工事現場の跡地保全を充分に検討するべき

保坂展人(ほさかのぶと)さんのブログ

保坂展人さんのブログを拝見した。

八ツ場ダム関連の内容だったので、興味深く読ませていただいた。

保坂氏は社民党の副幹事長で、民主党の推薦を受けていながら落選した方だが、読んでいてなんとなく落選した理由がわかる気がした。

前原国土交通大臣八ッ場ダムの視察に向かった。
これを前後して洪水のように溢れるテレビ報道は、どれもステレオタイプな表層をなでるばかりのもので、「ここまで造ったのにもったいない」「住民の怒りはおさまらない」などと繰り返している。私たちが10年にわたってこのダムの問題点と向き合ってきたのは、「造ること自体がもったいない」「住民の意志は踏みにじる」旧建設省河川局以来の国の姿勢そのものだった。
引用:保坂展人のどこどこ日記
http://blog.goo.ne.jp/hosakanobuto/e/7eaba4bbf3409d6bf7151d9501304ff2

確かに、テレビの報道は八ツ場ダム建設中止に関して批判的な報道が多い。

しかし、住民感情に焦点を当てた報道だという事も事実なので、批判的になるのが当たり前です。

その報道に対して、保坂氏のように与党の関係者が報道に口を挟むのは賢い対応とは思えない。

与党の政策は批判されて当然

メディアは権力の暴走を監視するという観点から、与党に対しては批判的な報道が多くなるのも事実である。

私は自民党政権時代から、メディアの変更報道には呆れていた。

しかし、メディアに対する批判は国民が行うもので、政治家がメディアを批判するのは如何なモノかと思うわけです。

政権を持った与党は政策立案を行い国会を通して施策する事が仕事なのに対し野党とメディアは与党を監視して暴走を未然に防ぐという役割を担っている。

よって、与党はメディアや野党に批判されて当然なのだ。

全ての政治は、天下万民にとって利益をもたらすものではない。政治によって、利するものあれば損害を被る者もいる。

全ての政策は、賛否両論あるのが当然であり、世の中には100%満足な政策など存在しない。

メディアは損する側の味方をしたほうが、視聴者の「判官びいき」体質を刺激して数字(視聴率)を稼ぎ易い為、損する側の人たちの視点で報道する。

万年野党体質

連立与党になった社民党の幹部が、メディアに対して批判するなど言語道断な話だと思うのです。

有権者なら、メディア批判も大いに結構だし、私自身厳しくメディアを批判しているつもりだ。

しかし、国政を任された与党の幹部がメディアを批判すれば、これは言論統制と言われても文句が言えない事態になると思う。

言葉は悪いが、これまでが万年野党だったので、保坂氏には与党としての自覚がないのは責められないような気がするが・・・

連立与党の一角である社民党の幹部としては、メディア批判は控えた方がいいと思う。

また、住民の意思を考えれば、立ち退きが完了した後での建設中止など、言えるはずが無いとも思うのだが・・・。

保坂氏の主張

保坂氏は、未だに野党気分なんだろうと思います。

それでも、ダム事業は止まらない。小泉政権とは、こうした巨大公共事業に税金を垂れ流す自民党政権だったのである。それでいて、「改革」とはちゃんちゃらおかしい。私たち野党が中心となって政権交代を果たせば、「日本が変わる」という号砲として「八ッ場ダム事業」を中止する。もちろん、半世紀にわたって国策る翻弄されてきた地元住民の生活再建をしっかり補償していくモデルケースにしたいと思う。
引用:上の引用文に同じ

保坂氏が未だに野党・社民党という認識しか持って居られないのは、この文章を読んで頂ければよく判ります。

訂正 引用元の保坂氏のブログの記事に間違いがありました。保坂氏が再掲した09年09月15日付けの記事は、2008年9月15日の記事の間違いです。
よって、この頃はバリバリの野党だった訳で、野党気分で当然ですね。
donbanさんがコメントで指摘してくれました。感謝!

前政権の批判に徹して、自分達の主張を正当化するという手法は、野党なら許されるが、与党ならば前政権の政策を引き継ごうが否定しようが、全て責任を負うべきだ。

また、保坂氏は「国策に翻弄された住民の生活再建のモデルケースにしたい」と仰っているが、政策として建設中止しているのだから、損失補てんや今後の災害対策を含めて政府が責任を持つことは当たり前の話であり、強調して主張するべき話ではない。

最大の問題

前原国交相は、八ツ場ダムが完成するまでの費用と、中止にした場合の建設現場の災害対策や、住民および関連する自治体に対する補償を試算すると、中止したほうが多くの費用が必要になるだろうという見解だったと思う。

この前原国交相の試算は充分説得力があると思うし、私も恐らく中止したほうが多額の費用が必要になるだろうと考えていた。

保坂氏は、建設を続行した場合、このままズルズルと追加費用が必要になると考えて居られるようですが、建設中止した場合の費用はどのように見積もって居られるのか良くわからない。

今後も建設を進めれば、保坂氏の指摘どうり予算以上の費用を必要とすることは間違いないと思うが、ダム建設の場合、資材運搬等の道路を作る必要があるので、ダムの本体に着工する前の段階で多額の費用を必要とする。

着工前のインフラ整備に費用が掛かるのは当然だと思う。

話題になっているから、住民や自治体に対する補償は考えているだろうけど、建設現場が危険地帯にならないよう保全する為には、どのような追加工事が必要になるか考えて居られるだろうか。

私は、ダムの建設中止には反対でも賛成でもない。

ダム建設の一つ一つをケースバイケースで見直すべきだと思っている。

「ダム=無駄遣い」という単純な判断こそ危険だと考えています。

ただし、計画段階での目的は失われつつある事も事実ではある。

そして一番問題視しているのは、建設中止後の現場の事です。

放置していたら、集中豪雨などの自然災害が起きたとき、放置された山間部の斜面は危険極まりない状態になる。

建設中止後の追加工事(災害対策・予防工事)は、慎重かつ充分に検討されるべきだと思うし、確実に実施されないといけないと思うのです。

建設中止した後の、工事現場の跡地保全について、キチンとした考えが無ければ、軽々しく建設中止を主張するべきではない。