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「戦争は女の顔をしていない」のお話

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)

戦争は女の顔をしていない (岩波現代文庫)

ノーベル文学賞受賞ということでも話題でしたが、そこよりも、個人的には村上春樹のアンダーグラウンドのように、当事者のインタビューがメインで構成された本というところに興味があり読んでみましたが、辛い本です。なぜ、本を読むのかという質問に対して、よくできた回答に人生が一度きりだからというものがありますが、それがまさしくど真ん中で当てはまる本ですね。

戦争の中でも、苛烈を極めた第二次世界大戦独ソ戦ヒトラーvsスターリンの頂上決戦で両国あわせての死者が数千万人オーダーということで、もうこちらについては目眩しかしませんが、その戦争に従軍したり何らかの形で関わった女性のインタビュー群によって構成されていて、様々な立場で、様々な長さで、様々な感想でのインタビューから構成されています。それは酷い有様とその描写はもちろんありますが、一方で、あの頃私達は確かに生きていたみたいな感想が確かにあったりして、いろいろと思うところがあります。

上記の、村上春樹のアンダーグラウンドでも、そりゃもう絶対に許せないですよ...みたいなケースから、なんかけろっとしてるみたいなケースまで、意外と当事者の皆様でもいろんな感想があったりして、個人的にはそういうところが興味深いのですが、この本についてもそうでしたね...。あとは、その後についてもフォーカスが当たっているのが良いと思います。戦争は終わったけど終わらないみたいなところが、また切ないですね...。

あとは、これまた極めて個人的な感想なのですが、戦場カメラマンの方の短いインタビューがとてもとても印象的でした。

戦場カメラマンと聞くと、こう、戦場にしかなさそうな、何かが爆発していたりとか炎上していたりとか、亡くなっている様とか、見るも無残な光景とかそういうものを撮影しているのかとかついつい思いこんだりしますが、そもそもそれが逆だったりするわけなんですよね。ただ、その逆というのが、やっぱりそれは戦場にしかないもので、逆に切ないのですが。

では、良い人生を。いやほんとに。