ヘスラー軌道

2005-07-31

[] 米国が閏秒廃止に向けて暗躍

あほか。閏秒でコンピューターが誤動作するとまずいので、閏秒は廃止し、代わりに数百年に一度「閏時間」を入れるという議決を2007年までに成立させようと、米国が密かに動いているらしい。Pittsburg Post-Gazetteと/.より:

http://www.post-gazette.com/pg/05210/545823.stm

http://slashdot.org/article.pl?sid=05/07/30/135239&tid=103&tid=164

閏秒と言うのは、地球が一回自転するのにかかる時間が正確には24時間よりもちょっと長いために必要になるものである。地球の自転つうのは、長い目で見れば月による潮汐力の効果によってどんどん遅くなる*1ので、物凄く長い時間の後(人類は死に絶えているだろうけれども)には一日が23時間ぐらいになっちゃうだろうが、まあとにかく予見出来る程度の範囲では、たまに一月一日に一秒余分に入れる程度で辻褄を合わせる事が出来るのだ。この減速具合が常に一定であればそんなに難しい事は無いのだが、俺も良く知らんけれども色々な要因によって減速の度合は一定では無いので、閏秒をいつ入れるかどうかというのは自転観測の結果を協議した上で国連の機関が決定する。だから閏年とは違って「次にいつ閏秒が挿入されるのか」というのをソフトウェアで計算して自動的に対応するのは難しいし、その上1分=60秒で決め打ちしているソフトウェアも多かろう。そこで二千年問題同様、閏秒がコンピューター社会に大ダメージ、みたいな話になって来ると。上記記事には過去の例として、

というのが挙げられている。

2003年の事例なんて最後の閏秒挿入(1998年)から5年も経っているのに、どういう事なのか。2003年に閏秒が入る事を決め打ちしていたのだろうか。この様に、確かに閏秒で問題を起こすシステムはあるだろうが、それは秒が飛んだ程度で大問題が起こる様なシステムの方を何とかする事を考えるべきであろう。それに対して米国が推進している「閏秒無し、何百年か後に閏時間を入れる」というやり方は、ソフトウェアの対応を先延ばしにするだけだし、日の出の時間はしまいには1時間ずれてしまうわけだし、そうなったらサマータイム同様に生活時間の方を一時間ずらさねばならなくなるではないか。「そんなん大したことじゃねえ、十分やれる、閏秒バグは人命に関わる事だ」っつうのが米国の言い分なのだが、600年後に馬鹿プログラムと閏時間のせいで大惨事にならんと誰が言えるのか。そんなにクリティカルシステムだったら、そもそも1分=60秒とか1日=24時間と決め打ちするのが論外なのであって、結局はソフトウェアをちゃんと書かねばいかんという事に変わりは無かろう。上に引いた記事の中では、天文学者の次のコメントが普通の感覚だと思う。

Pittsburg Post-Gazette紙(俺訳)

"If your navigation system causes two planes to crash because of a one-second error, you have worse problems than leap seconds," said Steve Allen, a University of California astronomer who maintains a Web site about leap seconds.

カリフォルニア大の天文学者で、閏秒についてのWebサイトを開いているSteve Allenは、「一秒の誤差のせいでナビゲーションシステムが誤動作して飛行機同士がクラッシュするとしたら、閏秒より深刻な問題があるってことだ」と語った。

ちなみに次の閏秒挿入は2006年元旦の予定。米国がこのタイミングで2007年の閏秒廃止に向けこっそり運動しているという事は、(2000年問題の時にも同様の事を思ったが)やっぱり議会周辺にコンピューターに関するパニック専門のロビーイストというか煽導屋がいて「今度は閏秒っすよ、またまた大儲けのチャンスっすよ」とか言ってんのだろうと思う。2006年の閏秒挿入時に、米国内で大規模な障害が生じたらさぞかし都合が良かろうな*2

*1:月の潮汐力により、地球は常にラグビーボール型をしている。海水に粘性が無ければラグビーボールの尖った方は常に月の方を向くだろうが、実際には水は地球の自転に引っ張られてしまうので、ラグビーボールの尖った部分は月の方向から少しだけずれている。すると、この尖った部分の重力に月が引っ張られて月の公転は加速し、逆に尖った部分は月に引っ張られるから地球の自転は減速するのだ。

*2:そうだな、やっちゃうか、ってな話にはまあなるはずは無いと信じとるけれども。