Phantomship Deadend

22 October 2011

『黄昏乙女×アムネジア』

 『黄昏乙女×アムネジア』を第3巻まで読む。既刊は5巻まで。これは全部読まねばなるまい。

28 June 2010

Pages for iPad

 残念。よく工夫されているとは思ったが、本家Pagesの操作性には及ぶべくもない。画面接触式の入力装置では精緻な修飾がまだまだ容易ではない。それなりに見栄えの良い文書の迅速な作成支援こそが、私の期待(我が儘?)であったが。キィボードとマウスディスプレイと本家Pagesの組み合わせは、実はなかなか優れ物であったのかもしれない。

 加えて、文章が長くなればなるほど急速に疲労が募るのは否めない。これはPagesに限らず、iPadで行う作業の全般に通じる事情であろうが、なかなか打鍵が進まなかった。こうしてテキスト形式で綴ることにはあまり遜色がないようには思う。

 そういうわけで、職場にiPad1枚*1を持ち込んでも、大量の記録と大量の文書作成に追われる我が現況のためには役に立たないのではないか。そろそろハードディスクから異音が聞こえるiBook G4にこの夏も共に越えていくほかにないようである。iPadの場合、ちょっとした文章を綴ること、優れた視認性を生かしたアプリケーションの充実振り、電脳網との相性はさすがであるから、iBookとiPadを併用してみようかな。

*1:iPadの単位は何なのだろう? 「枚」? 「台」?

27 June 2010

iPad購入

 まだまだ辿々しいながらも、こうやってiPadで電子的に打鍵し、入力し、文章を拵えることはできるようになりました。慣れれば、もっと迷いなく打鍵できそうな手応えがあります。

 ただ、漢字変換機能がお悧巧さんではないことは残念です。「こしらえる」が「拵える」には変換されません(なぜか「こしらえ」が「拵え」にはなりますが…)。それから、小細工をしなければ全角空白を入力できないです。iOS4のように利用者辞書の編輯機能(「編輯」は変換できた!)が付け加えられることを望みます。

 iWork for iPadの使い心地についてはまた明日。

07 April 2010

『力動的集団精神療法 精神科慢性疾患へのアプローチ』

 『力動的集団精神療法 精神科慢性疾患へのアプローチ』*1を読んでいます。造作が美しい本です。

 標題のとおり、慢性化した精神疾患を抱えた人を対象とした精神分析的な理解に基づく集団精神療法を説いた本です。想定されている疾患は主に統合失調症、理解の枠組みは対象関係論以来の精神分析理論であり、これらについてまったく無知であると本書の理解は難しいでしょうが、まあ、私程度でもひとまず歯が立ちましたから、皆様買って読んでみることをお勧めします。

 主な目次は次のとおり。

  • まえがき
  • 「精神科慢性疾患の力動的集団精神療法の会」の経緯
  • I 理論編
    • 第1章 対象関係集団精神療法
    • 第2章 対象関係集団精神療法における「妄想-分裂ポジション」と「抑うつポジション」について
    • 第3章 Foulkesの集団分析と精神科慢性疾患の集団精神療法
    • 第4章 若い臨床家のためのガイド「統合失調症患者への力動的集団精神療法」
  • II 実践編
    • 第5章 統合失調症に対する力動的精神療法とその有効性
    • 第6章 アメリカ精神科病院での臨床事例
    • 第7章 精神科病院での長期グループの事例
    • 第8章 統合失調症対象の集団精神療法における喪失と希望の持つ意味
    • 第9章 集団精神療法における転移と行動化、ワークスルー 躁的防衛としての「たまり場」から「オアシス」へ
    • 第10章 多様な病態水準でひきこもり症状を示す患者たちのコンバインド・セラピー “暴力の影”夢想、暴力的交流と団結、怒りの“容器”としての言葉
    • 第11章 無期限にしばりつける悪い母 うつ病患者への精神分析的集団療法の一事例
    • 第12章 短期力動的集団精神療法の可能性 教師の職場復帰支援グループを通して

 冒頭や「理論編」の記述は親切ですし、読み手の私の頭には触媒的に働きました。お勉強にもなります(「コンダクター」という言葉はすでに定着しているようですね)。私の勤め先の精神科病院でも集団精神療法に似た取り組みが行われていて、その一部に私が携わっているのですが、本書で議論されているような取り組みを行うには適切な情況ではないと考えています。私自身の器では無理な話ですし、何よりもちょっと特殊な病棟です。とはいえ、現在携わっているところの活動には応用できるかもしれない、応用することで活動をより豊饒にできるかもしれないとも思っています。まずはアリエティの著作を読み返さなくてはいけない、ビオンの著作に挑戦してみようかなという気になりました。きっと読者に襷を繋ぐという意図が編者にはあるのではないかと勘繰られます。読者の私はその襷を矯めつ眇めつ吟味しているところのでしょう。吟味の甲斐がある本ともいえます*2

 「実践編」を読むと、一口に集団精神療法といってもいろいろな例が実際に形になってきたということがわかりました。私が勤め先で携わっている集団的な取り組みの一つは、やはりちょっと特殊な病棟における社会技能訓練で、この取り組みにおいては某他職種の担当者が「リーダー」、私が「コリーダー」ということになっています。いずれは私が「リーダー」を任せられることになりそうな按配の今日この頃、現状のままでも興味深い傾向は勿論残っているのですが、適切と評されることになっているところの行動の例が外発的に参加者に提示される、それを参加者が役割演技する、後に「なかなか般化*3しませんね」と評価されるという顛末に終始するのでは勿体ないとも思っていまして体制内改革案を練っています。収録された事例は、あちこちで参考になります。


*1:高橋哲郎、野島一彦、権成鉉、太田裕一(編) 力動的集団精神療法 精神科慢性疾患へのアプローチ 金剛出版 東京

*2:その病棟の集団的な取り組みの一つは、某他職種の担当者が有形無形に主導するものですが、傍らで観ていれば、心理臨床的に関与し検討するにふさわしい材料が提出されることもたびたびです。で、実際にちょこちょことやってみれば、やっぱり意義深い展開になることもあって、集団もおもしろいねえと個人対象の心理療法に専ら従事することが多かった身には思われることもたびたびです。

*3:この「般化」は明らかに誤用だ。

you999you999 2010/04/13 22:57 編者の一人です。とりあげていただいてうれしく思います。臨床実践の何かのヒントになれば幸いです。どうもありがとうございました。

首 2010/04/16 22:18 恐れ入ります。読み応えのある御本を世に出してくださって、こちらこそありがとうございます。

19 January 2010

Kindle for iPhone

 3月末までに註文した品物の配送料を無料とする企画をAmazon.co.jpがやっています。原則的に全商品が対象です。そこで、好機とばかりに普段はAmazonに註文することがない品物(主に重たいお米、麺類、お酒など)を探索してみたのですが、さほど安い品が見つかりません。地元の店の方が余程安く買えることが多いです。

 ただ、その中でも意外にも安くなっている品、意外にもAmazonで扱われている品をいろいろ発見することができました。いやー、Amazonは凄いわー。これで本邦にちゃんと納税してくれれば、どんどん頼ってしまいそうだ。宿直中の手遊びに陳列してみましょう。選考基準は「おれの好みに適うか」です。


野菜生活100

 添加物が混ぜられていない野菜のジュースは、あんまり幸せでない昼食生活を送る身には大変ありがたい物です。自宅から持参した冷凍御飯、即席の味噌汁、竹輪に野菜ジュースを加えれば、私は夕まで働けます。今夜のような宿直の夜も、明朝のような宿直明けの朝にも欠かせません。

 普段から職場に備蓄して、ちまちまと出動させているのですが、地元の最も安い店でも1本当たり90円以上の値が付きます。この商品であれば、200ml24本入りで¥1,960! つまり、1本当たり約82円! 地元の商店で購入した場合の10本分約900円で、Amazonでは11本分を購入できることになります。無印「紫」、「緑」、「黄」などを取り混ぜてくれればなおよかったです。


「野菜生活100 Refresh!」

 こちらは777g12本入りで¥2,230です。つまり、1本当たり約186円。野菜ジュースの比重を寡聞にして知らないので、水と同じく1ml当たりの質量を1gであると仮定すれば、先の「野菜生活100」では100ml当たり約41円となりますが、「野菜生活100 Refresh!」では100ml当たり約24円です(こういう計算だけは本当に早くなるように生育してしまったぜ)。決めた。おれはこの商品を纏めて註文するぞ。薔薇色の昼食生活だ!*1


Kindle for iPhone

 素人の私には元祖Kindleの売り上げに差し障りかねないと思ってしまうが、iPhoneでKindleを利用するためのアプリケーションが配布されています。例によって、App Storeで入手しましょう。繰り返します。無料です。

 残念ながら、Amazon.co.jpではKindle用の商品はまだ扱われていません。そこで、本家のAmazon.comを覗けば、あるものですねー。たとえば、Davisonの 'Abnormal Psychology' の最新版(第10版)。旧来の紙媒体製品では$114.8ですが、Kindle用の製品では$71.2! $1=¥90と換算すれば、10,332円だった文献が3924円分も安くなって6,408円で入手できることになります。本家KindleやKindle for iPhoneの使い心地を知りたいところですが、この価格差には驚きました。

 以下、蛇足。私はこの本の第8版の邦訳を15,000円くらいで購入しました。とにかく網羅的なので、知識を仕入れたり参照したり脳内日米比較論を展開したりするには良い本でした。貧乏学生には痛い出費だったのですが、異常心理学を頭から尻尾まで一度食い尽くしておくことは、後々の心理屋稼業の基礎となってくれました(この点、『心理臨床大事典』は項目執筆者によって程度の差が甚だしく、初心者には扱いづらかったです)。心理臨床のお仕事に就こうとか臨床心理学の研究をしようという方、知識を仕入れ直そうという方にはお勧めの文献です。最近では原書第9版の邦訳「テキスト臨床心理学」全5巻(別巻1)も出版されています。邦訳を読むもよし、原書を読んで英語のお勉強を兼ねるもよし。

*1:我ながら廉価な幸せだぜ

31 December 2009

『君も精神科医にならないか』

 『君も精神科医にならないか』*1を酩酊しながら読了。『精神科のくすりを語ろう——患者からみた官能的評価ハンドブック』『精神科薬物治療を語ろう——精神科医からみた官能的評価』という独特な著作の著者・編者による新刊です。ああ、それから、『精神科医になる——患者を “わかる” ということ』 も良かったです。はい、私、熊木先生に魅せられています。

 先生の著作の何が良いかといえば、紙面で自身を提示していくその姿勢が、心理屋には参考になるということです。きっと臨床場面でも同様に適切に自身を提示されているのでしょう。自身を適切に処方する医師、治療的実直性とでもいいましょうか。その微妙で精妙な一端が中学生にも理解できるほどの平易な語彙で記されています。なので、興味を持たれた方には私の駄文への視線を打ち切って本書を繙いてみることをお勧めします。

 質問に応えるかたちで綴られた本書でもそのような傾向は発揮されています。語り口は穏健で語彙は平易ですが、内容は縦横無尽です(恩師の一人の講義を思い出しました)。自前の思考や感覚や情緒が糧となっているからです。診断分類の笧を頭に詰め込む一方で、こういう体力を養っておくことは今後ますます大切になると思います。年末にぴったりの一冊でした。

 ところで、ちくまプリマー新書の装幀はどれも瀟洒(講談社現代新書の装幀の惨状は残念です)。奥付を見れば、「クラフト・エヴィング商會」の手による物とわかりますが、さて、「クラフト・エヴィング商會」とは? クラフト=エビングといえば、性的倒錯を説いた医師で、サディズムマゾヒズムという概念を提唱した人物が心理屋には思い起こされます。しかし、関連があるのかないのか。関連があるとすればどのような関連であるのか。さっぱりわかりません。そういえば、獄中のサドは、妻から届いた手紙の文言に隠された意味があるはずだと念じ窮めていたそうですが、私もそうなりつつあるのか…。


*1:熊木徹夫 2009 君も精神科医にならないか 筑摩書房(ちくまプリマー新書)

suganokeisuganokei 2010/03/02 18:54 クラフト・エヴィング商會、こちらに記述があります。http://u.nu/543x6

20 November 2009

『集中講義•精神分析』

 『集中講義・精神分析——精神分析とは何か フロイトの仕事』*1を読んでいます。個人開業していて、「基本的に私は今、自分を精神分析家だと思っています」(p.4)という著者による大学講義に手を加えたものです。

 一度読み終えてもあちらこちら読み返したくなってしまいます。副題のとおり、精神分析やフロイトの業績が概説されているのですが、無味乾燥な教科書とは異なり、現代の日本において、ほかならぬ講師であるところの著者がどのようにして精神分析家であるかという一事と渾然一体となって語られています。ただの専門書ではありません。真の専門書です。しかも、大切な事柄が平易に扱われていますから(そう思いました。実際の講義ではどのように語られたのだろうと想像を禁じ得ませんでした)、入門書にも向くと思います。

 精神分析という営みが全然根付いていない本邦で、精神分析という営みを次代に伝えるための呵成の語り下ろしとも私には見受けられました。「私としては死ぬまでやるだけのことはやるけれども」(p.16)との事です。雄渾ですね。やっぱり精神分析は、そして、心理臨床は口や文字で語られてこそ生き生きとします。これぞplayfulというものです。話題は多岐にわたりますが、見出しや小見出しが充実しているので、迷うことはありませんでした。

 重要な指摘がいっぱい鏤められいて、連想に追われながら読むことになりました。ここではその一つを纏めてみます——私の出身大学院では、かつては固有の伝統が研究室に存していたのですが、臨床心理士養成機関として均霑化される傾向と相俟って、この命脈はある時期から途切れてしまったようです。以前の世代と以後の世代の心理臨床家の質的な違いは、界隈で時々耳にする話題となりました。大別すれば、伝統にholdingされて育った臨床家、均霑化されたことになっているところの制度の下で育った臨床家というところでしょうか。ちなみに、私は挟間の世代に属します(大混乱だったなあ…)。以前の伝統には与さず、以後の潮流には棹差さず、紆余曲折を経ることになりました。私という心理屋の出来上がりに深く影響しているかもしれません。けけけけけ。ま、まだまだ出来上がっていないつもりだが。けけ。

 当然ながら、私は私の固有の経緯と環境において心理臨床をやってきました(うむ、我れながら実に剴切で肯綮に中った考えである)。著者が実践する精神分析とは縁が深い精神分析的心理療法をお勉強した後に、方々の勤め先でそれを適宜変奏させながら心理臨床をやってきたのであり、本家本元の精神分析的心理療法からは随分離れてしまったなあと思うこともあれば、いやいや。この営為こそが精神分析的心理療法に相違ないのだと覚悟を決めることもあり、これからもきっとそうなのでしょう。「甘えるな」*2

 あー、下巻が楽しみです。岩波書店の「フロイト全集」を買ってしまおうかな。ウィニコットビオンを充分に咀嚼しその身の慈養とした人の著作はないかな*3 *4


*1:藤山直樹 2008 集中講義・精神分析——精神分析とは何か フロイトの仕事 岩崎学術出版

*2:『クビシメロマンチスト』での「いっくん」の台詞。前述の「出来上がり方」は、「戯言遣い」の出来上がり方と関係しているのかも。

*3:この記事は、夜間当直の合間にiPhoneにて記述、編輯、送信しました。さすがにこれくらい長い文章になると、PCで打鍵したくなります。

*4:後記: 後で誤字を2箇所発見。ついでに加筆。やっぱりキィボードから入力し、ディスプレイより帰還を受ける態勢がよい。

08 November 2009

『キノの旅 XIII』

 『キノの旅 XIII ——the Beautiful World——』*1、読了。今回も良質なエンターティメントでした。『キノの旅』については、作品の設定の説明を兼ねた感想をこちらに書きましたので、お暇な方は御覧ください。

 前巻までと同じく短篇集です。あるところに旅人がいて、その旅人は乗り物で移動していて以下略という具合に、毎回のように似た冒頭を経て、お馴染みの面々が都市国家のような「国」を遍歴するという話です。語り手と対象のやや開いた距離感が絶妙です。前巻までと同じく陰鬱で後味の悪い話が多く(キノ、エルメス、シズ、陸、ティーに果たして安住の地はあるんでしょうかね)、おもしろかったです。人間って大真面目に妙な国を作り上げてしまうものみたいですね。

 気懸かりなのは、軽快さがあんまり窺われなくなった印象があり、ひょっとしたら作者の執筆、すなわち、物語の生成が滞りがちであったのかもしれないことです。まあ、一読者の勝手な勘繰りですが。末永く続刊してほしいものです。


*1時雨沢恵一 2009 キノの旅 XIII the Beautiful World アスキーメディア・ワークス(電撃文庫)

05 November 2009

『実践・精神分析的精神療法』

 『実践・精神分析的精神療法――個人療法そして集団療法』*1、読了*2。焦点がわからぬ題名だなと思いつつ某学会の売り場にて繙けば、頁が進むにつれて、個人の内界の精緻な理論(フェアベーンやレインによるスキゾイド論)に関する論考から、病棟や患者の家族が論旨の射程に入り、集団精神療法の検討に至るのです。患者の環境をいかに適切に整えるか、患者をいかに適切にコンテインするかという目的が通底しています。平易です。統合失調症の患者さんが多い病棟にて精神分析的心理療法をやっている私にはお誂え向きではないか。個人を理解するためには、必然的に集団を理解しなくてはならないし、集団を理解するためには個人を理解しなくてはならないし、より正確に言えば、一方の理解に向けた心理臨床家の力は他方の理解に及ぶ関係にあるというのが私のかねてからの持論であるが、ところで、他人に語ったことがない持論を持論と呼んでもよいのかという疑問は永遠に棄却するとして、最後の第4部は故小此木啓吾先生との対談であり、本書を纏めるような内容となっている。

 主な目次は次のとおり。


  • 第1部 精神分析的精神療法
    • 第1章 ひきこもりと抵抗
    • 第2章 フェアベーンの考え方とその影響
    • 第3章 スキゾイド
    • 第4章 精神力動的個人精神療法の始め方・構造化
    • 第5章 スーパーヴィジョンの終結をめぐって
    • 第6章 サイコセラピーと集団精神療法
  • 第2部 精神病院というフィールドで
    • 第7章 アソビのある容れ物としての病棟
    • 第8章 システムとしての病棟
    • 第9章 精神「障害」者をもった家族の問題
    • 第10章 夫婦療法覚書
    • 第11章 「ぼくたちの失敗」考
    • 第12章 入院病棟における精神療法的アプローチ
  • 第3部 集団精神療法
    • 第13章 グループの始め方・続け方
    • 第14章 統合失調症患者の大グループの特徴
    • 第15章 レビュー・ミーティングと私たち
    • 第16章 コミュニティ・ミーティングにおけるリーダーシップ
    • 第17章 集団精神療法の効き目と落とし穴
    • 第18章 病院の中にグループがあるということ
  • 第4部 個人精神療法から集団精神療法へ
    • 第19章 対談 小此木啓吾・相田信男 集団は信じられるか: フロイトの集団論をめぐって

 現在の職場に勤めるまでの私の心理屋稼業には、主に一人の来談者のために一人で働き抜く力が求められた。本業の心理臨床だけではない。浅学菲才を顧みる間もなく他の医療関連職種の真似事をする必要があれば、それをやる。苦肉の策としての縦横無尽である。おおおおお。あああああ。よくやったものだとちょいと思う。一人であれこれやってみるという作業は私の持ち前のスキゾイド的な性分には合ったのかもしれない。

 ところが、現在の職場には他職種の人材が揃っている。医師看護師薬剤師精神保健福祉士作業療法士、事務員…。他の心理療法士もいる。このような環境において*3、個人や集団にどのような心理臨床ができるか。先達は本当にあらまほしいです。「グループは信じられるか」なんてなかなか目にできる字面じゃないですよ。

 集団の司会者を指す用語として「コンダクター」が紹介された箇所には、電気が伝わるような感じを受けました。conductに「電気を伝える」という意味があること、また、演奏の指揮者として喩えた論説があることが紹介されています。読者である私の頭には途端に → 「配線」と連想が走りますし*4心理臨床面接を音楽に喩えたおのれの思いつきとも符合するようで嬉しいです。うむ、この方向でお勉強していこう。集団の心理的な機能をconductする心理屋――よいではないか。

 前述のとおり平易な文章です。厚い本でもありません。私でもすぐに読み終えることができました。しかしながら、私がこの本から汲み取るべきものはきっとまだまだいっぱいあるのだろうなあと直観します。よく整理された参考文献一覧の中から気になるものを摘み食いした後で(ビオンの理論を解説した文献が読みたくなりました)、いつかまたこの本を読み返してみようかしら。


さよならトロブリアンド島

 クロード・レヴィ=ストロースが10月30日に死去との報。失礼ながら、まだ生きていたことに驚きました*5。「野生の思考」を学生時代に囓りましたよ。「西太平洋の遠洋航海者」を斜め読みしましたよ(これはマリノフスキーの著作)。西欧社会における合理的であると称揚されるかもしれないところの科学的な思考とは異なり、所謂未開人の神話的な思考は具体的な科学に基づいているのであり、つまり、独自の象徴秩序=構造に基づくのであり、決して非合理的ではないのであるという趣旨であった。と強引に纏めてみました。養殖された思考が蔓延し跳梁し跋扈し猖獗する今日*6、「野生の思考」はもっと称揚されてもよいと思うし、私ならば、因果律を強調するばかりの言説に心理臨床が浸潤されてしまう前に、脳裡の裏庭で密かに養っておきたい。


*1:相田信男 2006 実践・精神分析的精神療法 個人療法そして集団療法 金剛出版

*2:久々にこのウェブログに記事を投稿します。はてな記法を指が忘れかけていることに気づきました。折角憶えたのだから、投稿の頻度を上げようかな…。

*3:実は国内でもちょっと特殊な医療環境ではありますが…。

*4:さらに、→「神経の束、脳」→「根茎」→ … と繋がっていきます。

*5:世界的水準の人文系知識人を輩出したフランスの文化的土壌は今はどうなっているのだろう? きっと変質して久しいのではないか。ひょっとしたら、レヴィ=ストロースの死によっていよいよ終止符が打たれてしまったのではないか。全球化、すなわち、所謂グローバリゼーションが進めば、いつか世界はまったく凹凸をなくしてしまうのではないか。

*6:レヴィ=ストロースは「栽培種化された思考」という言葉を用いていたようです(Googleで調べてみました)。痛烈!

25 October 2009

Twitterを始めました

 Twitterを始めました。囀っています。囀った言葉が、このウェブログ題辞から右下の箇所に反映されるようにしてみました。仮に "Farewells" と名付けています。さようならー。

五。五。 2009/10/26 22:47 いやいや、結構楽しそうにつぶやかれてますよ。
私はまずい一言をやってしまいそうだから、導入には消極的ですが
首さんには「どんどんおやんなさい」(めぞん一刻の四谷さんの台詞)を送りたいと思います。