。

こちらではNHKクローズアップ現代でも取り上げられていましたが、
http://cgi4.nhk.or.jp/gendai/kiroku/detail.cgi?content_id=2975
こちらとかなり関連があるポリオのワクチンの話がかなりためになります。昔にポリオの生ワクチンを緊急対応してポリオを押さえ込むことに成功して、すばらしかった。

だけど、現在は昔は大活躍したポリオの生ワクチンこそがポリオを発症する一番の原因になってしまっている事実とか、それに対処するための不活化ワクチンがあることとか、それはでも任意で有償の接種になるとかは、こう歌舞伎役者が灰皿でテキーラ飲ませたとか、関取がケータイで八百長とかよりもずっと大事なことだと、私には思われるんですけどね。そのあたりは、これからもNHKにGood Job と言い続けたいような仕事をして欲しいですよね。

もしも高校野球の女子マネージャがドラッカー読んだらとかどうでもいいんですけど、うちのこがポリオの生ワクチンで発症したら困る。世界が困る。とかそういうことですw

一概には言えないことがたくさんある

ワクチンや予防接種もそれから、世の中のいろんなことはまずトレードオフになっているのが常で、ローリスクハイリターンに出来ればいいんだけど、まあそういう訳にも行かず、そのときに、少なくともハイリスクローリターンにならないようにしないといけないと思います。

なので、異常にリスキーな予防接種なんか受ける必要はないし、受けても受けなくてもだいたい安全な方法を予防接種において採用出来るなら、それは積極的に採用するべきだと思います。

こう、「絶対安全と信じる」とか、それを通り越して「起こる可能性があるけど起こったらヤバいことはなぜか起こらないことになってたことになってた」っていうのが、日本の急成長のときに置いてけぼりにして来てしまったことで、それの歪みを最近は実感しやすいので、そういう観点からも手に取る価値があると思いました。

一概には言えないけど、私だから言えることまる!!w

病気になんかならない方が良いです。新型インフルエンザとかね。いやほんとに。病気になるくらいだったら、注射した方がよいと思います。

それから、ワクチンとかの予防接種以外にもうがいとか手洗いとかはほんとうにしたほうが良いですよね。

とにかく、みんなが健康に楽しく仲良く過ごすことより大事なことはないと思うので、健やかに良い人生をと思います。

おまけ ついでに好きな新書とか

新書って、実にいろんな内容の本が出てて、本当に新書がベストと思わせるものもあり、この本んはとても良い新書でした。ついでなので、私が好きな新書を以下でご紹介。

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)

パラダイス鎖国 忘れられた大国・日本 (アスキー新書 54)

これ大好き、新書で1冊とか言われたら、真っ先にこれが思い浮かびます。おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書)と一緒に読むと楽しさ倍増で、ためにもなります。あとはこんなダイアリーみてる人にはあれだけど、状況に疎い場合は、素敵なジャックさんの飼い主の梅田望夫さんのウェブ進化論とかはわかってほしい場合には良い本でしたよね。

お金は銀行に預けるな   金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)

お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践 (光文社新書)

すごくすごく具体的に、お金の話をしている分には、勝間和代はヘンじゃないと思います。この本って投資信託にだまされるな![新版]とかの、竹川さんの影響を強くうけているようなところがありますね。
もちろん世界にはすごい人がいるので、もっといい方法なんかもあるとは思いますが、すくなくともヘンなもんつかまされないようにするとか、いきなりハイレバ二階建てヒャッハーで世紀末が来て消毒だーとかするまえに少しずつ準備体操をするとか、知識を増やすのには、悪く無いと思います。