Hatena::ブログ(Diary)

図書館情報学を学ぶ

title photo by Thomas Hawk

2009年08月04日

U40プレミアセッション問題、自分なりの意見

実は前回の記事を書いていたときに既に申し込んでいたのですが、全国図書館大会U40プレミアセッションに私も参加することとしました。

参加者へのメッセージには、自分なりに語りたい図書館のテーマについて書いてみました。簡単に言えば、図書館の根本的な目的であった「情報の共有」と「学習環境の互助」を今の図書館制度をすべて脇において考えると、どんな実現方法があるのか、ということを図書館関係者と語りたいと考えています。

先週末に、プレミアムセッションの参加制限について議論がおこりました。それぞれの議題は私も非常に重要な問題意識と感じましたが、議論を追った後の率直な感情としては「やってみないとわからないのではないか」ということでした。

トピック規制のメリットとデメリット

運営者側の方の制約設定の経緯を読むと、指定管理者制度などのトピックを規制しているのは参加者間の交流を有益にしていくための配慮だということがわかります。否定的な発言を禁止するという方法は、しばしばブレーンストーミングなどの会議手法のひとつとしてよく使われるので、イベントの手法としては珍しくないものです。なので、直接図書館界の動きに関わる議論ではなく、単に交流を重視したイベントであれば、そのような規制を行うのもいいのではないかと思います。

ただし、そのような規制は往々にして参加者の発言を不自由にさせてしまうので、ぎこちなくなってしまうという副作用もあります。あくまで規制が無いかのように交流できる雰囲気をイベント主催者側が巧みに作っていかなければ、円滑にコミュニケーションするという本来の目的を阻害してしまう結果になります。人は言葉だけでなく表情などでもコミュニケーションをとるので、規制しているつもりがかえってそのような軋轢を明示化させてしまうのでは、との心配もあります。

試行錯誤の第一歩として今回の規制を考える

上記のメリット・デメリットのどちらがより強く出るかは、雰囲気が結果を決める以上推測することはなかなか難しいのではないかと思います。プレミアセッションの運営者の方々にはいずれも図書館業界を知り尽くし、イベント運営についてもプロの実績を持たれている方が沢山お見かけしていますが、今回のプレミアセッションが斬新な企画であるだけに不確定な要素も多いと残慮しています。それを今回のTwitter上の議論の発生は暗示しているような気がしています。

私としては、今回のプレミアセッションはぜひ成功して頂きたいと思っていますし、できれば定期的な開催を実現していただきたいと思っています。そのためには、さまざまなイベント形態を試行錯誤していくことが必要なのではと思います。なので、私は今回の規制の詳細について強く追求しないようにしたいと思っています。

発展的な流れになって欲しい

実際にはイベントそのものに好意的な方々が大半ですし、プレミアセッションのTwitterアカウントを見る限り協力者がぞくぞくと集まっているようなので、こんなに大げさに書く必要は無かったかもしれませんね。

ただ、せっかく図書館関係者と交流できる機会を持てるのに規制の可否でこういう若手向けの大規模な試みが途絶えてしまうのは哀しいのでとにかく成功して欲しいと思っています。U40の参加者も、試しに参加してみてもし気にくわないのであれば、制限の無いイベントを別途作ってみればいいのではと思っています。

とにかく、発展的に今回のイベントについて考えていきたいものですね。

おわりに

以上、ただ議論をまとめるだけでは卑怯だと思ったので、自分なりの意見を書かせていただきました。文中関係者の方に無礼な表現もあったかと思いますが他意はありませんのでお許しください。

こういうまとまった意見を表現するには、やはりTwitterではなくブログですね。しばらく間を空けていましたが、これを機に更新を再開させていきたいと思います。

2009年08月02日

要点:全国図書館大会U40プレミアセッション問題( at Twitter)

最近Twitterに絶賛引きこもり中の私です、お久しぶりです。

今年10月29日に全国図書館大会にて「U40プレミアムセッション」という年齢制限つきの企画が立ち上がっているようです。

具体的には、その制限とは以下のようなもののようです(参照:http://futurelibrarian.g.hatena.ne.jp/)。

  • 40歳以上の図書館関係者は発言を控えてオブザーバーとして参加する
  • 委託・指定管理など、いまの図書館の目の前の話は禁止

ところが、その制限に問題があると、 id:min2-fly さんを中心としてTwitterにて議論が巻き起こっていたようです。

なにしろTwitterでの議論なので後から追う人には詳細がなかなか頭に入ってこないので、とりあえず批判の要点を以下の通りまとめてみました。それぞれ要点の出典となる発言を脚注で掲載していますので、「この発言はそういう意図で言ったわけではない」などの文句がありましたらコメントしてください。なお、議論の要点整理は、min2-flyさんのつぶやきを参考としました。

  • 話題内容の規制ルールに対する批判
    • 図書館の目の前の話題を封印した交流に意義はあるのか?*1
    • 特定の発言を封印すること自体に問題を感じる*2
  • 年齢制限ルールに対する批判
    1. 40歳以上の図書館関係者を排除する必要はあるか?*3
    2. 若手偏重にしなければ若手が夢を語れない図書館業界に問題がある*4
    3. 若手の批判意識を抑える「ガス抜き」にしかなっていないのではないか?業界の状況を打破するようなものであって欲しい*5
      • オブザーバーの参加は必要か?*6
  • 若手に対する批判・呼びかけ?
    • 若手が意図的に作り出された場所でしか夢を語らないようになってしまう危険性がある。若手はこのセッションに乗るべきか?*7
      • より身近で小規模な場を用意した方がいいのではないか*8
    • こういう場を設けなくても、若手は空気を読まずに喋ったほうがいい*9

要点は以上です。おそらく発言者の方々にとってはかなり違和感があると思うので、ぜひ文句を言ってください。特に、shiraist さん(id:copyright)と yuki_o さん出典の部分は正しいか自信がありません。冗談のつもりで発言しただけのものも混じっている可能性もあります。Twitter上での発言はその辺りがわかりにくいですね。。。

本当は主催者その他の肯定的な意見もまとめたかったのですが、結構時間がかかってしまったので諦めました。。。また余談として、単にジョークとして話されたのかもしれませんが、若手偏重の場作りを一種のアファーマティブ・アクションとして見なすなど興味深い見方もありますね*10

ただ勘違いの無いように説明しておきますと、主催者側である tzhaya さん(図書館退屈男さん)の発言によれば、40歳以上の図書館関係者を排除する意図は無く*11、若手の意見を吸い上げる場を作るというのが本来の目的のようです*12。なので、U40の方もO40の方も以上のまとめを読んで主催者側の方々に敵意や反感を持つことの無いようにお願いします。

関連記事(他サイト)

2008年12月21日

小田原市立図書館のアニメ脚本コレクションの意義

公立図書館はときに貴重資料を所蔵していることがあるのですが、珍しいことにアニメの脚本資料のコレクションを所蔵する公立図書館が現れたそうですね。

アニメの脚本を手がけてきた首藤剛志氏が、かつて居住していた小田原市の市立図書館に自身の脚本資料等1400点以上を寄贈したそうです。

公立図書館ではときとして地域の貴重資料を所蔵していることがあります。例えばとある県立図書館では地方の知識人の文庫や、戦時中の資料などが書庫に収められているということがあります。申請しないと閲覧できなかったり、まだ整理作業中で公開されていなかったりと一般の人からはあまり認知されていませんが、このような貴重資料を保存する役割も図書館が担っていたりします。

なので、今回の寄贈それ自体は特異なことでは無いと思うのですが、注目すべきはアニメという比較的最近の文化の資料であるという点ですね。以前、明治大学に同人誌即売会COMIC1の見本誌を寄贈するという話が騒動となっていましたが、マンガやアニメなどを1つの文化資料として扱おうとする動きが図書館と製作側の双方で出始めているようです。その中で、脚本家が自主的に資料を寄贈するという活動は、クリエーターに対するアーカイブの協力を促すという点で意義があるものなのではないでしょうか。

図書館という機関は、利用者だけでなく資料の作り手、または資料を提供する側の協力があって成り立つものだと自分は思います。なので、首藤氏のようなクリエーターに対して資料保存の点から協力していく活動は、将来的に図書館が支持される基盤が創られるのではないでしょうか。

出版されていない資料を所蔵することで、公立図書館はどのような便益を得られるのか。この点については今後も少し考えていきたいですね。

関連書籍

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)

未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)

ニューヨーク公共図書館の事例を紹介した書籍。この中で、とあるジャーナリストが本を出版した際に、その取材資料を図書館に寄贈するというエピソードが登場します。資料の寄贈は単に文化保存に留まらず、裁判などで利用されるなど、より重要な局面で効果を与えることにつながるのかもしれませんね。

図書館資料論 (新・図書館学シリーズ (7))

図書館資料論 (新・図書館学シリーズ (7))

私が履修した資料保存についての講義で指定された教科書。

2008年08月12日

図書館と一般人が新聞社の脅威になった日

猥褻記事問題に関する毎日新聞の謝罪に虚偽があったという話。毎日新聞側では「9年前のウェブ版スタートから猥褻記事の問題が発生していた」と内部調査結果で述べていたが、今回11年前にも猥褻記事が載っていたということが発覚したらしい。

ここで興味深いのは、11年前の記事を大学図書館・国立国会図書館のマイクロフィルムから入手したということ

414 名前:名無しさん@九周年[] 投稿日:2008/08/11(月) 21:51:17 ID:dd6VF8p80
なお、物証自体はここで手に入ります。
http://sinbun.ndl.go.jp/cgi-bin/outeturan/E_S_kan_lst.cgi?ID=007278

007278  The Mainichi Daily News(創刊:1960) マイクロ資料
独協大学図書館
国際基督教大学図書館
国立国会図書館
毎日新聞東京本社情報調査部
東京大学大学院情報学環・附属社会情報研究資料センター
早稲田大学図書館
新聞ライブラリー/日本新聞教育文化財団
毎日新聞大阪本社調査審議室図書室
福岡大学図書館
神戸学院大学附属図書館

上記の図書館にてマイクロフィルム資料として残っている物を
プリントすれば記事が手に入ると思われ。 

たぶん雑誌記事索引や図書館内のデータベースシステムを利用して見つけ出したのだと思うのだけど、司書過程を履修した自分から見ても凄い調査能力だ。発見した記事をエクセルにきれいにまとめているところとか、神がかっている。。。

調査したのは俗に「鬼女板」(既婚女性板の略)と呼ばれる2ちゃんねるの板に集う主婦の方々らしい。もしかすると、司書資格を持つ人や、図書館勤務経験のある人がいたのではないだろうか。マイクロフィルムの存在など、図書館について勉強でもしない限り分からないような気がする。もしそうだとしたら、司書課程の設置が図書館員養成とは別の方向で効果を発してきているのかもしれない。

今回の告発そのものの意義についてはさておいても、図書館のコレクション保存の重要性が近年で最も示された出来事ではないだろうか。インターネットの情報網と図書館の雑誌記事コレクションが組み合わさると、時を超える脅威的なメディア監視システムへと化けることが示されたのである。

はたしてこの監視装置が効果を発するのは毎日新聞だけか、もしくは別の新聞社もまた危険性があるのかもしれない。なにしろ、すでに書いたものは国立国会図書館に永久に保存されているのだから……。

追記

「マイクロフィルムなんて誰でも知ってる」というブクマコメント多数。冷静に考えてみれば歴史の調査が必要な卒業研究をなさっていた方などは常識的な知識・スキルでしょうね。思慮の浅い発言でした。反省します。

補足しておきますと、自分自身はマイクロフィルムで新聞記事が保存されているということは大学の講義を通して知っていましたし、図書館に実習に行った際に使用方法も教わりました。利用者の方への補助なども若干しました。

上記で伝えたかったのは歴史学などの専門的な場ではないところでマイクロフィルムという媒体が登場したことに驚いたということです。マイクロフィルムの再生機が減ってきているというお話も聞くので、こうやってしっかり活用されている例が現われていたことが嬉しかったわけですね。

関連記事(自サイト)

2008年06月28日

「トータルで見る」とチェックリスト

先日の図書館サービスの話と関連して。リポジトリ立ち上げのためのチェックリストが英国で作成されているそうですね。

リンク先を見る限りはシステム構築が中心の話になっているようです。広報や人材に関するチェックリストなどがあれば、「トータルで見る」助けに繋がるかもしれませんね。

上記のid:katz3さんが提示している失敗の変遷は、視点を変えるとチェックリストとして変換できるかもしれませんね。具体的には、「横断検索の提案」の失敗要因として類似サービスのリサーチ不足が本文中に挙げられていますが、これは横断検索に限らずサービスを立ち上げ全般に関わることなので、チェックリストの項目となりそうですね。

追記

チェックリストとしては、はてブ上で話題になっている「ikomaruの日記」も参考になりそうですね。

カテゴリー
言及した本
  • パターン認識と機械学習 上 - ベイズ理論による統計的予測
  • 不平等の再検討―潜在能力と自由
  • 経済学の名著30 (ちくま新書)
  • システムの科学
  • 未来をつくる図書館―ニューヨークからの報告― (岩波新書)
  • 図書館資料論 (新・図書館学シリーズ (7))
  • ウェブサイエンス入門―インターネットの構造を解き明かす (コミュニケーションサイエンスシリーズ)
  • 図解 よくわかるデータマイニング (B&Tブックス)
  • Rによるデータサイエンス データ解析の基礎から最新手法まで
  • 集合知プログラミング