第98回 戦後教育の弊害 それは、中山氏、あなたです 2008/10/01  閲覧(275)

  中山成彬  自民党員  衆議院議員  当選6回
  1943年6月7日 宮崎県小林市生まれ  東京大学法学部 ・大蔵省出身
  2008年9月28日  国土交通大臣を辞任  
  <慰安婦問題で調査を行い、南京大虐殺は存在しないというレポートを出した「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」会長>  (以上 ウキペディアから)

  国交相就任後の暴言

  1.日本への観光客の誘致策を問われた際、日本人の国民性に触れ、「日本は随分内向きな単一民族といいますか」などと述べた
  2.大分県教委汚職事件について、「日教組の子供なんて成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」と言及
  3.成田空港の滑走路拡張問題でも、「ごね得というか、戦後教育が悪かったと思う」「自分さえよければ、という風潮の中で、なかなか空港拡張ができなかった」などと、建設反対派への批判ととれる発言をした(以上 読売新聞インターネット版)
  4.中山氏は27日、地元宮崎市の党県連会合で、持論の日教組批判をあらためて展開。その後記者団に「(25日の日教組に関する発言は)撤回しない。日本の教育の『がん』である日教組をぶっ壊すために私が先頭になる決意を示した」と強調した(東京新聞インターネット版)

  中山氏の暴言を知ると、学校で優秀な成績をおさめてもしっかりした考えを持つとは限らない=考え方がなっていない東大法学部卒もいる(少なくない)のだ−ということがよく分かりますね。
  なにしろ、この人には、物事を正しく、筋道をたてて考える=根拠に基づいて話す=能力がすっかり欠けていますからね(近い衆院選自民党が政権を失うかもしれないという重大なときに自党を窮地に追い込むことが明らかなこういう暴言を吐いて<言いたいことは言った>と自己満足に浸っているほどの愚か者なのです)。

  仮に、数々の暴言が“能力”のなさから出ているのでなかったら、この人はとんでもない(意図的で誇大妄想の)“デマ飛ばし”だということになります(<日教組民主党をブッ壊す>?)。
  どちらにしても、そんな人物を生み出すために東大(と納税者)はずいぶんと税金を無駄づかいさせられたことになります。
  
  そうそう、中山氏が会長である「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」というのは、まさしくその“デマ飛ばし”の温床のようです。戦前に日本帝国が行ったことのすべてをとにかく肯定しようとだけ考える、思考停止した人物たちの集団のようです。自分の価値を日本帝国の“栄光”に結びつけておかないと不安でならない、臆病で小心、被害妄想の民族主義者の“慰めあい”の会のようです。

  さて、中山氏の一連の発言が暴言であるというのは−

  第一に、日本にはアイヌの人たちも住んでいて、けっして“単一民族”ではないことは、中山氏のような戦前の皇国史観の持ち主以外は、大方が知っています。中山氏が所属する自民党の政府もすでに、アイヌ民族への過去の扱いを謝罪し、日本が“単一民族”ではないという事実を認めています。

  第二に、生徒の学力が低いのは日教組のせいだ−と(長年持ちつづけている持論どおりに)断言しながらも、中山氏は根拠の数字・資料を示していません。2008年9月27日の朝日新聞インターネット版は(全国学力テストの)<データをたどってみると、成績トップの秋田の日教組の小中学校組織率が5割超で全国平均(34.1%)を大きく超えるなど、全体的な相関関係はうかがえない>と報じています。<「日教組強いと学力低い」中山説、調べてみれば相関なし>というわけです。

  第三に、成田空港の建設に関する問題では、現地空港建設反対派(「三里塚芝山連合空港反対同盟」)農民の指導者たちの運動開始時の年齢は(わたしが記憶するところでは)平均すると60歳代(若くても50歳代)だったはずです(残念なことに、裏打ちする資料が見つかりません)。1960年代後半に50歳代だった人たちが受けたのは“戦後教育”ではなく、戦前の(道徳教育に満たされた)“皇国・軍国教育”でした。ですから、当然、この人たちは、戦後に組織された日教組に教育されて“ゴネ”たわけではありません。また、“ごね得を狙った運動ではなかったことは<”最終的には1995年に当時の村山首相が日本政府を代表して、それまでの政府の強権的な姿勢を謝罪>(ウキペディア)するという形で、日本政府もすでに認めています。

   <追記>朝日新聞千葉県版(2008年03月10日)に、元反対同盟行動隊長の内田寛氏一がいま86歳だとありました。内田氏は40年前の1968年には46歳だったわけです。やはり、戦前に教育を受けた人です。

  中山氏は上のような事実をすべて無視して暴言をくり返しているのです。
  <日本の教育の『がん』である日教組をぶっ壊すために>中山氏がどんな“決意”を表明しようと、個人としては(自分の無知や愚かさをさらけ出すだけですから)何の問題もありませんが、国会議員として、ましてや閣僚としては、まったく不当です。国民は、そんな無知で愚かな人物に(給料を払いながら)国政を任せるわけにはいきませんから。
  麻生総理大臣は、中山氏を辞任させるのではなく、罷免すべきでした。辞任を許した過ちのツケを、麻生氏は次の選挙で払わせられるかもしれません。宮崎県の有権者はこの人物を落選させるべきです。
  
  ところで−。
  戦後教育に欠陥があったとすれば、その一つは、皮肉なことに、中山氏のようにまともな思考能力を欠く=無責任な論を吐きつづける人物を数多く政治の世界に送り込んできたということでしょう(「日本の前途と歴史教育を考える議員の会」を思い出してください)。そんな人物を大臣にまでしてしまう有権者を育ててきたということでしょう。
  それも日教組のせいなのでしょうかね?