くまあな

2009-12-00

『チュモン』(TVドラマ)

| 10:31

ネタバレ度:1/4(原則ネタバレなし)

 高句麗建国の英雄・チュモンの生涯を描く韓国古装ドラマ。本国ではすごく受けたらしい。日本でも複数の友人が大いにホメているので自分も見始め、そして見始めたあたりでパソコンテレビGyaoで無料視聴が可能になったこともあって結局最後まで見た。

 以下感想。原則ネタバレなし。


・聞き取れるようになった朝鮮語

「いえー」(はい)

「ぺーはー」(陛下)

「わんじゃ」(王子)

「ちゅーなー」(殿下)

「きしゅうだ」(奇襲だ)

「じゅんびをーせよ」(準備をせよ)


・殺陣は日本流とも中国流ワイヤーアクションとも微妙に違い、「回るそして飛ばない」。これはつまりアレだ、アクロバティックな動きができる役者をそろえたうえでワイヤーアクションを(あんまり)使わないことで成り立っているわけですね。


・チュモン父が日本の俳優の誰かに似ている気がしてなりません。立松和平に少し似ている。立花隆にもだいぶ似ている。いや違う誰だっけかうーん。


・チュモンはちょっと上原浩治に似ています。


・「チュモンの母ちゃんであるところのユファの女優さんとチュモンやってるソン・イルグクは実際は同い年」と聞いて驚愕。しかし作中で多くの人物が4段階で年を取ってゆくのを見ているともう俳優が何歳なのかなどどうでもよくなってゆきます。この番組のメイクが高水準であることは間違いない。


・にもかかわらずイケメン率は全体に低く、これがためにヒロインがひときわめだつ。考え抜かれた構図(偶然の可能性あり)。韓国での視聴率は大丈夫だったんでしょうか。


・大丈夫だったらしい。


・自分の好みからするとアップやバストショットを多用しすぎなような。いや(少数の)イケメンをもっと大画面で見たいという向きにはこうでないといけないのか。


・大韓民国というのは(おそらく朝鮮民主主義人民共和国もまた)朝鮮史上では有数の軍事的な国家でありまして、これには当然、弊もありましょう。その一方で役者がことごとく軍人の挙措をわきまえていることは認めざるを得ない。文官と武官は同じく甲冑を着ていても同じく宮中衣装を着ていても挙措が違うのです。


・プヨ宮廷の人たちは悪そうな目つきの演技がうまいですねえ。皇后とか。

 「緊張の余り自然に唇が震える巫女」とかもいい。

 この番組における宮中の人々は端役に至るまで目で芝居ができるのだな。


・王宮と神宮という二重権力も話を面白くしてます。


・登場人物わりとみんなやることにスジが通ってる気がします。

 中国武侠ものがキチガイ・オン・パレードなのに対してチュモンの登場人物の理解しやすいことよ。これが民族的なものなのか、それとも日韓ともにハリウッドの洗礼を受けているせいなのかは判断しかねるんですが。


・ト言っていたら友人「いやハリウッドの洗礼まで含めて民族性じゃろう」。こいつはたまにいいことを言う。


・よく言えば韓国古装モノは思考回路の近さが魅力、中国古装/武侠モノは思考回路の遠さが魅力ということになりましょうか。


・ときおり武侠度が妙に上がることがあります。

盲目の謎の老師。

国王すら知らぬ秘密の牢獄。

そして武功タナボタパワーアップ。

うむ、これだ(どれだ)


・そして「崖から落ちて死んだ奴はいない」というのは中国武侠ものに通じる悪癖だということもいいそえておかねばなるまい!


・作中「霍光と上官桀」という台詞が出てきます。この話って前漢だったのか。

 しかるに同じGyaoでやってた三国志(後漢)より明らかに技術レベル高いです。どうかしている。

 鉄剣は半歩譲って許しましょう(たしか前漢における鉄器はまず農具に採用され武器への使用は随分遅れたのだと聞いたような聞かなかったような)。あぶみは百歩譲って許しましょう。プレートメイルは千歩譲って許しましょう。しかし火薬。


・時代考証に関してはあの便利な言葉があります。「ファンタジーですから」。

 悪役であるところの漢の鉄騎軍のプレートメイルがかっこいいことは否定しない。


・中盤はダレるダレると聞かされていたこともあって覚悟ができており無事通り抜けることができました。そして10話に一回ほど見せ場の回が来るので視聴を止められません。わきまえている。


・三王子御前試合の回などを見てると思うんですが、演出といい場面設定といい音楽といい普段と緊張感がまるで違います。この番組実は山場の回以外意識的に力抜いて作ってないか。

 よくもわるくも長モノを見せるコツを心得ている感じです。


・終盤のチュモン一家(ギャング的な意味ではなく本来的な意味で)のドラマは序盤の構図に酷似しており、かつ別のひねりが加わっているわけですね!

 大河ドラマがほとんどの場合においてホームドラマであるというのは日韓とも変らぬのだなあ。


・1話1時間10分とかいう時間がよくわからないんですがこれはどういう形態で放映されたんだろう。なんか韓国のTVドラマは重点作品についていうと時間話数ともに相当自由にやらせてもらえるという噂を聞いたことがあります。ウソかホントかは勿論知りません。


・なんにせよ日本や中国のドラマの「1時間といいつつ実は45分」ものに慣れていると1回1時間超というのはすごいボリュームに思えます。これで81話。あきらかに普通じゃない。


・にもかかわらず終盤は駆け足になる。これについては「なんという無計画さ」という人と「全部終盤5話みたいなペースでやりゃあよかったのに」という人がいます。自分は後者かな。


・思うに81話でなく20話でやったら真の傑作であったろう。

 チュモンがあまりといえばあまりに長かったので高句麗のその後を描く『風の国』も『ヨンゲソムン』も断じて見ない所存です。

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