シンカラ 6th stage

シンカラ5th stage - 京都大学自転車競技部練習日誌
長い長い一日の始まりです。
145.7km/1.5時間/4時間/あり

選手はこのころから脚にきてて、無理やりご飯を食べるのさえもできなくなってきていた(らしい)けれど、自分はなんか慣れてきた。味というものに興味を持たなくなり、悟りの境地に達した。ここまでくるのに1週間。にしても、もっと長い距離を走って、3週間もこんなことを続けられるフルームはすごすぎ!
ご飯面は慣れたけど、朝起きたら広範囲にあざができていた。やや強く押さえた覚えはあるけれど打ってはない。ビタミン不足かな。ちょっと心配だけど、気合と楽しさだけで乗り切ってる。

来ました、久しぶりの平坦ステージ。前後のステージが厳しいから、この日も第3ステージのように逃げをさっさと決めて落ち着くかなと予想。今日はレース中に赤道を越えるよ〜楽しみだね〜とるんるんでスタートまで見送った。
スタート地点では横にいたコンビニが全然スタートに並ばないから、後2分しかないよ!って言ったら、「日本人はほんとに時間に正確だね〜」って。そういう問題じゃないと思うねん?ちなみに翌日審判から一斉送信で、スタートには5分前に並ぶよう怒られることになる。5分でいいのね。
そして、今日は海沿い。横風なのかな…?近くの空港の滑走路が海岸と平行なのがちょっとあれ。

はい、スタート。写真撮って帰ってきたらオバマおらんし…自分たちの車だけ数分遅れて出発。今日はしばらく吉岡側に太陽が当たり続ける。しめしめ。昨日のお返しに、白馬〜とか雨が降った後の美麻〜とか思いつく限りの単語を並べていった。もちろん反対側はそんなことはないらしい。
リアルスタートともに集団は加速、めちゃめちゃ速い。しかもきつい向かい風。ヤシの木うぁーんなってる。やっぱり滑走路はうそをつかなかった。
スピードからも分かるし、無線からも分かるけれど、逃げは全然決まらなかった。ところが道幅は広く、コースも直線のはずなのに急に失速、チームカーが横に広がった。これは落車が発生したかサグを通過した典型的な特徴。普段ならそのままゆっくり走り出す。が、ぴたりと止まった上に前方の車からはスタッフが降りて機材を下し始めた。どうやら規模の大きい落車が発生した模様。巻き込まれたとしたら川嶋と判断した吉岡が先にすぐにボーラの後輪のみを持って行く。自分は後から念のためにその下に積んでいた前後輪1セットを持って行った。
自分が集団に到着したころには吉岡が久保田の後輪を交換していた。川嶋は見渡したところいなかったから、もう行ってしまったっぽい。久保田はボトルも飛んで行ってないし、特に他に機材の不調もなし。周りに他の選手はいなくなっていたけれど再スタート。交換しなかったホイールを車に積もうとしたら、オバマが俺が積んでおくからお前は先に乗っておけというジェスチャー。いやいや、あなたが先に乗らないと発進できないんだけど…めんどくさいから先に乗る。これから久保田を車の後ろにつかせて集団まで連れて行くことと、今回は落車後に機材交換があったからコミッセールが横にいても堂々とスリップストリームを使っていいことを説明。時速50km超えの牽引が始まった。

車のスモークがきついせいで、車の後ろについた選手からは前が何も見えないらしい。大きなカーブの手前では手で曲がる方向を合図した。また、車のスピードがちょうどよくなるように、速いか遅いかを選手にも手で合図してもらった。吉岡はひたすら後ろを見て、私は前を見て、プジャは通訳して、という役割分担。オバマの速度変更がゆっくりになったのいいね!あと、後ろにつかせるのうまくなった!カーブの立ち上がりは自転車の方が速いから、待たずにカーブに進入してもらうというのはまだ課題ですね。
しばらくすると川嶋を発見。やっぱり落車に巻き込まれていた。横にいたもう1人(バイクが黄色いから、以下キタノ)と一緒に吸収して3人を引っ張りあげることに。コミッセールに何か言われるまでいいか…結局何も言われず。
相変わらず逃げの決まらない集団にはなかなか追いつかず、かなり長いこと引き続けた。車の隊列最後尾の少し手前まで来たところで久保田とキタノにばいばい。しんどそうな川嶋のみもう少し引くことに。ところがここからが全く追いつかない。集団速すぎ。最後尾の車と一定距離を保ったまましばらく走った。しばらくすると、バイクコミッセールがするする〜とやってきた。

インドネシア語でプジャに何かを話している。(心の声:なんで英語じゃないん。他のチームカーはLO乗ってないから英語じゃないと通じへんやん。)
プジャが通訳してくれる。どうやら今の位置ではなくチームカーの元の位置に戻れと。スリップストリーム使用の時間切れらしい。しょうがない。ついにこのときが来てしまったか。Okay, let’s go back. とだけ返した。その間も横でコミッセールはインドネシア語で何かを叫んでいる。(英語で私に向かって話してくれたらこのタイムギャップはないんやで。)
プジャが私の言ったことをオバマに言ってくれる。後ろに川嶋がいるじゃないか、というジェスチャーをして牽引をやめないオバマ。はっ?っていう顔をするプジャ。
はい、ここで一旦状況を整理しまーす。
右ハンドル車で運転席にオバマ、助手席にプジャ、後ろは吉岡と自分。コミッセールは車の右側にいる。つまり、コミッセールとプジャはオバマを挟んで会話している。(え、なんで分かってくれへんの。コミッセールも言ってるやん。)
渋るオバマ。叫ぶ審判。諭すプジャ。全部インドネシア語。黙る後部座席。
この構図が終わりそうにないので、プジャに援護射撃。We have to leave him RIGHT NOW. ゆっくりぼそっと聞こえるように。(初日以来のこのフレーズ。言いたくなかったよーーー)これでなんとか分かってくれたっぽい。川嶋くんとここでばいばい。

チームカーが元の位置に戻ったころ逃げが決まり、集団は落ち着いた。ああなぜもう少し早くに…
すぐに50km地点の看板を通過。気づけばリアルスタートからちょうど1時間。平均時速大変なことになってる。
ここで大事なことに気づいた。久保田のもともとのホイールはキシ(やったっけ?)、交換したのはボーラ。吉岡と2人で絶叫。そのとき自分右手にアルミ持ってたのにあーあ。そこまで考える暇がなかったのもまた事実。天気が悪く小雨が降ったときはずっとひやひやしていた。

この日は大きな落車だけでも3つと多かった。ゴール直前のものはかなりひどく、鎖骨やりましたポーズや、座り込む選手を多数目撃した。久保田大丈夫かな〜と思ったけれど、最後はペースアップする集団についていかずに流したおかげで巻き込まれなかったらしい。よかった。

ゴール後のテント前はこの日も例外なくすごい人だった。横ブースのカーネルサンダースの選手は優勝しているのに、みんな一切見向きもせずWJICFに注目している。うちのファンがそちらまで進出してすみません。警備をするはずの人もテント裏から侵入してキャーキャー言いながら撮ってくる。裏から入られると一気に秩序が乱れるからやめてほしいな。ちゃんと警備してくれている人にバスまで護送してもらって帰れた。4時間ゆらゆら。

そして、この日はペナルティをいただきました。理由はスリップストリームの使い過ぎ。久保田と自分という組み合わせだった。選手はCHF50か60(明記なし)、監督にはCHF100。誰かから言われるのではなくリザルトに書いてある。お支払方法と正式金額は、登録してあるアドレスに届けられるらしい。今回なら西学。よってその後の詳しいことは知らず。


雑感/補足
・そろそろお気づきだと思いますが、いろんなレポートに「無事に完走した」と書いていますが、まあ確かに無事には完走していますが、実際はほんとに毎日ぎりぎりでやっています。レースが始まって初めの無線は “Good morning, everyone. Welcome to stage6. 出走人数、各リーダージャージ…” と言われるんだけど、welcomeの意味を一番理解しているのはWJICFだと思う。
・ここまで省略気味だったけど選手を見放す瞬間は毎回ほんとにドラマがある。

・初めの落車が発生したとき、なんで他のチームはさっさと車から降りてホイールを準備できたんだろう。チームカーの隊列も少なくとも真ん中より後ろだと集団は一切見えないはず。無線も落車後すぐに連絡があるわけではないし、このときもそうだった。みんな前のチームをマネして、それが徐々に後ろに連鎖していってるのかな…
・ホイールは全てバッグから出していたので、すぐに持って行けたのはよし。
・でも、走っているときの揺れでスプロケとスポークがかんでしまうときが結構ある。(たまに暇なときにほぐしてる。)積み方が悪いのかな…スペースを考えるとずらしては置けないし、なかなか厳しいものもあるけど、他チームの積み方とか見ておけばよかった。
・当たり前だけど、やっぱりチームカー順位が上の方が集団に機材持って行くのが早いし、見えてるからすぐに対応できるよね。見えない集団まで走っていくのは意外と距離があった。2017年で一番ダッシュしたかもしれない。

・落車の機材交換の後に集団まで選手を連れていくとき、車につかまらせるのはダメらしい。後ろにつかせる分にはおっけー。他のチームは姿くらまし使ってたんやけどなもぐもぐ。
・そして連れていけるのは自分のチームカーの位置まで。たぶんね。これもコミッセールに見られているかどうかが一番の問題っぽい。

 ・久保田の後輪交換で吉岡のおかげPart3が誕生。もう僕チームカー乗りません〜って言ってたけど、この日は策士吉岡もいた。長文すぎるので詳細は省略するごめんよ。毎日ありがとう。

・コミッセールはなぜインドネシア語なのか…
他チームにはどうやって話してるんだろう。他のレースではどうなんだろう。

・川嶋はチームカーと別れた後1人で40kmくらい走り続けたらしい。回収車から乗る?どうする?って聞かれたときにNoと言えば走らせてもらえるらしい。で、4回くらい先延ばしにしたとか。最後の最後はSorryって言われて回収されたらしい。お疲れ様でした。
・お腹が痛くなって以来、水をかけてほしくないと言ってた川嶋がレース中に水をかけてほしいと言ったのは、落車で腕が腫れていたかららしい。ドクターカー遥か彼方にいたもんね。ラインレース後方ならではのサポート。気づけるようになりたい。

・あ、そう、この日は赤道を通過しました。したんですけど、iPhonegoogle先生と地図で位置がずれているから正確にどこだったのかは分からず。地元民は普段から気にしてないみたい。

p.s.これはあくまで、同じレースに行くかもしれない人が困らないように書いている日誌です。展開に関係ないやり取りを長々と書いているのも、これくらいのことは起こるよって伝えたいからです。
審判はじめ大会関係者の皆様、熱い中毎日本当にありがとうございます。

シンカラ 7th stage - 京都大学自転車競技部練習日誌