2012-02-06
■[本][生活]『TINY HOMES Simple Shelter』

うちでも手づくりの家の本『セルフビルド』を出しているが、これはアメリカの出版社から出ているセルフビルド本。とにかくそのバリエーションの多さ、デザインの多様さ、自由奔放ぶりは見ていて大変楽しい。タイトルにあるように、紹介されている家はちっぽけな小屋もあれば、小さな山小屋もあり、家としては小さいが、車で引くには大きな家もある。
しかし、豪華な家はほとんどない。すべてが手づくりというわけではなく、キットを組み立てたものもあるが、どれもがシンプルであり、住み心地が良さそうなものもあれば、ちょっとこれは危ないんじゃないの? というような小屋も収録されている。そのどれもが遊び心たっぷりで、デザイン優先というか、住めば都といった楽しい家も多く、それが見る側にはいっそう楽しい(自分で住むわけじゃないですからね)。
こんな感じの家です。どれも楽しそうでしょ?
他にも楽しい家がたくさん紹介されている。日本でこういう家を建てて住もうとしても、実はいろいろ建築基準法やら防火対策などの規制があってなかなか自由にはいかないことも多い。基本的に日本の新築住宅は、気密性があって、換気扇で空気を強制循環するように義務づけられている。つまり24時間電気を使って換気扇を回し続けなくてはならない家を建てなくてはならないのだ。信じられないことにこんなバカな法律が日本にはあるんですね。本書に紹介されるような、ゆるい家を建てるには、自分で建てちゃう以外にないかもしれない。
さて、この本の驚くべきは本の値段だ。A4より少し大きいビックサイズで、215ページオールカラーなのに、1740円という安さだ。こういう住宅に興味がある方なら絶対に買って損はしませんよ。超おすすめ本です。
2012-01-31
■[出版]『アジアにこぼれた涙』本日発売

すでに都内の書店には並んでいるところもあるが、正式には本日が発売日だ。地方の書店にも今日は並んだことと思う。ツイッターでもつぶやいたが、もうぞくぞくと書店から追加注文がきている。うちの本で発売日前からこんなに追加がくるのは、いつのこと以来か記憶にない。
まだ新聞にも広告を打っていないので、この本を買っているのは、ネットで知った読者か、店頭で見かけた方だろう。それで動きがいいのは、第一に著者および本の力があるということであり、第二に、書店が力を入れて売って下さっているということだろう。
実は、よほど連続した大きな広告でない限り、新聞などの広告の力は限られている。読者も写真や大きなコピーがある書籍広告なら目にとめて下さるだろうが、うちで出せるような小さな枠の文字がぎっしりというような地味な広告だと見過ごしてしまうと思う。
本が売れるのは、書店の力の入れ方にかかっているのだ。あんまりたいした本でなくても、書店がこの本を売るぞ! と力を入れて、ポップを立て、どかんと積み上げ、書店の一等地に置くと、本は不思議に売れていくものなのだ。私もかつて新宿紀伊國屋などでワゴン積み(ワゴンにその本をどーんと積み上げてフロアに置く)というのをやっていただいたことがあるが、このときは嘘みたいによく売れた。書店がベストセラーを作ることも可能なのだ。
というわけで、追加注文をくださった書店に、必要かどうかをお聞きしてポップを制作中だ。こういうのです。少女と本が飛び出すポップです。書店の方でご入り用の方はぜひお申し付け下さい。私がせっせと手づくりしています。
2012-01-25
■[漫画]日本タイトルだけ大賞

高野秀行さんのブログ(2011年11月23日)で知ったのだが、なんでも「日本タイトルだけ大賞」というのがあり、その2011年度の候補作に高野さんの『イスラム飲酒紀行』がノミネートされたらしい。結果はもうとっくに発表になっていて、大賞作は『奥ノ細道・オブ・ザ・デッド』だったそうだ。
数ある候補作の中で、私が気になったのは、
『ある日突然ダンナが手裏剣マニアになった』
『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』
の2作だ。どちらもずいぶん長いタイトルだが、アマゾンで見てみるとどちらも漫画で、実話であるらしい。で、読んでみた。
『ある日突然ダンナが手裏剣マニアになった。』は、タイトル通り、手裏剣にとりつかれた夫が会社を辞めて手裏剣で身を立てようとする話である。会社を辞めて旅に出るよりもっと無謀な話な気がするが、仕事が忙しすぎて手裏剣の稽古ができないという理由で、会社を辞め、道場を開こうとするのだ。それを夫に相談された奥さんも「よし、会社やめちゃいな!」と同意するというのもまた豪快。後書きで、「はたから見ればハチャメチャな生き方かも知れませんが、本人はいたって真面目なので、私は違和感なく受け入れてきました」と書いている。
結局、この人はめでたく手裏剣道場を開く。当然のことながら生徒はなかなか集まってこないのだが、それで話は終わっている。このあと道場は繁盛したのだろうか? 手裏剣に夢中になって会社まで辞めちゃう人がいるという驚き以外に読みどころは特にない本ではあるが(手裏剣マニア以外の人間には)、それだけでもたいしたもんだといえなくもない。
ある日突然ダンナが手裏剣マニアになった (爆笑コミックエッセイ)
- 作者: 山下陽子(原作),ヤマシタサツキ(絵)
- 出版社/メーカー: リーダーズノート
- 発売日: 2011/09/30
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- クリック: 19回
- この商品を含むブログ (1件) を見る
2冊目の『家に帰ると妻が必ず死んだふりをしています。』もまた変な作品だ。これもタイトル通り、夫が会社から帰ると、妻が毎日、死んだふりをしているという、それだけの話である。実話ということになっているものの、どこまで実話なのか少し疑わしいところがあるが、それだけの話で一冊になって、しかもそれが発売後3カ月で5刷になるというのだからすごい。
妻が毎日、自宅で死んだふりをするというのは、なんとなく精神的な問題を抱えているんではないかと思ったりするが、同時にシュールな風景でもあり、繰り返される日常でそのシュールさと、妻の一風変わった性格を夫が分析していく。妻と知り合った回想シーンも描かれ、最後まで読むと、ある若い夫婦の愛の物語という感じに仕上がっている。だから売れたんだろうなと思う。ただ、やはりこれはすべてが実話ではないだろう。
- 作者: K・Kajunsky,ichida
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2011/06/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- 購入: 1人 クリック: 110回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
この2作とも、恐ろしいほど絵が稚拙である。素人か、同人誌レベルの絵といってもいい。だが、逆にそうでないとどちらの物語も成立しないだろうと思う。こんな話をうまいプロの絵で見せられたら違和感が大きすぎて読めない。その意味で、不思議な調和を保っている漫画である。実に不思議なジャンルの、不思議な内容の、不思議な作品だなあと思う。
前川健一
2012/01/26 01:04
蔵前さんが紹介した2冊は、きっと『ツレがうつになりまして。』(細川貂々)にインスパーアーされた本でしょうね。タイトルだけで賞を選ぶというのは、」以前「本の雑誌」でやったことがあったような気が・・・・。
蔵前仁一
2012/01/26 19:40
そうですね。『ツレがうつになりまして。』と画風が似ています。若い夫婦ものというシチュエーションも同じだし、この画風で若夫婦の漫画というのが今売れているんですね。画風も異なり、若い夫婦でもないけど、堀田あきお・かよさんの『不妊治療、やめました。』もとても売れているそうです。よかったですねえ(話はあまり関係ないが)。
前川健一
2012/01/27 09:25
画風も異なり、若い夫婦でもないけれど、蔵前仁一・小川京子さんの『雑誌旅行人 やめました』も読んでみたいですね。
2012-01-16
■[食べ物]マサラワーラーのミールスがうまかった

ハピドラマー田中真知が華麗なデビューを果たした国立市のポンガル(南印の祭り)を見に行った。たぶんデビュー演奏については真知さんがご自身のブログで書くだろう(書くんだよ!)から、私はこのときごちそうになった南インドのミールスについて書く。
ミールを作ったのは「マサラワーラー」というアマチュアインド料理ユニット。インド料理ユニットというような存在があるのは今回初めて知ったが、この方々は「インド料理を作るのが好きで好きで、いつも作りすぎてしまうのでもっと作りたい! だったら食べたい人を集めて食べてもらえばいいじゃん!」というような趣旨で、呼ばれていってはあちこちで料理を作っているらしい。
このミールスが本当においしかった。おいしいミールスを食べられるレストランは日本にもあるが、このマサラワーラーが作るミールスは、本当に南インドのミールスそのままのうまさなのだ。米だってちゃんと長粒米を使用し、バナナの葉っぱの上のご飯を盛って、サンバルをかけ、ラッサムなどを付けて、そのうえおかわり自由の食べ放題で、彼らが見まわってきては、いくらでも注ぎ足してくれるというインドのレストランそのまま! 感動しました。食うことだけに集中して写真も撮りませんでした。そのパフォーマンスの模様がこれです。
彼らにはファンがいて、パフォーマンスの日程が発表になると追っかけてる人がいるというほどで、うーん、私も追っかけたいと思うが、この前も食べ過ぎて体重が一挙に増加してしまった。そういうわけで、彼らの予定はサイトで発表になるそうなので、お試しになりたい方はそこでチェックしてください。
次の日に増えた体重を落とすべく散歩に出かけたのだが、近所でこんなものを見つけた。ご存知ですか?
摩訶不思議な物体ですが、これは皆様もおなじみの野菜です。スパイラルカリフラワーというんだそうです。甘みが強く、食味に優れているらしいが、近所の人の話では、味は普通のカリフラワーだそうだ。この美しい形はスパイラルというより、フラクタルという感じですね。こんなものまでアマゾンで売っているんですねえ。
- 出版社/メーカー: 渡辺農事
- メディア:
- クリック: 6回
- この商品を含むブログを見る
moriri
蔵前さん、こんにちは。
you tubeのこの動画、私が参加した時のものです!
彼らはこの日、ライブ、講演会と終日活躍され、いつもニコニコ楽しいお方たちでした。
ミールスは美味しくって、美味しくて、食べる機会も少ないのでここぞとばかりにお替わりしました!
南インドでは最初の盛りつけが多いので女性としては、おかわりが難しかったです。
向かいに座った青年は初めてのミールスが口にあったらしく、
「旨い、旨い」と何度もつぶやき気に入ったココナッツチャトニだけをを何度もおかわりしていました。
名前忘れましたが、マドゥライ名物のデザートもありましたよ。終始現地の雰囲気を伝えようとしている感じが好ましくって、
南インドを思い出しました。
スパイスカリフラワー、「ロマネスコ」としておしゃれなお店に売ってました。
は虫類の表皮を思い出して食べる勇気が出ません…
蔵前仁一
食べてみましたよ、このスパイラルブロッコリー。まあ、特段変わったことのない味ですね。どっちかというと、私は普通のブロッコリーの方が味は好きです。
2012-01-13
■[本]在庫を新装本に仕立てた西原さん

『西原理恵子の人生画力対決4』(小学館)を読んでいたら、西原さんが出した本の印税が不払いになったとあった。『この世でいちばん大事な「カネ」の話』という本で、版元は理論社だが、この会社は2010年10月に民事再生法を申請している(2011年に事業譲渡され、現在は新「理論社」が運営している)。
版元が倒産同然になって印税が支払われないというのは間々ある話だが、西原さんのような売れっ子の場合はそのスケールが違う。未払い印税2000万円! く〜、すさまじい。入る予定の金が2000万円もパーになったら、普通の人なら人生転落だよ。
しかし、西原さんは(たぶん)お金持ちなので、その程度の金でひるむようなことはないのだろうが、在庫8万部が廃棄処分になろうとしていることに憤る。それで、旧理論社から業務を引き継いだ新理論社に交渉して、その在庫を受け取ることに。そして、その在庫を別の出版社からあらためて出し直したのだ。その際、旧本が税込1365円だったのを、新装版では790円に値下げしている。
Wikiにも説明があり、これによれば「西原は、印税が未払いになっている作品の在庫が無料で引き取れることを利用して、理論社にある本作の在庫5万冊(と西原の別作品の在庫3万冊)を別の出版社に引き取らせて販売しようとしたが、理論社からストップが掛けられた。」とある。
それで新しい版元はユーメイドという出版社だ。私は在庫を別の出版社から出す過程がすごく不思議だったので、この本を買ってみた。何が不思議かというと、理論社から出した本には、カバー、表紙、奥付、または前扉など、すべてに理論社という社名が入っている。カバーだけなら刷り直して取り替えるのにたいしたコストはかからないが、表紙や奥付をすべて取り替えるとなると、すごいコストがかかるはずだ。しかも、値下げして販売するわけだから、いったいどう処理したのだろうと思ったのだ。
届いた新装版を見てみたら、見事に理論社の名前が消え、前扉も奥付も全部入れ替えてあった。カバーはなく、表紙が4色印刷で、そこに帯がかけてある。ということは、本体に糊付けしてある表紙を見返しの紙とともにひっぺがし、最初の前扉と最終ページの奥付を切り取り、新しい前扉&奥付を糊付けした上に、新しい見返し+表紙を貼り付けたことになる。うーん、こんな手間ひまかかることを5万部もやったのだろうか。それで値下げして売れるのか?
刷り直した方がコストが安い気がするが、しかし5万部ともなると、刷り直すコストの方が高くなるのかもしれない。そもそも在庫を廃棄するのが嫌でこういう方法をとったのだから、一概にコストの問題だけでもないのだろう。よく見ると、もくじの第1ページ目のノンブルが009になっていて、実際のページ数と合っていないので、やはり改造した新装本であることがわかる。すごい!
- 作者: 西原理恵子
- 出版社/メーカー: ユーメイド
- 発売日: 2011/05/13
- メディア: 単行本
- クリック: 35回
- この商品を含むブログ (6件) を見る






