博士のニュース

05/15(日) 理常任理事国入りのメリットって何なのか?

国連の安全保障理事会の改革に関して、常任理事国の拡大が正式な議題として取り上げられつつ有ります。

しかし、国連のハイレベル委員会と言われる有力国の間では、常任理事国を増加させても拒否権の付与は行わない方針らしい。これに対し小泉首相は、常任理事国に就任した暁には拒否権が欲しいと言っている。国内での意見でも拒否権がない常任理事国入りなど骨抜きの形だけの物で意味がないとの意見が多い。


しかし、拒否権は本当に必要なのだろうか?


拒否権が持つ印象は?と聞かれると、冷戦時代に米ソが互いに拒否権を連発しまくり、安保理を空転させていた姿を連想する人が多いのではないでしょうか。

しかし、先のイラク戦争において、フランス・ロシアは米英の武力行使容認決議案に対し、拒否権をちらつかせて反発しましたが、最後まで発動しませんでした。その結果、武力行使を黙認し、戦争が終わればそそくさとアメリカと関係回復をしています。冷戦が終った現在、拒否権を持つ常任理事国同士が直接の利害対立関係にない限り、実際に拒否権を発動することは難しく成っているのが現状なんですよね。

つまり現在の国連における拒否権は「抜かずの宝刀」に成りつつあるという事です。

何故か言うと、現在世界の先進国は既にグローバル経済の相互依存関係にあり、お互いの経済関係は複雑化を極めつつあります。マイウェイが大好きな中国ですら経済発展を遂げるにつれ、世界の声には敏感になっている事からもこのことが分かるでしょう。以前の中国なら、世界中から批判されても反日暴動を止めたりなんかしませんからね(笑

これは経済発展をしていこうと思うと、自国内だけの経済では無理があるし周辺国との通商だけでも共倒れになる事はあっても先進国の地位を維持する事は出来ないからです。

こんな状況下で、拒否権を発動しても逆に経済的に孤立するリスクを抱える可能性が増えていくだけで、リスクばかりが多くメリットがドンドン無くなって行って居るのが現状なんですよ。

さて、常任理事国入りしても、経済大国という状況は変わらず、国防軍化もまだまだ先になりそうな日本が、拒否権を持つ事にどの様なメリットがあるのでしょう?発動する機会は本当にあるのでしょうか?そこをもう一度真剣に考え直す必要があると思います。

では、日本が常任理事国になる事にどんなメリットがあるの?と言う疑問が生まれます。

外務省のホームページを調べてみますと、常任理事国が他の国と異なる点は、

  • 安保理において選挙を経ずに議席を有する
  • 表決にあたっていわゆる「拒否権」を有する
  • 軍事参謀委員会は安保理常任理事国の参謀総長又はその代表者で構成する
  • 信託統治地域の施政を行っているか否かにかかわらず信託統治理事会を構成する

以上のような事が上げられます。

日本の大きなメリットとして考えられるのは、今は非常任理事国に選出された時しか安保理に参加できない安全保障に関する議論に「常時」関与できるという点です。

拒否権が無くても、これは大きなメリットがあると言えます。「これこそ拒否権がないのに?」という意見もありそうですが、日本も大きな利害がある地域での安全保障会議に参加できない状況を考えると、大きな前進と言えます。それで、日本の主張が通るかどうかは別問題ですが、拒否権はその議案をご破算に出来るだけで、根本的な問題解決には成らない以上、主張が通るかどうかと拒否権は直接関係有りません。

しかし、国軍化もままならない状態で、会議に常時参加するからには、当然安全保障に対する関与が求められる=兵力の派遣を求められる事になるのだろうけど・・・・どうするのかね?

まあ、この問題を置いておいても、国外との交易で経済を成立させている日本としては、国際機関で唯一他国の行動を合法的に拘束できる安保理に常に参加できる権利というのは喉から手が出る程欲しい物だと言う事が少しは分かって頂けたでしょうか?

拒否権がない状態で常任理事国入りをしてもしょうがないと言う主張も分からなくもないですが、その問題よりも重要なのは先ずは成らない事には現状維持で何も変化しない=金は出すけど意見は言えずと言う事で、それよりは遙かにマシだと言えるし。成った後でも更なる改革は主張できると言う事を忘れてはいけないと思う。

後、もっと真剣に考えるべきは常任理事国入りをすれば、先にも書いたように今よりも積極的な安全保障参加を求められる事は間違いないが、どういう形で参加していくべきなのか?この点の方が重要だろうと思う。