気ままなねこのように

2013-10-11

『のんのんびより』1話のもつ寓話性について考えてみた

本編も良いということが言いたい

前の記事では『のんのんびより』のアバンについての感想だけで終わってしまって本編について触れることができなかったので
今度は本編についても感想を書きたい。どうせ暇だし、友達もいないし雨降ってるしですることがブログを書くぐらいしかないんです。
いや、暇だからじゃなくて本編も物語中毒者的にすごく美味しかったから書くんだけどね? まず1話のあらすじを紹介すると・・・

1話のあらすじ

第01話 転校生が来た
一条蛍は、両親の仕事の都合で、東京から「旭丘分校」に転校することに。しかしそこは、自分を含め、全校生徒が5人しかいない学校だった!東京から転校してきた一条蛍、ムードメーカーの越谷夏海、女子最高学年の越谷小鞠、独特の感性を持つ最年少の宮内れんげ、まったりした田舎の大自然の中で過ごす彼女達の日常がはじまる!

脚本:吉田玲子 コンテ:川面真也 演出:川面真也 作画監督:大塚 舞/井本由紀

「劇場版 のんのんびより ばけーしょん」公式サイト より

1話は一条蛍が田舎に迎え入れられる話

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なんで1話本編の話がしたかったのかというと、『のんのんびより』1話は非常に寓話的な構造をもってるから心に響くのではないかと思ったからです。

前回語ったアバンが終わってリコーダーを吹いていた宮内れんげや越谷夏海、越谷小鞠が学校に到着すると、転校生として一条蛍が紹介されます。
のんのんびより』1話の主役は誰かというと東京から田舎にある「旭丘分校」に転校してきた一条蛍でしょう。
アバンではダンボールが軒先においてあったり、田舎らしくない洋風な家からでていく姿が描かれていましたがここで初顔見せです。
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転校生として田舎の学校に迎えられた一条蛍は鉄琴の手動チャイムにビックリしたり、全校生徒が5人しかいない事、1つの教室に色々な学年の生徒がいることなど、都会と田舎のギャップに驚きます。
休み時間は廊下に置いてあるバケツについて越谷夏海に説明される。ここでもちょっと会話がずれていて面白い。
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その後グラウンドで中当て(ドッチボールみたいなもの)をするんだけどここでも都会と田舎のギャップネタ。(田舎ではカギを閉めないんですよね)
家に親がいないためカギを持っていた一条蛍は「変わってらっしゃる」といわれてしまう。
「都会」と「田舎」の違いが執拗に描かれて、それに戸惑っている一条蛍が描写されます。

こんなふうに1話の前半は一条蛍がじぶんの今までの常識が通じない「田舎」という場所に放り込まれたことがシュールギャグを挿みつつ描かれます。
そして学校が終わった後の帰り道に蛍は高台から「田舎」を俯瞰して不安げな表情を浮かべる。
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そんな蛍の表情をみて、宮内れんげは家に遊びにこないかと誘います。
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1話を通してれんげは蛍のメンター(指導者、助言者)的な役割をはたすキャラクタなんですよね。
何故かというとプロローグのギャグで示したように、いま彼女は自分のいる場所が「田舎」なのかという「自分の居場所に対しての疑問」をもっているからです。
だから「田舎という場所になじめない」蛍の気持ちをキャッチできます。

そんなメンターのれんげの家に向かう道中、れんげは蛍に対してみかんの木があること、畑のこと、近くにあるお店のことなどについてレクチャーします。
でも蛍はれんげの家についてもまだ落ち着かない様子。
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蛍にとって「田舎」は異界

そんなこんなで蛍は田舎になじめないまま、翌日になって小学校での給食のじかん。メニューは地元で取れた山菜をつかったものです。
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これを食べた蛍は「美味しい・・・!」とはじめて笑顔らしい笑顔をみせます。
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ここが大事な場面で「異界のものを食べる」というのはじつは古くから物語的にすごく重い意味があるんデス。
日本最古の歴史書である古事記ではイザナギノミコト(伊耶那岐命)が黄泉の国の食べ物を食べてしまったため生き返れなくなってしまいますし
ギリシア神話でも冥王ハデスから与えられた冥府のザクロを食べてしまったベルセフォネーは一年のうち四ヶ月を冥府で過ごさなければならなくなることが書かれています。(これが季節の始まり)
最近のものだとジブリの『千と千尋の神隠し』でも「異界」のものを食べて帰れなくなってしまうというお話でしたね。

アリーズ 1 神話の星座宮 (秋田文庫 56-1)

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「異界のものを食べる」=「そこに同化・帰属する」という意味が発生しちゃうんです。食べることってすごく怖いことなんですよ。
いろんな漫画作品の「食事シーン」を見比べてみる - 紫の物語的解釈 この記事をよむと物語における「食べる」ことの深さがよくわかります。

なので「田舎のものである山菜」を「美味しい!」と食べた蛍は田舎に受け入れられたってことになります。
「受け入れられた」し「受け入れること」も少し出来るようになります。でも実はまだ続きがあったのです!

通過儀礼

そんな蛍の姿をみて、れんげは「デザートの桜餅は取っておくのん」って言います。
カットが変わって、おそらく学校の裏山であろう場所を3人に先導されて、蛍が桜餅を持ちながら登っている場面が映ります。
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しかし、この蛍がもってる桜餅がめちゃくちゃ落としそうなんですよね。わざわざ不安定な手元のカットも入れてきてる。
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みていて不安で仕方ないです。
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そして気がつきます。これって試練じゃん!!

これはアレですよ、ジョジョにあったやつですよ!
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ワインをこぼしてはいけなかったり…
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ポルポのライターをけしちゃいけなかったりするアレなんですよ!
ようするに通過儀礼というやつです

つまり蛍がこの桜餅をもし落としたりなんかした場合、死――にはしないでしょうがたぶん田舎でイジメられます。靴を隠されたりしちゃいます。
実際、蛍は一度木の根かなにかに足がひっかかって転びそうになるんですよね。危ない!汗

それでも蛍は頑張って、なんとか桜餅を落とさず山の頂上につきます。
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そこは綺麗な桜の木がある「ハレ」な場所で3人も待っています。
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この場所は試練を乗り越えた蛍へのご褒美かな
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そして山の上から「田舎」を見渡して蛍はおおきく深呼吸をします。
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そして全開の笑顔。はい!これで一条蛍は田舎に迎え入れられました!!
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というわけで1話は蛍ちゃんがどうやって田舎に受け入れられるかを描いた物語でした。
ほんと蛍ちゃんがイジメられる展開にならなくて良かったです。そういうのは『凪のあすから』だけで十分だと思うよ!

とまぁ、自分にとって『のんのんびより』1話は非常に寓話的な構造をもっているように思えてとても面白かったです。

追記:桜餅からの連想ゲームで桜の木という風にもなっていたんですね、さっき気づいた!

    

スロウな『のんのんびより』のプロローグがすごい

さて、そろそろストーブを付けたくなったり、邪魔な扇風機をかたす季節になってきました。10月からはじまった今期アニメも1話がだいたい出揃いましたね。
じぶん的には今期アニメはどうもノレる作品がでてこないなー、もうアニメ卒業かなー。なんて悲しく思っていたんですけど
そんな中でこれはスゴイ!ってやられてしまったのが『のんのんびより』のオープニング曲が入る前のプロローグです。それで久しぶりに記事を書く気分にもなりました。

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あらすじ

第01話 転校生が来た
一条蛍は、両親の仕事の都合で、東京から「旭丘分校」に転校することに。しかしそこは、自分を含め、全校生徒が5人しかいない学校だった!東京から転校してきた一条蛍、ムードメーカーの越谷夏海、女子最高学年の越谷小鞠、独特の感性を持つ最年少の宮内れんげ、まったりした田舎の大自然の中で過ごす彼女達の日常がはじまる!

脚本:吉田玲子 コンテ:川面真也 演出:川面真也 作画監督:大塚 舞/井本由紀

「劇場版 のんのんびより ばけーしょん」公式サイト より

スロウアニメ万歳

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アニメのんのんびより』が始まってまず映し出されるのは長閑な田舎の風景。
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ひたすら田舎の風景が映し出される。後ろに流れる和やかなBGMには何故か下手くそなリコーダーの伴奏がついています。
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通学路であることをしめす看板。田舎です。
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古い和風の家で学校にいく準備をする子供。田舎にしかこういう家は無い。北海道ではこういう家は存在しません。
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ダンボールが縛ってまとめてある
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田舎っぽくない洋風の家。北海道にもこういう家はあります。
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「ここがうちの村、のんびりのどかな所なん。でも時々おもうの、もしかしてうちは……」
アニメが始まって2分30秒ほどたってやっとここでキャラクターの台詞が入る。この時点でこのアニメのペースがめっちゃまったりなことに気がつく。
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後ろから来た子にランドセルを背負った子が呼び止められて振り返る。ここでBGM伴奏の下手なリコーダーはこの子が吹いていたことが分かる。
そしてさきほどの台詞に続く疑問を発する
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「田舎に住んでるの?」


そうだよ!!ってぼくのなかの全視聴者がツッコんだヨ!!!
というか、このボケのために2分半もひたすら長閑な田舎を映してたのかい!
2分半あったらてーきゅうなら1話終わってるし、キルラキルだったら蟇郡 苛のハイテンションなバトルシーンが始まってる時間だよ!!
でもこのめちゃくちゃスロウリィなテンポ。今まで無かったわー。めっちゃ癒されますわ〜(*´∀`*)
一瞬のカットに読めない字を書いたり、情報量を詰め込むだけ詰め込んで勢いをだしたりする昨今のアニメ作品へのアンチテーゼ。それが『のんのんびより』なのかもしれないと思ってしまいかねない。

まじめなはなし

ふざけて書いたけど、僕はこのアバンが大好きでめちゃくちゃ凄いことをしていると思ってます。
なぜなら、世界観を説明するのと同時にキャラクター紹介をして、しかもそれを1つのシュールコントとしても成立させるっていうハットトリックをやってるから。
2分半でだいたい『のんのんびより』がどんな作品かっていうのを説明できてるんですよー。みんなも見ればわかる!
しかもコントも『のんのんびより』の作風ままのもので、コント内容がたぶんこの作品のテーマになっていると思う。こんなに綺麗な導入みたことないデス!

というわけで、本編のことは一切書いてないけど本編も素晴らしかった!(中当てとか懐かしいね!あとカギっ子!)
やっぱり自分の映像作品の好みとして画を見て「読み取るもの」であって欲しいというのはあるかもしれないです。すごい勢いで説明すればいいってもんじゃないんだよ!>キルラキル
個人的に『のんのんびより』は今期で一番楽しく観れそうな作品になりそうで生きる希望が湧きました!スタッフのみなさんありがとうございます!